中島京子のレビュー一覧
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中島京子さんという方は、小説を書かれる上で、おそらくかなりの量の資料を読み込まれたり、調べられたりする方なのだろうと思う。
しかしそれを小説というフィクションのなかで感じさせることなく、虚構の中にリアリティを与えている。
小説なのに、本当にそういったことがあったような…誰かの話に耳を傾けるように、気が付くと心を掴まれている。
そんな中島京子さんのエッセイである。
面白くないわけがない。
そしてタイトルの小日向。最初に住む予定だった社宅が小日向にあった(取り壊しで住めなかったけど)。
住みたかった小日向のエッセイ…必読であろう。
読み終えての感想は…
中島京子さんという方は、おいしいものに目がなく、料理好き。
好奇心もきっと強いのだろうけれど、丸出し感はなくお茶目でどこかお上品。
年齢的にも近く身近にこんな先輩がいたら、色々な変化のある人生の後半も心強いなぁ、と思う。
そばに置いて読み返したくなるそんなエッセイだった。2023.6 -
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中島京子さんは子ども時代に幸せな読書体験をしている。
お姉さんとともに毎月の一冊づつ好きな本を買ってもらい、その本を繰り返し読み、お互い交換して、声に出して朗読し、すっかり頭に入れて、覚えたフレーズを日常会話で使って生きてきたそうだ。大人になった姉妹は、二人に共通する言葉を使い合う。なんて素敵な姉妹だろう。
子どもの頃好きだった児童文学18冊を再読し紹介している。
それらの本の想い出と溢れる愛が伝わる。さらに大人になってから読み返すからこその気付きも語る。
『トムは真夜中の庭で』をトムではなハティ目線で読み返してみたくなる。読みたい本がいっぱい。
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成人式、結婚、葬式、お盆に関連する4つの連作小説。平成の時代を背景にしてはいるけれど、なんとなく昭和の残り香のする人情味がじわじわ感じられる物語ばかりで、ノスタルジーとともになんとも言えないユーモアと暖かさが感じられてとても良かったです。かつてたくさんの男女の縁をとりもってきたお見合いおばさんが主人公の「この方と、この方」は、お見合いという今ではほとんど無くなった古き風習を描いていながらも、恋愛小説は星の数ほどある中で、お見合いを書いた小説はそういえばあまりないかも…?という点でむしろ新しさを感じました。「最後のお盆」は登場人物がこの世の人なのかあの世の人なのか微妙に曖昧になっていくあたりが主人公たちも読者もわからなくなってるあたりは上手いなぁと思いました。各話ごとに登場人物に繋がりがある所も面白かったです。
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ネタバレなんとまぁ。素敵な物語を読んでしまったんでしょう。私ってば。
タイトルも、なんだかとてもダイレクトな感じがして、いいですよね。
男子校の新米教師が、実家の屋根裏で見つけた「イトウ」という人物の手記に興味をもち、調べていくという物語。
もう、ほんと、「イトウ」若くて一途な気持ちが、とても心に響くんだなー。
若さゆえの暴走だったり、若さゆえの悩みだったり、それがとてもせつなくて、しかも、国も年齢も身分さえも全く違う二人の距離感が、なんともはがゆくて、お互い素直になれないその感じ。
誰かを好きになる。って、なんだかとても素敵なことなんだな。なんて胸がキュンとしたりしました。
「イトウ」の手記を調べている、高校教師の耕平と「イトウ」の子孫・シゲル(女)、そして、耕平の教え子のまこっちゃんの三人も、とても魅力的なキャラクターで、特に、シゲルの性格、すごく好きです。
ラストの解釈や、登場人物のその後のことなど、読者に投げかけてるような感じが、より一層、物語全体の想像力を掻き立てられるようで、私なりの解釈としては、なんとなく、ニヤニヤしながら、見守る。みたいな、そんな感じかなー。
とても素敵な一冊でした。 -
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ネタバレ50歳を迎える主婦宇垣聖子の日常を、1950年代に大流行した伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」を照らして描く日常小説。
夫婦のなんということもない雑談が知的でいい。大滝迎える主婦宇垣聖子の日常を、1950年代に大流行した伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」を照らして描く日常小説。
夫婦のなんということもない雑談が知的でいい。何気ない会話に出てくる比喩や発展する話が、大瀧詠一だったり明治文学だったり詩集だったりシュトーレンだったり…。やっぱり教養は日常を刺激的に色をつけてくれるんだなぁと思う。
主婦の目を通してみる世の中が面白く描けていて、これって俺みたいな読者よりそれなりの年齢を経た女性読者の方が絶対楽しめるんだろうな。
中原中也の「思えば遠くきたもんだ」が引用される部分が秀逸!『それは海援隊よ、「へ」がつくだけでダサく台無しなのよ。女に振られてしのうと思ったとか、うっとうしい歌詞にしちゃって…』に大爆笑!ほんま、それな! -
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ネタバレ最悪な結婚について書かれた短編が4つと、最高な結婚について書かれた短編3つ。
黒い結婚の方は、「かっぱーん」と「愛の結晶」はイマイチ。あとは黒も白もとても良かった。黒い結婚の「水際の金魚」と「家猫」は、わかりやすく結婚に向かない人を描いている。自分が一番可愛い、みたいな。
白い結婚の方は、「シュークリーム」は婚約者の彼に不信感を抱き始めるけど、大どんでん返しで安心する素敵な話。こういう人いるよね、と思った。周りからは「要領のいい奴」とちょと誤解されるんだけど、実は見えないところでけっこう努力している。けな気というか。「あいつは要領がいい、ずるい」などと妬む人は、そういうことに想像が及ばず、自分では何の努力もしない人だ。
「ダーリンは女装家」は、15歳の頃の純粋な初恋もうまく描かれているし、40歳の大人の愛も素敵だ。女装が趣味の彼を愛し、理解し、お互いに理解しあい、ボーダーを超えて行く。
「いつか、二人で。」も、愛しあい、支えあって生きた老夫婦の物語で涙が出ます。
結婚って、いいよね、と黒から読んで白で終わったから思えた。逆に読んだらそうは思わなかったのかも!?