高橋源一郎のレビュー一覧
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【感想】
非常に示唆に富む本だったと思う。本としては厚いが、文章が読みやすいため、すらすらと読める。様々な本や詩集等から引用がなされ、戦争というものを多角的な視点から見ることができる。戦争とは、こういうものだと広く一般化されている見方だけではなく、他国からの視点、教科書、詩集、大きな言葉ではなく、ぼくらの世界の中の小さな言葉で語られた戦争等多くの立場からの戦争の語られ方があった。
この本で筆者は、こうこう語られてるけど、これはこういう立場で語られていて、こっちはこういう立場で語られているからこっちが正しいと主張しきる訳ではなく、読者に考えさせる、もしくは著者も考えている道中であり、経過なの -
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中村文則さんのエッセイを最近読んだので、その繋がりで読みました。
太宰治の人となりについてはほとんど何も知らないので、読む前の勝手なイメージでは「気難しく人嫌い」な人かと思っていましたが、作品を読むと「ユーモアの感覚もあって、実際に話せばあんがい話好きな人だったんじゃないか」という印象を受けました。
個人的に良かったのは富嶽百景の一場面で、天下茶屋の2階に寄宿している主人公が店の人間とも親しくなってきた頃、店の若い女性店員が1人で客の相手をしている時に、わざわざ1階に降りて隅でお茶を飲みながら遠巻きに見守ってあげているところです。
そんなにあからさまな優しさを出す感じの主人公じゃないんで -
Posted by ブクログ
ネタバレ2022/08/28予約 11
7ヶ月以上待って読む本。
「両親はわたしを信じたのではありません。嘘であるとこも知っていました。けれども、彼らはわたしを追い込みませんでした。彼らは「信じるという決断」をしたのです。誰かを信じるのは、その人が信じられるからではありません。その人を信じたいから、あるいは、信じる決断をしたからだとわたしは思っています。そして、その決断が、いつかその人に通ずると信じたいからです。見返りがなくても、裏切られても。「信じる」ことは「愛する」ことと同じなんですよ」
これを自分の子どもには心がけなければ。
家族は一過性の集合体。
子どもが巣立つときには執着しない。
嫁 -
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翻訳家・柴田元幸さんと作家・高橋源一郎さんの対談本です。
柴田元幸さんの翻訳のお仕事に触れたのは、オースターのニューヨーク三部作とミルハウザーをひとつ、といったくらいです。印象としては、「透明な触媒」としての翻訳、です。翻訳者の癖というか、翻訳者自体の声や匂い色、もっというと人となりって、どうしても翻訳された作品からかすかにではあっても感じられがちだと僕は思っていて。それが柴田さんの翻訳だと、翻訳者は薄いフィルターとしてだけあって、外国人の作者のほうを大きく、そして近く感じるんです。翻訳者の存在が、無色無臭っぽい。
柴田さんは翻訳を、原文が自分の中を通り抜けていく通過時間がゼロに近ければ近 -
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ネタバレナンセンス小説と言えばいいのか。
形容し難い。作者独自の文体と固有名詞の洪水に酔うしかない。
これが、60年代なのか、60年代とは。30年代とは。90年代とは。終末思想。死体。
30年代、60年代、90年大門の30年周期、と考えると、2020年代は終末思想が蔓延するかもしれない、とか思った。テスラ、Twitter、ロシア、温暖化、プラスチック。
オチから逆算すると、なぜ我々は死体が見えないのか、という疑問に突き当たる。死体は本来そこら中に転がっているはずだ。ただ、それは見えないように巧妙に隠されている。もしくは、我々が見えないふりをしているだけだ。死体がなければこれだけの物質は生産されていない -
Posted by ブクログ
世の中で起こっていること、話題の事件などについて、過去の書籍や名言などとの共通点を見出し、解釈するという新たな理解手法。「鬼滅の刃」は「ヘンゼルとグレーテル」、日本の作品で言うなら「安寿と厨子王」、「YOUは何しに日本へ」は、黒船的なことも、日本の良さも外国人からいろいろなことを学ぶという点で「明治のお雇い外国人」。滝沢カレンのネーミング、文章、発言のセンスは谷崎潤一郎によく似ている、などなど。とても面白い。こういう解釈をするためには過去の作品の本質的なことを理解していなければならず、ある種の教養がいる。また、中で紹介される過去の名著など、読んでみたいものがたくさんあって良かった。