【感想・ネタバレ】5と3/4時間目の授業のレビュー

あらすじ

あたりまえを疑ってみると、知らない世界が見えてくる。
「ぼくは、先生の役割って、一つの狭い常識のなかで生きている人に、そうじゃないよと教えてくれて、でも、その答えは自分で見つけなさいよ、といってくれることだと思います。」(本書より)

〈目次より〉
1日目・たぶん、読んじゃいなよ!
カリキュラムにはのらない授業/ソクラテスはなぜ自分で書かなかったのか/想像力を生む場所/「絶対にありえないこと」を疑ってみる/自分で探さなければ、先生には出会えない/「自殺をしてもいいのか?」―鶴見俊輔さんの答え/正解が見つからない問いに、どう答えるか/「外側」から考える/常識ってなんですか?

2日目・なんとなく、書いちゃいなよ!
小学校と工場の共通点は?/自由な論理は「危険」かもしれない/考えるときの基準は自分しかない/「浮かない感じ」―吉本隆明さんの戦争体験/説明できないモヤモヤを大事にする/「渋谷109方式」で文章が書ける!/自分以外の「私」を想像して書く/ほかの誰にも書けない文章ー木村センさんの遺書/「自分」という不思議なものを、ことばにする

本書は17歳の特別教室『答えより問いを探して』を文庫化の際、改題したものです。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

8月の終わりに学校へ行きたくない…と思っちゃった人へ。

たぶん、誰しもが思うことだと思う。たとえ、どんなに好きな場所であったとしても、ときには思うことだ。でも、ちょっと立ち止まって、なんで行きたくないと思うのかを考えてみてほしい。この本は、そういう正解のない問いについて考えたり、常識だと言われていることに改めて目を向けたりする大切さを教えてくれる本だ。学校に行くことが正義なのではなく、人生を生きるうえで自分にとっての「先生」を見つけることが重要だと身に沁みて感じた。

0
2023年07月10日

Posted by ブクログ

作品紹介・あらすじ

あたりまえを疑ってみると、知らない世界が見えてくる。
「ぼくは、先生の役割って、一つの狭い常識のなかで生きている人に、そうじゃないよと教えてくれて、でも、その答えは自分で見つけなさいよ、といってくれることだと思います。」(本書より)

〈目次より〉
1日目・たぶん、読んじゃいなよ!
カリキュラムにはのらない授業/ソクラテスはなぜ自分で書かなかったのか/想像力を生む場所/「絶対にありえないこと」を疑ってみる/自分で探さなければ、先生には出会えない/「自殺をしてもいいのか?」―鶴見俊輔さんの答え/正解が見つからない問いに、どう答えるか/「外側」から考える/常識ってなんですか?

2日目・なんとなく、書いちゃいなよ!
小学校と工場の共通点は?/自由な論理は「危険」かもしれない/考えるときの基準は自分しかない/「浮かない感じ」―吉本隆明さんの戦争体験/説明できないモヤモヤを大事にする/「渋谷109方式」で文章が書ける!/自分以外の「私」を想像して書く/ほかの誰にも書けない文章ー木村センさんの遺書/「自分」という不思議なものを、ことばにする

本書は17歳の特別教室『答えより問いを探して』を文庫化の際、改題したものです。

*****

読み進めていくうちに「あれ、どこかで読んだことあるな」と気が付き、調べてみたら「単行本『答えより問いを探して』より改題」とある。そしてこの「答えより問いを探して」は6年程まえに既読だった。今回再度読み直してみても感想はその時とあまり変わらず。なのでその時の感想を転記します。



本書は、2018年6月10日~11日、きのくに国際高等専修学校において、高橋源一郎を迎えて行われた授業を元に再構成されたもの。
きのくに国際高等専修学校とは、「広く国際的な視野を持ち、自分自身と社会について深く考えたい人のために、少人数で社会問題、国際問題、英語などを重点的に学習する学校」。
特徴として「学年がない」「時間割に普通の教科の名前がない」「宿題がない」「先生と呼ばれている大人がいない」「大人の給料に差がない」「廊下がない」「学校と地域社会との壁がない」「堅苦しい儀式がない」「校長室がない」「お金もない」を挙げており、きちんと文部科学省の認可を受けた正式の学校であるとのこと。
「学年がない」ので高校○年生を対象にした授業、という明確な切り分けは出来ず、本のタイトルにある「17歳の特別教室」から推測するに、17歳前後の少年少女を前にした授業ということになるのかな。

内容は高橋源一郎と生徒たちの会話で成り立っている。
1日目が「たぶん、読んじゃいなよ!」2日目が「なんとなく、書いちゃいなよ」という授業になっている。
簡単に要約すると1日目は本の中にいる大切な先生の紹介、2日目は文章上達の方法、ってところだろうか。
まぁ、この学校の校風からして「授業」という表現自体が間違っているのかも知れないけれど。

あまり詳細に書くとネタばれになりそうなので辞めておくが、僕がもし中~高校生だったら「ああ、こういう授業を受けたかったなぁ」と心の底から思う。
ここには暗記をしたり、方程式を習ったり、先生の質問に「先生の期待している」返答をしたりする姿は全くない。
その代わり、自分自身で「論理的」に考え、「常識」を疑い、「恥」をかき、お互いを「理解」する大切さなどを教えている。
本書の帯には「学校では教えてくれない本物の知恵を伝える白熱授業」とあるが、まさに「知恵」の大切さを説いているように思える。
しっかりと身に付けた「教養」も大切だけれど、その「教養」を正しく使えるための「知恵」がなければ意味がない。
そんなことを教えているように思える。
まさに「答えより問いを探して」なのだろう。

余談になるけれど、「小説に『誤読』はない」という、とても勇気づけられる教えがあった。
僕のように、小説を読んで「あれ、こういう受け取り方でいいのかな」なんて思い悩むことがたまにある人間にとっては金言ですね、これ。

もうひとつ、とある書籍から木村センさんという方の文章が紹介されている。
僕が今までに読んできたどんな文章よりも、胸をギュっと締め付けられる、いつまでも忘れることの出来ない美しくも重たい文章だった。

0
2025年09月09日

Posted by ブクログ

高橋源一郎の文章とか考え方が好き。

文学と哲学の役割はなるほどなと思った。
文章を読んでると、共感することや、逆に違うんじゃないかって思うことがあって、そういうことをきっかけにして自分の基準を形成していくって視点をもてた。

プラグマティズムの「世界には真理などない」とする価値観はすごく腑に落ちた。自分にとっての真理を探究し続ける姿勢を持ちたい

0
2025年03月30日

Posted by ブクログ

感想を書かなきゃ。それも他の誰とも被らないような。

森巣博の息子の話が出てきた。彼はパーソナリティ障害を患っていて、普通の方法では学校に通えなかった。だけど彼には特別な才能があって、伸び伸びとさせてくれる両親がいて、それから特例で大学入学を認めてくれるような制度ができて。その後の彼は名門校の教授を弱冠二十歳で務めるような人物に。完璧なハッピーエンド。


だけど僕はこの話に、すごくモヤモヤする。

「成功とは他の人の失敗を意味します」というアーシュラ・K・ル=グィンの言葉とも重なるけど、きっとそう上手くいく人ばっかりではないはず。パーソナリティ障害や、それに準ずるようなハンディキャップを抱えて、天才的な数学の才能も持ち合わせず、特別な措置もなされないような人が、大勢いるはず。少なくとも、森巣博の息子のような例は完全に例外的。

自分の好きな小説を、先生の書き置きだけが残る教室になぞらえる比喩が美しかった。いつでも訪れることができて、絶対に先生はどこかにいるはずなんだけど、顔を合わせることはない。昔から置かれているはずの様々なインテリアに、ときどき気がつく。僕にとってそんな教室はどれくらいあるだろう。たまには顔を出さないとな。

0
2022年10月28日

Posted by ブクログ

きのくに国際高等専修学校で行われた二日間の特別授業。問いの答えに問いで返すことにより、思考が深掘りされる。高橋さんの授業スタイルは今でこそ興味深く思えるが、10代の自分なら苦手意識を持ったかもしれない。つい「わかりません」と答えてしまう気持ちが痛いほどわかる。それにしても、学生たちの書くセンスには目を瞠るものがあった。課題レポートというより短いテーマ小説のようで、その想像力が素晴らしかった。

0
2022年06月23日

Posted by ブクログ

氏の文学評論は好きなんで、本書も期待通りの内容。といいながら、出される課題は大変だと思うし、軒並み順番に当てられるのも負荷が大きいし、学生時代だったら好きになれんかったかもしれん授業内容だけど、高みの見物には問題なし。それにしても、氏も自身の子供を通わせているというこの学校、なかなかに気になる存在ですね。

0
2022年04月21日

Posted by ブクログ

読まれることを前提に書かなければ文章は上達しない。
自分以外のの何かについて書いた文章が、図らずも自分の隠された一面を表現する。

0
2022年05月14日

「小説」ランキング