高橋源一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1762年3月、ひとりの新教徒が冤罪によって処刑された。それを知ったヴォルテールは「人間をより憐れみ深く、より柔和にしたいとのみ念じ」不滅の『寛容論』を書いた。ヴォルテールが見た光景は、わたしたちがいま見ているそれに驚くほどよく似ている。
ヴォルテールは終わり近くにこう神に祈りを捧げた。「どれをとっても完全ではないわれわれの言語、すべて滑稽なわれわれの慣習、それぞれ不備なわれわれの法律、それぞれが馬鹿げているわれわれの見解、われわれの目には違いがあるように見えても、あなたの目から見ればなんら変わるところのない、われわれ各人の状態、それらのあいだにあるささやかな相違が、また『人間』と呼ばれる微小な存在に区別をつけているこうした一切のささやかな微妙な差が、憎悪と迫害の口火にならぬようお計らいください」
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意見というものの困った点は、私たちはそれに固着しがちだという天である…何事であれ、そこにはつねに、それ以上のことがある。どんな出来事でも、ほかにも出来事がある
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明るい希望がないなら、せめての希望は、自分を受け入れない豊かな社会が壊れる情景を見ること、となるだろう
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高橋源一郎さんの小説というのは、「ジョン・レノン対火星人」と「悪と戦う」しか読んだことがありません。どっちも、興味深くはあったし、唐突な感動があったのだけど、とっても好きかと言われるとそうでもないかなあ、というのがそのときの読後感。(だからあまり読んでいません)
のだけど、現実政治社会的な事件へのコラムニスト的な発言や、NHKラジオ金曜日の「すっぴん!」のおしゃべりを聞いているとなかなか好きだなあと思います。
と、言うわけで衝動買いした新書本。
高橋源一郎さんが新聞に1年くらいか書いたコラムをまとめたもの。コラムの意味合いとして「現実の社会政治的な出来事」と「それと向き合う言葉」みたいなテーマが通底しているようです。
東日本大震災があった年のものなんですね。そこまで知らずに買いました。なかなか胸が潰される暗い内容が多いなあと若干はじめ辟易したのですが、短い完結した文章の連続で読みやすいのと、悲観的なだけではなく「こういう本があるんだあ」「こういうことがあったんだ」などの「へーなるほど度」がかなり高かった。
豊富でタフな高橋さんの情報摂取と選択と語り口のお陰で、大変に満足な一冊。
普段いろいろ不勉強なので、素直に勉強になりました。
オモシロカッタ。
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それから、最後のコラムで、菅原文太さんの晩年の社会的なことへの対話活動が紹介されてた。
たまたま最近「仁義なき戦いシリーズ」を見直して大変に面白かったのだけれども、コラムで高橋さんも、その映画と笠原和夫さんのスバラシサに触れていて、「そうそう」と思ったりしました。原爆から始まって、原爆に終わる。
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以下あくまで自分の備忘録。メモ。とりとめもなく。
○城南信用金庫の「脱原発宣言」
○結局何もしなかった。そのつけは、もっと若い誰かに回されるのだ。
○東京外大の翻訳プロジェクト「日本語で読む中東メディア」。一大学の献身的な努力で成立しているこのサイトでしか、中東のメディアの意見を知ることができない。これだけ中東の脅威というのが政治的に利用されているのに。
○労働者がカイシャインになる。「被ばく量が多い仕事は下請に出して欲しい」
○被ばく量の多い労働に就く人の姿は、「電力の消費地帯としての東京」からは見えない。
○透明性がなければ民主主義国家ではありません。民主主義は原子力エネルギーを使う必須条件です。
○「奴隷貿易、搾取略奪収益」の乗った先進国の船を襲った海賊たち。ウィキリークスはそれと変わらない。
○ヴェルヌは科学技術の粋を集めた人工島が人間関係のもつれで崩壊することを描いた。
○「通販生活 秋冬号」。1日も早く、原発国民投票を、と書かれた。CMが民放テレビから拒否された。
○トッド「自由貿易と民主主義は長期的に両立しません」
○ヘブライ語の「救済」の語源。「抵当を買い戻すこと」
○卯月妙子さん「人間仮免中」
○保守政党の差異性までもが消失してしまったため、人々の政治的情念がより原理主義的な方向に向かうようになった
○建前と現実の乖離を「やる気」で埋めるという発想。かつての日本陸軍。
○制度として、市民自らが政治に参加しようにも参加できない仕組みが構造化されている。世界一高い供託金のルーツは1925年に制定された普通選挙法に行き着くが、それは当時の無産政党の国政進出を阻むためだった。
○オリンピックは「愛国」という「物語」がもっとも活躍する場所の一つでもある。
○民主主義とは、意見が通らなかった少数派が、それでも「ありがとう」ということのできるシステム。台湾の学生国会占拠。
○東洋経済新聞、石橋湛山。
○菅原文太さんの晩年の対話活動。「知らない」から始まる対話。 -
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内田樹『身体に訊く』-言葉を伝えるということはどういういことか
加藤典洋『僕の夢』-中高生のための「戦後入門」
高橋源一郎『表と裏と表』-政治の言葉について考える
平川克美『人口減少社会について根源的に考えてみる』
小田嶋隆『13歳のハードワーク』
岡田憲治『空気ではなく言葉を読み、書き残すことについて』
仲野徹『科学者の考え方』-生命科学からの私見
白井聡『消費社会とは何か』-「お買い物」の論理を超えて
山崎雅弘『「国を愛する」ってなんだろう?』
想田和弘『「中年の危機」にある国で生き延びるために』
鷲田清一『社会に力がついたと言えるとき』
以上11人の寄稿文
内田樹氏の以下の呼びかけに対応して書かれたもの
『刻下我が国の政治・経済・メディア・学術・教育・・・どの領域を見ても、「破綻寸前」というのがみなさんの現場の実感ではないかと思います。・・・・私たちが果たさなくてはならない最優先の仕事は「今何が起きているのか、なぜそのようなことが起きたのか、これからどう事態は推移するのか」を責任をもって語ることだと思います。』
各11編の寄稿は、それぞれとても意義ある内容だと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説の書き方の指南書ではない。上手な文章を書く方法でもない。小説を書くということは学校でお勉強をするのとは真っ向対立するものなのだから。
小説を書きたいなら、まず小説を書くこと。
では、何を書くか? 自分がよく知っている事を書く、本当に知っていることを書く。いきなり書き出してはいけない。書く前の沈黙を味わう。
そして次に小説と遊ぶ・つかまえるレッスン。
どんな文・考え・ことば、が飛んできても受け止めるレッスン。
この著書の中にはとうてい受け入れがたい文章も例として出てくる。でも目を背けてはいけない。
ことばの直球、変化球も捕る。ただ一人が持つ一つの専用道路を走る小説を拒否しない。
そして遊ぶ、何がおもしろいか考える。自分とズレを感じる作品ほどそのズレを楽しんでみる事だ。
また、飛んでくる球から、自分の恋人をみつける。好きにならずにいられないものをみつける。
そして赤ん坊のように真似る。心酔したものを真似る。母親の真似をしてことばを覚えるように。
小説の楽しみ方、味わい方が書かれた本。これからはより「たいせつに」「あじわいながら」「あそびながら」、そしてどんな強い球でも受けることができるような読書をしたいと思う。
小説を書いてみたい人にも、小説をよく読む人にも効いてくる本。 -
Posted by ブクログ
高橋源一郎、内田樹著。(編?)
一般の方から文字通り『嘘みたいな本当の話』を募集して、高橋先生内田先生がいいなと思ったものをピックアップするプロジェクトの第2弾。
巻末に何名かの著名人の話も掲載されていますが、一般の方々のお話の方がガゼン面白いです!
内田先生のまえがきにある、"採択の基準"は、ブログを書いたりするのに役に立ちそうです。『「奇妙な後味」を残すこと』と『「そういうことって、あるよね」』の2つ。
いま机の上に置いてあるこの本、忙しくて活字を読む時間がないと嘆く家人に勧めたいところだけど、「あなたがやりそうな話ばかりね」と突っ込まれそうで、ちょっと怖いです。