高橋源一郎のレビュー一覧
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2015年4月27日~2019年12月22日に朝日新聞に掲載された「人生相談」から抜粋、加筆、再編集したもの。
なんか高橋源一郎と人生相談ってあまり結びつかなかったけど、読んでみると意外に面白い。
相談する人は必死なのだろうから「面白い」なんて表現は失礼かもしれないけれど。
時にユーモラスに、時に辛辣に相談にのっている
「あらあら、ここまで書いちゃったらケンカになるんじゃない?」と思わせるような厳しい言葉も随所に現れてきて、著者自身「真剣に相談にのった」とあるように、その真剣さが伝わってくる。
まぁ、人様の相談事なのだから、野次馬的に読み進めればいいのだけれど、時として「ああ、僕に言われている -
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二十年、インテリ源ちゃんこと、高橋センセイは、論語に向き合ってきた。
その成果が本書だとのこと。
過去の注釈類を踏まえつつ、現代人に通じる表現に訳したのが本書だ。
例えば。こんな具合。
89 子曰く、約を以て之を失う者は鮮し。
「不思議なことに、人間っていうものは絶体絶命ってところまで追い詰められると、意外に失敗しないんですね。冷静になる、っていうより、アドレナリンが出て、脳がフル回転するからじゃないでしょうか。あなたたちも、たまには、そういう境遇になった方がいいのかもしれませんね。フフフッ」
こんな風なので、読み通せる。
というか、論語についていろいろ読んできたけれど、本文を最初から最後 -
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中高生にとって必読の書であるのはもちろん、私たち大人も読んでおくべき1冊。
以下、印象に残ったフレーズを。
「この世に『最低の学校』というのがあるとすれば、それは教員全員が同じ教育理念を信じ、同じ教育方法で、同じ教育目標のために授業をしている学校だと思います(独裁者が支配している国の学校はたぶんそういうものになるでしょう)。でも、そういう学校からは『よきもの』は何も生まれません。これは断言できます。」(p10:内田樹)
「疑うというのは『排除する』とか『無視する』ということとは違います。『頭から信じる』でもなく、『頭から信じない』でもなく、信憑性をとりあえず『かっこに入れて』、ひとつひとつ -
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ネタバレ帯と巻末エッセイで最果タヒが全て代弁してくれているような気もするが
「宇宙の果てには何があるのか?」
「言葉ってなに?」
「自分は本当は存在してないんじゃないか?」
「この世界は全部誰かの見てる夢なのかも」
「パラレルワールドがすぐ近くにある」
「自分と全く同じ記憶を移植された自分のクローンは、自分なのか?」
「小説のキャラクターは、本当に作者が操っているだけなの?」
宇宙から身の周りのことまで、こういう誰もがした覚えのあるような想像が全て詰めこまれている。第二章までの種播き感、小道具のチョイス、文章全てに対して、こんなにワクワクしたの小学校以来では?というくらいワクワクした
「あまのがわの -
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誰が書いていたのか
思い出せないけれど
2001年のアメリカでの同時多発テロ事件の
後では「言葉」と「世界の見方」が
変わったと書いていた文章を思い出していた
まして
髙橋源一郎さんがこの一冊のタイトルになっている
2011年の3/11の時は
この日本という国で起きた出来事
まさしく「非常時のことば」である
この一冊の中で
紹介されていく
石牟礼道子さん
ジャン・ジュネさん
加藤典洋さん
川上弘美さん
内田裕也さん
ナオミ・クラインさん
太宰治さん
山之口獏さん
リンカーンさん
堀江敏幸さん
鶴見俊介さん
まどみちおさん
…
その言葉、文章の数々が
「絶句」してしまった人の心に
波紋が広 -
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「学んで時に之を習う。亦た悦ばしからずや。朋あり、遠方より来る。亦た楽しからずや。人知らずして憤らず。亦た君子ならずや」、「巧言令色には、鮮いかな仁」、「十有五にして額に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず」など有名な言葉はあるが、全体を読んだことがある人は少ないだろう。
高橋源一郎が『論語』に出会うきっかけは、二十年ほど前に世界の古典を色々な人に翻訳してもらおうという企画があり、『聖書』や『コーラン』に並び選択された『論語』の担当として割り当てられたというものだという。その企画は立ち消えになったそうだが、それ以来『論語』についての翻訳作業を続けていたという。
翻訳とはいうものの、かなり -
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中学生、あるいは高校生ぐらいの読者を対象にしているシリーズの一冊。ほかの出版社の、ぼくは気に入っている「よりみちパンセ」のシリーズより少し年上の読者が想定読者か?
内容は、あれこれあるのだけれど、高橋源一郎の、アメリカの大統領だった、オバマの広島訪問演説に対する解説(?)が俊逸、さすが「ゲンちゃん」という内容で、記憶に残った。
内田樹の編集方針も悪くない。学校の先生方も通勤電車で、一つずつお読みになればいいのではないでしょうか。ここで、さまざまに指摘されている社会の変化の中で、教育が、それはあかんやろ、という方向を支えていることに、ギョッとなさるかもしれない。