綾辻行人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語の核心へと近づくスリルを存分に味わいました。一巻での蛭山殺しについてのみならず、『暗黒館』そのものに対する新たな謎にを翻弄され続けました。張り巡らされている緻密な伏線が、この後どのように回収されるのか楽しみでなりません。
二巻の特徴として、登場人物たちの深掘りと、『館』へのイメージが主人公の視点を通じて、より鮮明に描かれた点だと感じました。暗黒館がただの舞台ではなく、それ自身の歴史を持つ暗黒館そのものが物語の「もう一人の主役」であると感じられます。終盤では新たな殺人も起こり、そしてその殺人に対する吟味は次巻に持ち越されています。心地よく騙されるであろうその期待感が、次の巻へと駆り立てる原 -
Posted by ブクログ
三作品とも「狂った」人間の話だが、狂った中にもロジックがあり、伏線の回収など丁寧なプロットで作品が成立している。
どれも短編とは思えない満足感で、個人的に短編集の中では最高レベルのクオリティと感じた。
「悪魔の手 -三一三号室の患者-」 ★★★★★
何が妄想で何が真実なのか、何も信じられない80ページ。
スピード感、緊張感、そして80ページとは思えない重量感がどれも見事。
「四〇九号室の患者」 ★★★★☆
患者が、己が誰なのかを推理していく過程が丁寧で、読者も共に考えながら読み進めやすい良作品。
「フリークス -五六四号室の患者-」 ★★★☆☆
こんな話短編で収まるか?というようなストー -
Posted by ブクログ
ネタバレ四巻はほぼ解決編でした。
18年前の事件の真相から、今回の事件の犯人と”視点“の正体が一気に明瞭化されるエクスタシー。ここにミステリーの醍醐味を感じた。
柳士郎氏の玄児への気持ちが憎悪からなかなか抜け出せない描写と、自身の独白がとても悲しかった。”カンナの面影が色濃く表れたから“の一点のみ、玄児への気持ちが和らいだ変化だったようで。でも結局それもダリアの黒き夢に魅了された一人だからで…。
頁253の「分らないのか。分ってくれないのか」の言葉には短くとも父性が感じられた。
江南青年が漸く声が出せたのが柳士郎氏の威圧感によるものというのも感慨深い。
市朗と慎太の二人と、玄児と忠教の二人が、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ94点。
初めての綾辻行人。
筆力がすごいと思った。さすがだなあ。頭が良いんだろうなって感じられる。
これくらいの長さの小説を読んだのは久しぶりな気がしたけれど、あっという間に読み終わってしまった感覚になった。実際には時間がなくて少しずつ読むことになっていたから読み始めからは1週間経っているのだけれど、それを感じさせないような勢いだった。続きが気になって止まらなかった。屋敷の見取り図があって構造上のトリックがあると思ったけどそれはなくて少し拍子抜けだった。3階の存在や6人目の屋敷の人間も驚きや納得感が少なかったからそこもまた拍子抜けはした。
本筋のトリックや動機も、度肝を抜かれるものがあるか