あらすじ
長いスランプに陥った小説家はやけっぱちになり、唐津を旅することに。陶芸体験をした窯元の夫婦から、水神にまつわる不思議な伝承を聞く。今でいう「難民」であったという流浪の水神は、戦国時代、いかにして秀吉の朝鮮出兵を止めようとしたのか……。『かたづの!』の著者が、かつてないスケールで歴史と現代を深く結びつける長篇小説。
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Posted by ブクログ
現在と過去、歴史にファンタジー
水神&歴史パートは史実&カッパ要素で面白いが、現代パートは現実なのかファンタジーなのか、謎が謎のまま
あっちいってこっちいって、ケムに巻かれてさようならはチトつらい
Posted by ブクログ
キャリア20年の女性作家が、唐津の陶芸作家夫婦から聞いた「河童たちの間で言い伝えられてきた秀吉の朝鮮出兵の顛末」を記すという形式の作品です。さらに、正体不明の芹農家の老人が、時折ちらりと顔を見せたりします。
中島さんの作品でいえば、南部の女性大名・祢々の物語を一本角のカモシカの霊が語る『かたづの!』とほぼ同様の形式で、ファンタジーと歴史を融合させた作風です。
読後の感想も似たものでした。なぜ河童という伝奇的な要素を取り入れる必要があったのか。しかも、河童の中の伝承を陶芸作家が語り、それを聞いた女性作家が記すという「又聞きの又聞き」のような構造で、まどろっこしい。いっそ、登場人物の一人である日本に流れ着いた朝鮮の名陶工の娘・銀非あたりを語り部にした方が、物語としてすっきりしたのではないかと思います。
ちなみに、語り部である「キャリア20年の女性作家」は中島さん本人かとも思いましたが、本文ではここ2年ライターズブロックに陥っていたと書かれていますし、昨年も『うらはぐさ風土記』『坂の中のまち』を出版されているので、どうやら違うようです。