【感想・ネタバレ】「ことば」に殺される前にのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

高橋源一郎先生の本は、いつも知性と節度で満ちている。
一人称代名詞を、「ぼく」から「おれ」に替えて書かれたものも、一見荒々しく想いをぶつけているように見せているけれど、それでも、そこには節度がある。その節度に、僕は大人の知性を、僕よりも長く生き長く考えてきた人の信頼を見る。

最もグッときたのは【メメント・モリ】。
幼い子供たちの、「ままのおなかにもどりたいな」「しにたくないから?」という衝撃的な会話から始まり、『生きている者には死にゆく者にかけることばなどなくていいのだ』、『ひとりで「死」に向かう者を、癒してくれるのは、彼の懐かしい「死者」たちなのだ』に至る、深い深い話。
身近な人を亡くしたことがあるとか、亡くそうとしている人には、必ず感じるものがあると思う。

【メイキングオブ『「悪」と戦う』第8夜】
・私たちは、自分のことしか知らない。
・なのに、小説は、作者自身ではない他の「ぼく」について書こうとする。
・それは、小説が、正しくあることよりも、他の「ぼく」と繋がることを最大の使命としているからだ。

【帯に記載のあった本文抜粋】
「かつて、ツイッターは、中世のアジール(聖域)のように、特別な場所、自由な雰囲気が感じられる場所であるように思えた。共同体の規則から離れて、人びとが自由に呼吸できる空間だと思えた。だが、いつの間にか、そこには、現実の社会がそのまま持ちこまれて、とりわけ、現実の社会が抱えている否定的な成分がたっぷりと注ぎこまれるような場所になっていた。(中略)「ことば」は人を殺すことができる。だが、そんな「ことば」と戦うことができるのは、やはり「ことば」だけなのだ。」(本文より抜粋)

0
2024年04月10日

Posted by ブクログ

もう10年も前にtweetされたものだけど、なるほど、ヘイト溢れる昨今のSNS界隈にこそ、その風潮に対する疑問として機能する。ならではの読書論もふんだんに盛り込まれていて、小説は苦手だったけど、エッセイについては、今回も変わらず堪能させて頂きました。

0
2021年06月07日

Posted by ブクログ

振り返ってみると、自分がTwitter を始めたのが2010年1月。ブログやmixiやFacebookにウンザリしていた自分にとって、しがらみも無く、自分の興味の対象である作家やミュージシャンの生の(と当時は思ってた)言葉をキャッチできるTwitter に一番興奮していた。本書に収録されている「午前0時の小説ラジオ」が始まったのが、2010年5月。それから10年以上経ってSNSは大きく様変わりしたけど、Twitter で出会った最良のもの(の一部)がここに再録されている。当時リアルタイムで読んだ感覚が少しだけ蘇ってきた。本当に貴重なものだと思う。

この『メイキングオブ「悪」と戦う』以来、作家高橋源一郎にすごく傾倒している。子どもの頃は競馬解説者だとばかり思ってたんだけどな 笑

0
2022年12月05日

Posted by ブクログ

「限りなく、弱々しいかもしれないが、わたしは「自分の考え」で判断したかったのだ。仮に、その判断が間違っていたとしても。」
「(批判は、愛の成就のような繊細さを持って、行うべし」

0
2022年08月24日

Posted by ブクログ

Twitterの連続ツイートが本に。
Twitterでリアルタイムには読んでいないが、やはり本になったほうがなんだか重みがある(この考え方がそもそも古いのかも)
著者のゼミを受けた学生が羨ましい。
卒業に贈る言葉、愛を感じます。

いろいろな考え方があるなか、一方通行にならないそれぞれの主張が交わるとき、SNSのメリットが発揮できるのだけれど・・・
なかなか思いを文字に起こすことはもどかしく、言葉の力は大きいけれどそれを表現するのは難しいこともしかり。

0
2021年08月30日

「エッセイ・紀行」ランキング