高橋源一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「夢」
それはいつも激しいもの 現実を社会を今自分がいる世界を直視することができるなら「夢」もまたその人の中では極めてリアルな質感として感じることができるのだろうか だけれどもそれはとても重くて哀しいものであり 辛くて辛くて皆所々で目をそらしながら生きていく でないとその重いものを絶えず抱えて生きるのはとても大変なことだから この本にはそうした時に意識的にまた無意識のうちに目をそらしていた辛く重く哀しいことがむき出しになって書き表されている 現実社会における救いとは何か 夢はその中でどのようなものとして機能しているのか 賢治さんはイーハトヴを見つけた そこは誰もが心を通わすことのできるとても -
Posted by ブクログ
宮澤賢治の有名な作品たちを題材に生み出された短編集。
死を強く感じさせる作品群。直接的にそう描くものもあったからの印象かもしれないけど。
しかし宮澤賢治のオリジナルに描かれている、どこかぼやけた感じの死に比べれば、強い印象を持たずにはいられなかった。
大半の作品の背景にあるSF的設定や時間・時代・人物の不明瞭さは、結果として読者に寄る辺のなさを与える。それに由来する不安が、「死のにおい」の導入として効果的なように思える。
物語世界への不安は消えず、そのまま突如直面することになる死の恐怖。寂寥感をかみしめるような、落ち着いた自分を保つ余裕はなかった。
作家の作為に操られる面が多い作品であ -
Posted by ブクログ
文壇なんてのは偉そうなふりをしちゃいるが、どーしょーもなく俗っぽい一面もまた併せ持っている。西洋で生まれた文学を日本に移し替えようと悪戦苦闘する明治初期の「文学者」達や漱石を筆頭とする明治の文豪達を、現代の性風俗と明治が混じり合う不思議な世界観で映し出すことで、普通じゃ堅苦しくてつまらない「文学史」が実に面白いものに仕上がった。田山花袋がAV監督になり、石川啄木が援助交際にはまり込む。しまいにゃ最後はブルセラ店の店長で副業とは大爆笑間違いなし。
かといって著者は別に悪意を持ってちゃかしているわけではなく、むしろ若き日には文学青年だった著者の言文一致運動をはじめとする日本近代文学のパイオニ -
-
-
Posted by ブクログ
『さようなら、ギャングたち』を読んだのは、三年前の年末。その時は、何だかわからない衝撃を受けた。それから、著者の作品を何度か読もうとしたけど、続かなかった。
それから源一郎さんとは、疎遠な日々が続いていたが、吉祥寺の古書店で、この本をパラパラとめくっていた時、中上健次がタバコを咥えながら、野球帽をかぶってバットをかまえている写真が見えた。
「源一郎さんらしそうな本やな」と思って読まずに置いておくかもしれないのに、懲りずに買ってしまった。
内容はエッセイだが、今回は最後まで読めた、と言うよりやっぱり面白かった。80年代半ばの作品なので、懐古的な楽しさもあったが、この人は、当時の軽薄さを、今の人と