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Posted by ブクログ
先生は左翼文化人とのレッテルを貼られがちだが、単に政治の愚昧を嘆いているだけだ。憲法すらも一種文芸批評の方法を持って提示してくれているため、むしろ一切の偏りがない。その上で憲法論議が引っかかっているトゲをクローズアップして見せてくれた。自ずと天皇論も、先生が誰もに向ける人間への慈しみを注ぐ点においてよりヒューマニズムを感じることができた。この視点と立ち位置は続く韓国朝鮮関連の章においても、コロナの章に至るまで貫かれている。
かといって高踏派だとか相対主義などとは全く違う主張があり、納得してしまう。どうやらシリーズになりそうなので、タイムリーに発刊していってほしい。「年刊 高橋源一郎」ならばもちろん定期購読したいのだ。
Posted by ブクログ
天皇そして憲法、朝鮮と韓国、さらにコロナ禍。これらについて、きちんと立ち止まって考えるということがないから、この本は確かに「たのしい」知識が満載だった。憲法9条は変えるべきなのか、変えないとしたらなぜなのかが少しわかった気がするし、日本人は、韓国、朝鮮の人たちと立場があの時変わっていたら、どう感じていたんだろうか、コロナはまたオミクロンが猛威を振るってあっという間に東京は13,000人を超えてしまった今日、この三つだけでなくさまざまなことを考え、考えたいのか考えなければいけないことだから考えるのか、わからないけどそういうことが満載の毎日をこれからも繰り返して行くんだな…
Posted by ブクログ
天皇と憲法、韓国・朝鮮、新型コロナ・ウイルスという三つのテーマについて、著者自身が学び、考えてきたことが書き記されている本です。
「ぼくたちが生きてゆくとき、なにか困難なことが生じたら、自分の「考え」で対処したい」と著者はいい、そのためには「知識が必要だ」と主張します。とはいえ、どんな事柄であれ「完全な知識」に到達することは不可能であり、だからこそ学びつつ考え、考えつつ学ぶことがたいせつだというのが、本書における著者の立場なのだと思います。
たとえば著者は、天皇や憲法についてみずからの考えを開陳したあと、つぎのように述べています。「この「考え」には、いいところも、むちゃくちゃなところもあるだろう。もしかしたら、明日は、ぼくはもっと別のことを考えているかもしれない。……だから、いつまでたっても、決定版にたどり着かないかもしれない。でも、それでいいんだと思う」。
こうしたスタンスでつづられている文章が、たとえばブログなどではなく、本という形態で刊行されていることに、さいしょはすこし戸惑いを感じましたが、本書のなかで著者が「あいだ」の重要性を語っているところを読んで、すこし著者の意図を理解することができたような気がします。本書でとりあげられている三つのテーマはいずれもアクチュアルな問題だといってよいでしょう。しかし著者は、それらの問題に対する明快な答えを出すことをめざしているわけではないようです。むしろ著者は、問いと答えを明快に直結する道をめざすのではなく、その「あいだ」に立ち止まって考え、そうした場所でことばを綴ろうとしているように思えます。
ペストやスペイン風邪などの感染症が人びとの記憶から去っていったあと、それらの猛威のなかに立つという経験をわれわれに教えてくれるのは、小説家たちのテクストだと著者はいいます。著者もまた、アクチュアルな問題をめぐる喧騒のなかに立ちつつ、その体験を考えことばにしようと努めているのでしょう。
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