高橋源一郎のレビュー一覧
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ネタバレノスタルジーとか郷愁を感じた。作者の昔話を読んでいるからかもしれない。過去の出来事と現在の出来事を自由に行き来して、自分なりに分類していて、人生経験の多さと、作者が若者ではないことを感じた。
いくつも、面白いエピソードがあるけれど、心に残ったのは、家族の話。特に自分の父親や母親の話。
もしかしたら、ぼくたちは、ある時期、たとえば十三や十四で「自分」というものになり、そこから先は、ほとんど変わらないのかもしれない。そして、いつかおとなになる、と思いながら日々を過ごし、ある日、突然、いた自分を見ておどろくことになるのかもしれません。
実は、私もそう思っていた。自分の心の内が文章になっているよ -
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ラジオを聴いていて、楽しみにしているので買いました。文章はそんなに上手いと思わないが経験に基づく内容がとても面白い。途中まで読みましたが、病院の待合で読もうとあえてとってあります。まあ、何度も読んでも楽しいと思いますが。私には作家だった伯父(地方でささやかな創作活動をしていた)がいましたが、面白い本や、子供の知らないふしぎな世界を教えてもらった気がします。子供には、親以外にも人生の楽しみや滋味のようなものを教えてくれる大人が必要だと思います。源一郎さんはまさにそんな感じの大人。こんなおじさんがいたら楽しかったなぁという気持ちで読んでます。
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Posted by ブクログ
振り返ってみると、自分がTwitter を始めたのが2010年1月。ブログやmixiやFacebookにウンザリしていた自分にとって、しがらみも無く、自分の興味の対象である作家やミュージシャンの生の(と当時は思ってた)言葉をキャッチできるTwitter に一番興奮していた。本書に収録されている「午前0時の小説ラジオ」が始まったのが、2010年5月。それから10年以上経ってSNSは大きく様変わりしたけど、Twitter で出会った最良のもの(の一部)がここに再録されている。当時リアルタイムで読んだ感覚が少しだけ蘇ってきた。本当に貴重なものだと思う。
この『メイキングオブ「悪」と戦う』以来、作家 -
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感想を書かなきゃ。それも他の誰とも被らないような。
森巣博の息子の話が出てきた。彼はパーソナリティ障害を患っていて、普通の方法では学校に通えなかった。だけど彼には特別な才能があって、伸び伸びとさせてくれる両親がいて、それから特例で大学入学を認めてくれるような制度ができて。その後の彼は名門校の教授を弱冠二十歳で務めるような人物に。完璧なハッピーエンド。
だけど僕はこの話に、すごくモヤモヤする。
「成功とは他の人の失敗を意味します」というアーシュラ・K・ル=グィンの言葉とも重なるけど、きっとそう上手くいく人ばっかりではないはず。パーソナリティ障害や、それに準ずるようなハンディキャップを抱え -
Posted by ブクログ
【感想】
非常に示唆に富む本だったと思う。本としては厚いが、文章が読みやすいため、すらすらと読める。様々な本や詩集等から引用がなされ、戦争というものを多角的な視点から見ることができる。戦争とは、こういうものだと広く一般化されている見方だけではなく、他国からの視点、教科書、詩集、大きな言葉ではなく、ぼくらの世界の中の小さな言葉で語られた戦争等多くの立場からの戦争の語られ方があった。
この本で筆者は、こうこう語られてるけど、これはこういう立場で語られていて、こっちはこういう立場で語られているからこっちが正しいと主張しきる訳ではなく、読者に考えさせる、もしくは著者も考えている道中であり、経過なの -
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中村文則さんのエッセイを最近読んだので、その繋がりで読みました。
太宰治の人となりについてはほとんど何も知らないので、読む前の勝手なイメージでは「気難しく人嫌い」な人かと思っていましたが、作品を読むと「ユーモアの感覚もあって、実際に話せばあんがい話好きな人だったんじゃないか」という印象を受けました。
個人的に良かったのは富嶽百景の一場面で、天下茶屋の2階に寄宿している主人公が店の人間とも親しくなってきた頃、店の若い女性店員が1人で客の相手をしている時に、わざわざ1階に降りて隅でお茶を飲みながら遠巻きに見守ってあげているところです。
そんなにあからさまな優しさを出す感じの主人公じゃないんで -
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ネタバレ2022/08/28予約 11
7ヶ月以上待って読む本。
「両親はわたしを信じたのではありません。嘘であるとこも知っていました。けれども、彼らはわたしを追い込みませんでした。彼らは「信じるという決断」をしたのです。誰かを信じるのは、その人が信じられるからではありません。その人を信じたいから、あるいは、信じる決断をしたからだとわたしは思っています。そして、その決断が、いつかその人に通ずると信じたいからです。見返りがなくても、裏切られても。「信じる」ことは「愛する」ことと同じなんですよ」
これを自分の子どもには心がけなければ。
家族は一過性の集合体。
子どもが巣立つときには執着しない。
嫁