94点。
初めての綾辻行人。
筆力がすごいと思った。さすがだなあ。頭が良いんだろうなって感じられる。
これくらいの長さの小説を読んだのは久しぶりな気がしたけれど、あっという間に読み終わってしまった感覚になった。実際には時間がなくて少しずつ読むことになっていたから読み始めからは1週間経っているのだけれど、それを感じさせないような勢いだった。続きが気になって止まらなかった。屋敷の見取り図があって構造上のトリックがあると思ったけどそれはなくて少し拍子抜けだった。3階の存在や6人目の屋敷の人間も驚きや納得感が少なかったからそこもまた拍子抜けはした。
本筋のトリックや動機も、度肝を抜かれるものがあるかと思ったら意外と地味なものだった。初めての綾辻作品だから少し期待しすぎたかも?そうは言ったものの、ミステリとしてはかなり上澄みの作品だったと思う。論理的で、破綻がない。ちゃんと緻密に作られているんだなという印象だった。一方で、屋敷に起こる現象が本当に屋敷そのものの性質でびっくりした。そこは現実離れしてるんだ、、って。それこそ最初の偶然から、犯人が便乗して作り上げているのかと思っていたから。名前の暗号も、何回か誘導されていたけど分からなかったなあ。年齢順か。頑張ればたどり着けたよなあって少し悔しい。悔しいけど、そんなことある?!って感じだったね。
『雨』の見立てが2番以降雑だったのは疑問に思ったし、ということは別の人間がやったのでは、とも思ったけど真相まではたどり着けなかった。残念。アリバイをどう崩すか、の視点がまだ足りてなかった。自分はまだまだミステリ初心者で経験が浅いから、この先もたくさん読んでもう少し推理を頑張りたい。
本当に偶然性や超常現象が中心であったことを除けばかなり好きな作品です。
とは書いたものの、巻末のインタビューを読んで、たしかにミステリと幻想の融合に成功した作品なんだと感じた。時代背景を考えればたしかに。槍中が見立て殺人に介入した理由を現実的な理由に落とし込んで欲しかった気持ちも少しある。幻想としたのは逃げだったとも思う部分は少なからずあるけど、だからと言ってこの世界観にしたことについては文句がない。魅力的な雰囲気が生まれていてとても引き込まれた。
振り返ってみればみるほど良い作品だったと思える小説でした。