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本書は、単純に「物としてのオーケストラ」の発展の歴史を追うものではない。ハイドンからスクリャービンやヒンデミットまで、オーケストラ音楽の発展に影響のあった大作曲家を例にとり、彼らがオーケストラに何を求め、どのように利用してきたのか、そのためにオーケストラの編成や楽器の使い方がどう変化しているかを見ていくものである。
作曲家は自身の理想の音楽を表現するために、音の強弱の対照や多彩な音色、弦楽器と管楽器の独自のバランスを求め、それはのちにドイツ・フランス・イタリアそれぞれのオーケストラの特徴につながっていく。本書ではオーケストラ音楽の変遷を、その原因や目的という観点から描くかたわら、たとえば啓蒙思想や合理主義がハイドンを通してオーケストラに与えた影響など、社会や時代背景との関係も随所で語られている。著者の言葉を借りれば、「オーケストラの歴史を大局的に眺めてみれば、社会における人間関係の変化や社会的関心の変化をめぐる物語が見えてくる」のである。
『西洋音楽史』がいまなお読み継がれている大評論家パウル・ベッカーが、アメリカ移住後の最晩年に著した幻の一冊、ついに邦訳!
Posted by ブクログ 2018年02月14日
オーケストラの歴史ではなく、副題(大作曲家が追い求めた理想の音楽)にもあるように、オーケストラと作曲家がどのように音楽を作っていったのかということが、年代を追って詳しく説明されている。
どちらかといえば、器楽曲よりはオペラの記述に重心がかかっているきらいがないではないが、クラシック音楽がどのように発...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年09月28日
1900年代初頭までのクラシック音楽史を、「オーケストラ」という観点からまとめた1冊。翻訳の方がよく訳してくださっていて、非常に読みやすかったです。
楽器の発明&開発、メロディとハーモニー、歴史背景、美学に触れそうな領域などなど、様々な側面からのアプローチが上手くまとまっていました。
具体...続きを読む
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