綾辻行人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻で積み重ねられてきた違和感が、下巻に入って少しずつ形を持ち始める。
真犯人については、途中で凡そ目星がつく。
けれど、問題はそこではなかった。
「誰が」ではなく、「どうやって」。
その問いの答えが見えたとき、思わず唸り声が出た。
壮大で、狂気じみていて、それでいて作品の中ではきちんと成立している。
しかも、その仕掛けを隠しきろうとするのではなく、必要な情報はかなり早い段階からこちらに示されている。
読み返してみると、あれもこれも伏線だったのかと気づかされる。
実にフェアである。
だからこそ、「騙された」というより、「ここまで見せてもらっていたのに気づけなかった」という悔しさと爽快さが残った。
そして、この作品を読み終えた後に改めて考えたのが、「時間」というものは何によって決まるのか、ということだった。
時計が示すもの。
人が感じるもの。
皆が同じだと思い込んでいるもの。
その当たり前の感覚そのものを、ここまで大きな仕掛けに組み込んでしまうことに驚かされた。
館の内側と外側を追っていく構成も、最後まで読むとさらに意味を持って見えてくる。
真犯人そのものよりも、「どうやって」をここまで強烈に成立させる。
その発想と、それを支える緻密な叙述にただただ圧倒された。
面白すぎた。 -
Posted by ブクログ
館の内側と外側、それぞれの視点を追いながら進んでいく構成は、『十角館の殺人』を思い出させるものがあった。
閉ざされた時計館の中では、不可解な出来事が続き、犠牲者が一人、また一人と増えていく。一方、館の外でも別の人物たちが動き、それぞれの側から少しずつ事件の輪郭に近づいていく。
けれど、上巻を読み終えた段階では、まだ全貌はほとんど見えない。
誰が、何のために、どうやって。
分からないことばかりが積み上がっていくのに、犠牲者だけは確実に増えていく。その不均衡がなんとも不気味だった。
登場人物の中には怪しく見える者もいるし、犯人についても何となく目星がつきそうになる。けれど、それだけでは説明できない違和感が残る。
そして、何より上巻の終わり方が不穏だった。
ここまで来ても、まだ事件の底が見えない。
むしろ、ここからさらに深いところへ連れていかれるのではないかと思わされる。
館そのものが何かを隠しているような感覚を残したまま、下巻へ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かった。
小説の中で島田が小説を読んでいるという構造。
その小説の中で起こる殺された作家たちが書いた小説を準えた連続殺人。
『迷路館の殺人』の犯人は誰なのか。
そして、『迷路館の殺人』の作者鹿谷門実は誰なのか。
色々な次元が入れ子構造になっていて複雑なように見えるけど、読んでいくとちゃんと明確に謎が解けてきて最後はとても読んでいてすっきりする。
今回は館のからくりをふんだんに使って犯行を行っていて、ミステリーのトリックとしては微妙なのかもしれないけれど、それが今までの館シリーズで中村青司のからくり癖がよく作中に活きていて自分はワクワクした。
しかも、この物語の肝はそこではなく、犯人は宮垣、と思わせての、鮫島という点。
鮫島はずっと男性と思わされていたが実は女性だったという点。
最初に鹿谷門実から送られてきた本を読み始めた"島田"は島田潔ではなく、その兄島田勉だったという点。
そして、鹿谷門実は島田潔だったという点。
もう全てが予想外で本当に綺麗に騙された。
本当に綺麗な叙述トリックだったなと思う。
キャラはそこまですごく魅力的かと言われたら十角館ほどは魅力的でなかったけれど、宇多山という編集者視点固定で語られるのはとてもわかりやすくて良かった。
犯人の意外性、そして冒頭にあとがきがあるという物語の構造のワクワク感、実際に事件が起こる時系列で物語が進んでいく臨場感がとてもよかった。
十角館よりも満足感が高かったので5をつけた。 -
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館シリーズ5作目。
大変面白かったです。
ランキングの上位に入っていたけど、これを読むために水車館、迷路館、人形館と読み進めてきて、無事今年中にたどり着くことができた。
(迷路館は読んでてよかった。)
面白かったとかそういうレベルの感想で良いのか、とにかくすごかった。
多分こうなんじゃないかな?という部分もあるものの、論理を組み立ててそこに辿り着くことはできず、読み返してみると、確かに確実な伏線が張り巡らされてもいて、思わず声が出る。
どうやったらこんな館(の小説)が構築できるのか。
十角館とは別の意味で映像化が難しそうなので、Huluで配信されているドラマも後日観てみたいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作と同じように、まさしく起承転結の転にあたる巻で、ついに明かされていく暗黒館と浦登家の歴史……まさかの不死性を信じてやまない光よりも闇を愛するダリア信仰が浦登家にはあることが判明しましたね。
しかも、宴の肉はダリアの血肉であったという……カニバリズムものの中でも結構グロい展開……裏しかないとは思ってたけど、なかなか気持ち悪い風習をもつ一族だったことを知り、ちょっとだけ玄児と双子姉妹に嫌悪感を覚えた。
あと玄遙はちょっと酷いかも、ほんとに別に好きでもなかったけど気持ち悪すぎて存在悪としか思えない。どんな経緯があってもやってること酷すぎる。卓蔵が可哀想。
そして事件の方は、蛭山の事件とは全く真逆の状況の事件であったことが最高にミステリー。ほんとに誰が犯人か全くわかんない(この状況で犯人わかった人いるんですかね)
ともかく、今回の話では事件らしい事件は起こらなかったけど、双子姉妹にとんでもない事態が発生……またしても地震、この地震も何かあるんですかね。でも外科手術したあとがあるって描写もあったからこれも裏がありそう。早く続きを読みたくなるような話の引き方はさすがとしか言いようがない……ほんとに気になる終わり方。
若干のボーイズラブ感漂うのはなんとも言えないけど、とにかく次で最後!!
ようやく決着がつくのでしょうか。まだ迷走してる河南くんが不安ではありますけど、四館行きます!! -
Posted by ブクログ
綾辻行人さん著者、『迷路館の殺人』。
『十角館の殺人』『水車館の殺人』に続く「館シリーズ」第三作。地下の迷宮を舞台にした連続殺人と、作中作を取り入れたミステリー作品。
【あらすじ】
複雑な迷路を内部に抱える地下の館「迷路館」に、4人の推理作家が招かれる。彼らは多額の賞金を懸け、この館を舞台とした推理小説の競作を始めることになる。
しかし、小説を書き始めた直後、館の中で現実の殺人事件が発生する。外部との連絡が困難な地下の館は密室と化し、さらに見立て殺人を思わせる不可解な事件が続いていく。
作中で描かれる事件と、その事件をもとに書かれた小説。作中作という構成の中で、迷路館で起きた連続殺人の真相が明らかになっていく本格ミステリー。
【感想】
作中作という設定そのものが、「この物語には、事実とは異なる情報や嘘が紛れているのではないか」という疑心を抱かせる。そうした疑いを持ちながら読み進めていたにもかかわらず、後半で明らかになる真相によって、さらに認識を覆されていく構成に唸らされた。
特に印象に残ったのは、叙述ミステリーとしての仕掛けが幾重にも張り巡らされている点である。一つの真相が明らかになったと思えば、そこからさらに別の事実が浮かび上がり、後半の真相解明では何度も驚かされた。
事件のトリックについては、読みながらある程度の考察が当たり、宣伝文句にある「それでも読者は騙される!?」という言葉も、大げさなものだと思っていたのだが、最後の展開で見事にその言葉通りに嵌められてしまった。驚きの瞬間だけでなく、その余韻まで含めて読書体験そのものの面白さを味わえる作品。
また、事件の真相には「館シリーズ」ならではの館のギミックが組み込まれており、単に犯人や動機を明らかにするだけでは終わらず、迷路館という舞台そのものが事件の謎と結びつくことで、多面的に事件を楽しめる点も本作の魅力の一つだと感じた。
作中作、叙述トリック、館のギミックを幾重にも組み合わせ、読者が「真相を見抜いた」と思ったところから、さらに認識を覆してくる本格ミステリー。まさに、「それでも読者は騙される!?」という言葉が魅力的に思える作品としておすすめしたい。