綾辻行人のレビュー一覧
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ネタバレ当初無駄に長いだけの作品はあまり好きではないんだよなー、と上下巻に対して思っていたのですが(『暗黒館』どうしようとは一生思っている)なんと下巻の半分以上が解決編! 思い切ってる‼︎ おかげで冗長な事もなく楽しめました。
危うげな美少年、夭折の美少女、そしてその美少女への狂気的な迄の父親の愛…絵に描いたような美しい幻想でした。
みんな大好き(?)江南君と鹿谷さんが今度は内側と外側に分かれて大活躍!
長めの作品なだけにあまり語られていないと思う部分はあまりなかったのですが、結局の所由季弥がどの位の認知があったのか、姉に対する実際の感情はどれ程だったのか、なんかもっと従兄弟であった部分が掘り下げて語られてないものか等は唯一思いました。でも『水車館』もそんな感じの消化不良あったよねとは思うので。 -
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ネタバレ遂に館シリーズも7作目の超大作へ。
通勤時間の合間にゆっくり読み進めて、ようやく一冊目を一月で読破。味わうように読み進めるこの感じは、一冊目と良く合っていたように思う。
江南から始まる第一部。すでに妖しく不穏な空気が漂う。
そして江南退場からの中也登場。時計館での江南の進行役として面白さを感じていた自分としては、中也でどのように物語が進むのか些か不安があった。が、なかなかどうして中也という男も面白いではないか。
初めて暗黒館を訪れた中也の視点と自分がリンクし、暗黒館の情景、そこに住む人々の様子の不気味さが自分事のように捉えられる、この感じ。特に、浦登家の人々が皆一様に狂気を孕んでいて、人間らしき薄皮一枚からその狂気を滲ませている様が、堪らなく不気味で気持ち悪くて心地よい。そして、宴が始まり、いよいよ抑え込まれていた狂気がいつ溢れ出すのか。一冊目から、暗黒館の世界に取り込まれて魅入られてしまっている。
記憶喪失と過去からの呼びかけ、(フォント違い)が意味するもの、間奏曲で転々とする視点、過去の館シリーズから引き継がれる幻視画・絡繰時計、ダリアの願い・浦登家の悲願、謎の肉…
一冊目だけでこんなにも壮大に広げられた大風呂敷がどのように畳まれていくのか。すでに宴は始まった。この宴の始末を最後まで見届けるのが待ち遠しい。
早く二冊目を読み始めることにしよう。
関係ないかもしれないが、浦登(うらど)のモチーフはヴァンパイアのヴラド3世から来ているのか?陽の光を嫌うところからも吸血鬼っぽい感じが。当たっていたら嬉しいな。 -
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ネタバレまさに4巻中の前巻を起承転結の起だとするなら今作は承にあたる巻だったと思う。
ようやく暗黒館の"殺人"の部分が見えてきて、島の船が使えなくなったり、橋が壊れていたり、電話が使えなくなったり、テレビが見えなかったり……と色々と暗黒館を外界から遮断していく展開はまさにクローズドサークル。(元から外界とは縁がないけど)
やっと殺人も起き、いい具合に謎が提示されていくことから前巻とはまた別の意味で面白くなってきたと感じた。
相変わらず他館のオマージュを入れつつ、河南くんは一向に調子が良くならないところはムズムズするところではある。早くいつもの調子を取り戻して欲しい……。
美鳥と美魚は相変わらず好きですねぇ、これは揺るぎません。
玄児は記憶がなくなってしまった原因につながる話がされたり、ダリアの宴の時の様子からちょっと怖い存在に見えてきた。
中也くんは宴の影響もあり調子悪いですね。でも伊佐夫との会話ではちょくちょく彼のこと心で舐めてるのは笑いました。
次は転の巻になるんですかね。楽しみです!!ちなみに暗黒館一の分厚さ(泣)
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解けたと思ったらそのときに、すでに私は迷路に迷い込んでいる
館シリーズを少しずつ読み始めて今回は迷路館の殺人。話の舞台としては集められた人々が遺産を巡って競う、その中で殺人が起きといったよくある展開。その中で館シリーズらしさとして、舞台設定と筆者の描写力、そしてクライマックスへの持っていき方という三点が素晴らしかった。
舞台設定としては「私たちは今館シリーズを読んでいる」という前提のもと、不思議な仕掛けが館に仕掛けられているといったところはもはやフェアな構造なのではないかとも思う。読んでいく中で今作品の仕掛けはどこにあるのだろうと読み進め、仕掛けに出会った時の驚きや「それはありなのか?まあ館シリーズだし、いいか」といった感情が巡る。
だがそこで大切なのはマジックショーのような大掛かりな仕掛けという森の中で、筆者による種まきがなされ、その芽吹きが伏線となり、知らぬところで花を咲かせている。これはミスディレクションとも言えるのではないかといったように大掛かりな仕掛けに対して、本格的な筆の力による綿密な論理構成がなされているのだと思った。
さらにどんでん返しとしてのクライマックス。確かに色々な描写を見ていくと、小さな描写や伏線を無視した綺麗な形のクライマックスが良さそうにも見えつつ、それが筆者のもたらす巧妙な迷路だということが最終的にもたらされる。文章構成や描写により読み手の頭の中にできた迷路館の殺人の世界観がガラッと壊されるのは読み手のカタルシスを生んでくれる。
まだまだ館シリーズは読み進めていないがすでに絢辻館の虜にもなりつつある。これは私もまたこの良き迷路の中での日々を楽しみ始めたのかもしれない。 -
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ネタバレ2巻へ突入。元々はノベルス版の上下巻だったことを考えると、1、2巻の間で区切られているわけではないのだなと思いつつ読み進める。合間に差し込まれる「間奏曲」のモノローグは、誰の視点なのか。後半で中也が問題点を整理してくれる展開は、読者として非常に助かる。同時に、列挙した謎をこれから論理的にきれいに解決してみせますよという、綾辻さんの決意も感じた。また、犯行現場の図面も理解の大きな助けになる。不謹慎な言い方にはなるが、1巻で犠牲になった蛭山は使用人であり、いわば部外者だった。しかし二人目の犠牲者が出たことで、ついに浦登家の血族にまで手が及び、物語が一気に盛り上がってきた。