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日本人に民主主義はムリなのか? 絶望しないための48か条。
「論壇時評」はくしくも3月11日の東日本大震災直後からはじまり、震災と原発はこの国の民主主義に潜んでいる重大な欠陥を炙り出した。若者の就活、ヘイトスピーチ、特定秘密保護法、従軍慰安婦、表現の自由……さまざまな問題を取り上げながら、課題の解決に必要な柔らかい思考の根がとらえる、みんなで作る「ぼくらの民主主義」のためのエッセイ48。
大きな声より小さな声に耳をすませた、著者の前人未到の傑作。
2011年4月から2015年3月まで、朝日新聞に大好評連載された「論壇時評」に加筆して新書化。
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Posted by ブクログ
学校教育の授業の現場で扱いにくい話題は、性、宗教、そして政治。それは塾でもさほど変わらない。入試過去問題の文章にそれらが扱われていても、何となく回り道せざるを得ない(平安古文なんか大変!)。しかし、日常の会話でも取り上げにくいそれらこそ、実は、教育の現場で語られるべきものだとも思う。オープンに議論するという土壌のないこの国で、民主主義を考える機会が確保されていると言うことはできない。◆この本は、朝日新聞に月一回掲載の「論壇時評」の最近四年分をまとめたもの。扱われる言説の範囲はいわゆる「論文」だけにとどまらず、雑誌の記事やインターネット上の発言、YouTube の動画までに及ぶ。難しい言説だけを取り上げて高所から見下ろすのではない、著者の柔らかな姿勢が伝わってくる本だ。◆一冊の本としてあらためて読むと、著者の一貫した姿勢が伝わってくる。戦争の過ちと犠牲の上にようやく作り上げてきた民主主義を、現代の私たちが大切にしていない事実を考察する。「反知性主義」とも言われる、ヘイトスピーチやバッシング、国家全体の右傾化が、民主主義を虚構に過ぎないと暴こうとする。しかし、それらの「思想」もまた、自己肯定のための虚構に過ぎない。どちらを「現実」として選択するかは、私たち次第なのだ。戦後七〇年を迎える今夏、この本を、学校の夏の課題に埋もれることなく、「ぼくらの」という言葉の意味を、自分の頭で考える契機としてほしい。(K)
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2015年6月号掲載
Posted by ブクログ
「そこには常にそれ以上のことがある」このスーザン・ソンタグのことばに集約されているように思う。右だ左だリベラルだ保守ださらには善と悪、愛と憎しみなど、およそすべての単純な二元論で結論してはいけないということだ。かといってニヒリズムや相対主義、その他思考停止は、決して許さないという立場。
一見飄々とした高踏に見えるかもしれないが、実は静かにここまでできての知性主義と迫ってくるのを随所に感じる。どこまでも広げる想像力と深い思考、これらに瞬時の行動とコミットメントを要求されているのだ。あとがきを読めばそれは著者自身があえて踏み込んでいった姿勢というのがわかる。
知的であること、肝要であることのこれほどまでに過酷であることを知る。
「私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても、国と国との関係においても」美智子皇后つまり現在の上皇后のすさまじいとも感じる言葉。この本当の意味の知性に満ちた文章を得られただけでも貴重であった。
Posted by ブクログ
1762年3月、ひとりの新教徒が冤罪によって処刑された。それを知ったヴォルテールは「人間をより憐れみ深く、より柔和にしたいとのみ念じ」不滅の『寛容論』を書いた。ヴォルテールが見た光景は、わたしたちがいま見ているそれに驚くほどよく似ている。
ヴォルテールは終わり近くにこう神に祈りを捧げた。「どれをとっても完全ではないわれわれの言語、すべて滑稽なわれわれの慣習、それぞれ不備なわれわれの法律、それぞれが馬鹿げているわれわれの見解、われわれの目には違いがあるように見えても、あなたの目から見ればなんら変わるところのない、われわれ各人の状態、それらのあいだにあるささやかな相違が、また『人間』と呼ばれる微小な存在に区別をつけているこうした一切のささやかな微妙な差が、憎悪と迫害の口火にならぬようお計らいください」
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意見というものの困った点は、私たちはそれに固着しがちだという天である…何事であれ、そこにはつねに、それ以上のことがある。どんな出来事でも、ほかにも出来事がある
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明るい希望がないなら、せめての希望は、自分を受け入れない豊かな社会が壊れる情景を見ること、となるだろう
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高橋源一郎さんの小説というのは、「ジョン・レノン対火星人」と「悪と戦う」しか読んだことがありません。どっちも、興味深くはあったし、唐突な感動があったのだけど、とっても好きかと言われるとそうでもないかなあ、というのがそのときの読後感。(だからあまり読んでいません)
のだけど、現実政治社会的な事件へのコラムニスト的な発言や、NHKラジオ金曜日の「すっぴん!」のおしゃべりを聞いているとなかなか好きだなあと思います。
と、言うわけで衝動買いした新書本。
高橋源一郎さんが新聞に1年くらいか書いたコラムをまとめたもの。コラムの意味合いとして「現実の社会政治的な出来事」と「それと向き合う言葉」みたいなテーマが通底しているようです。
東日本大震災があった年のものなんですね。そこまで知らずに買いました。なかなか胸が潰される暗い内容が多いなあと若干はじめ辟易したのですが、短い完結した文章の連続で読みやすいのと、悲観的なだけではなく「こういう本があるんだあ」「こういうことがあったんだ」などの「へーなるほど度」がかなり高かった。
豊富でタフな高橋さんの情報摂取と選択と語り口のお陰で、大変に満足な一冊。
普段いろいろ不勉強なので、素直に勉強になりました。
オモシロカッタ。
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それから、最後のコラムで、菅原文太さんの晩年の社会的なことへの対話活動が紹介されてた。
たまたま最近「仁義なき戦いシリーズ」を見直して大変に面白かったのだけれども、コラムで高橋さんも、その映画と笠原和夫さんのスバラシサに触れていて、「そうそう」と思ったりしました。原爆から始まって、原爆に終わる。
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以下あくまで自分の備忘録。メモ。とりとめもなく。
○城南信用金庫の「脱原発宣言」
○結局何もしなかった。そのつけは、もっと若い誰かに回されるのだ。
○東京外大の翻訳プロジェクト「日本語で読む中東メディア」。一大学の献身的な努力で成立しているこのサイトでしか、中東のメディアの意見を知ることができない。これだけ中東の脅威というのが政治的に利用されているのに。
○労働者がカイシャインになる。「被ばく量が多い仕事は下請に出して欲しい」
○被ばく量の多い労働に就く人の姿は、「電力の消費地帯としての東京」からは見えない。
○透明性がなければ民主主義国家ではありません。民主主義は原子力エネルギーを使う必須条件です。
○「奴隷貿易、搾取略奪収益」の乗った先進国の船を襲った海賊たち。ウィキリークスはそれと変わらない。
○ヴェルヌは科学技術の粋を集めた人工島が人間関係のもつれで崩壊することを描いた。
○「通販生活 秋冬号」。1日も早く、原発国民投票を、と書かれた。CMが民放テレビから拒否された。
○トッド「自由貿易と民主主義は長期的に両立しません」
○ヘブライ語の「救済」の語源。「抵当を買い戻すこと」
○卯月妙子さん「人間仮免中」
○保守政党の差異性までもが消失してしまったため、人々の政治的情念がより原理主義的な方向に向かうようになった
○建前と現実の乖離を「やる気」で埋めるという発想。かつての日本陸軍。
○制度として、市民自らが政治に参加しようにも参加できない仕組みが構造化されている。世界一高い供託金のルーツは1925年に制定された普通選挙法に行き着くが、それは当時の無産政党の国政進出を阻むためだった。
○オリンピックは「愛国」という「物語」がもっとも活躍する場所の一つでもある。
○民主主義とは、意見が通らなかった少数派が、それでも「ありがとう」ということのできるシステム。台湾の学生国会占拠。
○東洋経済新聞、石橋湛山。
○菅原文太さんの晩年の対話活動。「知らない」から始まる対話。
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