【感想・ネタバレ】日本文学盛衰史のレビュー

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(単行本版)
おもしろい!
おもしろいんだが、なかなか読み進められなかった。

「注および謝辞」に本文中の島崎藤村の詩と石川啄木の短歌の多くは谷川俊太郎と穂村弘が本作品のために書き下ろしたとある。
そう!啄木の短歌は穂村さんっぽいと思った。

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2021年11月01日

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日本語の新しい表現形式を求めて悪戦苦闘する明治の文人たちを現代に蘇らせることで、彼らが何を思い、何に悩み、どう生きたかという実像に迫ろうとする著者の姿勢は、そのまま現代の小説という形式をどう捉えるかという著者の姿そのものである。

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2019年03月29日

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明治文学の熱量が散りばめられている。
啄木、漱石、四迷、藤村、鴎外、紅葉…それぞれのキャラクターが虚実原著過去現在織り交ぜて書かれていて引き込まれる。
あと、「こころ」をめぐる考察は鳥肌もの。

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2016年09月23日

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ネタバレ

この本を読めば日本のいわゆる近代文学の成り立ちというものが、一通り学べるでしょう。……というのは嘘。ただし、かかわった人物たちの苦悩やら想いやらは感じる。笑いあり涙あり、日本文学盛衰史ここにあり。個人的には啄木のメールの所で腹抱えて笑いました。文学史に詳しければ詳しいほど楽しめるでしょう。

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2011年07月25日

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近代文学者たちがたーっくさんでてくる小説。終始爆笑。そしてしみじみ。読んでいる間、とにかく楽しい。ただ、近代文学史をよく知っている人ほど楽しいと思うので(逆に言うと、詳しくない人が読んでもあまり面白くないかもしれない)、ふつうの小説としてはあまり周囲にホイホイ勧めない。ある程度勉強して読むのをお勧めします。

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2010年02月09日

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第13回伊藤整文学賞を受賞した力作。
二葉亭四迷の死に始まり、現実か空想かよく分からない、明治時代の文豪たちの物語が描かれる。
この物語は、「原宿の大患」を境にして、前編と後編に分けられるだろう。
前編では、「日本文学」を成立させるための文豪たちの苦悩が描かれる。
後編では、作者である高橋源一郎の視点が入ったように感じられる。
全編を通して、「日本文学」が作られていく様を見ることが出来る。
高橋源一郎は、文学について考える機会とヒントを与えてくれる素晴らしい作家だ。

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2010年01月11日

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最近はまっている高橋源一郎。
そんな彼の代表作と言っても過言ではない2002年伊藤整文学賞受賞作。

全編日本文学に対するパロディ。超パロディ。
高橋源一郎にしか出来ない芸当。

なぜか森鴎外に「たまごっち」をねだる夏目漱石。

伝言ダイヤルにはまり、ブルセラの店長になってしまう石川啄木。

啄木が超貧乏だったのは、女子高生と援助交際しすぎだからって設定になってたり。

私小説の極みに自著『蒲団』をAV映画として監督してしまう田山花袋。



花袋はカメラマンにこう言われる。

カメラマン「でも先生は『露骨なる描写』をやりたいとおっしゃった。先生がほんとにやりたかったのは『露骨なる描写』ですか、それとも文学ですか」

花袋「だから『露骨なる描写』に基づいた文学だよ」

カメラマン「ということは、文学で『露骨なる描写』が出来るとお考えなのですか。」


こんな風にAV監督とカメラマンが語り合う。
なんてシニカル。


さらに、島崎藤村と田山花袋の会話。

花袋「島崎」

藤村「なんだ」

花袋「ちょっと聞いていいか」

藤村「いいよ」

花袋「おまえ、オナニーするよな」

藤村「ええっ?」

花袋「オナニーだよ。オナニー」

藤村「なんだよ藪から棒に。僕は妻帯者だよ。」

花袋「妻帯者がなんだよ。妻帯者だろうと独身だろうと、ふつうオナニーぐらいするだろ。まさか、もうしなくなったなんていわんよな」

藤村「まあ、たまには……」

花袋「じゃあ、オカズはなにを使う?」

藤村「オカズって……」

(中略)

花袋「なんだよ。なに、もじもじしてるんだよ。自然主義の神様が、オナニーの話ぐらいでおたおたするなっていうの。」



なにこの会話。
電車で読んでて笑いそうになった。


パロディばっかりかと思ったら、夏目漱石の『こころ』の登場人物「K」の謎に迫る「Who is K?」に唸らされたりする。

これは立派な論文。


全編40以上の章にわかれ、600ページ以上の対策だが、明治以降の日本の文学史や思想をある程度知っていないと、全て楽しむことは困難。
何が元ネタでどこがパロディなのか分からない。

そんな高橋源一郎はやはり天才だと思う。

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2009年10月04日

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☆10個付けてもいいと思う。
明治の文学者達の小説でありながら作者自身が倒れた話(何故か胃カメラの写真付き)、テレクラに嵌りブルセラショップ店長になる石川啄木、チャットで話題になる斉藤緑雨、AVを撮る田山花袋、バブリーな北村透谷や島村藤村に樋口一葉、作者と育児談義を交わす森鴎外、「こころ」のKは誰だったのかなど縦横無尽で前代未聞の内容である。
しかしその根底には、二葉亭四迷や山田美妙らによって作られた「言文一致」を使って文学を生み出そう、生み出せるのか、いやもしかしたらそもそも文学など不可能ではないのかと苦しむ文学者達の群像が描かれている。「読み手」としては楽しめたが、素人ながら「書き手」である「私」はかなりゾッとさせられた。

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2009年10月04日

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ネット恋愛にはまる横瀬夜雨。黒いミニのスリップから、ピンヒールをはいた形のいい脚をのぞかせタバコをふかす樋口一葉。現代文化を背景にすることで、文豪たちの人物像がより身近になる。理想の文学を追い求めた、彼らの時代は確かに在ったのだ。そして現在、「僕らの時代」もここに在る! 

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2009年10月04日

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当たり前に読んでいる今の口語の文体への挑戦。表現への挑戦。バトンを渡しながら確立されていく過程と明治という時代のおもしろさ。

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2020年07月13日

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 平田オリザの「青年団」がお芝居にしているそうで、見たいのだけれど、東京は遠い。町田康は読めないけど、高橋源一郎にはハマったという若い人の意見を聞いて、首を傾げたりしている。まあ、町田と高橋は違うけど。でも、そういう人は初めの頃の高橋君も読んでみるといいと思う。ひょっとしたら・・・・。
考えていたら、なんか気分が変になってきた。この小説を面白く読みながら、つくづく、高橋君も年をとったんだと、ぼくは思ったけど。
 どこまで行っても、彼が書こうとしている「小説」とやらの正体がわからないのは、つづくのかな。そんなふうにも感じたりした。そりゃあ、胃潰瘍にもなるよな。

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2019年02月15日

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 2010年02月03日~15日

 面白かった。
 面白かったのだが、もっと面白い高橋源一郎氏の作品が何冊もあることを知っている。

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2018年01月06日

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ネタバレ

明治文学にそれほど明るくない自分でも充分楽しめた。背伸びして、二葉亭四迷や国木田独歩を読んでみたくなった。 特に「WHO IS K ?」の章、夏目漱石『こころ』に登場するKは石川啄木であるとの作者の推論には、妙に納得させられた。

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2015年02月27日

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ネタバレ

まじめにフマジメに描く明治大正文学史。物語の時間軸が現代と錯綜しているのでメタ的に読まないと分からないところもあり、結構複雑かもしれない。「私小説」による「告白」が(自然主義の)代表的な表現形式ならば、この小説はどうなのか?とか考えてみると面白と思う。

しかし、僕達は「平成文学」を持ち得ているのだろうか?「ゼロ年代」など、10年間で廃れるようなしょーもない時代わけではなく、「平成」を代表するような文学はあるのか。平成元年世代の僕は村上春樹ではない気がするのだが。

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2013年05月14日

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章ごとのバラツキが大きいというか、面白いなーと思う場面があったかと思えば、全然面白くない場面があったりする。田山花袋がAV監督に挑戦するところとかはページを捲る手が止まらないほどだった。けど、終盤は読んでて寝てしまいそうなほど退屈だった。なんだかんだ言っても結局は、高橋源一郎はブンガクの人なんだなぁ、と思わせた作品でした。

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2012年07月25日

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当時の文壇を今日の世界で再現した秀逸な一作。
パロディとして楽しめるのはもちろんだが、斬新な解釈や鋭い表現に驚かされる。
そして、投げかけられる普遍的な視野……

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2012年04月06日

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 文壇なんてのは偉そうなふりをしちゃいるが、どーしょーもなく俗っぽい一面もまた併せ持っている。西洋で生まれた文学を日本に移し替えようと悪戦苦闘する明治初期の「文学者」達や漱石を筆頭とする明治の文豪達を、現代の性風俗と明治が混じり合う不思議な世界観で映し出すことで、普通じゃ堅苦しくてつまらない「文学史」が実に面白いものに仕上がった。田山花袋がAV監督になり、石川啄木が援助交際にはまり込む。しまいにゃ最後はブルセラ店の店長で副業とは大爆笑間違いなし。

 かといって著者は別に悪意を持ってちゃかしているわけではなく、むしろ若き日には文学青年だった著者の言文一致運動をはじめとする日本近代文学のパイオニア達への尊敬の念は痛いほど感じられるし、かれらの苦悩も一部の悪ふざけが嘘のような深刻さを伴って描かれる。さらには漱石などへはユニークながら鋭い文学批評を試みていたりもしているのだ。なのでまったく不快感はないし、むしろ一度でもじゅんぶんがくに嵌っていた人をターゲットとしたならば、これ以上の確信犯的娯楽小説はないだろう。

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2010年08月23日

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文学史・・・詳しくない・・・
大学のゼミの先生が出演していてその部分は少し笑った。そんな感じで、知っていたらもっと楽しく読める部分もあったのだろうと、惜しく思った。いいものを見たときはいつもそうだけど、その制作姿勢に自分の甘さを痛感。

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2009年10月04日

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第13回伊藤整文学賞受賞作。

明治の近代文學、ひいては現在われわれが使つてゐる日本語の黎明期をパロディで綴つてゐる。
下手な文學史の書物を讀むよりも本書を讀んだはうが、近代文學への興味を喚起することが出來るだらう。
さういふ意味で、中學校の國語教科書にでも掲載して貰ひたいものである。

2004年7月18日讀了

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2009年10月04日

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日本文学史の中で近代の作家たちが実現したかったことを一部切り取って現代の風俗を織り交ぜながら描いた本。つまり近代作家の思想やそれがどんな影響を文学界に与えたのか、をわかりやすく解説している。わかりやすい解説漫画があるように読みやすい解説小説にしたもの。その意味で勉強になるが、ただ軽い。

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2021年04月03日

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「小説とは」、「文学とは」ということを明治の文豪達とともに高橋さん共々読者も考える作品。作家たちが時代の条件の中で、何を感じ、行動したのか、資料と高橋さんの想像を交えながら描かれる。斬新な手法に最初はびっくりだったが、現代に置き換えることで、当時の彼らの立ち位置がよりわかりやすく理解できたように思う。大逆事件に対するそれぞれの反応、「こころ」のKを啄木とする説は特に興味を惹かれた。

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2012年01月01日

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思いっきりまとも、かと思いきやごく自然に妙なことが出てくる。「え、あれ?あれれ?」みたいな。うまく言えませんが。「あ・だ・る・と」のピンの名前がどうしてピンなのかこっちを読んで初めてわかったというどうでもいいような感動(?)があった

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2009年10月04日

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