綾辻行人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
館シリーズ読破中です。9作目。
館の中にいる人たちが皆、仮面をつけて集まる、不気味ながらも分かりやすい舞台です。そこでの殺人事件。仮面のせいで『誰が誰なのか分からない』
この『誰が誰なのか分からない』というのが特に良かったです。
これまでの館シリーズは空間ギミックがメインなことも多かったと記憶していますが、今回は『人の正体』という心理的なギミックが強めの印象でした。
読みながら「この人は本当にこの仮面の人なのか?」「入れ替わってないか?」などの疑心暗鬼が止まりません。
シリーズ恒例ではありますが、今回の館の主もまともではありません。
そこも館全体の「変な文化」を構成する要素となっており、上巻のみの読破でも下巻が興奮冷めやらぬ展開となっていました。
総じて、シリーズの中でも設定が分かりやすく読みやすいです。だからと言って推理の難易度が低いというわけでもなく。
疑心暗鬼に陥りながら解決編に向かいます。 -
Posted by ブクログ
三作品とも「狂った」人間の話だが、狂った中にもロジックがあり、伏線の回収など丁寧なプロットで作品が成立している。
どれも短編とは思えない満足感で、個人的に短編集の中では最高レベルのクオリティと感じた。
「悪魔の手 -三一三号室の患者-」 ★★★★★
何が妄想で何が真実なのか、何も信じられない80ページ。
スピード感、緊張感、そして80ページとは思えない重量感がどれも見事。
「四〇九号室の患者」 ★★★★☆
患者が、己が誰なのかを推理していく過程が丁寧で、読者も共に考えながら読み進めやすい良作品。
「フリークス -五六四号室の患者-」 ★★★☆☆
こんな話短編で収まるか?というようなストーリーだが、怒涛の解決編からの現実と空想の境目が歪んでいく感じがおもしろい。
おもしろかっただけに短編ではなく長編でもっと伏線も張られてがっつり味わいたかったとも思ってしまう。
前二作品との繋がりをやんわり感じるのも良い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ94点。
初めての綾辻行人。
筆力がすごいと思った。さすがだなあ。頭が良いんだろうなって感じられる。
これくらいの長さの小説を読んだのは久しぶりな気がしたけれど、あっという間に読み終わってしまった感覚になった。実際には時間がなくて少しずつ読むことになっていたから読み始めからは1週間経っているのだけれど、それを感じさせないような勢いだった。続きが気になって止まらなかった。屋敷の見取り図があって構造上のトリックがあると思ったけどそれはなくて少し拍子抜けだった。3階の存在や6人目の屋敷の人間も驚きや納得感が少なかったからそこもまた拍子抜けはした。
本筋のトリックや動機も、度肝を抜かれるものがあるかと思ったら意外と地味なものだった。初めての綾辻作品だから少し期待しすぎたかも?そうは言ったものの、ミステリとしてはかなり上澄みの作品だったと思う。論理的で、破綻がない。ちゃんと緻密に作られているんだなという印象だった。一方で、屋敷に起こる現象が本当に屋敷そのものの性質でびっくりした。そこは現実離れしてるんだ、、って。それこそ最初の偶然から、犯人が便乗して作り上げているのかと思っていたから。名前の暗号も、何回か誘導されていたけど分からなかったなあ。年齢順か。頑張ればたどり着けたよなあって少し悔しい。悔しいけど、そんなことある?!って感じだったね。
『雨』の見立てが2番以降雑だったのは疑問に思ったし、ということは別の人間がやったのでは、とも思ったけど真相まではたどり着けなかった。残念。アリバイをどう崩すか、の視点がまだ足りてなかった。自分はまだまだミステリ初心者で経験が浅いから、この先もたくさん読んでもう少し推理を頑張りたい。
本当に偶然性や超常現象が中心であったことを除けばかなり好きな作品です。
とは書いたものの、巻末のインタビューを読んで、たしかにミステリと幻想の融合に成功した作品なんだと感じた。時代背景を考えればたしかに。槍中が見立て殺人に介入した理由を現実的な理由に落とし込んで欲しかった気持ちも少しある。幻想としたのは逃げだったとも思う部分は少なからずあるけど、だからと言ってこの世界観にしたことについては文句がない。魅力的な雰囲気が生まれていてとても引き込まれた。
振り返ってみればみるほど良い作品だったと思える小説でした。