高橋源一郎のレビュー一覧
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エッセイとされているが、書評としての印象が強い。たまに映画や漫画も取り上げられているが、だいたいは書籍について。高橋源一郎の書評エッセイは、むかしからだいたいこんな感じの作りである。
小説家だからといって本をたくさん読むとは限らないが、高橋源一郎はよく読んでいる。これもむかしから。そして、批評眼に関しては衰えが見られない。
申し訳ないけれども、高橋源一郎の小説に関しては、一時的にすこし盛り返すことはあれど、初期作以降はずっと低空飛行だと思う。最初の2冊、「ジョンレノン対火星人」と「さようなら、ギャングたち」は、とても良い小説だったけれども、それ以降はちょっと。
ただ、くりかえしになるけど -
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作品紹介・あらすじ
2011年から令和まで、計6回おこなわれた本をめぐる対話から、日本社会が浮かび上がる。思いもよらない解釈や、意外な作品との繋がりなど、驚きと発見に満ちた、白熱の対談集!
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雑誌「SIGHT」の年末に掲載されていた「ブック・オブ・ザ・イヤー」という高橋源一郎と齋藤美奈子の対談を集めた本。タイトルには「この30年」とあるが、実際の「ブック・オブ・ザ・イヤー」は2011年から2014年、及び2019年と2021年の計6年分が掲載されている。「30年」というのは平成~令和を総括したような形で記述されていることを指しているのだと思われる。
それにしても高橋源一郎も齋 -
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高橋源一郎先生が20年かけて翻訳した論語の解説本。なかなかのクセつよ翻訳だが、そのクセがゆえに、何が通説から漏れていた情報なのかが分かりやすい。
高橋先生がはじめて論語を翻訳した時、意味はわかるのだが、孔子が何を言いたいのかは分からなかったそうだ。そして、「孔子先生がいうことがわかるまで決してこの人のもとを離れまい」と決めたのだそうだ。だからこの本は、「孔子先生の教室に20年通っている間に、ぼくがとったノート」なのだと。
このエピソードは、内田樹先生がエマニュエル・レヴィナスに(勝手に)弟子入りした時のことを思い出させる。賢い人は、師をみつけるセンサーが敏感で、師から勝手に学んで、そうしてま -
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天皇と憲法、韓国・朝鮮、新型コロナ・ウイルスという三つのテーマについて、著者自身が学び、考えてきたことが書き記されている本です。
「ぼくたちが生きてゆくとき、なにか困難なことが生じたら、自分の「考え」で対処したい」と著者はいい、そのためには「知識が必要だ」と主張します。とはいえ、どんな事柄であれ「完全な知識」に到達することは不可能であり、だからこそ学びつつ考え、考えつつ学ぶことがたいせつだというのが、本書における著者の立場なのだと思います。
たとえば著者は、天皇や憲法についてみずからの考えを開陳したあと、つぎのように述べています。「この「考え」には、いいところも、むちゃくちゃなところもある -
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高橋源一郎による、小説とは何か?を解説した本
以下、公式の概要
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世の中には小説の書き方に関する本があふれている。そういった本の読者の大半は、小説を書きたい、あわよくば小説家になりたい人だろう。しかし、本書の「少し長いまえがき」の中で、高橋源一郎は早々に断言する。「わたしの知っている限り、『小説教室』や「小説の書き方」を読んで小説家になった人はひとりもいません」。なぜか。「小説家は、小説の書き方を、ひとりで見つけるしかない」からだそうだ。
しかし、著者は小説家志望者の夢を打ち砕こうとしているわけではない。この本は、標題どおり「1億3000万人のため