あらすじ
脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したというすさまじい恐怖の記憶だけだった。死に瀕した彼女を今なお苦しめる、「最後の記憶」の正体とは?
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病に侵され急激に認知機能を失いつつある母の、最後の記憶の源を探し出す旅。
綾辻行人さんを初めて読んだ。
虚実のあわい、という言葉がすっとよぎるほど境目のない空間を旅できる。
どちらの世界も、つい次の行を追ってしまい慌てて戻るくらいに面白かった。
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全体を通して幻想的、と思いきや、現実的。なんて思いきや、やっぱり違う。全く予想もつかない記憶の正体とラストに寒気を感じた。繊細に揺れ動く描写がどこまでも美しい、心ゆくまでこれでもか!とくどい程に人間の心理を味わえる作品でした。
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ねえ君。生きているのは楽しいかい。そんなフレーズが何度も何度も繰り返し出てくるこの作品。読んでいる途中から主人公の母親の恐怖を作り出した者が誰であるのか察しはついたが、「バッタの飛ぶ音」が何であるのか、その正体だけが最後まで読むまで分からなかった。個人的には好きな話で、良かったと思う。
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館シリーズよりも囁きシリーズの方が好きだったのに本作を読んでなかった事に、今頃気がついて慌てて読んだ。
死への恐怖に加え、記憶が無くなる恐怖とは、想像しがたい程の耐えられなさだと思う。
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脳の病を患いほとんどの記憶を失いつつある母に秘められた『凄まじい恐怖の記憶』の正体を探っていく怪奇幻想小説で、突然の白い閃光やショウリョウバッタの飛ぶ音、大勢の子供達の悲鳴を紐解いていく話が『Another』に通ずるものがあって面白かった。
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15年ほど積読だった本書をやっと読んだ。巻末の解説ではジャンルにとらわれない読み方について書かれていたが、私としては、きっちり収めるところに収めてくれる方が好きだ。唯とのバディで最後まで行ってほしかった。
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母を蝕む奇病「白髪痴呆」それは母の記憶を奪い去る。彼女の幼い頃の恐怖の体験、白い閃光、ショウリョウバッタの飛ぶ音、子供達の悲鳴、脳裏に残る「最後の記憶」が母を苦しめる。森吾はこの奇病が遺伝するのではと怯えるが幼なじみの唯の助けで「最後の記憶」の謎を探り始める。
現実世界から異世界へ母と森吾の記憶が哀愁と恐怖を呼ぶ。
伏線の回収は巻末の引用文献にまで及ぶ、「白髪痴呆と日本の昔話」白毛社、あの有名な日本昔話だ。
「眼球奇譚」の咲谷由伊の名が登場する。
ノスタルジック・ファンタジー・ホラー。
★★★★✩ 4.0
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特殊な認知症になった母親は、近い記憶からどんどん記憶を失っていきます。
最後に残るのは子供のときの強い記憶で、幼少期に母は恐ろしい体験をしていたため、徐々に恐怖の記憶のみを思い出すようになっていきます。
母の病気が遺伝性ではないか、つまり自分も発症するのではないか、と異常に怯える息子は、母の幼少期の謎を解明するため、母の過去を辿り始めます。
わりとオチは途中から察しがついてしまいますが、主人公の妄想なのか現実なのかわからなくなっていく、狂気の狭間の描き方は作者ならではで非常に上手いです。
母親の本名が別作品の謎の女性とリンクしているのも気になりました。
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主人公波多野森吾の母千鶴は白髪痴呆という特殊な痴呆症によって徐々に記憶を無くしつつあった。
そんな千鶴に最後まで残った記憶-それは幼少時代に体験した恐怖だった。
バッタの飛ぶ音、突然の閃光、顔のない黒い殺戮者
森吾は幼なじみの唯とともに母の過去を探りだす。そして訪れた出生の地、迷いこんだその"場所"で彼は遂に真実にたどり着く。
*************
心がざわつくようなホラー。
森吾が別の"場所"で真実を悟る過程が特に怖い。じわじわと追い詰められる逼迫感、異様な情景と子ども達のリアルな描写が想像力を掻き立てて更に恐怖は増していく。思わず一気読みしてしまう作品だった。
それにしても、
『生きているのは楽しいかい?』
随所に散りばめられたその問に迷いなく答えられる人はどれ程いるだろう…
子どもだけじゃなく大人こそがあの"場所"を求めてるんじゃないか、ふとそんな気がした。
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カテゴリーは一応ミステリーとしたが、ミステリーでもあり、ホラーでもあり、サイコサスペンス、幻想小説、SF・・・どのジャンルとも言えるけど、どのジャンルにもピタッとハマらない内容。
「囁きシリーズ」に近いタッチだけど、そこまでホラーじゃないですね。
特殊な痴呆病に冒された母親の唯一消せない恐怖の記憶が何なのかをたどる過程を描いた作品なのだが、妙に鬱気味な主人公はエヴァのシンジ君を連想させる。
勝手な予想だが、若い人は本作を楽しめないんじゃないだろうかと思う。僕自身も今の歳に読んだのが幸いだったように思う。
ストーリー自体は単純な造りだが、読みごたえは十分。
嵐の山荘や孤島での密室殺人事件も面白いが、こういう綾辻さんの作品がもっと評価されても良いんじゃないかなと思う。
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ほぼ表紙だけで選んだ綾辻さんの本。
内容は…結構難しい本でした(๛д๛)
「白髪痴呆<箕浦マレート症候群>」という脳疾患を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母。
彼女の心に残されたのは、幼いころに経験したという「凄まじい恐怖の記憶」だけだった。
突然の白い閃光・ショウリョウバッタの飛ぶ音・大勢の子供たちの悲鳴―――。
何が難しかったかというと、状況描写というか…細かい情景がはっきりと想像できないシーンがいくつか。。
けど、基本的に、サイコサスペンスとか、多重人格とかそういうのは結構好きなので、内容自体はかなり好きです(●'ω'●)
ちょっと底暗い小説。
話の結論が最後のほうまで分からないまま進み、ラストにパッと全部がつながる。
そんな小説。おもしろかったー。
※「白髪痴呆<箕浦マレート症候群>」は実在しない病名です。
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初の綾辻作品…だと思う。若年性アルツハイマーを患った母の、恐ろしい記憶を辿る物語…なんだけど、前半は精神的な問題もあって、主人公のモタモタする感じがあまり楽しくない。中盤あたりから幼馴染が尻を叩いてくれたから謎解きも進んでいくものの、ホラーというよりかはファンタジー的なオチで終わってしまったのが何とも言えない感じだった。色々引っ張った結果がこれなのがちょっと残念。文章は読みやすくてとても良かったので、他の作品を読んでみたい。
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綾辻さんは「十角館の殺人」しか読んだことなかった。それとはまた趣の違う作品。
後半が結構夢かうつつか、みたいな感じになるので前半の方が好きだったかな。
病気のこととか詳しく出てきて。理系脳の主人公ほどじゃないと思うけど、科学的に説明がつく方が安心はする。
オチ?はなるほど面白いとは思ったけど、現実的に考えてしまうとハテナも残るので、、。
解説が結構自分には刺さったかも。
何せ自分も本や映画をジャンル分けして楽しんじゃうようなところがあるので…。
この作品も期待してたものと少し違ったので拍子抜けしてしまったというのが本音。
中盤のパートの、柳の家や咲谷の家で過去を探っていくところが特に面白かったかな。
「愚行録」や「傲慢と善良」でも思ったけど、本人不在でその人のことが少しずつわかっていくのが面白い。よりリアルな姿が浮き出てくると思う。
ただ、これも小説のジャンルこそバラバラなだけで、パターンに当てはめているという点では上に書いたようなことと変わらないのかも…。
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主人公は仮に母親と同じ病を患ったとして、最後の記憶は将来の道を決めるきっかけとなった思い出が残ることを望んでいた。しかし一読者としては、母親と同じく、ただし自身が加害者側としての凄惨な記憶が居座り続け悶え苦しむ様を予期してしまった。
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ミステリー要素の入った幻想系のホラーっぽいお話。といっても、大して怖いわけではない。
母親が痴呆になった家族性遺伝の恐怖に怯える主人公が、そのルーツをたどる、という点と、痴呆では昔の、印象に強い事柄が最後に残るわけだけれども、それはなんなのか、という二輪で進むストーリー。
他の綾辻作品とは決着の色がかなり異なり、こういうのも書くんだな、という印象を持ったのが正直な所。綾辻作品だけで見れば、館シリーズ等のほうが良いと思う。
Posted by ブクログ
「蓑浦=レマート症候群(白髪痴呆)」を患ってしまった母。自分にも遺伝している可能性がある為、日々追い込まれてゆく主人公、森吾。
近所で起きた殺人事件と、母の幼少時に起きた大量殺人、母が怖がる腕の傷、閃光、ショウリョウバッタの音。
過去と現在に起きている事件の関係と、母の出生の秘密が鍵を握っているサスペンスです。
「記憶が失われてゆく」ことが題材で、新しい記憶から徐々に失われてゆくが、特に強い記憶が「最後の記憶」となる。
記憶がなくなるということは「死」と同義ではないかと思います。
最後の記憶が楽しいものであればまだよいのですが、怖いのは、嫌ですね。
いなくなってしまった者の世界が、過去も現在も未来もない現実逃避の世界という表現をされていました。
その世界に逃げ込めば、恐怖を感じる事も我慢することもなく、生きているより居心地がいい。
現実世界にから「いなくなっちゃえばいいんだよ」と何度も声をかけられる森吾。
失踪してゆく子供達が自らそこに迷い込んだのか、誘拐されてしまったのか、曖昧な表現で読み取る事が困難でした。
唯は結局、森吾のことをどう思っていたのかも。
フワフワした現実味のない表現が印象的な綾辻行人がとても好きですが、ラストに解明される謎のインパクトが弱かったかなという気がします。
ラスト、なんだか急に主人公の性格が変わってしまったようにも思えました。
個人的にですが、2020年に入って記念すべき100冊目の本です。
目標が今年100冊超えでしたので。
大好きな綾辻行人の小説をと思ってこの本を手に取りました。
本を読んでいると、部屋にいるのに頭の中が旅をしているようで、没頭している間は違う自分になっている気がして気持ちがいいです。
就寝前に読むと夢にも見ますので、ホラーやミステリー漬けの私には寝覚めがキツくなる事もしばしば。
読みたい本がどんどん増えていき、以前より読むようになり、集中力が上がったようにも感じます。感じてると思っているだけかもですが。
映画も大好きなのですが、原作の方が感情が分かるので気持ちが入っていきやすいし、情景の描写の美しい表現が身に染み込んでくるかのようです。
脳内でのイメージが自由なのも、読書の魅力です。
誰かと好みのジャンルが一緒だったり、感想を読んで共感できたりするととても嬉しくて、生きてるのもいいかなって思えてきます。いつも生きててもいいなを探しています。たくさんは容量オーバーなので、いくつか。
現在の、嘘偽りない気持ちです。
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終盤近くになるまでホラー小説だという意識はまったくなかった。
精神的な迷路に入り込んでしまった男・波多野森吾の内面の葛藤を描いた物語だと思っていた。
精神に異常をきたした母親・千鶴。
医師から遺伝性の怖れがあると聞かされた森吾は、自分の未来を思い衝撃を受ける。
雷やバッタの羽音に激しく反応する母。
「ゆい」という名前への狂ったような拒絶。
すべてがわずらわしく、母の元から足は遠のくばかりだった。
幼なじみのゆいの強い勧めもあって、森吾はようやく母の過去を調べるために動きだす。
母は養女で実の親は別にいることがわかり、母の生家へ向かってはみたが・・・。
記憶が徐々に欠落していってしまう。
忘れていく本人に恐怖はないだろうが、周囲で見守る人たちにとっては辛い出来事だろう。
まして最後まで残った記憶が「恐怖の色」に染めつくされていたとしたら、悲惨以外のなにものでもない。
年老いてまでそんなものに苦しめられたくないだろう。
すべての謎が解けたとき、一番救われたのは森吾だったはずだ。
しかし、登場人物の相関図があったらやけに「義」のつく関係ばかりで、裏の裏の真実までは気づかなかった。
結末のホラー場面よりも、森吾が悩みながら底なし沼に落ちていくような精神状態の描写のほうがはるかに怖かった。
ちょっと欝になりそうな内容で、実は早々に挫けそうになった物語でもある。
Posted by ブクログ
館シリーズとは全く違うファンタジー感が強い作品。
館シリーズと同じ期待感を持って読むと失敗するかも。
文章の心地良さは綾辻先生そのものなのだが、
展開のスピード感が何となく前半はずいぶんモタモタしていたような気がした。
後半、バイクに跨ってからのスピードは速かったが(笑)
Posted by ブクログ
※ネタバレあり。
囁きシリーズに近い雰囲気を持つ作品です。
突如異世界に舞台が移り、さらにそこが物語の要となってあっという間にラストまで駆け抜けていくので若干ついていけないところはあったのですが…母親の記憶の謎や出自が明かされたところはスッキリしました。
やっぱり私は館シリーズが一番好きです。
Posted by ブクログ
美しく優しかった母が40代という若さで病気なり、過去の記憶が彼女を苦しめていく。その病気にいずれ自分もかかるのだろうか。遺伝、家系...それらに翻弄され悩み苦しみながらも母の最後の記憶を森吾は追っていく。
Posted by ブクログ
主人公・森吾の母親は認知症(白髪痴呆)を患ってしまい、その病気が
遺伝的要素が強いことを知る。
母が元気な時から恐れていたショウリョウバッタの羽音、稲光、顔のない者や自分の幼い頃の記憶にあるキツネ面を付けた何者かなどの謎を解明していく。
母親の母親、自分の実の祖母は母親と同じ病気になったのかを
調べる事を決意し母親の出自を調べる事になる。
そして冥界か幻想か解らない世界へと入っていく。
そして謎が解明していき、最後に母親の出自がドンデン返しのような
感じで描かれている。
解決というかこの結末へと導かれる過程はほとんどホラーというか
ファンタジーという形で現実的ではないのだが、帳尻は現実に則した
形で迎えられていると思う。
Posted by ブクログ
「館」から綾辻作品に入った人には総じて不評のようだが、むしろ「囁き」シリーズとかの方が本領だと思っているので個人的には「期待通り」だった(ただし「期待以上」ではない)。ちょっと異常な展開に対して倫理的に好悪が分かれると思われる。
Posted by ブクログ
楽しめました。
でもわたし的には『Another』の方が好きです。
白髪痴呆症という奇病に侵された母と、
その遺伝子を自分が持っているんじゃないかと戦慄する主人公の話。
ミステリとして読めば、面白いと思います。
Posted by ブクログ
囁きシリーズを彷彿とさせる。やはり館シリーズが大好きな自分としてはあまり好みではないかなぁ。途中で謎の答えも予想つくし。
文庫版あとがきにある「不条理ホラー」(みたいなアイデアがあったって記載)ってもしかしてこのあと書かれたanotherなのかなってちょっと思った。
Posted by ブクログ
2007/6/25ジュンク堂住吉シーア店で購入。
2014/4/22〜4/26
7年ものの積読本で約2年ぶりの綾辻作品。サイコホラー系であったが、若干作品世界に入り込めなかった。解説の千野帽子さんが書かれている謎、結局わからなかった。何なんだろうか。