アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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ミス・マープルが活躍する最終作。クリスティーの死後に発刊されたが、執筆はポワロ最終作の「カーテン」と同様、1940年代に行われて親族に寄贈された。
【あらすじ】
イギリスへの移住のため、夫に先駆けてニュージーランドから到着したグエンダ。イメージ通りの邸宅が手に入り、意気揚々と内装工事に着手するが、何故か館に既視感を覚える。
そしてある夜、演劇のセリフをきっかけに、グエンダはその館でヘレンという女性が殺害された記憶を思い出す。
【感想】
回想の殺人が題材。グエンダとジャイルズ夫妻が捜査を進め、マープルは参謀役の立場をとる。前前作に位置する「復讐の女神」と類似性があるため、続けて読んだ人 -
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ネタバレやや長めの短編3作と短めの短編1作から成る短編集。
「死人の鏡」が、物語としては一番よくできていると思うが、真相に疑問箇所がある。個人的に一番面白いと感じたのは、最も短いが、見事なミスディレクションの「砂にかかれた三角形」。
「厩舎街の殺人」
プレンダーリース嬢が田舎から戻ってくると、同居人のアレン夫人が死んでおり、当初は自殺と思われたが、他殺を裏付けるような事実が次々と見つかる事件。ポアロが現場を見て気づいたことが真相に活かされている点は見事で、動機にも捻りがあり、アタッシュケースの謎も面白いが、真相はイマイチ切れ味に欠ける。
「謎の盗難事件」
機密事項である爆撃機設計図が盗まれ、ポアロ -
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古き良きエドワード王朝の面影を残すバートラム・ホテル。そのホテルでの偶然の再会が契機となって起きる殺人事件。殺人事件が起きるのは、小説の3分の2以上が過ぎてからであり、それまでは周辺で頻発する強盗事件、牧師の失踪事件、列車強盗事件の調査が中心となって、物語は展開される。
本事件でのマープルの役割は探偵ではなく、事件の重要な証言者。強盗事件の謎を追うデイビー主任警部らの警察の調査が中心の話。最後まで読むと、マープルの役割が何とも皮肉なのが印象的。
バートラム・ホテルという舞台やセジウィックという冒険好きの女性の人物造形は良くできているし、エルヴァイラが一時姿を隠して自分に関する謎を調査しようとし -
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傑出した出来の作品はなく、すべて平均点程度の出来で、一番良かったのは「クリスマス・プディングの冒険」。
「クリスマス・プディングの冒険」
ある国の王子の高価なルビー盗難事件を秘密裏に解決してほしいとの依頼を受けるポアロ。推理物ではなく、ポアロが巧みな策略で事件を解決する話。奇妙な手紙が置かれていたり、子供たちが殺人事件の芝居でポアロをかつごうとしたリと、楽しめる筋書き。
「スペイン櫃の秘密」
スペイン櫃の中で殺された男の妻が容疑者の無実を信じ、その無実の証明をポアロに依頼する話。偽装された手紙の謎や衝立が動かされた謎など、シェークスピアの「オセロ」になぞらえて、ポアロは意外な真相を暴き出す -
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本格物ではなく、冒険的要素を兼ね備えたサスペンス小説という感じだ。カトリック神父殺人の背後にある大きな謎を、主人公の学者と友人女性が調査して暴く物語。クリスティーの作品でおなじみのオリヴァ夫人が登場するが、ポアロは登場しない。ポアロが登場しないのは、推理よりも調査過程がメインの話であり、素人探偵の視点で物語を描きたかったためであろうか。
殺された神父が残したメモの謎、3人の魔女による呪法の儀式と遠隔殺人の謎、「車椅子の男」が歩いて牧師を尾行していたという目撃者の証言の謎、主人公たちによる偽装潜伏調査など、ミステリーとしての読みどころは十分。事件の背景にある謎は、ドイルの「赤毛組合」を彷彿させる -
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ネタバレ旧知のミステリ作家アリアドニ・オリヴァ夫人から、相変らず一方的に呼び出されたポアロ。
聞けば田舎屋敷グリーンショアのお祭りの催し「殺人ミステリ推理大会」の優秀者の表彰をして欲しいとのこと。
オリヴァ夫人はこの催しのプロデュースを任されていたのです。
満更でもない気持ちで引き受けたポアロだが、読者の予想どおり“本当の殺人事件”が起きてしまう。
中編作品のため、一冊分の枚数を稼ぐためか、関係者による序文が2つ、解説が2つあった。
本文124頁に対し、これらが37頁。
多少うんざりしたものの、解説にあった、クリスティ本人のプロットメモには興味をそそられた。
クリスティがどういうポイントでミステリを -
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退屈な日常に飽きて、刺激を求めるタペンス。トミーの上司のカーターの依頼を受けて、二人は探偵業を引き受けることに。
二人の軽妙なやり取りと架空の名探偵気取りで物語は進展してゆき、二人が時には相手を騙したり、協力しながら事件を解決していく。
14の事件からなる短編集だが、際立った出来ばえの作品はなく、何の変哲もないオチだったり、ノックスの十戒に反していたりと、拍子抜けする作品が多い。敢えて挙げると、「怪しい来訪者事件」、「婦人失踪事件」、「大使の靴」が面白い。
ハードボイルド的な場面も多く、とぼけたイメージのトミーが窮地に追い込まれても泰然自若としているのが印象的。
「お茶でも一杯」
失踪した女 -
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田舎屋敷の園遊会で、おなじみの女性作家オリヴァが企画した犯人探しゲームで実際に起きる殺人事件。冒頭の事件のエピソードから興味深く、いかにも怪しげな人物配置、捜査の課程で判明していく様々な謎や人物間の心理的な関係など、とても引き込まれる内容の作品。
ポアロが事件を防止することができず、真相もなかなか見通せずに、ジグソーパズルに興じながら、焦燥に駆られる場面が印象的だ。
複雑でひねりのある真相。オリヴァの企画した犯人探しゲームの中に真相が暗示されているのが何とも面白い。数々の「なぜ?」に答える真相だが、素直には納得しがたい。真相説明で過去のある出来事が明らかになるのだが、そんなことが実際に起こりう -
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ねじれた家族に発生する、ねじれた殺人事件。
2件の殺人と1件の殺人未遂が発生するが、いずれも特別なトリックが使われているわけではないし、事件関係者の全員が犯行を行いうる状況であったため、アリバイを巡る論議は一切なく、作中では動機が主な議論の対象。犯人を特定する十分な手掛かりが与えられてはいないので、本格ミステリーとは言えない。伏線らしきものがいくつか見受けられるが、それも犯人を特定するようなものではない。
ポアロもマープルも登場しないのは、推理や捜査過程を中心に据えた物語ではないためだろうか。クリスティーが描きたかったのは、このねじれた家族関係そのものなのだろうか。
クリスティーの十八番、お金