高橋源一郎のレビュー一覧
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高橋源一郎さんの人生相談回答本第ニ弾。
前作の「誰にも相談できません」よりも泣きました。
前書きでもう泣いた。
【また別のとき、誰かが泣きながらずっと話をしている。もう誰もとめることができない。ただわたしは話を聞くだけ。それでもいい。いや、それがいいのだ。やがて、時が過ぎ、その誰かは泣き止んで、わたしにこういう。
「話を聞いてくれてありがとう。もう、わたしは大丈夫」】
離婚4回、結婚5回、子供が5人、父親はギャンブル依存症で離婚家庭、本人も昔ギャンブル依存症だったことがあり現在も借金返済中。大学は中退しニート経験もあり。20代の頃は日雇い労働者。不眠不休での育児経験あり……筆者の経歴が濃 -
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悩み相談の本は世にたくさん出ているけれど、これはなんだか今まで読んだものとは少し違うような。
元の相談文はもっと長いそうなのですが、編集の都合で数行にまとめられており、筆者の回答も結構短めです。
でも、なんというか、回答が美しいです。
相談内容は家族やお姑さんとの関係から老いの恐怖、ニート生活が続き今後どうすればいいかなど様々。
筆者は離婚歴が4回ほどありお子さんもいらっしゃるので、浮気や子供への接し方のアドバイスに説得力がありました。(浮気相手はあなたを愛しているのではなく依存相手を求めているだけ、など)
子供の教育方針よりも愛をたくさん与えることが1番大事だというのは納得。
不登校 -
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阿弥陀とは待つ人なのかも知れないね。自然、他力、念仏。全ての人を救うと誓い、ただただ待つ人。いつでもそこにいてくれる人。
我々や他の誰かではなく、私のため。誰にとっても私のため。それに違いなどないし嫉妬したり僻んだりするのもおかしな話。でもそう思ってしまうのもほんと。
「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人がためなりけり。さればそれほどの業をもちける身にてありけるを、たすけんとおぼしめしたちける本願のかたじけなさよ」
我々は、常に既に、ひとりかも知れない。でもだからこそ、他人がいることの有難さが在る。
読んでいたら、あとがきでドストエフスキーと文学、ことばについて。
最近考え -
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表現者それぞれで違う鉄格子の隙間を抜けて飛び立った言葉だから、同じ隙間の形をした鉄格子に閉じ込められた「わたし」に刺さるのだと思う
「閉じ込められた「わたし」は、その場所から抜け出すことはできなくとも、鉄格子の隙間から「鳩」は飛び出すことができる。「わたし」のメッセージをその脚に結びつけ、高く広い大空を翔んで、どこかの誰かに届けるために。」 -27p.
「昼のわたし」と「夜のわたし」、ぼんやりと感じていたことが言語化されていた
わたしが「考えずに書く」時の最短距離は思考をそのまま手で写し出すことだから、スマホやパソコンではなく紙に直接「書く」ことが好きなのかもしれない -
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ネタバレ「サンデー毎日」連載(2021年10月31日~2024年3月3日)の「これは、アレだな」の第3弾。
著者の対談は雑誌でいくつか読んでいましたが、時事エッセイは初めて読みました。毎回取り上げられた各項目は少々軽薄なタイトルですが、内容はかなり重たいというか、著者の深い洞察力が感じられます。
例えば「老人はみんな死ね」という項目では・・・
このタイトルを見て、以前に、変な形の眼鏡を掛けて、マスコミから持てはやされていたイェール大学経済学部アシスタント・プロフェッサーの成田祐輔なる人物が、近年の日本の財政的な諸問題を解決するには「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」 -
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親鸞。
学生時代に吉川英治の小説で読んで知った。
のちには五木寛之の小説で読んだ。
でも、親鸞の言葉を記した歎異抄を読むのは、初めてだ。
「善人なおもって往生を遂ぐ いわんや悪人をや」。
他力本願。
念仏。
これらの言葉はもちろん小説を通して知っていた。
でも、意味が分かっていたか、と言われれば、怪しいものだ。
今回の高橋源一郎さんの訳を通して、改めて考えた。
この新書にも、いや、歎異抄自身にもあるが、
「意味もわからず念仏を唱えるだけで浄土に行けるなんて、おかしい!怠けてる」
そう考える。多くの人はそう考える。
努力もしないでいい思いができるわけがない、と。
親鸞は違う。
もっと深い -
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購入済み
今まで読もうとして後回しにしていて、ようやく読んだ。とても面白かった。様々な引用も調べてもいいが、わからなくても面白く読めた。『カンディード』や『旅のラゴス』とか冒険譚を読んできて、直前にはぶっ飛んだ『みどりいせき』も読んでいて、この本も先にどんなわくわくがあるのだろうとどんどん読める、ハチャメチャな詩学的美学的衒学的宇宙的ドタバタで真面目で狂気的な楽しい本だった。まだ先が読みたいほどだ。ハードボイルドで幼稚で高尚でやらしくていたずらで面白かった。他の方のコメントに「哀しみ」という文句を見て同感です。たとえば、観覧車の自己廃棄の哀しさ。たとえば、女の。たとえば、女の子の。それから、言葉にできな
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たまたま偶然出会った本ですが大当たり!
高橋源一郎さんてこんなに面白い方だったんですね。失礼ながらも掘り出し物に当たった気分。
これはアレじゃないかなとテーマごとに本(文化芸術から漫画までも)や映画(昔の名画からアニメまでも)や音楽(ジャズから帰ってきた酔っ払いまでも)作品を比較してあれこれと語るエッセイ。とにかく高橋源一郎さんは大変な読書家であることに驚きと感心するばかりです。好奇心も旺盛であられるのでしょう。色んなことを良く知っていらっしゃる。だから芋づる式に面白い話も尽きないわけですね。ここで紹介されている作品を書き出したらノート見開き4ページになりました。気になる作品が満載。
この本が