高橋源一郎のレビュー一覧

  • 高橋源一郎の飛ぶ教室 はじまりのことば

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    普段あまり男性が書いたエッセイを読まない私が、この本を読んでみようと思ったのは、新聞の人生相談欄で著者が回答しているのを読んだことがあったからです。
    人はきれい事や、「前向きに頑張ればいつか報われる日がくる」なんていうポジティブな言葉だけでは立ち上がれない時がある。
    一見厳しく、突き放したような回答にも、著者の経験に基づく考えや愛情が込められていて、とても誠実さを感じていました。

    著者の小説を読んだことはないし、ラジオも聴いたことはないのですが、この本は読んでよかったです。

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    2023年03月12日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    厚めの本だったが、読み始めると興味深い内容だったので、どんどん読み進めることができた。
    文学者と彼らが紡ぎ出す文学が、戦争という背景の中でどう順応し、あるいはどう抵抗したのか、その足跡が丁寧に考察されていた。
    しかし、これは戦争の時代だけの問題ではない。文学はいつの時代でもその時代に順応したり、抗ったりしている。文学者は言葉と共に時代を生きるその時代の証人なのだと改めて感じた。

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    2023年02月08日
  • 一億三千万人のための小説教室

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    今までの小説の書き方や文章教室に比べて具体的でいい。村上春樹がレイモンド・チャントラーのスタイルの学習をしたということを本人の文章と対応させて書いているところがいい。また、最初のようこそ先輩で、文学について小学生が周りの人に聞いてくるということは秀逸である。
     具体的に役に立つのは、小説家になるためのブックガイドであろう。

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    2023年01月20日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    スポーツうるぐすで,初めて知った高橋源一郎さんは,飄々としてて,誰の悪口も言わない,でもすごく鋭い人,という風に僕には映っていた.それから時々新聞や雑誌のコラムなんかで文章を読む機会があったり,試験問題で出逢ったり,その度ごとに「気になる」存在でありながら,きちんと本を読んだことがなかった.
    その気持ちに踏ん切りをつけたのは麻布十番の焼き鳥屋さんでの志村けんさんとのエピソードを読んだ時.
    あのエッセイの凄まじさ.これは読まなくてはいけない!と思った.…だのに,中々手に取る勇気が湧かなかった,何となく読むのが怖い…そんな作者だった.
    で,この一冊.
    とても丁寧だ.言葉も考察も.そして決して結論め

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    2023年01月13日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    強く強く心を揺さぶるものがありました。
    それは必ずしも本書で語られた内容によるものではなく(だってたぶん僕はこの本で語られたことの1/3も分かっていないと思いますから)、高橋源一郎という人が、背伸びをせずに、かといって自身を矮小化することもないまま、できるだけ等身大で、それはつまり戦争体験者でもなく、かといって戦争に無責任にあるわけにもいかず、ただ戦争というあまりにも巨大な(少なくとも巨大だと思われてしまう)課題についてどうしたらよいか分からないという立場に立って、戦争を考えるためにはどうしたらよいかということを実演してみせてくれた、その正直なありように、心が、あるいは偉そうに言えば僕の知性と

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    2023年01月13日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    ネタバレ

    いい本に出合いました。
    今テレビに映る映像、どうすればいいんだろうと戸惑ってしまう。
    今流されていきます。
    「大きな声」の方へ。
    私はその中で「小さな声」に気づいているのでしょうか?
    教科書・戦争小説・戦争詩を読む。
    知らなかった(名前はよく知っていた。読んだこともある)作家の魂に気づかされました。
    著者もまた探っていく過程だそうです。
    世界中が戦争に向かっています。
    遠いところではなく、その兆しを見逃さないようにしたいです。
    今ここにあるそれを。

    ≪ 流されて 気づけば泥沼 立ち止まれ ≫

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    2023年01月03日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    鶴見俊輔、いろんな国の教科書、「この世界の片隅に」「野戦詩集」、「野火」、「うわさのベーコン」、後藤明生、向田邦子、太宰治などを俎上に載せて戦争にアプローチする。古市某のことは忘れよう

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    2022年12月31日
  • これは、アレだな

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    さすが源さん、素晴らしい。様々な本や映画等の紹介からの広がり、繋がり、結び付け。実に見事。刺激されまくり。
    私の叔父さんは、本当に素敵だ。
    以前は、伊丹十三が私の叔父さんだった。今は源さん。
    私も、色々な人々の叔父さんになるべく頑張ろうと思った。

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    2022年12月30日
  • さようなら、ギャングたち

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    言葉の価値、意味を超え、味わいを与え、“言葉”の地位を見事に向上せしめる。

    その言葉で‘’世界”を拓き、アップデートするダイナミズムを表現する物書きの凄みに震えた。

    ちゃんと日本にもいるやん。
    って。

    個人的には教科書に載せてほしいほど。

    先生は困るだろうけど。 

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    2022年12月29日
  • 間違いだらけの文章教室

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    作品紹介・あらすじ

    「文章」の書き方は、自分の好きな「文章」が教えてくれる。
    だからまずは自分の好きな「文章」を見つけよう。
    タカハシさんが好きなのは、明治生まれの貧しい農夫木村センの文章や、免疫学者・多田富雄、スティーブ・ジョブズの驚異のプレゼンなど。
    タカハシさんはそれらの、どこが好きなのか? 
    どうすれば、こんな「名文以上の名文」が書けるようになるのか?

    これは、専門家やエライ人以外のみんなのための文章教室。
    文庫化に際して「補講 二〇一八年の秋に学生たちが『吉里吉里国憲法』を書く」を増補。
    (『ぼくらの文章教室』改題。)

    *****

    読み始めて直ぐに「何か読んだことあるな」と思

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    2022年11月23日
  • NHK「100分de名著」ブックス 太宰治 斜陽 名もなき「声」の物語

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    太宰治、高橋源一郎、という作家の素晴らしさがヒシヒシと伝わってきた。
    太宰が「散華」等戦時中に作品に込めた思いを思うと胸が苦しくなってくる。
    源一郎さんの解説によって、新たな太宰が、見えてきた。
    私も、恥ずかしがらず、太宰が好きと声を高らかに言おうと思った。

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    2022年10月25日
  • 居場所がないのがつらいです みんなのなやみ ぼくのこたえ

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    夫婦や家族関係の悩み、恋愛に関する相談を中心に、高橋さんが様々な形でアドバイスやヒントを示した「人生相談」の本。毎日新聞に今も連載されています。

    人生相談って、相談者が満足したり、励ましたりする回答ばかりというイメージでした。しかし、高橋さんの回答は、時には相談者の非を指摘したり、相談者に怒ったりしていて、信頼を持てる回答者だと思いました。
    自分にはそんな悩みはなくても、高橋さんの回答を読むのはとても楽しいです。

    大人も子供も、皆様々な悩みを抱えているんだなと、気づける本でした。

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    2022年10月16日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    単なる戦争批判の本では無い。詩、小説、文学、ことばに関する作家の深い深い考察だ。そして、ふだん、世の中の大きな声に流されて、考えていない、感じていない私たちへの警鐘に思う。帯に書いてある通り「こわい本」だし、丁寧で優しく書いてあるが「渾身のことば」だ。この本で、太宰治に対する見方が180度変わってしまった。作者の次の小説に現代の太宰を期待してしまう。文学論として読んだ。

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    2022年09月29日
  • 一億三千万人のための小説教室

    購入済み

    大学に入ってから小説をかなり読んだのだけど、いまいちわかった気になれなくて、この本を読んでみた。なんだろうこの本……。小説の作法を教えてくれるわけではない。でも読んでいてとても心地いい。思い出したのはディケンズの『クリスマス・キャロル』。高橋さんが幽霊(天の声)になって、過去から未来、色んな人の話を聞いたり、生活を覗いたりしながら世界を飛び回って、最後「ことば」「小説」という名前の宇宙にたどり着いて、本を閉じればまた自分の部屋に戻っているような感じ。とても面白かったです。何回も読むと思います。

    #胸キュン

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    2022年09月24日
  • 101年目の孤独 希望の場所を求めて

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    朝日新聞に、作家・高橋源一郎さんによるルポルタージュの大きなコラムが定期的に掲載されていました。個人の幸福と富の追求ばかりが無前提に信じられている時代に、そうではない視点を示してくれる、数少ない文章でした。そもそも、作家という職業の人たちが、必ずしもみんな現代という時代にコミットしているわけではないでしょう。現代に自ら関わる作家である彼の、「著者初のルポルタージュ」として世に出た、この本をぜひ読んでほしいです。表紙裏の紹介文を引用します。

    「作家は、さまざまな場所を訪ね歩いた。ダウン症の子どもたちのアトリエ。身体障害者だけの劇団。愛の対象となる人形を作る工房。なるべく電気を使わない生活のため

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    2022年09月05日
  • ぼくらの戦争なんだぜ

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    好きな作家の高橋源一郎が書いた本ということで読んでみた。平和を世界中の人々が望んでいるのに、何故愚かな戦争へと突き進むのか?
    ヒントを作家としての目線で書き綴ってくれている。
    平易な言葉で書いてあり、若い人に是非読んで欲しい作品だと感じた。

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    2022年08月25日
  • NHK「100分de名著」ブックス 太宰治 斜陽 名もなき「声」の物語

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    書き下ろしの「15年戦争」も良かった。
    太宰は何度も読んでいる作家で、分かったようになっている自分の浅はかさに気づけた。違う視点でもう一度太宰を読んでみようと思った。

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    2022年08月18日
  • 誰にも相談できません

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    高橋源一郎さんって難しそうだなあ、って
    もじもじしちゃう方もいらっしゃるかと思うのですが、
    コレ、とってもオススメです。

    源ちゃんが毎日新聞で向き合っている人生相談の一問一答。
    グサグサとほっこりが、程よく織り混ざっています。

    源ちゃんも、吉本隆明さんも、ひとは「孤独」と言い切られるところに
    ある種の救いを感じます。


    【本文より】

    ・家族は永遠に続くものでも、何があっても守られるべきものではないと思います。
    それに参加する者が、互いに誠実であるときだけ持続できるものです。

    ・わたしは、コンプレックスを抱くことは、傷でも闇でもなく、「常に謙虚であるように」と神様が贈ってくれた能力だと

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    2022年08月16日
  • 別冊NHK100分de名著 パンデミックを超えて

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    この本の内容や感想・意見を、自分なりにどうにか要領よくまとめてみようと試みたが、諦めた。あまりに重く大きい投げかけだから。

    ただ、冷笑主義に陥らず、目を瞑らず、口を閉じず、自身を含む「悪」に向き合って、生きていきたい。生きていけるだろうか。

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    2022年06月07日
  • この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた

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    どちらも好きな作家、評論家でそれぞれの書く文章も好きなのだが、対談となるとまた違った趣を呈する。「この30年」というのは平成の総括であり、最後に現在のコロナ禍の状況についても述べられている。元々は「SIGHT」に掲載されていたものだそうだが、休刊したらしい。これは私自身が高校時代に読み耽った「ロッキング・オン」の雑誌らしい。「SIGHT」を読んだこともないが休刊は残念である。本題に戻ると、共に職業柄か多読の著者で、しかも読み込みが深いというか、好みである。掲載された小説はほとんど読んでないが、このような物を読む事で読んだ気になるのは本当はいけないのだろうが。ただ、ここでも書かれているように小説

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    2022年05月01日