高橋源一郎のレビュー一覧
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高橋源一郎先生の本は、いつも知性と節度で満ちている。
一人称代名詞を、「ぼく」から「おれ」に替えて書かれたものも、一見荒々しく想いをぶつけているように見せているけれど、それでも、そこには節度がある。その節度に、僕は大人の知性を、僕よりも長く生き長く考えてきた人の信頼を見る。
最もグッときたのは【メ...続きを読むPosted by ブクログ -
学校教育の授業の現場で扱いにくい話題は、性、宗教、そして政治。それは塾でもさほど変わらない。入試過去問題の文章にそれらが扱われていても、何となく回り道せざるを得ない(平安古文なんか大変!)。しかし、日常の会話でも取り上げにくいそれらこそ、実は、教育の現場で語られるべきものだとも思う。オープンに議論す...続きを読むPosted by ブクログ
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心に響く言葉がたくさんあります
ちょっとウルっとしてしまったり、ニヤリと笑ったり、目から鱗状態になったり
ページをめくるとよく知っているけど気づいていない現実に出会う
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善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや
で知られる歎異抄。この言葉の意味、わかるようでやっぱりよくわからない。ただ、この本のおかげで少しはわかった気がするし、そもそもわからなくてもよい気がする。この本に出てくる親鸞は、穏やかにそういうことではないんだよと言ってくれそうです。
ー「シンラン」には...続きを読むPosted by ブクログ -
分かりやすい文体で読み手に問いかける。戦争は、穏やかな顔をしてやってくる。気がつかねばならない。大きい言葉、大きい声に、と。印象的だったのは太宰治の作品に隠された反戦の文意。恥ずかしながら知識不足で今回初めて知ったのが詩集「大東亜」。高村光太郎や室生犀星などが詠んだ国策の詩。「正しさ」に向かって人々...続きを読むPosted by ブクログ
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「誰も戦争を教えられない」
は?何言ってるの「ぼくらの戦争なんだぜ」。
先の言葉は古市憲寿氏による著者のタイトルだ。まるでヒップホップのディスやビーフの応酬だが、高橋源一郎氏は、この古市氏の本を授業に用い絶賛したのだという。しかし、心中は、軽蔑している。戦争を自分ごととして捉えられず、戦争なんて知...続きを読むPosted by ブクログ -
歎異抄は読んだことがあるがこれは平易な、しかも切実な言葉で訳されていて肚に落ちる。いろんな分野に博識な筆者だが親鸞の理解力に脱帽。Posted by ブクログ
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読んでいて、ああ、そう、それ。みたいな感じに何度もなった。自分とは全く違う時代、違う環境を生きてきた人なのに、途中そう感じずに、何か近くにいる感覚というか、不思議な心地良さがあった。作家だから当たり前なのかもしれないけど、ああ、言葉にするの上手いな、と唸ってしまうこともしばしば。また読み返したい。次...続きを読むPosted by ブクログ
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文化人×仏教ものは回避がちなのだけど周囲の評判がよかったので読んでみた。
これはすごくいい。高橋氏が『歎異抄』を自分のことばで現代語訳をしている。これは高橋氏の読み方、受け取りなのだ。それを自分が読みながら、自分の読み方、受け取り方を確認していくような、ここは一緒だな、似ているな、違うなと対話してい...続きを読むPosted by ブクログ -
「これはアレだな」第二弾。源さんの興味関心の幅広さに驚きます。70過ぎて益々盛ん。さすがモノンクル。兎に角刺戟的な本です。Posted by ブクログ
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どれも珠玉のような、そして心温まる87話と、おまけというにはもったいないような著者自身によるの短編作品。どのお話にも、著者の人柄が色濃くにじみ出ている。Posted by ブクログ
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高橋さんの、話し言葉による文章が、とても良かった。
読みやすい。
言いたいことが伝わりやすい。
そして私は太宰治の作品が好きだ。
私は『津軽』を読んで太宰治のイメージが変わった。
そして『斜陽』を読んでまたも太宰治のイメージが変わった。
さらに本作を読んで、太宰治という人の印象がまたまた変わって...続きを読むPosted by ブクログ -
海上自衛隊の訪問をきっかけに、積読を解消。高橋源一郎さんが「戦争を語ること」について感じている違和感や勘違い、思い直しを記述したもの。戦争は悪いこととは分かっているが、それとどう向き合うかについては実は全く分かっていない。もちろん、戦争に関する本はたくさん読んだし、8月になればTVなどでみることもあ...続きを読むPosted by ブクログ
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読売新聞の人生相談のコーナーが好きでしたが、毎日新聞のこちらのほうが、はるかに的を射た回答だと思いました。
家族の自殺に傷ついていたり、高齢ゆえの悩みがある人や、家族との関係に悩む人に、ありきたりではないアドバイスが出来るのは高橋源一郎氏だからなのだろうと感じさせる一冊です。Posted by ブクログ -
8月の終わりに学校へ行きたくない…と思っちゃった人へ。
たぶん、誰しもが思うことだと思う。たとえ、どんなに好きな場所であったとしても、ときには思うことだ。でも、ちょっと立ち止まって、なんで行きたくないと思うのかを考えてみてほしい。この本は、そういう正解のない問いについて考えたり、常識だと言われてい...続きを読むPosted by ブクログ -
とても読みやすく、すらすらと読めました。
小学生に小説の書き方を教える、というかたちで進んで行きます。
この本自体が小説だと感じました。
村上春樹さんの本は読んだことないですが、チャンドラーの本とよく似ているということをはじめて知りました。Posted by ブクログ -
著者の言葉の扱いは巧みである、題名からして、そうである。読みながら、お前はどう考えるかを迫ってくる。戦時が聞こえてくる中、様々な文章から戦争の本質に迫ろうとする。最終章の太宰治の小説についての論考は目が覚まされた。著者の言葉と太宰の言葉か、重なり合って響いてくる。戦時を語らず、戦争の本質を語る。著者...続きを読むPosted by ブクログ
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普段あまり男性が書いたエッセイを読まない私が、この本を読んでみようと思ったのは、新聞の人生相談欄で著者が回答しているのを読んだことがあったからです。
人はきれい事や、「前向きに頑張ればいつか報われる日がくる」なんていうポジティブな言葉だけでは立ち上がれない時がある。
一見厳しく、突き放したよ...続きを読むPosted by ブクログ -
厚めの本だったが、読み始めると興味深い内容だったので、どんどん読み進めることができた。
文学者と彼らが紡ぎ出す文学が、戦争という背景の中でどう順応し、あるいはどう抵抗したのか、その足跡が丁寧に考察されていた。
しかし、これは戦争の時代だけの問題ではない。文学はいつの時代でもその時代に順応したり、抗っ...続きを読むPosted by ブクログ