谷川俊太郎のレビュー一覧
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本書は、詩人・谷川俊太郎氏が茨木のり子の膨大な作品群から精選して編んだ一冊である。
彼女の作品には、昭和という時代を凛として生き抜いた「すがすがしい格好良さ」が満ちている。鋭利で歯切れの良い言葉もあれば、静謐で素直な言葉もあり、それらが真っ直ぐに心に染みてくる。
私は、彼女の詩には「経験」が深く染み込んでいると感じた。だからこそ、今の自分に強く響く一篇もあれば、まだ遠く感じられる作品もある。
きっと私自身の経験が重なり、茨木さんの歩みに近づいたとき、これまでとは違う響きで届く言葉があるのだろう。その日を楽しみに、これからも折に触れてページをめくっていきたい。 -
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“戦後日本を代表する”といっていい2人の詩人(大岡信、谷川俊太郎 ともに当時40代)による“対話”。1975年の2月から3月にかけて、3回行われた対話を活字にしたもの。
コップについて書いた二人の詩を比べるくだり(p.115~128)は面白い。“きちんと物が見えるように書く”のが谷川の詩、“はじめは物を見ているように書きだしても、決して物自体には到達しない”のが大岡の詩。
そして、その前にあるくだり(p.105~108)。外国詩の翻訳・輸入における失敗(“日本語ではとうてい詩として成立しないようなものをそのまま日本語にして、これが詩ですといった傾きがある”(p.105)や、マザー・グースの -
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命の根源から響く「ありがとう」の連鎖
作品名:『ありがとう』
文:谷川 俊太郎
絵:いがらし みちこ
出版社:講談社
初版発行日:2005年9月27日
【レビュー本文】
日本を代表する詩人・谷川俊太郎さんのシンプルながらも奥深い言葉に、いがらしみちこさんの繊細で温かみのある絵が寄り添う、心に深く染み入る一冊です。
物語は空、地、海、そして自分自身へと「ありがとう」が次々に連鎖していきます。単なる日常の挨拶としての言葉ではなく、自分を取り巻く万物が互いに響き合い、私たちがこの世界に生かされていることそのものを祝福するような、深い肯定感に満ちています。
対象年齢は3歳・4歳からとなっていますが、大 -
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ユング心理学者・河合隼雄と詩人・谷川俊太郎の対談。どちらもその道の第一人者だけあり、非常に高い次元の会話がなされている様子。何のことやらと思いながらただページを捲るだけでもそれなりに楽しい。
一方で、肝心のユング心理学についての「講義」は禅問答のようでさっぱり。
カウンセリングの実際についてかなり詳しく述べていたが、分析家は何もしないのが一番いいとか極力意見を述べないようにするとかで、結局何をする仕事なのかちっとも分からなかった。
万事こんな具合で、読む前よりも余計に分からなくなったような気すらするわけだが、不思議なことにこの本を読んでからというもの、朝起きてその日に見た夢を覚えているよう -
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ネタバレ「行き先は未定です」と聞いたとき、どんな気持ちでしょうか?期待か、それとも、少し不安になるでしょうか。言葉の受け取り方は、そのときの心の状態や、未来に対する考え方によって変わりますが、未来を「可能性」として捉えたとき、「未定」は自由で希望に満ちた言葉になります。でも、先が見えないことに不安を感じやすいときには、「未定」は落ち着かない、心細い状態を表すものにもなります。「未定」という言葉が希望にも不安にもなるのは、読み手自身の「心の地図」が関係していると思います。
谷川俊太郎さんの作品はやさしさと同時に、どこか「しんどさ」を感じることがあります。偉大な詩人であると分かってはいますが、同時に苦手な -
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BSテレ東の「あの本、読みました?」の中で、谷川俊太郎さんの特集が取り上げられているのを見て、本作を手に取った。
本作の中で、谷川さんの語る、中島さんの楽曲「うらみ・ます」への考察はとても興味深い。この曲を聴いたことのある人ならば、谷川さんと一緒にその深みへと嵌ってしまう感覚になるだろう。
中島さんの詞と、谷川さんの詩を、交互に声に出して読んでみると実に気持ちがいい。言葉のもつ力が直接身体に伝わってくる。中島さんの方はメロディが浮かんでくるものがあるのは当然だが、谷川さんの方もなんだか歌のように聴こえてくるから不思議だ。
二人の42年前の対談では、お互いに独特な世界観を持っているからか、