中島京子のレビュー一覧

  • やさしい猫

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    ネタバレ

    読み初めには想像もしなかった、圧巻の読みごたえ。
    ドラマティックな物語展開。
    知らなかったことを知り、知らなかったことを恥じる。
    けれども少女の視点で語られる口調は、読者を決して拒むものではない。

    小4のマヤはお母さんと二人暮らし。
    ある時お母さんが連れてきた恋人のクマさんは、スリランカ人。
    変わった料理を作ってくれたり、面白い話を聞かせてくれたりするクマさんを、マヤはすぐに好きになった。

    お母さんが倒れて入院したとき、クマさんが泊まりに来てくれたから、マヤは一人の恐怖と戦わなくてすんだ。
    いろんなことがあったけど、ようやく二人が結婚しようとしたとき、クマさんが逮捕された。

    普通に就労ビ

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    2025年11月04日
  • 小さいおうち

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    昭和初期の中流家庭で女中として働いていた、タキの回想録という形で進む物語。

    時代設定は太平洋戦争直前の東京の郊外。戦前、戦中を描いた作品は、多かれ少なかれ戦争の悲惨さ、民衆の苦しい日常、軍の愚かさなどが目立つ内容になる事が多いが、本作の面白いところはそういったものが物語の後半になってほんの少し出てくるものの、ほとんど描かれていないことだ。

    逆に、「南京陥落記念セール」とか、「アメリカと戦争が始まって、なにがよかったって、世の中がぱっと明るくなったことだ」などという記述があり、教科書で戦争を学んだ現代人からは到底想像もつかない日常があったことを思い知らされる。

    かと言って、決して戦争を礼賛

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    2025年10月08日
  • やさしい猫

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    とにかく勉強になります。
    小説として満足させてくれる上で、勉強もさせてくれるのがこの本のポイント。

    私にとって外国の方は道ですれ違うだけの存在。なかなか問題に向き合うきっかけが作れない。

    何年か前にスリランカの女性が収容中に亡くなった件や、"クルド人"や"難民"などのワードがニュースで出るたびに、そろそろ自分も知識をつけなければいけないのでは?と思っていた。が、恥ずかしいことに、何も調べられていなかったのが現状。

    この小説は登場人物の描写が細かく、みな生き生きとしているので、描かれている出来事が自分のすぐ目の前で起こっているように感じることができる

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    2025年10月07日
  • やさしい猫

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    恥ずかしいくらい何も知らなかった。読めて良かった。やさしい猫は、猫の覚醒かもしれないけど、「やさしい猫」っていうタイトルに、人の本質を信じている希望があるのかもって思った。

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    2025年10月06日
  • 妻が椎茸だったころ

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    「妻が椎茸だったころ」から読んで、他のものを読んだので驚きました!どの物語も余韻が残る物語でした。アメリカの市民のニュースを耳にしたら、食虫植物を見かけたら、干し椎茸を見たら、鉱物を手に取ったら、ハクビシンと聞いたらふとこの登場人物たちのことが浮かんできそうです。

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    2025年09月12日
  • 平成大家族

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    中島京子さんの文章はとても読みやすくて好きですが、この本は、特に面白くて、どんどん進んであっという間に読み終わりました。最後は、まだ終わらないで〜〜って思うくらい笑

    家族それぞれが主人公になっていて、他の家族からは見えない部分が沢山あり、皆んな何かしら問題を抱えつつ、でも最後は希望がみえて、読み終わりは爽快な気分でした。

    家族の一人一人が憎めない可愛らしさがあり、クスッと笑ってしまう箇所も多くてホッコリしました。

    また、こんな本を書いていただきたいです^_^

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    2025年09月10日
  • 小さいおうち

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    タキさんの女中時代と今が書かれていて
    読んでいてその時代の時間が感じられました。
    女中に大雪な掃除や炊事の家事だけでなく《ある種の頭の良さ》が伝わる文章でスラスラ読めました!

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    2025年08月28日
  • やさしい猫

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    日本に来て暮らしている外国人の苦労を知りました。
    でも、ほんの少しです。まだまだ知らないことがこの年になってもあるんだと実感しました。
    日本がもっと外国人に寛容で理解をしてくれる国になることを願います。

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    2025年08月18日
  • 長いお別れ

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    「長いお別れ」=ロンググッバイ
    「少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから。」

    介護を経験したことはないが、この本のおかげで擬似体験させていただいた。実際の介護とはもっと、言葉にならない、経験した人にしか分からない事がたくさんあると思う。タイトル通り、本当に長い、長いお別れというか、戦いというか。3人の娘たちの、配偶者である妻の、全てが「遠く」なっていく痴呆症である本人の、気持ちがじんわりと伝わってくる。自分の立場や未来を想像しながら読んだ。切ないなぁ。でもこうして人生は順番に回って行くのだなぁと感じた。

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    2025年07月25日
  • 小さいおうち

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    ネタバレ

    早々に映画を見なくては!

    暗いイメージが強い、日本が戦争へと足を踏み入れていく時代を、一般の庶民がどのように感じ、考え生活していたのか雰囲気がとてもよく分かる作品。
    辛い事もある時代でも楽しくしっかり生活していたタキ。時子奥様を中心に生き生きと書かれていて良かった。
    お友達の睦子さんはタキ本人も気づかない気持ちを同類として、早々と悟り、重要な部分は言わずに励ます場面良かったな。
    多分、タキ自身も恋がどういったものなのか分からなかったのか…。
    時子奥様、すごく素敵な人だったのね。
    板倉さんが最後時子に会いに来た時のタキの気持ちが全く書かれていないことが興味深い。
    とてもきれいな物語。

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    2025年06月19日
  • やさしい猫

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     なんて尊い家族! なんて優しく温かい物語! でも、なんて酷いこの国の差別と偏見! 本書を読みながら、ずーっとそんなことを考えてました。

     震災ボランティアで出会い惹かれ合った2人、スマトラ出身のクマさん(24歳)とシングルマザーのミユキさん(32歳)、そしてミユキさんのひとり娘・マヤ(8歳)。物語は、一貫してマヤから"きみ"へ語りかける形式で綴られていきます。

     諸々の困難を乗り越え3人は家族となるも、クマさんの在留資格が切れ、不法残留で東京入国管理局に収容されてしまいます。そこからクマさん返還のため、ミユキさんとマヤの闘いが始まります。

     入管制度がこれほど重く理

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    2025年06月01日
  • 坂の中のまち

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    女子大生の物語としても面白いが、文学作品紹介と文京区案内が織り込まれているので、何重にも面白い。文学好きで文京区に縁のある人は必読かも。時代の世相や課題にも触れられているが、全体的には軽く明るい気持ちで読める。

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    2025年05月30日
  • 長いお別れ

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     ある人物がどういう人だったかという「評価」は、その人が生涯を終えた後にしかできません。
    なぜなら、生き続けている限り、評価すべきその人の「全体」が決まらないからです。

     人は「一生」という単位が定まった後に「あの人は〇〇な人だったねえ。」と評価されます。

     では、この小説のように、ばりばりと活躍していた中学校の校長だった人が、生きている途中から認知症になって家族のことさえ分からなくなっていく10年間を過ごしてから生涯を終えた場合、彼の「一生」を評価する時には、その10年間を「一生」に含めて評価するのが適切なのでしょうか、それとも適用除外して評価するのが適切なのでしょうか?
     それは、人生

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    2025年05月27日
  • うらはぐさ風土記

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    (紹介文より)
    30年ぶりにアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさ地区の伯父の家にひとり住むことになった大学教員の沙希。そこで出会ったのは、伯父の友人で庭仕事に詳しい秋葉原さんをはじめとする、一風変わった多様な人々だった。
    コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを瑞々しく描く物語。

    良い本だったなあ。
    離婚して日本に帰ってきてからの日々、沙希の心境、読んでいて心が落ち着くような…登場人物も作品のテンポも。
    今の自分に合っていたみたいです。

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    2025年05月18日
  • 小さいおうち

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    黒木華さん主演のこの映画が大好きで、何度も観ています。今更ではありますが、恥ずかしながら原作は未読でした。

    平井家で働いたこと、これがタキちゃんの青春だったのだなぁ。
    原作を読んでさらにタキちゃんの奥様に対する思いの強さを感じ、タキちゃん、タキおばあちゃんが大好きになった。

    戦前戦中戦後の当時の人々のリアルな暮らしや思いは、歴史の授業などではわからないけれど、この作品を読んで、当時の人々の思いや暮らしを知ることができた。

    大切な家族、恋人、友だちが徴兵されたり、空から爆弾が降ってくるとか、亡くなるとか、想像しただけで恐ろしいし、そんなことがこの日本で起こっていたことを決して忘れてはならな

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    2025年05月17日
  • やさしい猫

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    面白かった!
    1日で読んでしまった。
    スリランカ人で優しくて楽しいクマラさんが、東北の震災でボランティアしていたときに会ったミユキさんとその娘マヤとの家族の愛の話。
    右葉曲折して結婚に至ったクマラさんが会社を解雇され就活中にオーバーステイになってしまう。
    結婚証明を持って入管に相談に行こうとするクマラさんが途中で警察に捕まってしまい、勾留されてしまう。
    外国人が日本で働き続けるのが難しい現状が、日本が外国人に対する永住権を認めない現状がよくわかった。世の中、知らないことが多すぎるな、と思った。

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    2025年05月10日
  • 小さいおうち

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    戦前から戦中の時代にも、等身大の日常と生活が存在していたのだと改めて思い起こされる作品。
    女中と、奥様と、旦那様と、少年と、青年と、戦争の時代を生き、大きなうねりに巻き込まれたけれど、戦争そのものを動かす当事者ではなかった人々の物語です。じんわり心に響く。

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    2025年05月05日
  • オリーブの実るころ

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    最初の小説は、本当にむかつく嫌な男とその両親だったけど、彼女と元嫁のターンで少しスッキリ‼️

    他の小説は、みんな好きだった。

    特に本のタイトルの、

    『オリーブの実るころ』

    うーむ、いいお話だった❤️

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    2025年04月29日
  • 妻が椎茸だったころ

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    偏愛短編集。表題作タイトルに突っ込まずにはいられない、椎茸だった…とは?めっちゃいい話だったよ…。
    最初の「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」が衝撃的だった。マジでゆるされないやつ(語彙喪失

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    2025年04月20日
  • 花桃実桃

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    あらすじを読んで気になり購入。
    群ようこさんが好きな人はたぶんハマると思う。れんげ荘物語的なストーリーではあるものの、アパートの住人の個性が強すぎて多様性ってこーいうことなのかと思っちゃう笑

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    2025年03月27日