あらすじ
「文章」の書き方は、自分の好きな「文章」が教えてくれる。明治生まれの貧しい農民やスティーブ・ジョブズのプレゼンから学ぶのは「伝える」ということ。文庫化に際して、NHKテレビ放送を基にした「学生たちが憲法前文を書く」を追加。
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Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
「文章」の書き方は、自分の好きな「文章」が教えてくれる。
だからまずは自分の好きな「文章」を見つけよう。
タカハシさんが好きなのは、明治生まれの貧しい農夫木村センの文章や、免疫学者・多田富雄、スティーブ・ジョブズの驚異のプレゼンなど。
タカハシさんはそれらの、どこが好きなのか?
どうすれば、こんな「名文以上の名文」が書けるようになるのか?
これは、専門家やエライ人以外のみんなのための文章教室。
文庫化に際して「補講 二〇一八年の秋に学生たちが『吉里吉里国憲法』を書く」を増補。
(『ぼくらの文章教室』改題。)
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読み始めて直ぐに「何か読んだことあるな」と思ったら文庫化に際して「ぼくらの文章教室」を改題したとのこと。そうか「ぼくらの文章教室」を読んでいたんだ。でもあれは何年も前に読んだもの。何故直ぐに「何か読んだことあるな」と思ったのか。それは冒頭で紹介されている木村センさんの文章が強烈だから。「老人の美しい死について」という書籍からの引用なのだけれど、多分僕の何十年にも渡る読書歴の中でも、トップに位置するくらいに強烈で悲しい文章だった。ちっとも上手い文章じゃないし、漢字も殆ど使われていない。文字が読めなかったおばあさんが、どうしても「最後に」家族に伝えたいことがあったので、お孫さんと一緒に文字を習い始めて、書かれた文章とのこと。多分生まれて初めて書いた、唯一の文章なのだと思う。同じようなことを書いてしまうけれど、僕はこんなに強烈で心にいつまでも残る文章を他に知らない。だから読み始めて直ぐに思い出した。
この本には文章を上手く書く秘訣とか、小説の書き方とか、そういうハウツー的なことは一切書かれていない。その代わり、「文章」とは何か?という根源的なことが書かれているように思う。上記の木村センさんの文章と同じく、色々な人々の文章が引用されているけれど、どれも心にずっしりと重たいものを残してくれる。それらはそんじょそこらの小説などからは絶対に感じ取ることが出来ない。
Posted by ブクログ
ななめ読みなんで一部抽出した感想です。
これは著者の文章観を紹介する本だ。
いい文章とは何かを生き生きとした文章を通して感じる事ができた。
-1番うまい現代の作家は、スティーブジョブズだ-
このフレーズに続く「スティーブ・ジョブズのプレゼンの書評」の書評が最も印象に残った。
プレゼンではストーリーを話せ、と会社のSVによく言われる。
聞き手は内容も知りたいが、聞く事自体を楽しみたがっているからだそうだ。
なるほど…。これは仕事に限らずだよな。面白かったことを伝わるように伝えたい欲求は誰にでもあるんじゃないかな。
ならば、日常のカケラを拾い集めてギュッとピシッとできる技術を俺は身につけてみたいっす。
Posted by ブクログ
高橋さんの小説は読んだことがない。
ラジオやエッセイで紡がれる言葉は、優しい語り口でとっつきやすく、いつも文章について考える機会を与えてくれると思う。
ときどき、鋭く本質をついていていてまるで刃のようであると思える時もあるが、その刃は「虚」に対するものであり、人間のそのままが素直に出ているもの、嘘のないものを尊重する高橋さんのお人柄が言葉に出ていると感じる。
わたしの身の回りにあるものを見つめよう。
言葉を投げ続けよう。
時には捨てていこう。
書こうとする文章の方向を見定めよう。
そこにある文章(行動)について考えてみよう。
Posted by ブクログ
目からうろこがはらはらと。
吉里吉里国憲法前文が特に良かった。
それにしてもインテリゲンちゃん、保坂和志をまさか読んでないことない?
Posted by ブクログ
作家・高橋源一郎による「文章読本」というべき内容の本ですが、たんに文章のつづりかたにかんする指南書ではなく、いわばことばを紡ぐことによって世界に対峙する方法を学ぶための本というべき内容になっています。
本書では、いわゆる文豪たちの名文がとりあげられるのではなく、遺書を書くために文字を学んだ一人の農婦のことばや、餓死することになった女性ののこしたノート、スティーヴ・ジョブズのスピーチなど、一般的な文章読本では見られることのない文章からの引用がおこなわれており、それらのことばを記したひとたちが、世間的な基準ではけっして名文といいがたいことばを用いることで、読者になにをとどけようとしていたのかということを、読者に考えさせます。
そんななかで個人的に印象深く感じられたのは、本書にとりあげられている鶴見俊輔の文章です。鶴見はいうまでもなく戦後日本の代表的な思想家の一人であり、平明なことばで深い思想を語った人物であることはわたくしも知っていましたが、彼の骨太の思想がもつ力強さの秘密がどこにあるのかということが、上に示したような「文章読本」としてはかなり特異なセレクションのうちに置いてみることによって、はっきりとさせられているように感じました。