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ダーク・ダーク
性と生殖への渇望が孤独と狂気を生む 13人の少女の妊娠騒動に揺れる高校と、夜の海で災難に遭う沿岸警備隊員を描く「総員」。夜ごと鹿に変身してしまうことを夫にどう打ち明けたものか悩む妻は……「獣」。爆弾魔の逮捕に執念を燃やし、爆弾ロボットを丹精こめて開発した男がたどる運命は……「愛の機械」。母親という自身の立場になじめず、周囲のなにもかもが不確かで、暗闇になにかが潜んでいるのではないかと恐怖に駆られる女性を描く傑作「ラブストーリー」。不妊の悩みを抱えるノーマが同じ名前を持つ“ダーティノーマ”と出会い、苛立ちを募らせていく「ストーリー・オブ」と、同じ主人公、ほぼ同じ場面から始まりながら、少しずつストーリーがいびつにずれていく連作短篇「ストーリー・オブ・オブ」。 暗く切実な感情が渦巻く出来事を、凝った構成、不気味な筆致で描き出す。一見落ち着いた日々のなか、満たされない思い、人生に対する葛藤や社会への諦念を抱く人々の孤独と狂気がリアルに迫る、ダークでシュールな十篇。 作家は米国出身、本短篇集はペン/フォークナー賞最終候補、NPR年間最優秀図書に選出され、高く評価されている。 [目次] ストーリー・オブ 総員 獣 黄色 殺戮者コルテス 家が傾きはじめた 愛の機械 ラブストーリー ウォンパム ストーリー・オブ・オブ 謝辞 訳者あとがき -
東大の経済学:激流の150年史
社会政策学からマル経・近経、そしてゲーム理論へ 東京大学に経済学部が誕生したのは1919年であるが、東大が1877年に発足して以来、経済学は講座の一角を占めてきた。 本書では、東大の発足後、現在に至るまでの150年の間に、どんな経済学を研究や教育の対象にしてきたのか検証する。 なぜ東大なのか? 東大経済学部は日本の経済学界をリードする存在であり、研究や教育のスタイルは他の大学にも大きな影響を及ぼしてきたからだ。東大経済学部の歴史は、日本の経済学界の歴史そのものだと言える。 明治の大学創設後、社会政策学に始まり、森戸事件や平賀粛学で学部に激震が走り、戦後はマルクス経済学と近代経済学が二大潮流を形成したが、1980年代以降、近経への一極集中が進んだ。その後は国立大学法人化の波に洗われ、資金調達に注力する姿が浮かび上がる。 そこで浮き彫りになるのは、近現代の学術の変遷である。本書では、日本の経済学、ひいては学問が抱える課題を明らかにし、研究や教育の行方を占う。 『経済学の壁』(日本経済新聞年間ベスト経済書2位)で話題になった著者の渾身の書き下ろし! [目次] はじめに 序章 並び立つ理論と実学——フェノロサ、渋沢栄一が教壇に 文学部の履修科目だった経済学/せめぎ合う「国家の統制」と「学問の自由」/東大の源流、蕃書調所設立を主導した勝海舟/漢学者より洋学者を求めた明治政府/理財学が学科の名称に/古典派経済学を講じたフェノロサの真意/大蔵官僚が財政学を担当/実務経験を伝授した渋沢栄一/「官学」の色彩を強めた経済学/帝国大学が発足、理財学は政治学科の科目に/独立性が高い講座制発足/ドイツ歴史学派の影響が強まる/後進国・ドイツが打ち出した保護関税/新歴史学派が社会政策学会を創設/日本にも社会政策学会が誕生/自由放任にも社会主義にも反対/工場法制定を唱えた金井延/法科大学に経済学科が誕生/急ごしらえの商業学科/東京高商の昇格に反対した文部省/新渡戸稲造が植民政策を担当/ゼミナール拡充を求めたヴェンティヒ/経済学部独立への布石に/「エンゲル文庫」を購入/第3世代の教員が登場/盛り上がる大正デモクラシー運動/社会主義・マルクス主義を研究対象に/経済界から人材を求める声 第I章 新生・経済学部の苦闘——「森戸事件」で揺らぐ学問の自由 幻の「商科大学」独立案/大学令公布で急展開/7番目の学部となった経済学部/学部独立の功労者、高野岩三郎の辞職/新渡戸稲造は国連に転出/森戸論文が攻撃対象に/山県有朋、上杉慎吉からの圧力/「森戸を守れ」の声が広がる/関東大震災で建物や図書が焼失/官庁や民間から人材を登用/シュンペーターに白羽の矢/マルクス経済学研究が大きな柱に/禍根を残した「資本論テキスト事件」/限界理論から独自の配分理論へ/自由主義を基調とする社会政策を提唱/マルクス価値論を巡る論争が勃発/3グループが演じた派閥抗争/治安維持法の足音/初の適用対象となった京都学連事件/強まるマル経への逆風 第II章 「左傾教授」を相次ぎ追放——思想統制下の「日本資本主義論争」 コミンテルンに加盟した日本共産党/全国の高校・大学に社研が発足/普通選挙で存在感を示した共産党/1600人を逮捕・拘留した三・一五事件/東大新人会に解散命令/左傾教授の処分を求める/枢密院、貴族院で強硬論/大学の自治より国家の意思/河上肇の辞職に反対しなかった教授会/左翼運動を咎められた大森義太郎/大学の凋落を憂慮した森戸論文/山田盛太郎を追い詰めた共産党シンパ事件/急速に進む右傾化、相次ぐテロ事件/血盟団事件に関与した帝大生/思想弾圧に拍車をかけた蓑田胸喜/「帝大法学部は諸悪の根源」と主張/発禁となった瀧川幸辰の刑法解説書/文官分限令で休職処分に/議会で天皇機関説をやり玉に/辞職に追い込まれた美濃部達吉/労農派のライバル、講座派が誕生/逆風の中の日本資本主義論争/7年間人事が停滞した経済学部/近代経済学でも研究成果 第III章 内部抗争の果てに——平賀粛学」で人事刷新 右傾化の流れに乗った平泉澄/二・二六事件で敗北した皇道派/講座派学者を一斉に検挙/潰えた河合栄治郎の野望/「国体の本義」を全国の学校に配布/国家主義を唱える「革新派」が始動/学生の明治神宮参拝に同道/教授会で矢内原論文を問題視/経済学部は時局に寄与すべきか/大学のファッショ化を懸念した矢内原/反ファシズム統一戦線を提唱したコミンテルン/第2次人民戦線事件で大内、有沢、脇村が検挙/評議会は大内らの起訴前処分に反対/革新派が立ち上げた「戦時経済研究会」/荒木文相が大学人事に直接介入/大学自治の意義を説いた田中耕太郎/軍部批判を続けた河合栄治郎の孤軍奮闘/新総長となった「造船の神様」/河合、土方に辞職勧告/14人の教員が辞職願を提出/若手教員の残留を説得/法学部長の辞任に発展/「平賀粛学」をどう評価するか/山崎覚次郎が顧問に就任/再開した昇任人事/時局に積極対応する方針を訓示/マルクス関連書の処分を指示/土屋喬雄を休職処分に/大内らの復帰を拒んだ経済学部/学生を相次ぎ戦争に投入/戦時下で授業が困難に/山梨に疎開したアダム・スミス文庫/戦時体制下の経済学研究 第IV章 甦った学問の自由——復興に貢献したマルクス経済学者 大内、矢内原ら7人が復帰/日本経済の再建、有沢の提言/傾斜生産方式の原点に/南原総長主導で社研が発足/厳しい食糧・住宅事情/中央審査委員会は土屋喬雄を不適格に/「教育の憲法」教育基本法が施行/4長老が学部運営の中心に/助教授にも人事権を付与/マル経が復活、近経の新風も/新制大学に移行、教養学部創設で独自色/「社会科学部」創設構想が浮上/新制大学院に社会科学研究科を設置/生活苦が続く教職員と学生/授業料値上げに反対、全学連を結成/経済学部に学生自治会が発足/押し寄せるレッド・パージの荒波/全学連、全面講和運動を展開/注目集めた「曲学阿世事件」/学生の自重を求める大学当局/警察官を拘束した「ポポロ事件」/助手・特研生の待遇改善を要求/「矢内原3原則」を明記 第V章 崩れ落ちた大学の権威——東大紛争の教訓 1960年代に加速した教員の世代交代/文部省が学生と講座の増加を計画/戦後20年で教員数が倍増/経済学科主導の学部運営/「経営学科」への呼称変更で浮揚狙う/縦割り組織に回帰した新制大学院/赤門付近の新館に移転/「安保闘争」が東大でも活発に/政治に苦言を呈した総長声明/大学管理法問題が浮上/「東大パンフ」に学生自治会が反論/東大紛争の発端となった医学部インターン問題/学内に機動隊を導入、占拠学生を排除/安田講堂をバリケード封鎖、東大全共闘が発足/大河内総長の告示への反発広がる/入試中止に追い込まれる/秩父宮ラグビー場で全学集会/全国放送された安田講堂攻防戦/収束に向かった全国の大学紛争/10年近く続いた「経院紛争」/世界で同時に広がった学生運動/マル経の演習を選ぶ学生は減少傾向に 第VI章 激動期の経済学者たち——静かに進んだ近経への一極集中 教員と学生が学部再建を議論/マル経と近経の教員が討論/「理論の作り手ではなく使い手」~小宮隆太郎/八幡・富士製鉄の合併反対運動を主導/リフレ論争の原点に/アメリカ経済学界の頂点に~宇沢弘文/「社会的共通資本」に軸足を移す/華々しい学界デビューを飾る~根岸隆/「知の創造」に専念した学者人生/宇沢の指導を受けた石川、岩井、奥野/新古典派を攻撃したラディカルズ/分配の公正に焦点を絞る~石川経夫/「不均衡動学」で新古典派に挑戦~岩井克人/ニュー・アカデミズムの風/法学に失望し、経済学を志望~奥野正寛/ゲーム理論を日本に持ち込む/「ウォーキング・エコノミスト」に転身~伊藤元重/経済財政諮問会議の初代民間議員に~吉川洋/日銀総裁として異次元緩和を解除~植田和男/日銀副総裁として危機に対峙~西村清彦/大蔵省副財務官として国際交渉に臨む~伊藤隆敏/新分野「確率進化ゲーム」を開拓~神取道宏/大講座制への移行で教員人事が柔軟に 第VII章 「法人化」で変質する学問——研究の軸足をアメリカの学界に 「大学院生倍増」の目標を堅持/修士・博士の区分制度を復活/学生の成績低下を懸念/ゼミの代わりに「少人数講義」/「大学院重点化」に対応する3つの腹案/公共政策大学院が発足~政策のプロ養成を目指す/計量経済学を根付かせた市村英彦/法人化の方向を示した「遠山プラン」/強まった総長の権限/「外部資金」獲得に奔走/事務作業に追われる教職員たち/「金融学科」を設置、3学科制に/リーマン・ショックで寄付講座が廃止に/「進級振り分け制度」改革で成績が向上/修士課程の中国人留学生が急増/急減する経済学科の卒業生/加速する公務員離れの背景/附属センター設立の狙い/「ものづくり経営学」を構築した藤本隆宏/小島武仁らを海外からスカウト/文系学部廃止問題の衝撃/「日本を置き去り」にする研究者たち/一般均衡理論を土台にしたマクロ経済学が主流に/「統計的因果推論」が実証分析の発展を促す/学界での評価と世間の認知度にずれ/一進一退の世界ランキング 付記 東京大学経済学部略年譜 参考文献 -
小説の技巧
小説愛好家・作家志望者のためのバイブル! 小説を考察する50の方法 小説愛好家・作家志望者なら必読の名著、待望の普及版。ユリシーズをはじめ、ジェイン・オースティン、シャーロット・ブロンテ、ヴァージニア・ウルフ、フィッツジェラルド、サリンジャー、ヴォネガット、オースター、ミュリエル・スパーク、ジャネット・ウィンターソン、カズオ・イシグロの作品まで、古今の傑作小説を素材に、使える技法を伝授。 「書き出し」から始まり、「視点」「意識の流れ」「内的独白」「異化」「時間の移動」「間テクスト性」「実験小説」「マジック・リアリズム」「信用できない語り手」「メタフィクション」……50のキーワードを、「コミック・ノベル」の第一人者であるデイヴィッド・ロッジが徹底解説! テキストを味読・考察し、小説がどのように書かれているかについても明快に言語化してくれる。英米文学科学生にとっても座右の書。 これ1冊で、ストーリーテリングの秘訣がわかる。 [目次] 序 1 書き出し(ジェイン・オースティン/フォード・マドックス・フォード) 2 作者の介入(ジョージ・エリオット/E・M・フォースター) 3 サスペンス(トマス・ハーディ) 4 ティーンエイジ・スカース(J・D・サリンジャー) 5 書簡体小説(マイケル・フレイン) 6 視点(ヘンリー・ジェイムズ) 7 ミステリー(ラドヤード・キプリング) 8 名前(デイヴィッド・ロッジ/ポール・オースター) 9 意識の流れ(ヴァージニア・ウルフ) 10 内的独白(ジェイムズ・ジョイス) 11 異化(シャーロット・ブロンテ) 12 場の感覚(マーティン・エイミス) 13 リスト(F・スコット・フィッツジェラルド) 14 人物紹介(クリストファー・イシャウッド) 15 驚き(ウィリアム・メイクピース・サッカレイ) 16 時間の移動(ミュリエル・スパーク) 17 テクストの中の読者(ロレンス・スターン) 18 天気(ジェイン・オースティン/チャールズ・ディケンズ) 19 反復(アーネスト・ヘミングウェイ) 20 凝った文章(ウラジーミル・ナボコフ) 21 間テクスト性(ジョゼフ・コンラッド) 22 実験小説(ヘンリー・グリーン) 23 コミック・ノベル(キングズリー・エイミス) 24 マジック・リアリズム(ミラン・クンデラ) 25 表層にとどまる(マルカム・ブラドベリ) 26 描写と語り(ヘンリー・フィールディング) 27 複数の声で語る(フェイ・ウェルドン) 28 過去の感覚(ジョン・ファウルズ) 29 未来を想像する(ジョージ・オーウェル) 30 象徴性(D・H・ロレンス) 31 寓話(サミュエル・バトラー) 32 エピファニー(ジョン・アップダイク) 33 偶然(ヘンリー・ジェイムズ) 34 信用できない語り手(カズオ・イシグロ) 35 異国性(グレアム・グリーン) 36 章分け、その他(トバイアス・スモレット/ロレンス・スターン/サー・ウォルター・スコット/ジョージ・エリオット/ジェイムズ・ジョイス) 37 電話(イーヴリン・ウォー) 38 シュルレアリスム(リオノーラ・キャリントン) 39 アイロニー(アーノルド・ベネット) 40 動機づけ(ジョージ・エリオット) 41 持続感(ドナルド・バーセルミ) 42 言外の意味(ウィリアム・クーパー) 43 題名(ジョージ・ギッシング) 44 思想(アントニー・バージェス) 45 ノンフィクション小説(トマス・カーライル) 46 メタフィクション(ジョン・バース) 47 怪奇(エドガー・アラン・ポー) 48 物語構造(レナード・マイケルズ) 49 アポリア(サミュエル・ベケット) 50 結末(ジェイン・オースティン/ウィリアム・ゴールディング) 訳者あとがき Uブックス版に寄せて 翻訳書一覧 -
税 起源・歴史・現在:なぜ払うのか? 誰の負担が重いのか?
一番重い負担を背負うのは誰か? 私たちの身の回りには、さまざまな税があり、生活費の支出のかなりの部分が税金だ。しかし、税がいつからはじまり、どのような試行錯誤と歴史的経緯を踏まえて、今日に至っているのかは知られていない。 所得税はナポレオン戦争下のイギリス、消費税は一九五〇年代フランスで始まったなど、本書には豆知識が満載だ! また関税や酒税、たばこ税への依存は発展途上国の特徴であり、国が豊かになればその比重が落ちるという指摘も、トランプ関税が世の中を席捲している現状を踏まえると興味深い。もしかしたら時代は逆戻りしているのかもしれない。 こうした歴史の小ネタだけでなく、税の経済効果についても本書は踏み込む。本書によれば、昨今話題の食料品の消費減税は実は効果はないという。そして、税負担は最終的に誰にのしかかってくるのか。この重い問いに本書では経済分析に基づいて回答を与えている。 近代国家は物品税から直接税へ、直接税から間接税へと展開してきた。環境問題や貿易不均衡が大きな課題になるなか、税の未来には果たして何が待っているのか? 世界的権威が語り切った一冊! [目次] 第一章 なぜ税金があるのだろう? 第二章 税制の仕組み 第三章 税金を負担するのは誰か? 第四章 税制と経済 第五章 脱税と対抗策 第六章 税制の問題 -
経済学の余白
データサイエンス化の潮流で失われるものとは? 経済学は、テクニカルに洗練された学問といえる。サムエルソンの『経済学』以来、入門から修士課程までの教科書が整備され、体系的かつ網羅的に学習を進めることができる。しかし、学問のこうした「制度化」は、「硬直化」の歴史でもある。とりわけ、近年、急速に進んだデータサイエンス化の潮流は、経済学の〈余白〉を洗い流してしまってはいないだろうか──。 本書は経済に限らず、文化・歴史・音楽など、経済思想史家の折々の所感が静かに綴られている。 本書はこう問いかける。経済学を学ぶ者は、経済学以外の幅広い分野に関心を持ち、みずからの教養を高める努力をすべきではないか。数学や統計学しか扱わない経済学に果たして未来はあるのか。 清水幾太郎との出会い、師事した菱山泉・伊東光晴のことなど、本書ではさまざまな情景が浮かび上がる。一方、高校に導入された「歴史総合」や大学で相次いで廃止される第二外国語についての著者の思いが語られる。 めまぐるしく進んでいく時代に失ってはならないものとはなにか。経済学の〈余白〉を恢復する試み。著者による連載、日本経済新聞夕刊「あすへの話題」の書籍化。 [目次] はしがき I 経済学者の歳時記 春の訪れ/桜/むごい運命/オンライン授業/大河ドラマ/独立の気概/名前の読み方/福沢諭吉とミル/ジャズと即興/ケインズ伝/イノベーション/学問とゆとり/祇園祭/夏目漱石の講義/秋月鶴山と上杉鷹山/ウルトラセブンと音楽/歴史総合/江戸の文人/真夏のワーグナー/送り火/経済思想史家の悩み/経済学者と映画/朗読を聴く楽しみ/クラシックの教訓/向学心/読書/深まる思い出/アントレプレナー/名刀「義元左文字」/語学は役に立たない?/「貴公子」の真の姿/宮澤賢治とクラシック/紅葉と歴史/哲学者の茶目っ気/カレンダー/ゆたかな社会とは/松の廊下/左手のピアニスト/卒業論文 II 過去と未来のあいだ シュンペーターの「予言」、資本主義の盛と衰/英オックスフォード、理論家ヒックスが学んだもの/資本主義、グレートリセットは困難/ケインズ政策の本質、政府の規模ではない/米経済思想、自由放任だけが「専売特許」ではない/「科学」偏重に抗す、経済理論家ハイエクの哲学/異端派ガルブレイス、名文が伝える米国の「貧しさ」/アダム・スミス、自由放任と異なる「自由主義者」/インフレの是非、イノベーション要因に着目/マーシャルの「経済騎士道」、財界トップが実践/企業家論、「シュンペーター絶対主義」に注意/人文学と経済学、「知識の発展は飛躍的に生ずる」/米国標準を日本に、有言実行の経済学者・小宮氏/シカゴ学派、巨頭ナイトは複眼の持ち主/偉大な経済理論家ワルラス、条件の平等を重視/経済学の泰斗高田保馬、思想の原点は社会学/パレート、経済理論家とは違うもう一つの顔/生誕百四十年に思う「ケインズもシュンペーターも」/マーシャルが説く企業家の資質、没後百年で再考/ロバート・ソローをしのぶ、成長理論でノーベル賞 あとがき -
方法叙説
「私は考えている、だから私は有る」 デカルトは久しく近代思想の父とよばれてきた。それは中世のコスモスが崩れるなか、徹底的な懐疑の果てに、考える自我の直観から主体性を確立し、近代文明に道を開いたからである。 近代のあけぼのに「いかなる人生の道に従い行くべきか」を思い迷いながら、「ひとりで、しかも暗闇のなかを歩いて行く」旅する人の遍歴と、その旅先の一夜の啓示と決断とを、〈私〉の精神の歴史としてここに語る。すなわち、〈方法〉とは「道に迷う、道に従う」ことである。 数多の学問を修めながら、やがてそれらの真理性を徹底して疑い、しかしそれらについて思考している自分は何かでなければならないと気づき、「私は考えている、だから私は有る」という有名な第一原理に到達するまでを語った近代哲学の名著の清新な翻訳。養老孟司解説。 [目次] 訳者まえがき 第一部 第二部 第三部 第四部 第五部 第六部 解説 脳の機能のきわめて明晰な表現 養老孟司 解題 三宅徳嘉 -
孤独な散歩者の夢想
ルソーの「幸福論」 「この地上では、すべてが絶えざる流転のうちにある。そこではなにひとつとして一定不変の固定した形を持ち続けるものはない。だから、この世で得られるのは、せいぜいすぐに消え去る喜びでしかない。永続する幸福などといったものを、この世で味わう人がいるとは思えない」 迫害のなかで「地上に一人きりになってしまった」ルソーは、もはや人間や社会の変革に希望を託すことはない。湖の岸辺に腰を下ろして、寄せては返す波の絶え間ない単調なリズムに、自身の存在=運命を感じ、また幸福を見出す…… こうした自己の存在のほかいかなる幸福も感じない徹底的な自己充足の境地は、「絆」の素晴しさが自明視される今日、新たな意味をもって迫ってくる。『マルゼルブ租税法院院長への四通の手紙』を収録。訳者と川出良枝東大名誉教授の解説を付す。 【目次】 孤独な散歩者の夢想 第一の散歩 第二の散歩 第三の散歩 第四の散歩 第五の散歩 第六の散歩 第七の散歩 八 九 十 マルゼルブ租税法院院長への四通の手紙 第一の手紙 第二の手紙 第三の手紙 第四の手紙 訳者解説 孤独な散歩者の夢(佐々木康之) 訳者解説 マルゼルブ租税法院院長への四通の手紙(佐々木康之) 解説 ジュネーヴ市民から孤独な散歩者へ(川出良枝) -
ニューエクスプレスプラス 現代ヘブライ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 復活を遂げたユダヤのことば 現代ヘブライ語は、古典ヘブライ語から復活を遂げ、19世紀にユダヤ人の国作り運動「シオニズム」の台頭とともに日常語として再生された言語です。イスラエルの公用語で、アラビア語と同じセム語族。イスラエル文化とユダヤの古典への入り口であると同時に、広い中東地域の言語文化の世界に連なっているとも言えます。この本では文字と発音から始めて会話文をもとに文法を解説し、練習問題を重ねて最後は短い読みものに挑戦。音声はダウンロードでお聴きいただけます。★音声アプリ無料ダウンロード -
ファシストは未来を支配するためにいかに過去を改竄するのか
五野井郁夫氏推薦! 民主主義を守るための必読書 「歴史の抹消」があなたの教室にも……。優越主義的なナショナリズムの露骨な主張が、歴史教育に取って代わろうとしている。トランプ、プーチン、極右独裁主義が謀る人種・移民・集団殺戮など不都合な歴史の抹消、洗脳と情報操作、学校教育への干渉を、米国の言語哲学者が糾明する。 「歴史の抹消は独裁者を助ける。なぜなら、そうすることで独裁者は歴史を単一の物語、単一の視点として偽れるからだ。だが、いかなる視点も完全に抹消することは不可能だ。独裁者による歴史の抹消は教育を通じて−-−-つまり、特定の物語を学校教育のカリキュラムから追放したり、ひょっとすると、家庭内でもその物語を語ってはならないとしたりすることによって−-−-である」。 全米ベストセラーの前作『ファシズムはどこからやってくるか』で旋風を巻き起こした政治的アクティヴィストによる、警鐘と提言の書。「ファシズムの手口を暴き」、「民主主義を守るために、何を知り、どう抗うべきか」(五野井郁夫)、簡潔かつ読みやすい記述で極右独裁主義の策動を徹底検証。米国で大きな波紋を呼んでいる、「反ファシズム」入門。 【目次】 序文 第1章 独裁政の作り方 第2章 洗脳 第3章 ナショナリストの陰謀 第4章 至上主義からファシズムへ 第5章 反教育 第6章 古典教育 第7章 歴史の再生 エピローグ 謝辞 訳者あとがき 注 -
ニューエクスプレスプラス スペイン語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! 世界中の6億人と話せる国際的な言葉 スペインはもちろん、ラテンアメリカでも多くの国で公用語となっているスペイン語。アメリカ合衆国でも存在感を増し、日本国内でも耳にする機会が多くなりました。話者数は今や6億人近く。国連の公用語のひとつでもあり、国際語としてますます重要になっている言語です。文字はほぼローマ字読みで、発音が日本人向きなのも嬉しいところ。この本の主人公はスペイン出張のビジネスマン。電話もメールもこなし、観光や買い物にも出かけます。音声はダウンロードでお聴きいただけます。 【本書の構成】 ◆スペイン語ってどんなことば?:最初にことばの特徴や話されている地域などをご紹介します。 ◆文字と発音:文字の読みかたや発音のコツをやさしく解説。 ◆本文:全20課で、見開き2ページに会話・和訳・単語、次の2ページに文法説明があります。 ◆練習問題:2課ごとに2ページ、解答は同じ見開きですぐに確認できます。 ◆単語力アップ・表現力アップ:テーマ別の単語と表現のコーナーで会話もバッチリ。 ◆単語リスト:出てきた単語が載っているので、辞書なしでも始められます。 ◎ここがプラス!◎ ◆簡単なスピーチ・メッセージの表現:人前で話すときに便利な表現や、カードに書けるメッセージを取り上げます。 ◆文法チェック:学んだ文法を短い作文問題で総復習。 ◆読んでみよう:少し長めの文章を読んでみます。「日本について」はシリーズ共通。 ◆音声ダウンロード:音声はダウンロードしてお聴きいただけます。 -
感情史:歴史学からのメッセージ
心身を新たにまなざす 近年、日本の歴史学で話題になっているもののひとつに「感情史」がある。それは、ひとことで言うなら、思想の歴史と身体の歴史、主観性の歴史と社会的・文化的な歴史とが交錯するアリーナだ。 今日の私たちが「感情」とみなすもの、つまり、悲しみ、メランコリー、恐怖、喜び、怒り、熱狂、共感、愛……といった精神状態は、言語、文化、信仰、生活様式における長く多様な歴史的変化の産物である。 そこで著者は、さまざまな感情の観念の変遷を古典古代の史料にまでさかのぼり、ときにはディズニーの映画や著名なポップ歌手、シェイクスピアやワイルドなどの文学作品を例に挙げ、また絵文字についての説明を取り入れたりしながら、一般読者にもわかりやすく論じる。 本書は、「emotion(エモーション)」という言葉の問題に始まり、感情と道徳/宗教、あるいは感情と医学的な次元の問題などを含め、忘れ去られた感情や近代的な感情体制の構築などの事例を数多く取り上げる。そしてこのように、過去のさまざまな感情のあり方を浮き彫りにし考察することは、現在の私たちの感情へのまなざしに新たな光を当てることになるだろう。 【目次】 序文 謝辞 第1章 過去の鼓動 第2章 悲哀の縮図 第3章 情念から絵文字へ 第4章 恐怖、そして幸せの追求 第5章 憤激のすべて 第6章 愛を探して 訳者あとがき 図版一覧 参照文献と読書案内 -
ナチ時代のドイツ国民も「犠牲者」だったのか:犠牲者の歴史政治学
戦後ドイツの「犠牲者」認識の変遷を追う 日本でも、特攻隊員や被爆者、空襲被害者など、さまざまなカテゴリーの「犠牲者」を通して戦争が記憶されてきたように、戦後の国民意識が形成されてきた。犠牲者言説の変化は戦後ドイツの国民形成と密接な関係にある。 戦後のドイツ人はナチズムの「加害者」としての過去に向き合いながら、戦争の「犠牲者」としての認識も持っていた。特に戦後世代が多数を占めるようになると、この「犠牲者」意識は重要視されるようになった。本書は1980年代以降に「犠牲者」概念が頻繁に用いられるようになった背景を分析し、「犠牲者の歴史政治学」を提唱する。 本書は〈犠牲者・加害者〉という二元論ではなく、〈加害者・能動的犠牲者・受動的犠牲者〉という三分類で過去を理解すべきだとする。「白バラ」やヒトラー暗殺未遂犯、ソ連兵の性暴力被害者、強制追放された者など、多様な犠牲者像の変遷を追う。1980年代以前、暗殺未遂犯は肯定的評価を受けず、性暴力の被害も封印された。一方、ソ連侵攻による追放者は冷戦下で「能動的犠牲者」として語られた。 1980年代以降、ホロコーストが世界史的事件として認識され、「ホロコースト・モデル」が確立すると、受動的犠牲者が歴史の中心となり、性暴力や追放の被害者も語れるようになった。この変化は戦後ドイツの国民形成と密接に関わる。 この問題は日本にも通じる。 日本でも、特攻隊員や被爆者、空襲被害者など、さまざまなカテゴリーの「犠牲者」を通して戦争が記憶され、戦後の国民意識が形成されてきた。本書は、ドイツの「過去の克服」と犠牲者概念の変遷を明らかにする意義深い研究である。 【目次】 序章 1 ナチ時代のドイツ国民=「犠牲者」? 2 犠牲者概念 3 本書の目的 第1章 反ナチ抵抗犠牲者とその戦後 1 ヒトラー暗殺未遂事件の「七月二〇日の男たち」 2 「白バラ」抵抗運動 3 ヒトラー爆殺計画事件の単独犯──G・エルザー 4 反ナチ亡命者 第2章 追放と性暴力 1 終戦期の被追放者 2 非追放者の表象 3 追放の受動的犠牲者から復興の能動的犠牲者へ 4 性暴力犠牲者とその戦後 第3章 反ナチ抵抗犠牲者の記憶 1 「抵抗」範疇の拡大──エーデルヴァイス海賊団とG・エルザー 2 「七月二〇日の男たち」と「白バラ」の記憶の構造転換 3 英雄から救済者へ 第4章 追放の記憶 1 よみがえる記憶とその政治化 2 ポピュラー・カルチャーのなかの被追放者 第5章 性暴力犠牲の語りとトラウマ 1 性暴力犠牲の語り 2 戦争児とトラウマ 終章 1 本書のまとめ 2 〈犠牲者の歴史政治学〉の意味と意義 3 〈犠牲者の歴史政治学〉と「私たち」 あとがき/注 -
ピンポン
“僕”は毎日、中学校でいじめられている。 あだ名は「釘」。いじめっ子の「チス」が僕の頭を殴る様子が、まるで釘を打つように見えるからだ。スプーン曲げができる「モアイ」もいっしょにいじめられている。モアイと僕は原っぱの卓球台で卓球をするようになり、僕らの気持ちは軽くなる。ある日突然、空から巨大なピンポン球が下降してきて……。 いじめられている中学二年の男子が、人類の運命を決めるときが来た。釘とモアイは、人間と世界について思考することをやめない。『カステラ』(第一回翻訳大賞受賞)で熱い支持を獲得した韓国の鬼才が猛打する長篇、待望のUブックス化! 作家自筆の挿絵も収録。 「なんかぶっ飛んだ面白いもんないかなぁ、という方にオススメします。ぎゃっ!! です。」――光浦靖子さん -
ロシア 奪われた未来:ソ連崩壊後の四半世紀を生きる
全米図書賞受賞作品、ロシア人と社会の真実の物語 ソ連崩壊後の4半世紀の間、とりわけ長期にわたって支配が続くプーチン時代の激変、クリミア併合からウクライナ戦争に至る底流にはなにがあるのか? 1980年代に生まれ、プーチン時代に成人したジャーンナ(父親ボリス・ネムツォフ)、マーシャ、セリョージャ(祖父アレクサンドル・ヤコヴレフ)、リョーシャの男女4人の人生と家族の群像が活写される。そして精神分析医アルトゥニャン、世論調査機関レヴァダ・センターの社会学者グドコフ、プーチン時代に頭角を現す極右思想家ドゥーギン(3人はロシア社会を理論的に分析する役割)の軌跡を加え、波乱の時代を紡ぎ出す。 プーチン政権を歓迎した多くのロシア人は、安定と権威を渇望するようになった。プーチン時代は法が恣意的に運用され、人びとは恒常的な不安状態に置かれる。市民をそのような状態に置いておくのは、全体主義の要諦なのだ。それはソ連時代の「ホモ・ソヴィエティクス」(思考停止・体制依存型人間)が死滅していなかったことを示している。まさに「再発性全体主義」が支配する社会になったのだ。 ハンナ・アーレント賞受賞ジャーナリストによる、渾身のノンフィクション! [目次] 登場人物 プロローグ 第1部 ソ連に生まれて 第1章 一九八四年に生まれて 第2章 試された人生 第3章 特権 第4章 ホモ・ソヴィエティクス 第2部 革命 第5章 白鳥の湖 第6章 ホワイトハウスの処刑 第7章 だれもが富豪になりたがる 第3部 ほころび 第8章 抑圧された悲しみ 第9章 懐かしの歌 第10章 再び振り出しに 第4部 復活 第11章 死後の生 第12章 オレンジ色の脅威 第13章 家族・性・権力 第5部 抗議 第14章 奪われた未来 第15章 ブードゥシェヴォ・ニエト 第16章 白いリボン 第17章 マーシャ 二〇一二年五月六日 第6部 弾圧 第18章 セリョージャ 二〇一三年七月一八日 第19章 リョーシャ 二〇一三年六月一一日 第20章 分断された国民 第21章 ジャーンナ 二〇一五年二月二七日 第22章 永久戦争 エピローグ 謝辞 訳者あとがき 原注/本書に関係する時代の主な出来事(一九八五~二〇一五年) -
ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件
世界は謎に満ちている。獄中探偵の事件簿 黄道十二宮を用いたイスラム教の加入儀礼の最中に宗派の導師が殺され、容疑をかけられた新聞記者。急行列車内で起きたロシア皇女のダイヤをめぐる犯罪に巻き込まれた舞台俳優。パンパの大草原を望むテラスで雄牛の行進を眺めつつ刺殺された農場主。下町の安ホテルに集う人々に新来の田舎者がもたらした波紋とその結末。雲南奥地の至聖所から盗まれた宝石を追ってブエノスアイレスへやって来た中国人魔術師の探索行……。身に覚えのない殺人の罪で投獄され、服役中の元理髪店主イシドロ・パロディが、面会人が持ち込む数々の難事件を対話と純粋な推理のみで解き明かしていく。熱心な探偵小説ファンでもあるボルヘスとその盟友ビオイ=カサーレスがH・ブストス=ドメック名義で合作。二十世紀文学の最前衛に位置する二人の作家のもうひとつの貌を教えてくれる、奇想と逆説と諧謔に満ちた探偵小説連作集。 [目次] H・ブストス=ドメック 序文 世界を支える十二宮 ゴリアドキンの夜 雄牛の神 サンジャコモの先見 タデオ・リマルドの犠牲 タイ・アンの長期にわたる探索 訳者解説 -
ニューエクスプレスプラス タイ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! 豊かな文化や観光地に、おいしい料理。近年ますます身近になっているタイに、ことばからさらに近づいてみませんか。魅力的な文字を書くところから、やさしく入門します。ダウンロードできる音声を活用して、美しい声調も学べます。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説。練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。買い物など場面別の単語を収録した、旅行にも役立つ「単語力アップ」、スピーチやグリーティングカードに使える短い表現も収録。 ★音声アプリ無料ダウンロード -
アメリカを変えた夏 1927年
《現代史アーカイヴス》として復刊 1927年5月21日、初夏を迎えたアメリカで、20世紀を代表する出来事のひとつとなった偉業が達成された。ニューヨークを離陸した若き飛行士チャールズ・リンドバーグがパリに到着、世界初の大西洋単独無着陸横断飛行に成功したのだ。そして夏も終わろうとしていた9月30日、アメリカはもうひとつの快挙にわいた。ニューヨーク・ヤンキースのベーブ・ルースがシーズン60号ホームランを放って大リーグ記録を塗り替え、鮮烈な記憶を人々の心に刻んだ。1927年のこの5カ月間、それは20世紀のアメリカにとっていちばん熱い夏だった。 向こう見ずな冒険、常軌を逸した情熱、底知れない楽天主義と悪徳の栄え――。著者は、1927年の夏を駆け抜けた有名無名の人々の生きざまを、ウィットとユーモアを織り交ぜた軽妙な語り口で色彩豊かに描き出し、悲喜劇とも言うべき群像劇に仕立て上げていく。本書は、アメリカという大国が初めて世界の表舞台に存在感を示した5カ月間の、情感豊かな歴史物語である。「ひと夏」という小さな窓から激動の20世紀の胎動を展望した傑作。解説=白岩英樹(高知県立大学准教授) [目次] プロローグ 5月 ザ・キッド 6月 ザ・ベーブ 7月 大統領 8月 無政府主義者(アナーキスト)たち 9月 夏の終わり エピローグ 原注/謝辞/訳者あとがき/写真クレジット/出典に関する注と読書案内 [原題]ONE SUMMER: America 1927 -
ニューエクスプレスプラス モンゴル語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本人が学びやすい大草原のことば 遊牧民が暮らし羊の群れが草を食む大草原に、発展する首都ウランバートル。さまざまな面を見せるモンゴルは、大相撲のモンゴル人力士の活躍などを通して、日本にとってより身近な国になってきました。モンゴル語はアルタイ諸語に属し、語順を始め文法の構造が日本語によく似ていて、日本人には比較的学びやすい言語です。本書はキリル文字と発音の説明から始めて、会話とともに文法を学んでいきます。最後は短い読みものにも挑戦。音声はダウンロードで聴けます。 【本書の構成】 ◆モンゴル語ってどんなことば?:最初にことばの特徴や話されている地域などをご紹介します。 ◆文字と発音:文字の読みかたや発音のコツをやさしく解説。 ◆本文:全20課で、見開き2ページに会話・和訳・単語、次の2ページに文法説明があります。 ◆練習問題:2課ごとに2ページ、解答は同じ見開きですぐに確認できます。 ◆単語力アップ・表現力アップ:テーマ別の単語と表現のコーナーで会話もバッチリ。 ◆単語リスト:出てきた単語が載っているので、辞書なしでも始められます。 ◎ここがプラス!◎ ◆簡単なスピーチ・メッセージの表現:人前で話すときに便利な表現や、カードに書けるメッセージを取り上げます。 ◆文法チェック:学んだ文法を短い作文問題で総復習。 ◆読んでみよう:少し長めの文章を読んでみます。「日本について」はシリーズ共通。 ◆音声ダウンロード:音声はダウンロードしてお聴きいただけます。 -
幸福論
もっとも読みやすい幸福論 「本物の不幸もかなりあるにはある。そうだとしても、人々が一種の想像力の誘惑によって不幸をいっそう大きくしていることには、依然としてかわりない。自分のやっている職業について不平を言う人に、あなたは毎日、少なくともひとりぐらいは出会うだろう。そして、その人の言い分は、いつでも十分もっともだと思われるだろう。どんなことでも文句をつけられるものだし、なにも完全なものなどないからだ」 リセで哲学教授として長らく教鞭を執っていたアランの哲学は、想像力の暴走に身を委ねたり、抽象思考に終始するのでなく、また何か特別な状況を必要とするのでもない。日常を生きる場で、幸福への道筋を見つけだしていくのである。 自分自身の気分の揺らぎがときには不幸の悪循環をもたらす。不安に苛まれる時代にあって、いかに幸福を得るかの心の持ちようを教えてくれる、アラン畢生の名著。 -
ニューエクスプレスプラス イギリス英語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 会話+文法、入門書の決定版! 豊かな自然と格調高い伝統文化──アメリカ英語とはひと味違う英国の香りと響きを楽しみましょう! イギリス英語は、英国内のみならず、ヨーロッパ諸国、南アジアやオセアニア、旧アフリカ植民地で使われています。アメリカ英語とは綴り字、語彙、文法などが若干違いますが、英文学や英国映画などを通じ、イギリス英語に親しみをもつ人は少なくありません。英国には壮大な自然と多彩な文化があふれています。パンケーキの日、スコットランド名物のハギスやブラックバン、ロンドンでのショッピング、タリスリン鉄道──言葉とともに英国の香りを楽しんでみませんか? 【本書の構成】 ◆イギリス英語ってどんなことば?:最初にことばの特徴や話されている地域などをご紹介します。 ◆文字と発音:文字の読みかたや発音のコツをやさしく解説。 ◆本文:全20課で、見開き2ページに会話・和訳・単語、次の2ページに文法説明があります。 ◆練習問題:2課ごとに2ページ、解答は同じ見開きですぐに確認できます。 ◆単語力アップ・表現力アップ:テーマ別の単語と表現のコーナーで会話もバッチリ。 ◆単語リスト:出てきた単語が載っているので、辞書なしでも始められます。 ◎ここがプラス!◎ ◆簡単なスピーチ・メッセージの表現:人前で話すときに便利な表現や、カードに書けるメッセージを取り上げます。 ◆文法チェック:学んだ文法を短い作文問題で総復習。 ◆読んでみよう:少し長めの文章を読んでみます。「日本について」はシリーズ共通。 ◆音声ダウンロード:音声はダウンロードしてお聴きいただけます。 -
テオドラ:女優からビザンツ皇后、聖人へ
弱者の味方として、ユスティニアヌスの片腕として ラヴェンナの有名なモザイクで知られるビザンツ帝国の皇后テオドラ。その生涯は、たぐい稀な才能をもった女性が、多くの障害を乗り越えて、信じがたいような権力を手にするという物語である。本書は、「卑しい生まれの踊り子が皇帝の甥を魅了した」という後世のイメージを生んだ、同時代の著作の偏見に満ちた記述に分け入り、近年の初期ビザンツ研究の成果を取り入れて、テオドラの生涯を時代の全体像の中に位置づけて描いている。 テオドラはこの時代の重要な政治家のひとりであり、帝国の国内・対外政策の策定に協力し、二度にわたって夫ユスティニアヌス一世を廃位の危機から救った。重大な宗教論争の解決のために中心的な役割を果たし、身売りされた女性たちを進んで援助した。敵となった人々は、経歴について、娼婦だったという想像を逞しくし、大げさに書いた。 著者は宗教界を中心とする彼女の人脈に注目する。そしてニカの乱の際の有名な演説はもちろん、旧西ローマ帝国領の再征服や教会の統一といった、これまでテオドラが登場することのなかったユスティニアヌスの治績に、その関与を認めている。 -
民主主義:終わりなき包摂のゆくえ
民主主義はどこへ行くのか? 民主主義の危機が問われるいま、その普遍的な「理念」と具体的な「実現」とはどのようなものなのだろうか。 本書は、ポスト・トゥルース的な右派ポピュリズムが席捲するように見える現代の民主主義の危機を理解し、それに応答するために、民主主義の普遍的な理念とその具体的な実現の両方に軸足を定めつつ、古代から中世・ルネサンス、社会契約論から十九世紀のマルクス主義などの進歩主義、第二次世界大戦の衝撃から二十世紀後半の社会運動、そして現在進行中の出来事へと論を運ぶ。 さらには、気候変動、パンデミック、排外主義的なポピュリズムの席捲などを見すえて、民主主義の「未来」を覗き見ようと試みる。 政治学史ではここ数十年、ケンブリッジ学派の台頭や個別的な研究の深まりのなかで、〈どう生きるべきか〉という規範的な問いはややもすれば後景に退いてしまった。 広く長い歴史的視座で簡潔にまとめられた本書は、「民主主義」を思考するための新たなスタンダードとなるはずだ。オックスフォード大学出版局の人気シリーズの待望の翻訳! 「合衆国権利章典」「人および市民の権利の宣言」「世界人権宣言」を付す。 -
板ばさみのロシア人:「プーチン時代」に生きる狡知と悲劇
ジョージ・オーウェル賞受賞作品 権威主義体制下の「プーチン時代」において、ロシア人は個人の志と国家や社会の要求という、二つの大きな圧力の間で「板ばさみ」に苛まれながらも、何が有利になるのか、「狡知」をはたらかせて生きている。本書は、抑圧下の現代ロシアを舞台に、主に7人の群像が活写される。 「プーチン政治の映像プロデューサー」とされる国営テレビ局の最高責任者から、チェチェン戦争の凄惨な現実を目の当たりにした人権活動家、尊敬を集めた聖職者で、教会を厳しく批判した神父、クリミアで親ロシア派として住民投票し、夢と現実の間で悩む実業家、ソ連強制収容所での流刑を経て、人権団体「メモリアル」の創設に参加した活動家、プーチン政権と歩調を合わせて慈善活動する医師、国家資金横領で自宅軟禁処分を受けた演劇界きっての演出家、開放的で野心もあるが、今ある安定を望む「プーチン世代」の普通の若者たちまで、多種多様なロシア人の軌跡を追い、その集団的な潜在意識を探る。 『ニューヨーカー』モスクワ特派員が、体制派から反体制派まで、各世代、各立場の人々に密着取材、プーチン支配下での葛藤と妥協、したたかな「ずる賢い人間」の心奥に迫る。 -
AI時代の感性:デジタル消費社会の「人類学」
SNS依存社会で数値化される「個性」 「AIは絵を描いたり音楽をつくったりできるが、自分の生成したものが美しいかどうかは判断できない。判断できるのは、感情を持つ人間だけだ。」(本書より) ハイパー資本主義における、SNS依存社会で数値化される「個性」とは? 本書は、DXとともに「自己同一性」の揺らぎが認められる時代、デジタルには生成しえない「感情」の重要性を説く──より創造的に、対話するために。 デジタルトランスフォーメーションにともなう経済社会は、人類史上においてまさに前例のない暮らしであり、水平的かつ世俗的であろうとする社会だ。しかし、「現実の世界」は変調をきたしている。SNSでは、「ネットの向こうに生身の人間がいる」ことを忘れさせるまでに分断や憎悪が煽られる。では、どうすればいいのか。 フランスを代表する経済学者が、デジタル消費社会における人類の生き方をめぐり、クリアな視座を提供。専門の経済学はもちろん、脳科学、哲学、文学、人類学など人文学の最新研究も適宜ダイジェスト紹介しつつ、来たるべき「文明」を展望するベストセラー・エッセイ。 -
裏切りの王国 ルポ・英国のナショナリズム
「裏切られた」という感情の淵源を探る旅 グローバリズムが進展し、経済格差が急速に広がるなか、各地でナショナリズムの胎動が表面化し、事象として現れ始めている。本書は、EU離脱で揺れた英国を舞台に、世界の政治を駆動する大きな潮流となったナショナリズムの発露を現場から報告する試みである。 著者は毎日新聞の前欧州総局長。場末のパブで飲んでいる労働者・移民からケンブリッジの研究者や閣僚経験者に至るまで、取材対象は実に多彩だ。こうした人びとの意見を聞き、彼らと対話を重ねる著者の取材ぶりと、さまざまな文献にあたって検証する様子を追体験することで、英国理解が徐々に深まっていく。加えて、英国の政治が具体的にどのように運営されているかや、世論の動向をつぶさに追っているため、賛成・反対の揺れ具合が手に取るようにわかる。 「ブレグジット以前」と「ブレグジット以後」の二部構成で、EUに「裏切られた」という庶民の声、イングランドに「裏切られた」と感じるスコットランドなど、ネイションに息づく思いや歴史観を描きながら、EUを「裏切った」英国のナショナリズムの動態を、多方面にわたるインタビューと精緻な歴史検証で描いた渾身のルポ。 -
彼女はマリウポリからやってきた
半世紀以上を経て娘が探し当てた亡き母の生 ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が、亡き母の痕跡と自らのルーツを見いだす瞠目の書。 母エウゲニアは、著者が10歳のとき若くして世を去った。幼い娘が知っていたのは、母がマリウポリで生まれたこと、第二次世界大戦中、両親が強制労働者としてウクライナからドイツに連行されたこと、曾祖父が石炭商人、祖母がイタリア人だったらしいことくらい。母の運命を辿ろうとこれまで何度か試みたが、成果はなかった。ところが、2013年のある夏の夜、ふと思い立ってロシア語の検索サイトに母の名前を打ち込んでみたところ、思いがけずヒットする。ここから手探りの調査と驚くべき物語が始まる。 「ここ一年ほど悲しい姿ばかりが報道されたウクライナのマリウポリだが、その多文化都市としての輝かしい歴史と、そこに生きた作者の親族の運命が、この小説には知的なユーモアと息苦しいほどの好奇心をもって描かれている」(多和田葉子氏) ウクライナの船主、バルト・ドイツの貴族、裕福なイタリア商人、学者、オペラ歌手など、存在すら知らなかった親類縁者の過去が次々と顕わになり、その思いもよらぬ光景に著者は息を呑み、読者もそれを追体験する。忘却に抗い、沈黙に耳をすませ、失われた家族の歴史(ファミリーストーリー)を永遠にとどめる世紀の小説。ライプツィヒ書籍見本市賞受賞作。 -
芝居のある風景
生粋の東京人による「東京物語」 藝能評論の第一人者が、演劇鑑賞団体「都民劇場」の会報誌に連載した「當世藝能見聞録」(2015~2021年)をまとめたのが本書である。 会報誌の性格上、実際の舞台を見ての劇評ではなく、これから観劇する会員に対し、作品や舞台にまつわるさまざまなエピソードを、著者ならではの視点で紹介していくのが最大の特色となっている。 例えば泉鏡花『婦系図』の稿では、湯島境内の場に出てくる声色(こわいろ)屋を基に、今や絶滅したともいえる藝能の系譜を辿っていく。声色は古川ロッパの造語になる声帯模写にとって代わられた流しの放浪藝で、歌舞伎など人気役者の台詞まわしを巧みに真似てみせた。森鷗外の『雁』にも、薄幸のお玉が高利貸の妾になる見合いの席で、階下で流す声色屋が描かれていることを、著者はさらりと付け加える。 「その作品の評価という批評本来の意義からできるだけ距離をとり、作品から連想されたところの恣意に委ねた個人体験による心情などを」述べるという著者の姿勢に、舞台というものの奥行きがいかに深いか、読者は肌身で感じ取りながら、名随筆を満喫することができる。 -
女子サッカー140年史:闘いはピッチとその外にもあり
澤穂希氏推薦! 初めての通史、未来への提言 「1881年に世界初の公式試合が開催され、20世紀初頭から長きにわたって世界各国で禁止されていたにもかかわらず、今では世界中の人々を魅了している女子サッカー140年の歴史を、時代背景や文化を考察しながらまとめた素晴らしい本です。」(澤穂希) 本書は、英『ガーディアン』紙の女子サッカー担当記者が、紆余曲折をたどった女子サッカーの、未来への飛躍を提言する比類なき歴史書だ。英欧米の女子サッカーの歴史を中心に、社会における女性の権利獲得と解放に重ね合わせて描く、初の通史となる。数多の史料を駆使し、選手、監督、オーナー、研究者への取材も通じて、女子サッカーがエリートから草の根までどのように発展してきて、これからどう成長していくのかを、希望を込めて論じる。 日本女子サッカーについては、巻末の「日本女子サッカー小史――訳者あとがきにかえて」と年表で補足した。2020年に日本女子プロサッカーリーグ、WEリーグが発足し、今後もさらに大きく開花していくことだろう。そして2023年、オーストラリアとニュージーランド共催の女子ワールドカップで、その成果を確認したい。 -
作家たちのフランス革命
想像の源泉か? 歴史観の表明か? フランス革命は「自由・平等・友愛」を標語にする共和国の出発点であり、革命をどう記述するかはフランスのナショナル・アイデンティティ構築の鍵を握る。フランスの作家たちは大革命をどのように眼差し、どう描いてきたのだろうか。本書では、18世紀から20世紀を専門とする7名の仏文学者たちが、7人の作家の作品を通し、この問いに鮮やかに答える。 取り上げるのは、革命を経験したナポレオンとほぼ同世代のスタール夫人(村田)とシャトーブリアン(小野)、「ブリュメール18日」のクーデタの直後に生まれナポレオン帝政期と復古王政期に人となったバルザック(柏木)とユゴー(西永)、そしてドレフュス事件と第一次大戦のあいだの1912年に「恐怖政治」を扱った小説を出版したアナトール・フランス(三浦)、その一回り下の世代で、ドレフュス事件から両大戦間の人民戦線期にかけて「フランス革命劇」連作8篇を書いたロマン・ロラン(アヴォカ)、最後に我々と同時代人で、マリー=アントワネットを主人公にヴェルサイユ最後の3日間を描いたシャンタル・トマ(関谷)。 約200年に渡って強烈な個性と才能が考え抜いてきた「革命像」が、いまここに広がる。 -
経済学の壁:教科書の「前提」を問う
学派の「壁」を越える、初めての知的冒険 現代経済学への批判が絶えない。日本の大学では、標準的な履修コース(ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学)が普及しているが、学生の間からは数式やグラフばかりで学習する意味を見出せないとの声をよく聞く。「経済学は役に立たない」と切り捨てるビジネスパーソンも少なくない。 経済学とはどんな学問で、根底にはどんな考え方があるのか? 経済学の「前提」をよく理解せずに教科書や入門書を手に取り、経済学を学ぶ意義が分からないまま、消化不良を起こしてしまう人が多いようだ。 そこで、本書では主流派と異端派の諸学説の原典や基本的な考え方を網羅し、経済学という学問の本質を掘り下げたうえで、経済学との付き合い方を提言する。 著者は日本経済新聞で、日本銀行や大蔵省をはじめとした経済官庁や銀行などさまざまな業界を取材する一方、岩井克人『経済学の宇宙』を手掛けるなど、ジャーナリズムとアカデミズムを自由に行き来してきた、経済論壇では稀有の存在だ。正統派と異端派の学派の壁を軽やかに飛び越え、一冊で経済学のすべてを描き切った渾身の経済学案内。 -
後期ローマ帝国史Ⅰ:帝国の勝利
新たな制度を打ち立てた、2~4世紀の政治史 本書は、ハドリアヌスからユリアヌスまで、2~4世紀を年代順に、人事と権力闘争、外敵との戦いを扱った政治史である。 共和政期、帝政前期の政治史については、日本語で読める文献も多く、皇帝の伝記もある程度揃っている。しかし「危機」の時代と呼ばれる3世紀については、ギボン『ローマ帝国衰亡史』を除けばきわめて少ない。本書はそれを補う、碑文学・古銭学を駆使し最新の研究成果を反映した通史であることに加え、著者はこの時代を「衰退」の時代、「滅亡」へと向かう過程ではなく、多くの失敗もあったが数々の改革を試み、内外の危機に見事に対応した勝利の時代として描いている。 帝政前期には、元老院議員たちが帝国のエリートとして統治の担い手となり、新たな事態に悪く言えば場当たり的な対応をしてきた。そこからしだいに安定した、一貫した統治が可能な官僚機構ができ始め、その担い手として騎士身分が興隆することになる。3世紀のさまざまな改革の試みの到達点がコンスタンティヌスの帝国であったという。 「出来事」を追ううちに「構造」が見えてくる1冊。 -
私はイスラム教徒でフェミニスト
コーランにもとづく、「服従」しないための療法。 フェミニストでありながら、イスラムのスカーフを被ること─。これは、スカーフを女性差別の象徴としてみなす西洋のフェミニストたちに理解されにくく、議論の的となってきました。でも、それが、ナディア・エル・ブガの流儀です。宗教に敬虔であることとフェミニストであることは、矛盾しません。 イスラムというと女性蔑視の因習的な宗教という先入観や、テロと短絡的に結びつける傾向もあるでしょう。そんな誤解や偏見は、イスラム法を学んで、モスクで講和を行なう専門知識をそなえたナディアが、丁寧にときほぐします。 この本は、イスラムの聖典をひもときながら男女平等を説き、セクシュアリテの封印を解く、フランスで人気の性科学医(セクソローグ)による自伝的エッセイです。 セックスやジェンダーに悩むひとに、コーランにもとづく、「服従」しないための療法を! 診療室をおとずれる多様性をかかえた患者の生に寄りそってきた著者ならではのアドバイスや語り口は、どれも魅力的で、イスラム文化のみならず性教育に関心を持つ読者にも有意義。日本の読者へのメッセージ「コロナ禍を経て、伝えたいこと。」も収録。 -
戦後経済学史の群像:日本資本主義はいかに捉えられたか
「近代化」と「豊かさ」をめぐる思索 「日本資本主義」という〈問題〉がかつて存在した―。 明治以降の日本社会は、マルクスが捉えた資本主義の発展図式と異なるのではないか。もしそうだとしたら、日本社会はどのような資本主義社会であり、現状、どの段階にあるのか。 こうした論点をめぐり1920年代から30年代にかけて「日本資本主義論争」が起こる。さらにこの論争は、封建社会から資本主義社会への移行の問題として「大塚史学」に引き継がれる。 そして戦後社会科学は、この日本資本主義論争と大塚史学を揺籃に歩み始める。 そこで追求されたのは、日本資本主義の構造把握を通じた「近代化」と「豊かさ」の実現である。もちろん、どちらも戦時下の「生産力」の増強という要請の変奏曲でもある。 本書では、内田義彦、大河内一男、高島善哉、小林昇、水田洋、伊東光晴という戦後経済学の巨人に即して、日本資本主義がいかに捉えられたかを解明する試みである。 それは同時に「戦後」とはどんな時代だったかを明らかにすることでもある。日本資本主義が問われなくなったとき、戦後が終わったとも言いうるからだ。社会科学が輝いた時代へ赴く、渾身の書下ろし。 -
ピジン・クレオル諸語の世界:ことばとことばが出合うとき
異なる言語が出合う、新たな言語が生まれる 言語学や文化人類学、音楽や写真など、さまざまな分野で活躍された著者が生涯にわたって追い続けた最大のテーマ、それが言語の接触によって生み出されるピジン・クレオル諸語。もととなる言語が何であれ、いずれも共通した文法構造が見られるなど、人間の言語を考えるうえで欠くことのできない視点を提供してくれます。世界各地で話されているさまざまな「ことば」に常に立脚点を置きながら、異言語接触と新しい言語の誕生をさぐる緻密な考察を積み重ね続けてきた著者による画期的な一冊。 -
ホモ・デジタリスの時代:AIと戦うための(革命の)哲学
刊行されるや、黄色いベスト運動に揺れるフランスにおいてAmazonの経済エッセイ部門で第1位獲得! フランスを代表する経済学者が、1968年5月革命以後の「世界史の構造」を総括! 新たな人文知のため、デジタル社会における「経済成長」の真実に迫る。 68年の学生運動は何だったのか、70年代に左派が過激化したのはなぜか。工業化社会からサービス社会に移行した80年代の保守革命を経て、90年代のIT革命により実現された21世紀のソーシャル・ネットワーク──SNSが「68年」の理想を体現しつつ社会を分断するのはなぜか。 アーレントが分析したナチス台頭時の群衆と現在の大衆を弁別した上で、著者は、リベラル左派エリート層にも「労働のない労働者の社会」にも警鐘を鳴らす。 ポピュリストはなぜ台頭するのか、GAFAとはどう付き合うべきか。AI革命で人間の仕事はどうなる? マルクスをはじめフーラスティエやクルーグマンやセンら経済学者、ラカンやドゥルーズ=ガタリら思想家のみならず、『ホモ・デウス』、ネットフリックスや2ちゃんねるまで目配りよく援用し、iPhone世代の将来を左右する問題を考察。 -
指揮者は何を考えているか:解釈、テクニック、舞台裏の闘い
指揮棒を持つのと手で指揮をするのとではどう違うのか、ピアニスト出身とヴァイオリニスト出身、作曲家出身の指揮者では、どこが違うのか。そもそも指揮者によって、あるいは同じ指揮者でさえ演奏が変わるのはなぜなのか……。 著者はアメリカの指揮者・教育者で、「有名な大指揮者の伝記や指揮法の教本でないものを」という依頼に応えて、本書を執筆したという。その結果誕生したのは、指揮というアート・職業のあらゆる角度からの検証であり、ごくわずかな人間しか知らない世界や心理を垣間見せてくれる、ユニークな作品である。 どの章も、著名な音楽家との自身の経験もしくは、晩年のアシスタントや作品の初演を務めたレナード・バーンスタインからじかに聞いた貴重なエピソードをふんだんに盛り込み、とっつきやすく、飽きさせない。一方で、ベートーヴェンの有名な曲を例に、ある場面を自分はどう解釈し、オーケストラにどう表現させるためにどういう指示を出すかを説明したり、クリティカル・エディションの「正しさ」と批評家や聴衆の「常識・慣習」との折り合いの問題を解説するなど、ディープな音楽ファンにも楽しめる内容になっている。 -
丸山眞男と戦後日本の国体
敗戦70年を迎えるあたりから、戦後思潮を問い直す従来の動向を大きく乗り越える著作が世に問われるようになった。そこでは戦後史の「正体」や戦後日本の「核心」が焦点になっている。 ここで分析の俎上に載せられるのは「戦後日本の国体」(篠田英朗)である。暗黙の前提として受け容れられてきた日本国憲法と日米安保条約からなる戦後体制に根本的な疑義が突きつけられるようになったのである。 「一五年安保」における国論の混乱は、こうした疑義に拍車をかけている。 本書は、「戦後民主主義」の旗手とされる丸山眞男の思想と行動を辿ることで、この問題を捉え直そうとする試みである。 戦後の「政治の季節」に颯爽と登場して以降の丸山像は果たして実像を反映したものなのだろうか? 彼の人民主権理解はいかなる過程で獲得されたものなのか? 「六〇安保」以降の日本政治思想史講義はいかなる射程を有していたのか? 本書では、処女作「政治学に於ける国家の概念」以降の丸山の論文、座談、書簡、講義録を広範かつ詳細に検討しながら、これらの問題に明解な回答を与えていく。その先に戦後日本と未来の新たな形が浮かび上がる。渾身の書き下ろし。 -
オーケストラの音楽史:大作曲家が追い求めた理想の音楽
本書は、単純に「物としてのオーケストラ」の発展の歴史を追うものではない。ハイドンからスクリャービンやヒンデミットまで、オーケストラ音楽の発展に影響のあった大作曲家を例にとり、彼らがオーケストラに何を求め、どのように利用してきたのか、そのためにオーケストラの編成や楽器の使い方がどう変化しているかを見ていくものである。 作曲家は自身の理想の音楽を表現するために、音の強弱の対照や多彩な音色、弦楽器と管楽器の独自のバランスを求め、それはのちにドイツ・フランス・イタリアそれぞれのオーケストラの特徴につながっていく。本書ではオーケストラ音楽の変遷を、その原因や目的という観点から描くかたわら、たとえば啓蒙思想や合理主義がハイドンを通してオーケストラに与えた影響など、社会や時代背景との関係も随所で語られている。著者の言葉を借りれば、「オーケストラの歴史を大局的に眺めてみれば、社会における人間関係の変化や社会的関心の変化をめぐる物語が見えてくる」のである。 『西洋音楽史』がいまなお読み継がれている大評論家パウル・ベッカーが、アメリカ移住後の最晩年に著した幻の一冊、ついに邦訳! -
韓国語のしくみ《新版》
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 新書みたいにスラスラ読める! 文法用語や表に頼らない、大評判の画期的入門シリーズ。 「しくみ」がわかれば、外国語は楽しい。 《しくみ》シリーズの3大特徴 ★言葉の大切なしくみ(=文法)がわかる ★しくみを読者みずからが発見していく構成で通読できる ★言葉の楽しさ、面白さ、そして発想の多様さを実感できる 外国語を始める人も、その予定はない人も。 まずは寝ころんで、コレ読んで。 名前しか知らなかった"言葉"が、あなたのお気に入りになるかも。 *収録音源は無料でダウンロードできます。 -
英語のしくみ《新版》
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 新書みたいにスラスラ読める! 文法用語や表に頼らない、大評判の画期的入門シリーズ。 「しくみ」がわかれば、外国語は楽しい。 《しくみ》シリーズの3大特徴 ★言葉の大切なしくみ(=文法)がわかる ★しくみを読者みずからが発見していく構成で通読できる ★言葉の楽しさ、面白さ、そして発想の多様さを実感できる 外国語を始める人も、その予定はない人も。 まずは寝ころんで、コレ読んで。 名前しか知らなかった"言葉"が、あなたのお気に入りになるかも。 *収録音源は無料でダウンロードできます。 -
チェコ語のしくみ《新版》
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 新書みたいにスラスラ読める! 文法用語や表に頼らない、大評判の画期的入門シリーズ。 「しくみ」がわかれば、外国語は楽しい。 《しくみ》シリーズの3大特徴 ★言葉の大切なしくみ(=文法)がわかる ★しくみを読者みずからが発見していく構成で通読できる ★言葉の楽しさ、面白さ、そして発想の多様さを実感できる 外国語を始める人も、その予定はない人も。 まずは寝ころんで、コレ読んで。 名前しか知らなかった"言葉"が、あなたのお気に入りになるかも。 *収録音源は無料でダウンロードできます。 -
中級フランス語 つたえる文法
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【この電子書籍は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きい画面の端末で読むことに適しています。】 「中級フランス語」は、一歩先のフランス語をめざす人のための三冊シリーズです。本書「つたえる文法」では、フランス社会におけることばづかいについて考えます。たとえば、同僚に「プリンターを使わせて」とフランス語でお願いする場合、あなたならどう言いますか? 聞き手がどのように受け取るかを想像し、その場にふさわしい表現を使いわけましょう。ことばづかいの陰に文法あり。動詞と構文を中心にフランス語のしくみを体系的にとらえながら、言いたいことを的確につたえるセンスをみがきます。 -
星の文化史事典
星好きは大変である。観測は気象条件に大きく左右される。春先はまだ朝晩は寒いし、曇りや雨なら天体は厚い雲の彼方で何も見えない……。でも、天空の味わい方はそれだけではない。天文学がある。ここでは「てんぶんがく」と読んでみよう。世界各地の星に関わる伝承や物語のこと。たとえば、春の夜空に輝く「春の大三角」のひとつ、うしかい座にはどのような話が伝わっているのか。ギリシアで誕生した最も古い星座のひとつで、「鋤や牛を使って畑を耕す人」の意味をもつという。また、葡萄の収穫時期を知るのに用いられたという言い伝えも残されている。日本では、うしかい座の主星アルクトゥールスを、麦が実る頃に見えるので麦星、鯛がよくとれる時期に見えるので魚島星などとも呼ぶ。ひとつの星や星座にもさまざまな云われがあり、地域によって何が大切にされているかがわかる。いわゆる八十八星座はあくまでも西洋の想像力の産物。日本だけでなく、インドや中国、南北アメリカなど、天空への見方は一様ではない。星や星座のほか、月や太陽、流れ星や天の川に対して、私たち人類はどんな物語を紡いできたのか。ジャンルの垣根を越えた約1700項目収録。図版多数掲載。索引も充実。雨の日も心おきなく星の世界を満喫できる一冊。 -
いま自然をどうみるか
人と自然との新たな関係を描く名著 本書は、反原発運動を率いた「市民科学者」高木仁三郎が1986年に世に問うた自然哲学の名著。ギリシア神話の自然征服志向から、コペルニクス的転換、近代科学の「機械としての自然」像、民衆の自然観の蘇生、労働論まで、人間が自然を支配・操作の対象とみなしてきた歩みをたどり、科学の眼と感性の眼とに引き裂かれた現代人に、自由と解放の自然観への転換を促す。文明批判にとどまらぬ射程の広さゆえ、四〇年を経てなお読み継がれ、増補新版(1998年刊)で加わったチェルノブイリ以降の展望も含め、骨格は揺るがない。 3.11以降、脱原発の機運は高まったが、近年は再稼働や老朽炉の“建て替え”が語られ、賛否は再び揺れている。人間中心主義的な自然観が臨界点に達しつつあるいま、本書の根源的な問いは重みを増す。次の世代にも、自然との向き合い方を考える糸口となる一冊。解説=山口幸夫(原子力資料情報室共同代表) [目次] 序章 いまなぜ自然か ある早朝に 科学的な自然像 二つの自然 核テクノロジーの意味するもの 第二の自然 孤独な征服者 自然観の見なおし エコロジー エコロジズムは解放の思想たりうるか 本書の構成 第一部 人は自然をどうみてきたか 第一章 ゼウスとプロメテウス 1 プロメテウス神話 『プロタゴラス』のプロメテウス 遅れてやってきた人間 プロメテウス讃歌 縛られたプロメテウス ゼウスの正義 2 ヘシオドスの世界 ヘシオドスのプロメテウス 『仕事と日』 ヘシオドスの正義と自然 正義の都市 自然と人間 第二章 ロゴスとなった自然 1 宇宙大の動物 万物は水なり 宇宙大の動物 ロゴスとなった自然 2 アリストテレスの宇宙 アリストテレスの宇宙構造 自然論としてのアリストテレス宇宙 「神」の投入 宇宙の中の人間 中世キリスト教社会とアリストテレス 第三章 機械としての自然 1 解放の時代 革命と保守化 コペルニクス 宇宙観の解放 ジョルダーノ・ブルーノ 自然に内在する原理 2 近代的自然観へ 機械としての自然 精神と肉体 数学の導入 3 ニュートンのもたらしたもの りんごと月 最初に法則があった 「私は仮説をつくらない」 自然は単純を喜ぶ キリスト教と科学 職業としての科学 第四章 宇宙は解けたか 1 数学的宇宙 数学的自然 上からの数学 相対性という絶対主義 物理的意味は後からやってくる 宇宙原理 完全宇宙原理 ビッグバン宇宙論 力の統一 2 宇宙と人間 宇宙と神 ビッグバン理論は「我々の現在」を説明できるか? ニューサイエンス ニューサイエンス批判 自然観の転換 第二部 いま自然をどうみるか 第五章 エコロジー的地球像 1 「宇宙船地球号」モデル かけがえのない地球 人間自身についての認識 「宇宙船地球号」の限界 2 開放定常系のモデル 生きている系 天動説の復活? 3 ガイアのモデル 生きものとしての地球 ひな菊の世界モデル 共生の意味 4 生物と文化 生物の文化 プロメテウスの末裔 生命の文化 第六章 民衆の自然 1 先住の世界から 土着の自然 非核太平洋 ロンとの会話 バッファローのこと 伝承の説得力 2 近代を超える精神 石牟礼道子の世界 近代をつきぬける生命感 人と自然とのかけ合い 遊びとおかしみ 野遊びの歌 たたかい 第七章 自然と労働 1 自由の国・必然の国 ネイチャー・ショック 子供じみた態度? 自由の国 有用性としての労働 自然との闘い 2 労働と生活 労働の意味 現代の労働 労働時間について 生活と自然 生きた社会 人間の主体性としての労働 終章 自然に生きる 内なる自然性 金芝河のエピソード 偏見からの解放 狩する人 フェミニズムと自然観 反差別と自然性 自然主義 ナチュラルな社会 運動について 結び 増補 そしていま、自然をどうみるか 1 激動の時代の中で 十二年がたつ チェルノブイリ原発事故 情報の公開 地球環境問題 2 根源的転換に向けて 「地球環境」について 転換 共生 未来を取り戻す 転換期における科学 引用文献・参考文献 あとがき 増補新版へのあとがき 解説 「オルターナティブな科学」をめざして(山口幸夫) -
ホロコースト 新しい歴史
「証言のもつ感情的な力」を体感できる通史の決定版 本書は最新研究を踏まえ、ナチ体制とホロコーストの全体像を概説する画期的な通史。著者とそのチームが二五年間にわたって取材・収集した膨大な証言が随所に引かれ、生存者の証言はもちろん、加害側に立った人びとの告白、迫害を目撃した傍観者の声も多数採用されている。本書はそれら「証言のもつ感情的な力」と、ナチ国家の政策形成や権力政治に関する分析の双方を結びつけた、他に類を見ない歴史書と言える。 著者は歴史家であり、BBC歴史番組で多数の受賞歴を誇る映像制作者でもあった。本書の記述の要所要所には、取材・収集した多様な証言が効果的に織り込まれ、まるで優れた映像作品を彷彿とさせる作りとなっている。あたかも証言者が目の前で語っているかのような視覚的、聴覚的なイメージが立ち上がってくるのだ。読者は、証言を通じてナチ犯罪の凄惨さを生々しく体感し、証言者の体験に心を揺さぶられる。それと同時に、証言からは証言者がナチ体制崩壊後に歩んだ道をうかがい知ることができ、それもまた時として読者に深い衝撃を与え、思索に向かわせる。 アントニー・ビーヴァー、イアン・カーショー推薦の書。 [目次] プロローグ 第1章 憎悪の起源 第2章 ナチの誕生 一九一九-一九二三年 第3章 革命から投票箱へ 一九二四-一九三三年 第4章 権力の強化 一九三三-一九三四年 第5章 ニュルンベルク法 一九三四-一九三五年 第6章 教育と帝国の建設 一九三五-一九三八年 第7章 急進化 一九三八-一九三九年 第8章 人種戦争の始まり 一九三九-一九四〇年 第9章 西欧における迫害 一九四〇-一九四一年 原注 口絵写真一覧 -
グローバリスト:帝国の終焉とネオリベラリズムの誕生
ハプスブルク帝国の灰塵から 本書は、1920年代から現在に至るまで百年にわたる国際政治経済史を背景に据えながら、この40年、散々語り尽くされてきたように思われるネオリベラリズムの起源と発展に関して、理論的にも歴史的にも新たな光を当てる試みである。 ネオリベラリズムというとき、その焦点はアメリカのシカゴ学派に置かれるが、本書は、ジュネーヴ学派という、これまで顧みられなかった思想家群像に注目している。 とりわけ重要なのは、ネオリベラル理論の核心が制度設計に置かれていたということである。それは、ハプスブルク帝国の灰塵を揺籃とした、その出自に刻印されていた。すなわち、帝国後の世界にふたたび秩序をもたらすことが目的の思想運動だったのである。その際、脱植民地化と民主化の波といかに対峙するかがこの運動には重要だった。 本書が提示するのは、1920年代ウィーンのミーゼス・サークルに始まり、1980年代にWTOの創設で絶頂を迎える、三世代にまたがる思想家たちの物語である。国民国家(インぺリウム)と世界経済(ドミニウム)を融合させる連邦を夢見た者たちの勝利ではなく、敗北の軌跡。 -
神のゴーストライター:聖書を作った古代ローマの奴隷たち
聖書の文章を「書いた」のは誰だったのか 古代ローマ時代、文書・文芸作品を「創作」するのはしかるべき立場の人間だったが、それを「筆記」するのはもっぱら、秘書・書記・写字生職の奴隷や解放奴隷であった。それはローマ時代に成立した新約聖書も例外ではなく、「書いた」人物の名前まで記されている箇所がある。考古学上の理由から「書いた」のが使徒本人ではないと考えられる手紙もある。当時の口述筆記に、いったん速記記号に圧縮して書き取り後から文章にふくらませる方法が使われていたことを考えると、そこには「書いた」人物の編集能力や、解釈すら含まれている可能性もあるかもしれない。 では、古代ローマ社会の奴隷の目に、イエスはどういう存在に映ったか。福音書に書かれているイエス像は、当時の社会から見てどういう存在なのか。有力者が改宗すると、しばしばその家――ファミリアに属する大勢の奴隷たちもまとめて改宗となった時代、そうした奴隷たちにとって宗教とは、キリスト教とは何だったのか。 古代ローマに生きたさまざまな立場の奴隷たちの世界を見わたしながら、ローマ社会とくに奴隷制度という角度から、新約聖書について考察する。 [目次] 地図 著者からの注記 はじめに I 目に見えない手 第1章 エッセンシャル・ワーカー 第2章 パウロとその秘書たち 第3章 イエスの物語を読み直す II メッセンジャーと職人 第4章 神のメッセンジャー 第5章 言葉のキュレーター 第6章 福音書の顔 III 遺産 第7章 忠実なキリスト教徒 第8章 不従順な者への罰 エピローグ 謝辞 訳者あとがき 図版一覧 注 略語と著者による引用の翻訳についての注記 -
ハンガリー語の入門[改訂版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 しっかり学べる25課、音源は音声アプリで 基礎から実践まで、この一冊で確実な力を! ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に対応。基礎から実践まで、この一冊で確実に力がつきます。本格的学習書の決定版! 定評あるロングセラーが、さらに使いやすくなりました。ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に対応し、音源は音声アプリからダウンロードできます。ハンガリー語は、後ろにさまざまな接続詞をつけて、文法的な関係を表わします。人称変化も多く、難しいと思われがちな言語ですが、どうぞご心配なく。全25課は、丁寧な説明、豊富な練習問題、実践的な会話や楽しい読みもので構成されていますので、初歩から中級まで、一歩一歩、確実に学習できます。 ★音声アプリ無料ダウンロード -
世界の書店を旅する[増補新版]
すべての書店は羅針盤である 本と出会い、仲間と集い、ときに抵抗する場として……かつてあった/いまも続く書店と書店主、そこを訪れ、支えた人びと。幾多のエピソードに光を当て、書店の未来に寄りそう紀行エッセイ。 目次には「世界最古の書店」「政治的であるべく運命づけられた書店」「世界の果ての本と書店」など興味深いテーマが並び、読者を書店への旅にいざなう。書店の歴史をひもとき、図書館との違いを考察し、日々足を運ぶ本屋、あるいは旅先で訪れた書店での体験を通じて、書店が果たしてきた歴史的、社会的な役割について思いを馳せる。 本書のもうひとつのテーマは「旅」である。本書に登場する書店の数は三百軒を超え、著者が訪れた国は五大陸に渡る。 読書人口が減り、町の書店が消えていくという現象は日本だけの話ではない。「書店」という存在のみが果たしうる有機的な役割について、本書が訴えかけるものは大きい。スペインで2025年に刊行された増補新版に基づき、各章の前後にエピグラフを付し、新たなエピローグ、ロジェ・シャルチエによる解説、著者が訪れた世界各地の書店の写真を集めたページ(「パノラマ」)を追加。各章に図版多数。 [目次] はしがき――シュテファン・ツヴァイクの古い短編小説から出発して 1 旅はいつも 2 アテネ 最初の一歩 3 世界最古の書店 4 〈シェイクスピア・アンド・カンパニー〉 5 政治的であるべく運命づけられた書店 6 東方世界(オリエント)の書店 7 北米――東から西へ 8 中南米――北から南へ 9 脱神話化されたパリ 10 書店チェーン 11 世界の果ての本と書店 12 ショー・マスト・ゴー・オン 13 日々の本屋 14 バーチャル書店 エピローグ――すべての始まりの終わり 世界の書店を旅する――パノラマ 解説――旅へのいざない ロジェ・シャルチエ 訳者あとがき ウェブサイト一覧 映像作品一覧 参考文献 -
赤のホテル スターリンの偽情報戦
独ソ戦の最中、「メトロポール・ホテル」の劇的な人間模様 スターリンはチャーチルの要請によって英米の報道陣をモスクワに受け入れ、独ソ戦の東部戦線を取材させた。しかしスターリンは、これら外国特派員をクレムリンの「広報係」へと変貌させるため、徹底した検閲、前線取材の禁止、一般市民との接触禁止を課した。特派員は滞在する「メトロポール・ホテル」で、通訳兼助手の若い女性を当局から手配された。その女性通訳の中には、特派員を籠絡してクレムリンの偽情報を鵜呑みにさせた者もいれば、ソ連の現実を密かに耳打ちし、その結果、収容所へ送られた者もいた。通訳であり諜報の凄腕、もしくは抵抗者でもあった女性たちの類まれな活躍が初めて描かれる。 『ニューヨーク・タイムズ』は本書を「陰謀と弾圧の物語。…特派員たちはメトロポール・ホテルに滞在し、歓待され、監視され、クレムリンのプロパガンダを絶え間なく与えられた」と評価し、『ワシントン・ポスト』は2023年度の注目すべき書籍に選出した。作家はロイター通信および『デイリー・テレグラフ』紙のモスクワ特派員、英国王立問題研究所の外交専門誌の編集長を歴任したジャーナリスト。口絵写真多数収録。 [目次] はじめに 序章 一九一九年四月 オデッサ 第1章 一九四一年六月 思いがけなく戦争特派員に 第2章 一九四一年七月~九月 戦時にふさわしい仕事 第3章 一九四一年八月 英国革命の母 第4章 メトロポール・ホテル 第5章 一九一七年 若き革命家の誕生 第6章 一九四一年九月 記者のご機嫌を取る 第7章 一九四一年一〇月 記者たちとの軋轢 第8章 一九四一年一〇月 慌てふためくモスクワ 第9章 一九四一年一一月 悲しみの中で 第10章 一九四一年―~四二年冬 飢饉の中の大宴会 -
ニューエクスプレスプラス 上海語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 上海人同士の会話に欠かせない話しことば あたかも近未来都市のような、超モダンなビルが立ち並ぶ浦東、レトロな洋館が続く外灘、大勢の人でにぎわう南京路。上海にはいくつもの顔があり、北京とはまるで違った雰囲気が味わえます。標準中国語(普通話)も通じますが、上海人同士のコミュニケーションはやっぱり上海語。発音は標準中国語とまったく異なり、5つの声調と連続する音の変調によって独特なメロディとなります。現地に行かない限りなかなか聴くことのできないその響きを、付属の音声で堪能してください。 -
講義 戦後史を歩く 1945-2000:この国の軌跡
代ゼミで10万人が聴いた伝説の講義 誰しも心に残る授業があるはずだ。人生においてもっとも多感な時期に受けた講義は生き方を変え、心の糧になっていく。 大学受験の予備校がそうした経験の場になった時代があった。受験という枠組みを超えて、悩める若者の背中を押し、社会へと送り出した珠玉の授業がたくさんあった。 本書は1980年代から30年以上にわたり代々木ゼミナールで日本史を教えてきた著者による戦後史講義だ。毎年、受験直前の冬に語られた戦後の事績は、これから大人になる受験生に大きな感動を与えた。 焼け跡、復興、冷戦、高度成長、バブル、失われた30年。戦後史の明暗を通じて浮き彫りになるのは、上滑りに滑ってきた日本近代の姿である(夏目漱石『現代日本の開化』)。歴史を語る意味、歴史を学ぶ意味を熱く語った伝説の授業を白水Uブックス〈人文知への扉〉でもう一度! [目次] I 敗戦後の日本と占領政策――一九四五年から四八年までの動き1 占領政策の展開/降伏文書の調印/五大改革指令の実行指令/婦人の解放/労働組合の奨励/教育の自由主義化/圧政的諸制度の撤廃/経済の民主化 II 日本国憲法の成立と戦後の経済混乱――一九四五年から四八年までの動き2 日本国憲法の成立/政党の再建と保守政党の再編/戦後インフレ/金融緊急措置令と傾斜生産方式/昭和電工事件の顚末/悪性インフレの発生 III 占領政策の転換――一九四八年から五〇年ころまでの動き 東西冷戦構造の深まり/朝鮮戦争の勃発/日本経済の自立/安定恐慌と朝鮮特需/下山・三鷹・松川三大怪事件/特需景気とIMF体制 IV 講和条約の締結と国内の状況――一九五〇年から五三年までの動き サンフランシスコ講和条約の調印/戦時賠償を考える/日米安全保障条約の影響/再軍備の動きと逆コース V 吉田茂内閣の退陣から石橋湛山内閣の成立まで――一九五三年から五七年までの動き 「臣茂」の辞任と昭和天皇の退任問題/吉田対鳩山の確執と造船疑獄問題/鳩山内閣の成立と保守合同/日ソ共同宣言と国連加盟問題/第三諸国の台頭と「雪解け」/特需景気以降、神武景気までの経済/石橋湛山内閣の残したもの VI 安保騒動と所得倍増政策――一九五七年から六四年までの動き 岸信介内閣成立と反共政策/新安保条約の締結とその狙い/反安保闘争と岸内閣の退陣/池田勇人内閣と所得倍増計画/LT貿易と日中関係の改善/「家族の時代」と六〇年代前半の社会/農業基本法制定とその後の日本農業 VII 高度経済成長の終焉――一九六四年から七四年までの動き 佐藤栄作内閣の登場と「いざなぎ景気」/朝鮮半島との関係と日韓基本条約の締結/被爆国日本と「非核三原則」/沖縄返還協定とベトナム戦争の動き/高度経経済成長の終焉と「公害大国」日本/田中角栄内閣の成立とその挫折 VIII 現在の日本と二一世紀へのメッセージ――一九七四年から「明日」という時代まで 三木武夫内閣から、ロッキード事件、鈴木善幸内閣までの動き/中曽根康弘内閣と財政問題/レーガノミックスと日米貿易摩擦/チェルノブイリ原発事故とエネルギー問題/その後十年あまりの政治状況/バブル経済の実態とその後の日本経済/「明日」という時代へのメッセージ 旧版あとがき 参考文献及び資料 白水Uブックス版あとがき -
しあわせのみつけかた:人生を選び直すための《越境》
《旅立つ、それぞれの理由》 しあわせの定義が揺らいでいる。かつての良い学校、良い就職、良い結婚といった型どおりの幸福像が魅力を失ってすでに久しく、私たちは自分たちなりのしあわせを模索している。一方、日本社会には閉塞感や停滞感が漂い、生きづらさを感じている人も多い。日本を離れる人々が増えてきた。 海外移住を指南する本も増えた。とりわけマレーシアを中心に東南アジアへの移住者が増えている。著者もその一人ということになる。本書は、そうした潮流を《越境》という言葉でとらえ直し、移住者の考え方や生き方に迫ろうとしたものだ。 そこで浮かび上がってくるのは、単純な成功譚ではなく、もちろん勝ち組の話でもない。そうではなく、個々人が、より良い生き方を求めて、直視してこなかった自分の願いや本音に気づき、自己を解放し、周りを巻き込み、試行錯誤しながら、ひとつひとつの境界線を越えてゆく過程の物語だ。 それは、いわゆる「就職氷河期世代」の人生行路とも重なる。ミッドライフクライシスから子育てまで、様々な理由で日本を離れる人々。それぞれのしあわせのカタチを追いかけた異色のルポ! [目次] 序章 越境の先に見えたもの 越境というキーワード/個人のストーリーからひも解く/著者の視点/しあわせを求めて I 自己探求の先にあるもの 第1章 初代の気概でマレーシアへ 出会い/初めてのイギリス留学――苦労しつつもアジアの友人と心を通わせる/就職、創業社長を身近に学べる会社へ/実家の家業に就職/初代の気概でマレーシアへ/「ソーシャルメディアは、出会う入り口」/なぜマレーシアか?/浅草でインバウンド観光客向けのハラルお土産屋さんを開業/子育ての悩み/迷いの連続を糧に、これから 第2章 企業とNPOの越境キャリア 高校中退という選択から見えた社会/アジアとの距離を詰めた大学時代/経済発展は正義か――MBAへ/線路に乗ろうとすれば弾かれる――国連での経験/企業のファイナンスから「ソーシャル・ファイナンス」へ/「世の中のためになるビジネス」を創る仕事/「自分のありたい形を自分で作る」ことが幸福につながる/インターナショナル・バカロレア(IB)の魅力/マレーシアの良さ、多様性と協調の視点を育む/教育移住は、自分への越境の挑戦でもある/「普通」がない世界で「自分の生き方」を決める 第3章 牛に乗りながら馬を探す 腕白ジャイアンと、できすぎくんの掛け合わせから、工学研究へ/「とにかく一番になりたい」/姉の影響で海外へ/工学からベンチャー事業化への興味――研究室から猛烈な実社会へ/鬼軍曹の下で修業/MBAで英語の壁/行ったことのない新しい国に住みたい ――マレーシアを選択/結果が出なければクビの背水の陣/これから――海外に住み続けたい、日本はいい国だけれど/牛に乗りながら、馬を探す/子育てについて――選択肢を広く、世界を広く II 育つ、育てるための越境 第4章 ワクワクを大事に、生き方を自ら創る 大学中退、起業、そして別れ――次の居場所を海外に/いま、歴史の転換期という認識/生い立ちと、大学中退まで/就職氷河期を超えて/二十代、社長として社会人生活をスタート/結婚、出産、仕事/マレーシアでの子育て、多様性/これから/ノアの箱舟? 第5章 出過ぎた杭になってほしい――打開策は許しあうこと 再会、四人の子育てと海外起業/生い立ちからタイ留学まで/帰国、新興ITスタートアップへ「ゼロ期入社」/いよいよ仕事でタイへ――日本農産物、日本食/子育て環境について――「出過ぎた杭になってほしい」/海外生活は、家族で支え合ってサバイブすることが必須/閉塞感の打開のヒントは、柔軟さと、許しあうこと 第6章 より強い精子と卵子を育てたい ありのままで/生い立ちと、両親の人生観への違和感/芸術と関係なく就職、結婚――義実家に同居/「ありのままで」――義実家から核家族化/さらに、海外マレーシアへ――同世代のエルサたち/マレーシアの良いもの――集団とは、異質な個人の集まり/より強い精子と卵子を育てたい/見本がないから私たちらしく III 就職氷河期世代も、ミッドライフクライシスも、越えてゆく 第7章 仕事一辺倒から、新たな生き方を探す 出会い/歯科医師という仕事――日本、女性、働くということ/仕事中心への疑問符/仕事を一度、手放す/夫婦共同で決断/夫婦で得意な言語を担当/手放した仕事、手に入れた生き方 第8章 センス・オブ・ワンダーを大事に 出会い/感性を育みながらの小学校受験/高校留学――ミネソタ州の田舎暮らしと九・一一/大学――人類の課題としての難民/《Being》/震災を経て、人生を再設計する/再び国連へ/マレーシアとの接点、転職から起業へ/なぜマレーシアか/結婚、パートナーシップ/レジリエンスを大事に――ミッドキャリアクライシスを超えて 第9章 寄り添いながら住まう 心の琴線に触れたマレーシア――暮らし方を感化されて/「我が強い子 」/受験上の理由と、英語で、国際教養科へ――小さな扉/高校二年の夏、マレーシアで過ごし世界が反転した/大阪外大で広がった世界/マレーシア留学――「暮らし」が始まる/大学卒業後もアルバイトでつなぐ/初めての会社員生活――限られた機会から、インドネシアへ/インドネシアでの仕事/ついに仕事でマレーシアへ/今の仕事は/日本の人たちに伝えられたら 終章 越境は、日常の中に いまの暮らしと、越境/よりよい生き方の実験として――CHANGEマイクログラント/CHANGEのはじまり/小さな選択が、暮らしを変える/広く、長く続けるということ/次の世代と向き合う試みとして/人種と、ワークライフバランスと/人種を意識せざるをえない場で/肌の色と、働きやすさの差/まとめ――越境の先で あとがき -
台湾海峡一九四九
台湾・香港の記録的ロングセラー 1949年、国共内戦に敗れた国民党政府軍と戦乱を逃れた民間人とが大挙して台湾へ押し寄せた。その数ざっと200万。一方、50年にわたる日本の統治期を経て、「外省人」という新たな勢力の大波にのみ込まれた台湾人(本省人)。互いに痛みを抱えながらこの小さな島に暮らしてきた外省人と台湾人の「原点」を見つめ直す。 抗日戦終了後、休む間もなく国共内戦に投入され、最後は国民党軍の撤退とともに台湾へ逃れてきた軍人とその家族たち。南洋にあった日本軍の捕虜収容所で監視員を務め、戦後、戦犯として裁かれた台湾人。たまたま隣の島へ荷物を届けて、海域を封鎖された漁師――。 あらがえない時代の流れのなか、限られた運命の選択肢に自らを賭し、必死で生き延びてきた人びとの姿を丹念に描いた記録文学の金字塔。 [目次] Uブックス版への序文 光の可能性 プロローグ 私たちを守ってきた街路樹 第1章 手を離したきり二度と……──父と母の漂泊人生 1 母、故郷との別れ/2 ちょっと雨宿りするだけ/3 流れ着いた埠頭で/4 母、五十年ぶりの帰郷/5 ダムに沈んだ故郷/6 汽車を追いかける女性/7 三十歳の父が広州に残した足跡/8 汽車を追いかける少年/9 いたって普通の一年/10 鍬を担いで、毛沢東の演説を聞きに/11 母がくれた作りかけの靴/12 十八歳の父が南京で受けた心の傷/13 老いた父が愛した芝居「四郎探母」 第2章 弟よ、ここで袂を分かとう──少年たちの決断 14 夏には帰ってくるから/15 端午の節句/16 別れ際、母についた噓/17 小さな駅での決断、兄と別れて南へ/18 疎開学生、志願兵になる/19 台湾なら肉が食える/20 この険峻な山を越えれば/21 ベトナム捕虜収容所での三年半/22 悪魔山に押し込められた難民たち/23 山険しく海深し 第3章 私たちはこの縮図の上で大きくなった──名前に刻み込まれた歴史 24 「台生」という名前/25 〝吉林〞までひと歩き/26 アメリカ兵がくれたチョコレート/27 小さな町で演じられた惨劇/28 六歳でも兵隊になれる 第4章 軍服を脱げば善良な国民──包囲戦という日常 29 レニングラード包囲戦/30 ソビエト軍による解放の陰で/31 長春無血解放/32 死んでも君を待つ/33 捕虜は恥か/34 お碗に落ちた戦友の肉片/35 弾よけになった民間人/36 北京から逃げる、上海から逃げる 第5章 われわれは草鞋で行軍した──一九四五年、台湾人が出迎えた祖国軍 37 八月十一日、上海の朝/38 九月二日、ミズーリ号上空は晴れて/39 八月十五日、上海の夜景がよみがえる/40 九月二十日、中秋の名月と揚陸艦LST-847/41 「日本人じゃありません」/42 LST-847が運んだもの/43 九月十六日、国民党軍第七〇軍、寧波へ/44 十月十七日、第七〇軍が来た/45 五十年ぶりの中国軍/46 台湾海峡の水葬/47 草鞋/48 歴史的瞬間だ、乗り遅れるな/49 線香を一本手向けて 第6章 フォルモサの少年たち──捕虜収容所にいた台湾人日本兵 50 歴史の奔流にのみ込まれた水滴がふた粒/51 高雄から戦地に向かって船が出る/52 死体から染み出た水をすすり/53 一九四二年、台湾の少年たちが歌う君が代/54 台湾人志願兵/55 捕虜収容所の台湾人監視員たち/56 トウモロコシ農場で出会った元米軍兵捕虜/57 自らの手は汚さずに/58 ビルが描いたサンダカンのスケッチ/59 監視兵が戦犯になり/60 「これは天が殺すんだ。私が殺すんじゃない」/61 日々是好日 第7章 田村という日本兵──ニューギニアに残された日記、生き残った国民党軍兵士 62 底辺の竹きれ/63 台湾人監視員が赤ちゃんにあげた卵/64 抗日の英雄たちのその後/65 上海からラバウルへ/66 墓標なき死者たち/67 地獄船に乗って/68 田村という若き日本兵/69 ニューギニアで食うこと、死ぬこと/70 十九歳の決断 第8章 じくじくと痛む傷──一九四九年の後遺症 71 二十カイリに四十年/72 モクマオウの木の下で/73 二人の男の子 エピローグ 尋ね人 あとがき 私の洞窟、私のろうそく/民国百年増訂版 序 わき出ずるもの/原注/訳注/謝辞 訳者あとがき -
都市三十六景 江戸の残像
歴史が足もとにきちんとあるという感覚 鈴木博之は『東京の地霊』(一九九〇年)で土地に堆積していく諸要素を「ゲニウス・ロキ」(地霊)と呼び、「都市の歴史は土地の歴史である」と看破した。 また、前田愛の『都市空間のなかの文学』(一九八二年)のように、「都市空間の解読から逆照射するという試み」も文学研究にはあった。 土地や空間を支えるものは、人にほかならない。そこに生き、支える人は、これら地霊の渦を作り、かつまたそのイメージに巻き込まれていく。そうした土台の上に、文学テクストや絵画が存在する。 ときには、残り香さえとどめない土地や空間もある。なにしろ、徳川時代が終わって百六十年近く。数々の自然災害、アメリカ軍による爆撃、再開発の数々を閲している。 現代とどこが連続しているのか。断絶しているなら、どこで断絶したのか。徳川時代という前近代を見据え、それらに考えをめぐらせるという作業は、近現代そのものの姿をも立ち現れさせてくれるのではないか。 貴重な図版とともに失われた空間を恢復する試み。 [目次] 前口上 第一章 古層の鳥瞰 一 麻布市兵衛町 二 高輪 三 上野 四 四天王寺 五 湯島 六 木挽町 第二章 水の江戸/東京 七 深川 八 柳橋 九 浅草 十 吉原 十一 江戸城/宮城/皇居 十二 両国・本所 十三 隅田川 第三章 混沌の上方 十四 大川(旧淀川) 十五 北新地 十六 長町裏 十七 ミナミ 十八 山崎 十九 鴨川 二十 三条大橋 第四章 都市の断層 二十一 蒲田・鈴ヶ森 二十二 日本橋 二十三 銀座 二十四 神保町 二十五 番町・九段 二十六 台南 二十七 目黒 二十八 祇園・東山 第五章 我々は何処へ行くのか 二十九 船場 三十 神楽坂 三十一 早稲田 三十二 本郷 三十三 下京 三十四 天満 三十五 青山・外苑前 満目青山は心にあり 参考文献 -
ニューエクスプレスプラス ブルガリア語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! 多くの国と接し、歴史も豊か キリル文字を生んだ地のことば 東方正教会、オスマン帝国など、さまざまな国と言語に囲まれたブルガリア。ロシア語に使われるキリル文字を生んだことでも知られています。豊かな文化を育んだブルガリアのことばをはじめてみませんか。 文字、発音から始めて会話文をもとに文法を解説、練習問題を重ねて最後は短い読み物に挑戦します。挨拶やスピーチで使える表現も収録。 【本書の構成】 ◆ブルガリア語ってどんなことば?:最初にことばの特徴や話されている地域などをご紹介します。 ◆文字と発音:文字の読みかたや発音のコツをやさしく解説。 ◆本文:全20課で、見開き2ページに会話・和訳・単語、次の2ページに文法説明があります。 ◆練習問題:2課ごとに2ページ、解答は同じ見開きですぐに確認できます。 ◆単語力アップ・表現力アップ:テーマ別の単語と表現のコーナーで会話もバッチリ。 ◆単語リスト:出てきた単語が載っているので、辞書なしでも始められます。 【ここがプラス!】 ◆簡単なスピーチ・メッセージの表現:人前で話すときに便利な表現や、カードに書けるメッセージを取り上げます。 ◆文法チェック:学んだ文法を短い作文問題で総復習。 ◆読んでみよう:少し長めの文章を読んでみます。「日本について」はシリーズ共通。 ◆音声ダウンロード:音声はダウンロードしてお聴きいただけます。 -
ニューエクスプレスプラス アイヌ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! アイヌ語とアイヌ文化に関心を持つ全ての人へ アイヌ語は北海道を中心に、樺太、千島、古くは東北地方北部でも話されていた日本の先住民族アイヌの言葉です。言語系統は異なりながらも長年隣接していたため、「トナカイ」「ラッコ」「シシャモ」「コンブ」など、日本語にも様々な語彙が流入しました。母語話者は減少しましたが、近年は復興運動も盛んになっています。本書ではアイヌ民族の伝統的な文化や生活に関する知識も豊富に掲載しています。ますます使用される機会が増えつつあるアイヌ語をこの1冊で始めてみませんか。 -
「ふらんす」100年の回想:1925-2025
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 わたしたちは、フランスに何を見てきたのか 当初は『ラ・スムーズ』(種まく女)の誌名で1925年に誕生した『ふらんす』は2025年に創刊100周年を迎えた。本書は、創刊号から近年までの記事を精選し、この雑誌の足跡をたどろうと試みたものである。日本とフランスとの関わりを知るうえで貴重な資料であり、また読み物としての魅力にもあふれている。 創刊号には当時の駐日大使クローデルから、近年ではノーベル賞作家のル・クレジオからメッセージを送られるなど、「フランス語学習とフランス語圏文化に関する日本で唯一の月刊誌」は今もなお、文化交流の場でありつづけている。10年ごとの章立てとし、編著者による詳細な解説を章ごとに付した。 「たゆたえども沈むことのなかった『ふらんす』の航跡を示す本書が、広大なバックナンバーの海へと、またさらに次の100年に向かって出航した本誌へと読者を導くものともなれば幸いである」(編著者まえがき) -
ヨーロッパ綺想庭園めぐり:歴史の中の庭を歩く
庭は歴史のもうひとりの主人公かもしれない 庭・庭園といえば、庶民にとってはまずは癒しの空間だが、古来より権力者にとっては、しばしば領土の縮図としての主張であり、最先端の知識や技術・美的感性の誇示披露であった。 十六世紀初頭、ヨーロッパ屈指の富豪の邸宅ヴィッラ・キージには、ラッファエッロ工房による見事な天井画や壁画が描かれていた。そこにちりばめられたリアルな植物の絵のなかには、コロンブスが南米から持ち帰って日の浅いトウモロコシやズッキーニが混じっており、とてつもなく高価なそれらの野菜が庭に存在したことがわかる。神話や「古代の七不思議」は、十七世紀にまで庭園のインスピレーション源となった。ヴェルサイユ宮殿とその庭園の設計は、宇宙の秩序と王の絶対権力を象徴していたが、その一角に作られた小トリアノンは、新たな時代の最先端モードであった。そしてその新しい流れに乗って、庭はジェイン・オースティン『高慢と偏見』で物語のターニングポイントを演出するのである。 神々が遊ぶ聖苑から、政治・科学・文学の重要な舞台としての緑地、「お皿に盛られた」庭や、楽園の雛形としての鉢植え文化まで、庭園を軸に楽しく読める西欧文化史。 【目次】 序文 第一部 神話の世界から古代、中世へ 第一章 四季の庭 第二章 神話の世界から古代ギリシアへ 第三章 共和政ローマから内戦へ 第四章 帝政ローマ 第五章 長き中世 第六章 初期ルネサンス 第七章 盛期ルネサンスのはじまり 第二部 盛期ルネサンスからバロックへ 第八章 ヴィッラ・マダーマ幻想――文人、建築家、エクフラシス 第九章 天翔ける苑――オルティ・ファルネジアーニの尚古・博物学的庭園 第十章 パナケイアの饗庭――P. A. マッティオーリ『ディオスコリデス薬物誌注解』の世界 第十一章 ローマのヴィッラ・メディチ――ある偉大なコレクションの記憶 第十二章 カプラローラのパラッツォ・ファルネーゼ――堅牢な軍事要塞から宇宙誌としてのヴィッラ庭園へ 第十三章 ヴィッラ庭園という文学空間――人文主義者ピエトロ・ベンボの言の葉の苑 第十四章 花樹は剣よりも強し──雄弁の人エラスムスが望んだ平和の庭 第十五章 お皿に盛られた楽園──ベルナール・パリシーの「田園風」陶器と理想庭園 第十六章 星を継ぐ建築家──ダニエーレ・バルバロの宇宙誌的ヴィッラ庭園 第十七章 天上/天井の悦ばしき花綱――ウェヌスが言祝ぐ愛と豊穣の苑 第十八章 架空庭園憧憬──バビロンの空中庭園から湖上に浮かぶバロックの懸垂苑まで 第十九章 ヘスペリデスの苑を探して――黄金の果実が燃える南の楽園 第三部 近代ヨーロッパの庭へ 第二十章 イングランドのルネサンス庭園 第二十一章 フランスのバロック庭園 第二十二章 英国風景式庭園 むすび─庭の破壊と再生の希望 あとがき 図版出典/主要参考文献 -
火山の下
世界の作家たちが愛読した幻の傑作 ポポカテペトルとイスタクシワトル。二つの火山を臨むメキシコ、クアウナワクの町で、妻に捨てられ、酒浸りの日々を送る元英国領事ジェフリー・ファーミン。1938年11月の〈死者の日〉の朝、最愛の妻イヴォンヌが突然彼のもとに舞い戻ってくる。ぎこちなく再会した二人は、領事の腹違いの弟ヒューを伴って闘牛見物に出かけることに。かつての恋敵ラリュエルも登場し、領事は心の底で妻を許せないまま、ドン・キホーテさながらに破滅へと向かって突き進んでいく。 ガルシア゠マルケス、大江健三郎ら世界の作家たちが愛読した20世紀文学の傑作、待望の復刊! -
西洋中世写本を愉しむために:写本・初期印刷本の歴史と鑑賞
一冊でわかる、美しく奥深い世界への手引き 本書は、西洋中世の彩飾写本および初期印刷本を読者が自らの興味に沿って鑑賞する助けとして作られた手引きである。展覧会の作品説明にも登場する用語や見どころが実例とともに解説され、写本やそれを構成する要素、聖書や時禱書といった主要なジャンルの、地域ごと・時代ごとの特徴と変化もコンパクトに読めるようになっている。 扱うのはおもに、近代以前の書物文化の活況をよく反映している12世紀から16世紀半ばにかけて制作された本。活版印刷の黎明期も対象としたのは、少なくとも15世紀には印刷本であっても手書きで装飾されることが多く、円熟した写本技術との共同作業であり、一冊ごとに個性があったからである。 第一部では鑑賞に有益な書物史・美術史の基本的な知識を提供している。第二部では、鑑賞する際の注目点を具体的に解説する。写字生や彩飾画家が描いた挿絵やイニシャル、欄外装飾、書体など、印刷本なら活字書体のデザイン、そして印刷本の顔ともいえる扉。第三部では、鑑賞のデモンストレーションとして、著名な作品を選んで解説した。展覧会のギャラリー・トークに参加した気分で本のページを味わってほしい。 [目次] はじめに ――書物を鑑賞するということ I 中世写本・初期印刷本の制作と歴史 1 羊皮紙から書物へ 2 彩飾写本の歴史 3 初期印刷本の世界 4 写本と印刷本の共存と競合 5 蒐集と零葉 II 鑑賞のポイント 文字と本のかたち 1 本のかたちとレイアウト 2 写本の書体 3 活字書体 4 余白 5 装丁 挿絵と装飾 6 写本の彩飾 ―― 挿絵 7 写本の彩飾 ―― イニシャル 8 余白/空白を埋める装飾 ―― ライン・フィラーとボーダー 9 印刷本の手描き装飾、イニシャル 10 印刷本の扉 11 色と色材 代表的なジャンル 12 聖書 13 時禱書 14 暦 ―― 月暦図の愉しみ III ギャラリー・トーク 一冊の本を前にして 1 書体と来歴がひらく世界 「聖マルティヌス伝」写本断簡(セント・オールバンズ、十二世紀中葉) 2 カスタマイズされた彩飾写本が語りかけるもの 「ボープレの聖務日課聖歌集」(エノー地方、一二九〇年) 3 西洋初期印刷本の金字塔を味わう 「グーテンベルク聖書」(マインツ[ヨハン・グーテンベルク]、一四五五年頃印行) 4 挿絵を読むということ ダヴィッド・オーベール翻案、シモン・マルミオン挿絵『騎士トンダルの幻視』(ヘント、一四七五年) 用語解説 編者あとがき 図版出典 文献案内 注 執筆者紹介 -
名前を言わない戦争:終わらないコンゴ紛争
新たな紛争理論の提示 ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』(一八九九年発表、一九〇二年刊)の舞台となった現コンゴ民主共和国は、一八八五年にベルギーの国王レオポルト二世の私有地とされ、一九〇八年に植民地ベルギー領コンゴとなり、一九六〇年に「コンゴ共和国」として独立を果たした。 その後、「コンゴ動乱」を経て誕生したモブツ政権のもとで独裁体制が築かれたが、その後、モブツ体制は打倒された。 コンゴでは一九九六年以来紛争状態が続いており、膨大な数の犠牲者、避難民そして人権侵害を生み続けている。出口の見えない紛争が続いているにもかかわらず、その実態が報道されることはまれである。 本書は、この地域の状況を長く現地で観察してきた著者が、コンゴ東部紛争の展開を整理し、その理論的含意を検討したものである。 その人的被害の深刻さはもとより、百を超える武装勢力や紛争鉱物の存在など、コンゴ東部紛争は「新しい戦争」の特徴を数多く備えており、くわえて国連平和維持部隊が長年活動を継続している。 紛争のダイナミクスをもとに交戦当事者の利益と社会構造に着目した新たな紛争理論の提示! -
人生について:日記抄
「こんなひとりごとにはどんな意味があるのだろう?」 トルストイをして「生命、知恵、教訓、慰安」にみちた「最上の書物のひとつ」と言わしめ、ペソアをはじめ後年の作家たちにも深い影響を与えた『アミエルの日記』。日本でも戦前から広範な読者を得ていたことがよく知られている。凡庸な哲学教師の日記は、なぜこれほどの共感を呼びえたのか。その精髄を贈る。 ベルリン滞在時にはシェリングの教えを受け、ジュネーヴ大学で哲学を講じたアミエルは、詩や評論の著作はあったものの生前に名声を獲得することはなかった。彼の名が注目されるようになったのはその死後、ノート174冊、16900ページにおよぶ日記の抜粋が、女友達の尽力で刊行されたことによる。近代的自意識の詳細な記録ともいうべきその筆致は、思索のための日記だったのか、はたまた日記のための思索だったのか——内省の実践の最果てへとわれわれをいざなう。解説=小倉孝誠「日記文学の極北」 -
ニューエクスプレスプラス トルコ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! 日本語母語話者にとって学びやすい言葉 古くから東西文明の十字路であるトルコで話されるトルコ語は、中央アジアに広く分布する「チュルク諸語」のひとつです。オスマン帝国の時代にはアラビア文字で表記されていましたが、20世紀の西欧化政策の結果、29文字のラテン文字が導入されました。発音は比較的簡単、文法に関しては「てにをは」に相当する語尾があることや、語順の点で日本語にも似ているため学びやすいと言われます。歴史・文化・自然・人……魅力あふれるトルコ語の世界へ、この1冊と踏み入れてみませんか? -
ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 鬼才の魅力を多彩な短篇で 『ラナーク』『哀れなるものたち』で知られるスコットランドの伝説的鬼才の短篇集が、待望の復刊! ファンタジーとリアリズム、笑いと哀しみ、アイロニーとウィットが混淆する饒舌な語りに思わず舌を巻くが、目に飛び込んでくる異彩を放つイラストも、作家自身の手になるもの。アリ・スミスをして「現代のウィリアム・ブレイク」と言わしめたグレイの多彩な魅力が存分に詰め込まれているのが本書なのだ。 学校を牢獄のように感じる〈わたし〉が、外へ出る想像上の〈ドア〉を恩師から授かる「ミスター・ミークル」。窒息するような現実から逃れようとする夢や欲望が、本書では多様なジャンルを横断しながら変奏される。コンピュータが導入された会社内でのちぐはぐぶりを皮肉った「内部メモ」。軟派で洒落者の鼻持ちならないイングランド人の男を揶揄した「あなた」。おしゃべりな歯医者に治療される不安と恐怖が迫る「トレンデレンブルク・ポジション」。なぜ靴下にガムがくっついているのか、その原因を綿密に理論化して可笑しい「時間旅行」。囲い込まれた世界に嫌気がさした男が、夢のような新しい移住先で体験する破滅の寓話「新世界」など──粒ぞろい短篇をほんの十ほど。 -
新版 イヴァナ・チャバックの演技術:俳優力で勝つための12のステップ
人生で成功するためのテクニックをあなたに ブラッド・ピットやハル・ベリーをはじめ、ハリウッド俳優が大絶賛! 人生で成功するための演技術。世界的ベストセラーの増補新版。 -
台北特派員秘録:若菜正義と「白色テロ」の時代
台湾に寄り添い続けた記者の半生記 日本統治の終焉から民主化前夜まで、長く歴史の陰に隠れてきた戦後台湾。本書は、その激動の現場を歩き続けた毎日新聞記者・若菜正義(1915~2002)の知られざる軌跡を追ったノンフィクションである。 戦中は中国を取材し、戦後は台北特派員として台湾社会を見つめた若菜は、蔣介石政権関係者とも反体制派の活動家とも分け隔てなく向き合い、イデオロギーではなく記者としての信念に従って取材を重ねた。また、退職後は資料集『台湾総覧』を一人で発行し続けながら、台湾社会の動向を長年にわたり記録した。 台湾では近年、歴史資料の公開が進み、これまで埋もれていた戦後日台関係の実像が少しずつ明らかになってきている。こうした一次資料や関係者の証言、遺族所蔵の資料などをもとに、著者は4年にわたる現地調査とインタビューを通じて、若菜の足跡を丹念にたどる。 一人の記者の歩みを軸に、台湾現代史の空白を埋めるとともに、抑圧と抵抗の「白色テロ」の時代を生きた人びとの姿と、これまで見落とされてきた日本と台湾の接点を鮮やかに浮かび上がらせる渾身の力作。 -
写本に描かれた本たち:西洋中世からルネサンスにみる本の象徴性と実用性
写本挿絵が語る書物文化の構造、性質、存在意義 本書は、大英図書館所蔵の五~十六世紀末の貴重な写本を中心とする図版九十点あまりを土台に、いわば写本挿絵自身が語る書物の社会的、霊的役割の分析を、目で見ながら味わうものである。 序論では、書物の物理的な形式、書物の象徴性と実用性、古代からルネサンスにいたる書物のイメージの変遷、ヨーロッパ文化圏を超えた広域な書物文化についての考察がなされ、本書で扱うテーマ全体が整理されている。続く第I・II部では、キリスト教信仰における聖なる象徴としての「神の言葉」や「命の書」といった概念の視覚化、世俗写本に関しては「記憶の宝庫」や「法の重み」を代弁する本の姿が登場し、それらを知の伝統、芸術、信仰の交差する場として読み解いている。受胎告知の場面で描かれる聖母マリアの読書、文字を書く人の足元に置かれた巻物の意味……。描かれた本のページ上の微細な文字は、文字様の線にすぎない場合もあれば、聖書の一節や、天使のお告げに対するマリアの返答が記されていることすらある。 「書物」を描いた写本作品をテーマ別に展開する本書は「書物」の図像学研究の基礎となるだろう。 【目次】 I 象徴としての本 第1章 神の言葉 第2章 主の律法 第3章 聖母マリアの読書 第4章 美徳と悪徳の人生と書物 第5章 書物自身 II 実用品としての本 第1章 写字生と著者 第2章 教師 第3章 読者 第4章 本の贈呈 第5章 典礼用と世俗用の書物 第6章 書物の救出と破壊 用語集/監修者あとがき/精選文献目録 -
グローバリゼーション・パラドクス:世界経済の未来を決める三つの道
究極の三択と資本主義の過去・現在・未来 タイ・バーツの暴落から始まったアジア通貨危機や過剰な資金が米住宅市場になだれ込んだサブプライム危機、そしてギリシャの債務不履行問題に端を発した欧州財政危機に象徴されるように、世界経済はここ30年、危機が常態化している。 本書は、ノーベル賞受賞者を多数輩出してきた世界的研究機関、プリンストン高等研究所の教授による異色のグローバリズム論で、ブレトンウッズ体制に始まる戦後経済史を下敷きに、現代の危機とその処方箋を極めて穏当な形で提示したものだ。とりわけ近年、経済論壇でも広く受け入れられた「政治的トリレンマ」を用いた分析はユニークである。 ロドリック教授によると、現今の世界情勢は、グローバリゼーションと国家主権、そして民主主義を同時に追求することを許さず、どれか一つを犠牲にするトリレンマを強いている。教授はこうした基本認識に立ちながら、国家主権と民主主義を擁護するとともに、無規制なハイパーグローバル化に網を掛けることを提言する。 こうした処方箋は、バブルとクラッシュを繰り返す資本主義メカニズムを的確にあぶり出すだけでなく、グローバリゼーションと民主主義が両立できると素朴に考える日本の世論に冷水を浴びせかけるのは間違いない。 経済論壇をリードする柴山桂太氏が翻訳! 話題沸騰必至の一冊。 [目次] 序章 グローバリゼーションの物語を練り直す 第一章 市場と国家について——歴史からみたグローバリゼーション 第二章 第一次グローバリゼーションの興隆と衰退 第三章 なぜ自由貿易論は理解されないのか? 第四章 ブレトンウッズ体制、GATT、そしてWTO——政治の世界における貿易問題 第五章 金融のグローバリゼーションという愚行 第六章 金融の森のハリネズミと狐 第七章 豊かな世界の貧しい国々 第八章 熱帯地域の貿易原理主義 第九章 世界経済の政治的トリレンマ 第十章 グローバル・ガバナンスは実現できるのか? 望ましいのか? 第十一章 資本主義3.0をデザインする 第十二章 健全なグローバリゼーション 終章 大人たちへのお休み前のおとぎ話 謝辞/訳者あとがき/Uブックス版解説/註 -
クワイエットルームにようこそ The Musical
「あきらめきれなさ」の物語 〈「快」と「不快」の不均衡にあきらめきれない、というある種の生真面目さが、人間を進歩させてきたのではないかとは思う。/あきらめきれないから病むのだとも。/この戯曲は、あきらめきれなさの物語でもある。/わたしはずいぶんあきらめずにやって来た。数々の「不快」をねじ伏せてきた。その自覚はなかったが、振り返ってみればそんな人生であった。/でも、そろそろその戦いから自由になりたい。〉(本書「あとがき」より) 駆け出しのフリーライターの明日香は、ある日、目覚めると見知らぬ白い部屋にいた。そこは、「クワイエットルーム」と呼び馴らわされる、精神病院の女子専用の閉鎖病棟だった。仕事のストレスの捌け口として大量摂取した睡眠薬が原因で、意識を失い、オーバードーズ。救急搬送後、自殺志願者として拘束監禁されてしまったのだ。パートナーでバラエティ番組の放送作家という鉄雄をはじめ、ナース・少女・元AV女優……クセがつよすぎる患者たちとの「日常」が描かれてゆく。 芥川賞ノミネート作品を原作に舞台化! 「ショーアップするしかない悲惨」を歌い上げる、異色のミュージカル台本。 -
ニューエクスプレスプラス ドイツ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! どの分野でも存在感を放つ、ドイツ語圏の世界へ! EU内で最大級の母語話者数を擁し、ゲーテの文学からモーツァルトの音楽まで、豊かな文化を育んできたドイツ語圏。過去の文化面だけでなく、現代の国際政治・経済・学問・産業のどの分野においても、大きな存在感を放ち続けています。そんなドイツ語圏の魅力に、ことばから直に迫ってみませんか。格変化や人称変化などの一見難しそうな文法も、本書では実際に使える・言いたくなる会話表現をもとに、聴いて話して楽しく学ぶことができます。音声はダウンロードでお聴きいただけます。 -
ステップアップ トルコ語
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 トルコ語の入門を終えたら次はこれ! 豊富な例文と練習問題で、実践力が身につく トルコ語の入門の次の段階を目指す学習書。全20課の会話、文法解説、練習問題で読む、書く、聞く、話す力を総合的に身につけます。 トルコ語の入門の次の段階を目指す学習書。『ニューエクスプレスプラス トルコ語』の続編にあたります。全20課。各課は実用的な会話、詳しく例文が豊富な文法解説、バリエーションに富んだ練習問題で構成しています。補遺、語尾・付属語・接尾辞索引付き。 全例文の音声がアプリで聞けます。 読む、書く、聞く、話す力を総合的に身につけ、確実に中級へステップアップ! -
時間と自由
ノーベル文学賞受賞者の代表作 時間は、時計のような区切られた点の集まりではなく、持続するもの――メロディーを構成する音のように、先行する状態と現在の状態が浸透し合いながら変化していくものである。時計の上で時間が流れたと感じられるのは、持続している意識が記憶しているからであって、真の時間は時計の上ではなく意識の中にある、とベルクソンは説明し、科学の法則における因果律を人間の意識にあてはめることはできないとした。 時間のとらえ方において哲学者カントを批判し、プルーストら文学者に大きな影響を与えた。戦後の実存主義哲学の時代の後にも高く再評価され、サルトルは18歳のときの本書との出会いが、文学から哲学へ向かう決定的契機となった。夏目漱石、サルトル、ドゥルーズほかの英才たちに、哲学と文学との言説の接点の意味を自覚させる役割を果たした一冊。 -
かんがえる国際法
国際法はどこから来るのか? ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻は第二次世界大戦後の国際連合を中心とした国際秩序、ひいては国際法を根本から覆すものとなっている。 また、中東におけるガザ危機も収束の見通しが立たず、国際的枠組みの脆弱性をさらけ出す結果となっている。 とはいえ、慣習国際法から、各種条約、国際連盟や国際連合にいたるまで、世界は数世紀を重ねながら、確固としたルールを築いてきた。 しかし、急ぎ、基本概念を俯瞰しようとしても、この国際法の分野では手軽な入門書は存在しない。 もちろん、すでに多くの国際法学者が国際法の入門書を刊行してはいる。しかし、どの本も法学部生を対象としており、法学部以外の学生や初学者ではなかなか読むのが難しい。 本書は、主権、自決、平和、戦争、制裁をはじめ、国家関係の基本に立ち返り、国際法をゼロから学び直すことを狙いとしている。 国際法はどこから来るのか? その歴史、そして未来とは? 複雑きわまりない国際法の世界をコンパクトな入門書でアプローチ! -
言葉から社会を考える:この時代に〈他者〉とどう向き合うか
言葉を通して「もう一人の自分」に出会う あらゆるものが国境を越えて移動する今日、未知なるもの、異質なものとの遭遇は避けられない。それは時に幸せな出会いとなり、時に恐ろしい衝突や摩擦を生んできた。言語を取り巻く視線は、どこに立脚しているのか? 英語や地域共通語と母語の狭間で、日常の言葉はどう語られるのか? 社会的優位性をもたない言語をいかに保持するのか? 本書では明治以来、日本における外国語教育をリードし、27言語を擁する東京外国語大学の全面協力のもと、文化や社会の成り立ちを「言葉」から考えなおす。その試みは、言葉を礎にしてグローバリズムの偏重にあらがう第一歩であると同時に、世界諸地域の言語・文化・社会を自在に横断する旅への誘いでもある。 異なる言葉を話す人々を知り、理解し、受け止めることを通して、自己を相対化していく27言語の旅。その先には、新たな価値観や柔軟な発想をもった「もう一人の自分」との出会いが待っている。 [目次] はじめに 立石博高(東京外国語大学第12代学長) 1 その眼差しは誰のものなのか? 小さいわりには複雑 金指久美子(チェコ語) バンドゥン今昔、そして…… 降幡正志(インドネシア語) ローザかローサか? 花本知子(イタリア語) 移民と若者言葉 成田節(ドイツ語) 人と世界 水野善文(ヒンディー語) 日々の想いをうたう 上田広美(カンボジア語) シベリアで見つけた痕跡 森田耕司(ポーランド語) 映画に見る方言の復権 宇戸清治(タイ語) 時間と自然の彼方に 中澤英彦(ロシア語) 座談会 言語と文化の多様性を生きる 前篇 2 わたしの声はわたしのものなのか? 識字率から考える 長渡陽一(アラビア語) 〈帝国〉という幻想 野村恵造(英語) 聞く、話す、そしてその先へ 五十嵐孔一(朝鮮語) 多様性がもたらす豊かさ 秋廣尚恵(フランス語) 英語格差を生きる 野元裕樹(マレーシア語) ベトナムの「存在」論 野平宗弘(ベトナム語) 語彙は歴史を物語る 丹羽京子(ベンガル語) 殉教者たちの橋 菅原睦(トルコ語) 世界は見えるか 川上茂信(スペイン語) 座談会 言語と文化の多様性を生きる 後篇 3 いかに彼らと生きるのか? 越境する 長屋尚典(フィリピン語) 多極化・多元化するルゾフォニア 黒澤直俊(ポルトガル語) やさしい日本語 荒川洋平(日本語) 『君の記憶』の記憶 萬宮健策(ウルドゥー語) 同じ世界の異なる見方 加藤晴子(中国語) 変わるものと変わらないもの 鈴木玲子(ラオス語) 受容する伝統 岡野賢二(ビルマ語) 母語の誉れ、そのわけは…… 吉枝聡子(ペルシア語) 民族文字の復興 温品廉三(モンゴル語) おわりに(旧版) 武田千香(同大学理事・副学長) 白水Uブックス版へのあとがき 三宅登之(同大学言語文化学部長) 執筆者一覧 -
冷戦と台湾海峡危機 一九五四~六五年
分断か、統一か、それとも併存か? 1949年まで続いた国共内戦の末、毛沢東率いる共産党が北京に政権を樹立し、敗北した蔣介石の中華民国国民党政府は台湾に逃れた。互いに正統性を主張しあう中国と台湾の間で、台湾海峡は政治的にも軍事的にも今日まで対立の火種になってきた。 戦後から現在まで数度の「台湾海峡危機」が生じたが、とりわけ1950年代に二度にわたって起きた危機は、中国と台湾の間の軍事的な緊張状態にまでいたった。その主な舞台となったのが、国府が保有していた金門・馬祖島などの大陸沿岸諸島である。 だが、冷戦のさなかにあっても、これらの危機が、中国と台湾の間はもとより、アメリカと中国の間、さらにはアメリカとソ連の間で、直接的な軍事衝突などへ発展することはなかった。 当時、米ソの冷戦構造が本格化するなかで、「一つの中国」をめぐる対立の起源はどこに求められるのか? また台湾海峡の現状維持という固定化のプロセスはいかに形成されてきたのか? 本書は、米国側史料はもとより新たに公開された台湾側史料を多数用いて、アメリカと台湾(米華)の関係を主軸に台湾海峡を挟んで中国と台湾の対立と分断が固定化されていく過程を描き、今日まで続く中国と台湾の対立の構図を明らかにする。 [目次] はじめに 序章 歴史としての台湾海峡危機 第1章 冷戦と台湾 一 冷戦の拡大 二 アメリカの援蔣政策をめぐる紆余曲折 三 朝鮮戦争とアメリカの台湾政策の転換 第2章 台湾海峡の中立化解除――「解き放し」政策の虚実 一 アジアにおける多国間安全保障同盟の形成 二 米国政府による台湾海峡の中立化解除 三 アメリカと大陸沿岸諸島の防衛問題 第3章 第一次台湾海峡危機 一九五四~五五年――米華相互防衛条約の形成 一 米華相互防衛条約の起源 二 第一次台湾海峡危機の発生 三 米華相互防衛条約をめぐる協議 四 米華相互防衛条約の成立 第4章 大陳島からの撤退――表面化するアメリカと台湾の矛盾 一 大陳島撤退問題をめぐる米台間の亀裂 二 強まる蔣介石の対米不信感 三 第一次台湾海峡危機の終息 第5章 第二次台湾海峡危機 一九五八年――金門島再砲撃 一 中国による金門島への再砲撃 二 米台による危機への対応 三 危機の収束へ向けた動き 第6章 第二次台湾海峡危機の変容――中ソ関係の悪化 一 戦況の変化――海上封鎖の突破 二 「ダレス・蔣介石共同コミュニケ」の波紋 三 蔣介石の大陸反攻をめぐる変化 第7章 失われた戦機――未完の台湾海峡危機 一九六二~六五年 一 揺れる正統性――国連での代表権問題の浮上 二 蔣介石による大陸反攻計画の立案 三 先送りされた大陸反攻計画 四 三度目の緊張の高まり 五 幻の台湾海峡危機 終章 台湾海峡における現状維持の形成 注記 参考文献 あとがき -
ニューエクスプレスプラス リトアニア語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 現代のヨーロッパで最も古風な言語 バルト海沿岸にある北海道ほどの大きさの美しい国、リトアニア。街は中世の面影を残し、4年に一度の「歌と踊りの祭典」は、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。この国で話されるリトアニア語は、現代のヨーロッパの諸言語の中でも最も古風な言語とされ、印欧祖語に最も近い形をした現代語とも言われます。リトアニアへ行きたい方も、言語学的に興味のある方も、会話と文法が一冊で学べるこの本でリトアニア語に触れてみませんか。音声はダウンロードでお聴きいただけます。 -
昭和登山への道案内:ベストセラー「日本登山大系」を旅する
近代登山の輝きと同志的連帯の記憶 『日本登山大系』は長く「山ヤのバイブル」として知られてきた。累計は11万部を超える。 もともと中級以上の登山者のための実用書であるが、歳月の経過のなかでその実用性は失われつつある。 では、実用性のない『登山大系』に価値がないのかというと、そんなことはない。歴史性を帯びることで新たな意味が付与されつつある。本書はその案内として刊行される。 昭和の登山ブームは1956年の日本隊のマナルス初登頂から始まったとされるが、やがて1960年代になると、山ヤのあいだで「登山の行き詰まり」が語られるようになる。 集団就職で東京に出た若者たちが自らの思いをぶつけたのが谷川岳をはじめとする日本各地の山々だった。 毎週土曜、谷川岳に向かう上野発22時12分の上越線鈍行長岡行きはぎゅうぎゅう詰めの超満員だった。 そうした青春の登山がゲレンデ化の波に覆われつつある1980年代、『日本登山大系』は編纂された。 ひたむきに仲間たちと希望を抱きながら登ったあの頃。そして、いまはなき、あの場所……かつての仲間たちに捧げる。 [目次] 巻頭エセー 夢の作業(柏瀨祐之) 登山大系あれやこれや(岩崎元郎) 『日本登山大系』を振り返る(小泉弘) 第Ⅰ章 日本の山々 一 北海道・東北の山 二 南会津・越後の山 三 谷川岳 四 東京近郊の山 五 剣岳・黒部・立山 六 後立山・明星山・海谷・戸隠 七 槍ヶ岳・穂高岳 八 八ヶ岳・奥秩父・中央アルプス 九 南アルプス 十 関西・中国・四国・九州の山 第Ⅱ章 同志的連帯の記憶 一 芦別岳回想 二 南会津へ 三 回想・私の谷川岳 四 仲間・想い出・希望 五 池ノ谷の雪崩 六 白馬——初めての冬山 七 穂高岳のころ 八 原点の山・八ヶ岳 九 南アルプスに想う 十 三倉岳のこと 第Ⅲ章 登山大系を読む 一 知床半島の山 二 日高山脈 三 一ノ倉沢 四 前穂高岳東面 五 北穂高岳滝谷 六 八ヶ岳概説 巻末エセー 読書と登山——僕にとっての襟裳岬(野村良太) -
ブルックリン
コスタ小説賞受賞作品 アイルランドの田舎から大都会ブルックリンへ移民した少女の感動と成長の物語。 舞台はアイルランドのエニスコーシーとニューヨークのブルックリン、時代は1951年ごろから2年間あまり。主人公アイリーシュはエニスコーシーに母と姉と共に暮らす若い娘。女学校を出て、才気はあるが、地元ではろくな職もないので、神父のあっせんでブルックリンに移民する。そしてアイリッシュ・コミュニティの若い娘たちが住む下宿屋に暮らし、デパートの店員となるが、ホームシックに悩む。やがて簿記の資格を取るため夜学に通うようになり、週末にはダンスホールへ行く。そこでイタリア移民の若者トニーと恋に落ちるが、思わぬ事情でアイルランドに帰国する。彼女はブルックリンへ戻るつもりでいたが、地元でハンサムなジムと再会する……。 当時の社会と文化の細部を鮮やかに再現し、巧みな会話と心理描写が冴えわたる。船出、奮闘、恋愛、そして思わぬ事件と結末が……。ジョイス、マクガハン、トレヴァーの系譜を継ぐ、アイルランド文学の至宝! -
ニューエクスプレスプラス ウズベク語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 シルクロードの要衝の豊かな歴史を内包する言語 中央アジア最大の人口を有し、近年はビジネス面でも注目のウズベキスタン。首都タシケントや青の都サマルカンドなどの魅力あふれる都市は、古来からシルクロードの要衝として栄え、様々な言語が行き交ってきました。トルコ語などと同じチュルク諸語に属し、アラビア語・ペルシア語・ロシア語からの語彙も多く内包するウズベク語を学んで、この地域の持つ重層性と豊かな歴史の一端に触れてみませんか。本書ではラテン文字の正書法で学習。音声はダウンロードでお聴きいただけます。 -
ドストエフスキーの世界観
ドストエフスキーと「ロシア的精神」の要諦 「いつも私は人間を、ドストエフスキーの人間と、彼の精神に無縁な人間とに分けた」とベルジャーエフは序文で記している。この感覚は、ドストエフスキーの作品で提示される人類に普遍的な諸問題――たとえば、自由と幸福の二律背反、神なき世界で罪は存在するのか、善とは、悪とはなにか等々――を引き受けてしまった人間にとって馴染みのあるものではなかろうか。 本書は、青年期はマルクス主義者であったが、その後、キリスト者へと転向を果たし、共産主義を強く批判することになるベルジャーエフが、ドストエフスキー作品とがっぷり四つに組み、作品の登場人物たちが宣い、吐露する思想に伴走しながら、ドストエフスキーの「世界観」を明らかにするまごうことなき「古典」であり、日本におけるドストエフスキー理解にも大きな影響を与えた。同時にそれは、「ロシア的精神」に関する一個の思想書でもある。解説=堀江広行 [目次] 序文 一 ドストエフスキーの精神像 二 人間 三 自由 四 悪 五 愛 六 革命――社会主義 七 ロシア 八 大審問官――神人と人神 九 ドストエフスキーとわれわれ 解題 解説 ベルジャーエフとその『ドストエフスキーの世界観』堀江広行 -
ニューエクスプレスプラス カザフ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 騎馬遊牧民の口承文芸を支えた言葉 中央アジア最大の面積を持ち、石油や鉱物などの資源が豊富で、ユーラシア大陸の東西を結ぶ中央回廊でも注目されるカザフスタン。居住地を定めず広大な草原を季節ごとに移動する騎馬遊牧の社会では、文字はほとんど使われず、かわりに豊かな口承文芸が発達しました。その文化を支えてきたカザフ語は主語・目的語・述語の語順や「てにをは」のような格助詞など日本語と似たところがあり、日本人には学びやすい言語といえます。会話と文法をいっしょに学べるこの本で始めてみませんか。★音声アプリ無料ダウンロード -
真珠の耳飾りの少女[新版]
フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展、開催記念! 画家フェルメールに淡い思いを寄せ、名画のモデルになった少女フリートの運命は? 17世紀オランダ・デルフトを舞台に、神秘に包まれた巨匠の光と影に迫る。 -
よだれ観覧車
痛いのに笑える、世界の傷をえぐる文学 わたしはわたしを見たい。ぐるぐるほとばしる独白が、きれいごとの光景を暴く! ラッキーガールの認知戦を語る『家系図』も併録。【第70回岸田國士戯曲賞受賞作品】 第70回岸田國士戯曲賞の選評を公開いたしました。 https://www.hakusuisha.co.jp/news/n63989.html -
パチンコ(上)
極上のヒップホップ演劇! ボーナストラックも充実 リアルに過ごすただの毎日が、ギリシャ神話でシェイクスピア! パチンコ屋を家業とする在日コリアン三世、その人生をつむぐ極上のヒップホップ演劇。 同時収録作品に、妻に捧げるオートフィクション「ユキコ」。また、BONUS TRACKSとして『A―②活動の継続・再開のための公演』全歌詞も収録。 ◎ 「独自のドラマ作りを尊重したい」……岩松了 「知的であって俗っぽい。政治的であってふざけきってる。端倪すべからざるアティチュード」……岡田利規 「やり切れなくなってしまいそうな深刻さを、ラップの形式によって見事にかわしている」……ケラリーノ・サンドロヴィッチ 「他人をディスる「形」だけでなく、自分を笑い続ける「形」。まったくタイプの違う「つかこうへいの再来」」……野田秀樹 「強者と弱者の両義性が意識され、マイノリティとマジョリティがフェアに描かれている」……本谷有希子 「「これが戯曲なのか?」という壁を軽やかに飛び越え、今回の候補作のなかでは圧倒的」……矢内原美邦(選評より) [カラー口絵1ページ] -
ケインズ:不確実性に挑んだ知の巨人
没後80年、不確実性の世界へ リーマンショック以降、ケインズ経済学の再評価の流れは変わらない。本書は、単なるケインズの伝記や『一般理論』の解説の次元を超えた古典と言えるものだ。 本書は、多年にわたりケインズや経済学のあり方を研究してきた碩学、ロバート・スキデルスキーが到達した結論をもとに一般向けに解説したものである。 具体的には、ケインズの時代の社会思潮、政治潮流、経済動向の解説から始まり、貨幣論、『一般理論』、官僚としての資質と国際通貨基金設立への貢献に及ぶ。 とりわけ、リーマンショックを意識した終章「二〇一〇年からの考察」では、「不確実性」の意味について新たな観点から語られるだけでなく、「流動性選好」を人類史的視角から語っているのが印象的だ。 古代以来の〈貴金属を保蔵する東洋〉と〈金不足の西洋〉という構図が、中国の台頭をはじめとした現代の「世界的不均衡」に影を投げ掛けているという指摘は興味深い。 本書によれば「不確実性」の概念は、大英帝国の没落、世界恐慌の発生、両世界大戦をはじめ暗い時代に見出された。ケインズ没後80年を迎える2026年、混迷する世界に読みたい一冊。 [目次] 序章 人として経済学者として 第一章 生涯 第二章 ケインズの実践の経済学 第三章 貨幣改革論者 第四章 『一般理論』 第五章 経済政策におけるケインズの指導力 第六章 ケインズの遺産 終章 二〇一〇年からの考察 訳者あとがき 註/文献 -
傷ついた身体と都市:「大祖国戦争」の経験と記憶
黙する史料に声を与える 「大祖国戦争」と称される第二次大戦時の独ソ戦は、現代ロシアのナショナル・アイデンティティを構成するきわめて大きな要素だ。露宇戦争においても開戦時、プーチン大統領がゼレンスキー政権を「ネオナチ」と名指したのは、その「特別軍事作戦」の正当性を国民の「大祖国戦争」の神話に訴えかけるためであった。「大祖国戦争」の(大文字の)記憶=神話は、戦時からすでに形成されていったものではあるが、しかし、個々人の戦争の経験と記憶は一枚岩のイデオロギーに回収しつくされるものではなく、そもそもそのイデオロギーが形成される過程にもさまざまな政治的・文化的背景があったのは言うまでもない。 本書は、戦中に870日以上の「包囲」を経験したレニングラード(現サンクト・ペテルブルク)を主たる舞台とし、この街の労働者の身体、レニングラード防衛博物館、そして都市の祝典をとりあげながら、国家の公的な「歴史」からは取りこぼされてしまう人々の「大祖国戦争」に対する「応答」の痕跡を掬いとる試みである。過去に生きた人々の営為に対して歴史研究は何ができるのか─傷ついた都市と傷ついた住民と、その復興=回復の「歴史」。 [目次] 序論 「大祖国戦争」と都市=身体としてのレニングラード 第一部 傷ついた都市、語られない言葉 第一章 戦争による身体の痛みと傷―レニングラード包囲下と戦後の女性労働者 一 レニングラードにおける女性の状況 二 出産をめぐる状況と疾患 三 工場労働と女性の身体 小括 第二章 政治抑圧下での都市の傷と記念―レニングラード防衛博物館と「レニングラード事件」 一 レニングラード防衛博物館の開館――包囲解放後の文化事業 二 展示事業の組織――来館者に着目して 三 「レニングラード事件」と防衛博物館 四 レニングラード防衛博物館における記念の展開 小括 第三章 「親愛なる」首都における市民の動員―モスクワ創建八〇〇周年記念祭 一 記念祭の開催をめぐる決定 二 祝祭空間の形成 三 歴史に関する文化事業 小括 第二部 眼差しを受ける都市、労働する身体 第四章 遠くから都市をおもう―レニングラードの都市創建二五〇周年記念祭における来賓と祝電 一 記念祭の概要 二 招待状の返答 三 友好協会からの祝電 四 戦後の建設と発展 小括 補論 ウラジーミル・プーチンのレニングラード包囲に関する語り―家族史から見る政治指導者のマスキュリニティ 第五章 革命と工業化の理念におけるマスキュリニティ―レニングラードの都市創建二五〇周年記念祭と中ソ関係 一 一九五〇年代のソ連社会におけるマスキュリニティ 二 一九五〇年代の中ソ関係 三 北京市副市長馮基平による記念祭への出席 四 工場労働者 小括 結論 戦後のレニングラードにおける日常 あとがき 史料・参考文献/註 -
ニューエクスプレスプラス ウクライナ語[音声DL版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 会話+文法、入門書の決定版! 魅力・誇り・7つの格あり ウクライナのことば ルーシ以来の豊かな歴史を背景に持ち、ヨーロッパの「パン籠」と言われた穀倉地帯ウクライナの国家語。東スラヴ語群に属するこの言語は、名詞と形容詞が7つの格によって変化し、動詞にも複雑な活用があります。スキットを通してウクライナ語特有の美しい響きを味わいながら、少しずつ文法に慣れていきましょう。本書は必ずしも近隣のスラヴ諸語の知識がなくても学べるように構成されているので、キリル文字の読み方からはじめて、会話や文法の確かな基礎を身につけることができます。 ★音声アプリ無料ダウンロード -
ハートランド/養生
マルチバース時代のモキュメンタリー群像劇 よるべない心に光を灯す、マルチバース時代のモキュメンタリー群像劇(岸田賞受賞)。美大生の夢を養う労働が問われる「養生」を併録。