高橋源一郎のレビュー一覧
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スポーツうるぐすで,初めて知った高橋源一郎さんは,飄々としてて,誰の悪口も言わない,でもすごく鋭い人,という風に僕には映っていた.それから時々新聞や雑誌のコラムなんかで文章を読む機会があったり,試験問題で出逢ったり,その度ごとに「気になる」存在でありながら,きちんと本を読んだことがなかった.
その気持ちに踏ん切りをつけたのは麻布十番の焼き鳥屋さんでの志村けんさんとのエピソードを読んだ時.
あのエッセイの凄まじさ.これは読まなくてはいけない!と思った.…だのに,中々手に取る勇気が湧かなかった,何となく読むのが怖い…そんな作者だった.
で,この一冊.
とても丁寧だ.言葉も考察も.そして決して結論め -
Posted by ブクログ
強く強く心を揺さぶるものがありました。
それは必ずしも本書で語られた内容によるものではなく(だってたぶん僕はこの本で語られたことの1/3も分かっていないと思いますから)、高橋源一郎という人が、背伸びをせずに、かといって自身を矮小化することもないまま、できるだけ等身大で、それはつまり戦争体験者でもなく、かといって戦争に無責任にあるわけにもいかず、ただ戦争というあまりにも巨大な(少なくとも巨大だと思われてしまう)課題についてどうしたらよいか分からないという立場に立って、戦争を考えるためにはどうしたらよいかということを実演してみせてくれた、その正直なありように、心が、あるいは偉そうに言えば僕の知性と -
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作品紹介・あらすじ
「文章」の書き方は、自分の好きな「文章」が教えてくれる。
だからまずは自分の好きな「文章」を見つけよう。
タカハシさんが好きなのは、明治生まれの貧しい農夫木村センの文章や、免疫学者・多田富雄、スティーブ・ジョブズの驚異のプレゼンなど。
タカハシさんはそれらの、どこが好きなのか?
どうすれば、こんな「名文以上の名文」が書けるようになるのか?
これは、専門家やエライ人以外のみんなのための文章教室。
文庫化に際して「補講 二〇一八年の秋に学生たちが『吉里吉里国憲法』を書く」を増補。
(『ぼくらの文章教室』改題。)
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読み始めて直ぐに「何か読んだことあるな」と思 -
Posted by ブクログ
朝日新聞に、作家・高橋源一郎さんによるルポルタージュの大きなコラムが定期的に掲載されていました。個人の幸福と富の追求ばかりが無前提に信じられている時代に、そうではない視点を示してくれる、数少ない文章でした。そもそも、作家という職業の人たちが、必ずしもみんな現代という時代にコミットしているわけではないでしょう。現代に自ら関わる作家である彼の、「著者初のルポルタージュ」として世に出た、この本をぜひ読んでほしいです。表紙裏の紹介文を引用します。
「作家は、さまざまな場所を訪ね歩いた。ダウン症の子どもたちのアトリエ。身体障害者だけの劇団。愛の対象となる人形を作る工房。なるべく電気を使わない生活のため -
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高橋源一郎さんって難しそうだなあ、って
もじもじしちゃう方もいらっしゃるかと思うのですが、
コレ、とってもオススメです。
源ちゃんが毎日新聞で向き合っている人生相談の一問一答。
グサグサとほっこりが、程よく織り混ざっています。
源ちゃんも、吉本隆明さんも、ひとは「孤独」と言い切られるところに
ある種の救いを感じます。
【本文より】
・家族は永遠に続くものでも、何があっても守られるべきものではないと思います。
それに参加する者が、互いに誠実であるときだけ持続できるものです。
・わたしは、コンプレックスを抱くことは、傷でも闇でもなく、「常に謙虚であるように」と神様が贈ってくれた能力だと -
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どちらも好きな作家、評論家でそれぞれの書く文章も好きなのだが、対談となるとまた違った趣を呈する。「この30年」というのは平成の総括であり、最後に現在のコロナ禍の状況についても述べられている。元々は「SIGHT」に掲載されていたものだそうだが、休刊したらしい。これは私自身が高校時代に読み耽った「ロッキング・オン」の雑誌らしい。「SIGHT」を読んだこともないが休刊は残念である。本題に戻ると、共に職業柄か多読の著者で、しかも読み込みが深いというか、好みである。掲載された小説はほとんど読んでないが、このような物を読む事で読んだ気になるのは本当はいけないのだろうが。ただ、ここでも書かれているように小説