あらすじ
1973年夏、東京拘置所。『カール・マルクス』『ウルトラマン』等、夢見る囚人達と所長『ハンプティ・D』の間で演じられる可笑しくも悲痛な思想劇。『さようなら、ギャングたち』『ジョン・レノン対火星人』と並び著者の原点を示す秀作。
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Posted by ブクログ
高橋源一郎の三作目。
巻末に掲載されている「著者から読者へ」を読むと、著者は「全世界について書いてみたかった」とのこと。
最終的には、とある理由で編集者から急かされ、急遽完成させたのが、当作品とのこと。
うーん、実際に読んでみても「全世界」が書かれているのか、あるいは「全世界」を書こうとしたのか、まぬけな僕には良く判らなかった。
読んでいて感じたのは「著者は小説を信じていないのではないか」「著者は言葉を信じていないのではないか」「著者は言葉の無意味性を無意味な言葉を使って描こうと無意味な行為を繰り返しているのではないか」「そんな無意味な行為を行っている著者自身を描こうとしたのではないか」といったこと。
あるいは矛盾した感じ方かもしれないが、その全く逆、つまり小説や言葉を信じきっている、だからこそ書くことが出来た作品なのではないか、といったこと。
きちんとしたストーリーは存在しない(あるいは僕に判らなかっただけかも)し、物事を白黒はっきりとさせたがる人にとっては、まずつまらないだろうな、と思います(激怒する人もいるだろうな)。
僕は特にストーリーがなくても、文章や言葉の使い方が面白ければ、また、白黒はっきりしなくても、心地よい余韻が残る作品であれば、全然問題にしません。
よって、僕は最後まで一気に面白く読み終えることが出来ました。
Posted by ブクログ
伝説の初期3部作読破しました。
やっぱり高橋源一郎はすごいです。
この小説は相変わらずすさまじいアレゴリーが展開され、正直意味わかりません。たぶん書いている本人もわからせよう、面白いストーリを書こうって気がありません。
でもとても強く、熱い、『言葉』そして『小説』への思いを感じます。
じゃないとこんな小説を数百ページに渡って書けません。
言葉は力だ。
そんなメッセージを一行一行からヒシヒシと感じることが出来ます。
あなたも感じてみてください。
そこに意味や面白さは必要ないのです。
でもよーく読むと彼の小説には「意味」があるのです。
Posted by ブクログ
入手方法:池袋のJUNKU堂。
わたしともっとも縁の深い本です。
げんぶんで勉強会を催しました。
60年代への、愛情とルサンチマン。
9歳離れた父と母の違いはいろいろあるのだけれど、学生運動の時まさに学生だった父が覗かせる「お前は何もわかっていない」という視線はもしかしたらここに原因があるのかも知れません。
「ジョン・レノン対火星人」と合わせてどうぞ。
Posted by ブクログ
私には1970年代の意味がわからない。なぜならそれはわたしが生まれる前に終わったからだ。ぐだぐだ。
渋谷の雑踏に彗星みたいにあらわれた人の記憶と一緒にしまいこむのさ。
高橋まりさんがうらやましい。もしくは。
考えるために読書し続けること。
Posted by ブクログ
ほんとうはクリストファー・コロンブスになりたかったのだった。クリストファー・コロンブスになるのだ。アメリカ大陸を発見するのだ。
彼の初期ポップ三部作の終わりである。前二作と比べるとこの世界に慣れてしまったか普通な感はするが、それでもなんだろう、読んだ後何か真実をつかんだ気になるんだよ。