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目をこらすと今も見える、あなたの隣の幽霊……うっそうとした原宿の館に出没する女の子、戦時中活躍したミシン、ぼけたおじいちゃんが繰り返す謎の言葉、廃虚と化した台湾人留学生寮。温かいユーモアに包まれ、涙がこぼれる七つの幽霊連作集。
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Posted by ブクログ
おどろおどろしい感じでもないしゾクゾクもないし、でも前編が幽霊話。もう10冊なるのかなあ、どこも人物像が擦れてないし、亡霊たち曾孫なんか素直で優しいから。戦後の時代だから大変なのもあるけどミシンとか味がある、終わりがあっさりしてるのもあるし、その後どうなるかとかあるけど。
魂の執念や記憶、想い、 ありとあらゆる角度からゴーストを書いた作品です。 人を脅かしたり、怨んだりと、幽霊=怖い というイメージですがこの本の幽霊は全くそんなことは無く、 なんだか少し寂しいものなんだなと思ってしまいました。 語れない魂達の生きた記憶、少し覗いてみませ...続きを読むんか…? ホラー作品ではありませんので、 気になる方は是非読んでみてください。
色々な角度から「戦争」について知ることのできる幽霊がテーマの短編集。 幽霊は、自らの意思で本当の思いを伝えることはできない。 生きている人間が、自分自身の後悔や罪悪感、不安、喜びなどをきっかけに作り出す思いを勝手に感じているだけという表現に納得した。
注! 内容に触れています なんだか、「たんに面白いお話(物語)を久しぶりに読んだー!」って感じ(^^)/ たんに面白かったという意味での★5つなんて、エッセイや雑誌を除くと、去年(2025年)の夏の『死んでいない者(滝口悠生著』以来だ。 いや、九段理江の3冊はエキサイティングでよかった...続きを読むし。高山羽根子の2冊もよかった。 ただ、九段理江のそれらは「たんに面白い物語」という意味では、まだ今一つそこに届いていないし。 高山羽根子のそれらは『首里の馬』の良さと比べちゃうとなぁ…、という感じだった。 よかったと言えば、中村文則の辛気臭いお話も「なんでこんな辛気臭く書くかねぇ…w」って、クスッとしちゃうところがよかった(爆) 一方この『ゴースト』は、たんに面白い物語であるところ、そこがいいんだと思う。 ていうか、読んでいて、「この著者って上手いなぁー」とつくづく思いつつ。 間口の広さ? 引き出しの多さ?に、すごく感心させられた。 今風のwパッツンパッツンでない、ちょっと引いた視点で物語っているからこその、クスッと感がいいんだよね(^^ゞ 「第一話:原宿の家」は、原宿+女の子のせいもあって、著者版『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』みたいなお話w 本家の『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』も、読んでいて、「そうだよなぁー。原宿って、4月の晴れた朝のイメージがあるよなぁー(ただし、個人的には午前中w)」と納得しちゃうところがあるけど。 この著者版『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』も(←勝手に決めるなw)、お話の時代設定から「あ、うん。あの頃の原宿って、確かに一歩裏道に入るとこんな感じあった!」と頷けるのがいい。 今もそんな感じがあるけど、原宿って、実は意外とうらぶれたところがあったりするんだよね(^^ゞ 竹下通りや駅前の人の多さはカンベンだけどw、原宿の辺りをブラブラするのは今でも意外と好きだったりする。 お話そのものは、ボーイ・ミーツ・ガールもののガールがユーレイだった……、の?、という、意外とありがちなお話だったりするんだけど、そのユーレイたちが揃いも揃って「あの子は幽霊」と言ってみたり(・・? お話の語り手がユーレイに出された菓子を食べて「甘すぎる」と思ったり、お茶を飲んだり、はたまたエッチもしちゃったりでw 映画のキャラクターに「マニック・ピクシー・ドリーム・ガール」という一種の定番キャラがあるらしいんだけど、たんにそういうお話として読んでもいいんだろう。 ただ、そこにGHQの接収住宅という史実がからんでくることで、戦争に負けアメリカの占領下にある日本人が感じていたどうしようもなさ、そして想いが切々と伝わってくる。 さらに言えば、語り手がそれを体験したのが80年代半ばというキラッキラした時代だったという、その対比の哀しさ。 戦後の豊かな暮らししか知らないからこそ、当時の日本人がおかれた状況に何とも言葉に詰まってしまう、その余韻がいいんだよなぁー。 「第二話:ミシンの履歴」は、「ミシンでここまで物語れるか!」と著者の才にとにかく感心した。 このお話はある意味、庶民、それも庶民の女性の戦中戦後史にもなっているんだけど。 暮らしが豊かじゃないからこそ、一生懸命働くことで豊かな暮らしを夢見るまっとうさ……、あるいは、一生懸命働くことで豊かな暮らしを夢見ることが出来たまっとうさと、女性ならではの「きれいなものへの憧れ」が生きていく意欲になっていた様を描いているのかな? 描かれているエピソード(ミシンの履歴)には、悲しいことや辛いこともあるんだけど。 最近の小説にありがちな、読者にベチャベチャ共感を媚びるのではなく、著者ならではの一歩引いたユーモアで描かれていたのもよかった。 「第三話:きららの紙飛行機」は、いわゆるジェントル・ゴースト・ストーリー。 ただし、落語風(^^ゞ 終戦後の上野の貧民街で死んだ、ケンタというユーレイが今の世に化けて出てきてw、小さな女の子相手にズレたこと言いまくるみたいなストーリーなんだけど。 例の「三丁目の夕日」の登場人物にユーレイが一人混じってたら、こんなお話になるのかも?←違うからね(爆) 「第四話:亡霊たち」は、なんだか急にタイトルが怖い(^^ゞ ていうか、主人公は子供の時から大好きだったお祖父ちゃん越しにソレを感じるから、読者は怖さをそんなには感じないけれど。 主人公がバイトの面接で訪れた町で出会ったエピソードなんかは、それまでのエピソードとはちょっと色合いが違う感じで。 最後のおそらくは実際に戦争に行った人だからこそ持っているはずの感覚から出る言葉の「…!?」と合わせて、ちょっとドキッとさせられた。 「第五話:キャンプ」は、第四話のドキッと感をそのまま引きずったような、これまでと全然毛色の違うお話。 時代も場所の設定もよくわからない、たぶん架空の難民キャンプのお話なんだけど、主人公はマツモト夫人という日本語を解する人(日本人なのかもしれない)。 それこそ、日々のニュースでガザの避難民のキャンプでの非人道的な状況は目にするわけだけど、ここではそれに加え、キャンプ内の住民同士の力関係による理不尽さ、さらには難民の弱さにつけこむ卑劣な暴力も描かれている。 平和な国で安穏に暮らしている日本人向けのオブラートで包んだ避難民キャンプのニュースではなく、(フィクションとはいえ)実際に起きているのであろう実態が描かれているので、これまでのお話と違って重い気持ちにさせられる。 ていうか、台湾有事は今年、いや、今起こってもおかしくないわけで、そうなれば今のアメリカは「日本を守る」という大義の下、即座に日本を軍事的に占領するだろうし。 今の日本の政権も、間違いなくそれ(アメリカ軍による占領)を要請するだろう。 そうなった時、日本に住む我々の暮らしはどうなるのか? タテマエはともかく、実質的には主権は我々日本人ではなく、アメリカ軍になるはずだ。 第五話じゃないけど、「保護」という名目でアメリが軍に収容所生活を強いられるかもしれないし。 第四話のように、戦争に強制的に行かされるだろう(アメリカ人の原則は「自分は自分で守る」だ)。 自分は基本的には日米安保を支持する派だけど、でも今のアメリカ、そして日本の政権を見る限り、台湾有事(台湾に限らず半島でも)が起きれば、間違いなく日本(人)はアメリカから中国との代理戦争を強制させられるはずだ。 国内では駐留軍兵士による犯罪も多々発生するだろうし。 その戦争が終わった後、はたしてアメリカはすんなり日本(人)に主権を返すのか?ということを踏まえても、今年からは我々日本人もそういったことをちゃんと考えておかないと本当にヤバイ。 「第六話:廃墟」はテイストが戻る。 香港のイベントで対談で招かれた日本人の作家(女性)が、九龍城跡地の公園で台湾の旅行作家(女性)と出会って。 その後、日本に来た台湾の旅行作家と、彼女の大叔父がかつて住んでいた学生寮の廃墟に行くというお話。 このお話も戦争がからんでいて(ていうか、全部からんでいるけどw)。 台湾の旅行作家の大叔父は大学生として東京で学んでいた時、学徒兵として強制的に志願させられ出兵。 台湾の旅行作家の女性は、戦地から生きて帰ることが出来なかった大叔父が東京で学生として暮らしていたその学生寮が取り壊される予定と知って、その前に見ようと思っていた。 ただ、香港で九龍城跡地の公園で主人公の日本人作家と知り合ったことで、再開ついでに一緒に行ってみようと誘う。 個人的には、九段下の千代田区役所の向かいにあった竹平寮を思い出した。 ただ、学生寮だっていうんだから違うんだろう。 というか、あの界隈はやっぱりなくなっちゃった九段下アパートをはじめ、古いビルが結構あったから。 それ以外のエリアも含めると、ちょっと前までならいろいろ残っていたんだろう。 ていうか、このお話の最後にあった“すっかり均された空き地(後略)”というところに、何だかミョーに寂寥感を感じてしまって(^^ゞ 思わず、「はぁ…」と溜め息を吐いてしまった。 「第七話:ゴーストライター」は、締めとなるお話。 主人公は神保町の本屋街近くにある、自叙伝の代筆を得意とする編集プロダクションに勤め始めた女性。 編集長によれば、矢川麗吉の『げこくじょう』の本当の著者であるコピーライターの水戸井重里も、山内朋恵の『朱い時』を書いた万座恵理子、松尾聖花の『桃色のタペストリー』を書いた神林真理子、その他提げ提松清もそこの編集プロダクションで育ったということなんだけど、それって、そんなバレバレに書いていいことなのか?(^^ゞ ていうか、松田聖…、じゃなかった、松尾聖花が本を出してたなんて、全然知らなかったw もっとも、主人公の教育係として最初につけられた先輩の多千花薫(ペンネーム)によれば、「全部ウソ」だとかで。 ということは、矢沢永…、じゃなかった、矢川麗吉の『げこくじょう』の本当の著者がコピーライターの水戸井重里等々もガセなのか!?w ま、その辺はよくわからないのだけれどw、その辺りはこのお話にあまり関係ない(^^ゞ よって、多千花薫は忙しいこともあり、主人公の教育係を編集長に押し付ける。 教育係が編集長に代わると、主人公の会社ライフは大きく変わる。 かくして、やっとストーリーが動き出す。 その日…、というよりその夜も、(書けなくて)パソコンの前で唸ってばかりの主人公。 編集長は打ち合わせで飲みに行き、多千花薫も終電に乗り遅れまいといなくなってしまったオフィス。 “今日は会社に泊まりかなあ”と主人公が溜息を吐いている午前2時20分、ドアが開いて「わ。どうした。まだいた。何してんの?」と編集長が現れるんだけど、読んでいる自分としては、そこで「ある、ある、ある、ある、ある、ある……」と大笑い。 「編集長は、どうして?」と言う主人公に、「携帯、忘れちゃってさ。まあ明日でもいいかなと思ったけど、近所で飲んでたから。あなた、どうしてここにいるの?」と驚いている編集長。そんな編集長に、主人公は(おそらくちょっと憮然としてw)「どうしてって、仕事してます」と答えるのも、「ある、ある、ある、ある、ある、ある……」(爆) いやぁー、なんか懐かしーw 新人の頃って、ホントそんなだったよなぁーって。 若くて徹夜出来るから、新人の頃って、やるんだよね。それ。みんな(^^ゞ でも、30を過ぎたくらいのある時、今まで通り徹夜仕事をした次の日、ダルいし眠いし、そもそも目を開けてられないことに気づいて、自分がもはや若くないことを悟る(+_+) ま、今はどうだか知らないけどw でも、同僚や上司、先輩、お客さんも大学時代の友だちも、みんな、それを言っていた。 さらに言えば、「20代の頃は徹夜で仕事やっつけたその日、会社終わった後、終電まで遊んでも全然平気だったんだけどなぁー」ともヽ(^o^)丿 いやー、いい時代だったなぁー(爆) いや、いくら若い時だからって、そんなこと体にいいわけがない。 いいわけないし、そもそも徹夜を覚悟した時の絶望感ときたら……(^_^;) にも関わらず、な〜んか笑っちゃうのは、やっぱり一つの仕事を終わらせたからこその達成感なんだろうし。 もう一つ言えば、自分を含めて大概の人は主人公の立場と編集長の立場、どちらも経験しているからだろう。 というわけで、つまり、主人公はまだ若い。 よって、主人公は編集長から「だいじょうぶ。それは、もう、それでいい。書けてる。それより、あなた、明日は何か用事があるの?」ということで編集長と飲みに行くことになる。 といっても、“まもなく午前3時になるであろう時間”w でも、それも「ある、ある、ある、ある、ある、ある……」┐(´д`)┌ タクシーで降りたのは、主人公がまったく知らない場所。 編集長の後をついていく主人公が入ったのは、アーケードの奥の小料理屋風の店。 中は狭いカウンター席のみで、物静かな中年女性が切り盛りしている。 そんな店で編集長は主人公にゴースト(ライター)という「おしごと」について、その「コツ」について語りだすんだけど、その内容が「わかる、わかる、わかる、わかる、わかる、わかる……」で。 なんか、笑っちゃうのだ(^^ゞ でも、時間は、あと小一時間もすれば始発が動き出すという真夜中。 気づけば、編集長は主人公の横で眠っていて。 主人公が女将に焼きうどんを作ってもらうよう頼んでいると、いつの間にか、先客の2人の内の男の方がすぐ横にいて。 「違うね」、「ゴーストの仕事というのは、そんな甘っちょろいものではないんだ」と言う。 そんな男に、主人公が「もしかして、ゴースト、やってらっしゃるんですか?」と言うと(爆) 実際にゴーストをやってらっしゃる男wは、主人公に「人は誰しも心に闇を抱えている」、「そこには、ゴーストがつけ入る隙があるんだ」等々、実際のゴーストの「おしごと」を語る。 そんな男(?)が女将が呼んだタクシーで帰ってしまうと、今度は先客の女が語りだす。 「あの男の言うことは全部間違っている。わかっていないのは、あいつのほうよ」とw 時間は、“少しずつ、戸外が白み始める時刻”。 そんな時刻にゴーストがいていいんだろうか?と心配してしまうのだけれど、そこは主人公もゴースト(ライター)の修行中の身。 「あの男だよ。さっきの着物の男はほんものの幽霊の話をしてたんだよ」 「ほんものの幽霊?」 「ごめんなさい。ほんものの幽霊って?」 「死んでんのよ、わたしたち」 …と、話が弾む(?)わけだけど、ここも「徹夜あるある」なんだよね。 徹夜仕事してると、ある一定の時刻をすぎると体が省エネモードになるのか、視野がビミョーに狭くなってくる。 一方で、テンションが変に高くなっていて、気分転換のコンビニの買い物で駆け出しちゃったり。 この時の主人公のように徹夜仕事のまま飲みに行ったら、隣に座っていたゴーストが話しかけてきても、全然気づかずにおしゃべりしてそうな感じは確かにある。 そんな女(?)に、女将は「もうねえ、よしなさいよ。若い人からかうの」と言うのだが、外から動物がゴミ箱を倒す音が聞こえたことで、様子を見に行ってしまう。 店の中で続く、ゴースト(ライター)修行中の主人公と女(?)による、ゴーストについての噛み合わないおしゃべり。 結局、女(?)も女将に「おあいそして」と言って店を出ていってしまうのだけれど、そのちょっと前に主人公とこんな会話を交わす。 「覚えていてくれたらうれしいな。思い出してくれたらさ。 あんたがこの先どこかで、誰にも知られずに死んだ女がいたことに気づいたら、 ああ、あいつかって、あいつのことかって、思い出してよ。 そういう女と、この店で飲んだなって。 そんで、ほかにもいっぱい、なんにも話さず死んでしまって、 誰にも思い出されない人がいっぱいいるって、覚えてて」 「思い出したら、なにかした方がいいんですかね? お線香上げるとか、 なにか、こういう人がいましたよって人に知らせるとか(後略)」 「うーんと、そうだな。それは、あんたが考えてよ」 女(?)がふわふわ…、じゃなくって、ふらふらと出ていったあとw、女将はカウンターを片付けながら、呟くように言う。 「悼む、みたいなことかしらね」と。 いっやー、これは上手い! もう絶品(^^)/ ていうか、ゴーストたちとの会話を「悼む、みたいなことかしらね」という女将の言葉で締めるのは、この著者ならではなんだろうなーって。 すっごく、気持ちのいいしんみり感。
つまらないとまではいかないけど面白くはなかった。 幽霊連作集って「幽霊」がテーマの話をまとめただけとは思わなかったです。 人間だけじゃなくて、元学生寮やミシンなど人間以外のものも出てきて「幽霊、ゴースト」の意味が広すぎ。 話も結末がすっきりしないのが多くて不思議さや奇妙さをあまり味わえなかった。 こ...続きを読むの中だったら「キャンプ」が好き。 マツモト夫人が息子2人と難民キャンプで会える日はいつだろうか。
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