貫井徳郎の作品一覧
「貫井徳郎」の「紙魚の手帖」「慟哭」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「貫井徳郎」の「紙魚の手帖」「慟哭」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
早稲田大学商学部卒。1993年『慟哭』で作家デビュー、『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞2010年に受賞。『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を受賞。その他作品に『症候群シリーズ』、『明詞シリーズ』、『天使の屍』などがある。
小説・文芸
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Posted by ブクログ
心臓移植を題材にした物語で、フィクションの面白さと医療制度についての学びを同時に味わえる一冊。現実にはどこまで起き得るのだろうと設定を自分なりに推し量りつつ、読み終える頃には制度や倫理への理解が少し深まった気がした。
心臓移植を受けた主人公が、術後に自分でも説明のつかない変化を感じ始めるところから物語が動き出します。ドナーの記憶や仕草が移るという設定は物語ならではだと思いながらも、食の好みや体質の変化なら現実にも起こり得る気がして、フィクションとリアルの距離が少し近づくような不思議な読み心地でした。また、自分の身に起こる変化を不思議に思いながらも、ただ翻弄されるのではなく“救われた命を大切にしよう”と前を向く主人公の姿がとても気持ち良かったです。
さらに、作中では移植医療の制度や術後ケアについて丁寧に触れられていて、物語を追いながら自然と知識が積み上がる構成。脳死判定や臓器提供の流れなど、普段あまり考える機会のない領域に触れることで、倫理観について立ち止まる場面も多かったです。
展開に都合の良さを感じる部分もありましたが、それ以上に「学び」の比重が大きく、読後は満足感が勝ちました。エンタメとして楽しめて制度の理解も深まる、今回は迷わず☆5です。