中島京子のレビュー一覧
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ブク友さんのどなたかのレビューを拝見して知った本ですが、どなただったのかわからなくなってしまいました。ごめんなさい。
中央公論文芸賞
日本医療小説大賞
W受賞作
沁みました。
タイトルの『長いお別れ』の意味がわかるとつらくて涙が出そうになりました。
この小説の主人公は元中学校の教師で校長も務めた70歳の東昇平。
認知症を患うところから最期のお別れまでの十年間を描いた作品です。
家族は妻の曜子と娘が三人います。
妻の曜子も後期高齢者の老々介護です。
以下、ネタバレ多少ありの感想です。
お気を付けください。
昇平の家族が最期に病院で「人工呼吸器と胃ろうはつけますか」と訊かれるところが、あまりにもつらくて苦しくてむごくてたまりませんでした。
認知症という病気は罹った本人も家族もなんでこんなに苦しいのかと思いました。
私の母も認知症と診断されてそろそろ1年経ちますが、こんなむごい未来が待っているのかと思うとぞっとしました。
最後に川本三郎さんの解説「帰ってゆく父」を読んだらまた泣けました。
「帰ってゆく父」より引用します。
孫は校長に祖父の死を告げる。
自分の祖母も最後、認知症になったという校長は認知症のことをアメリカでは「長いお別れ」(ロンググッドバイ)というと語る。「少しづつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」。
「長いお別れ」という言葉で語られることで認知症は「病気」や「試練」から「詩」になる。人間の領域から神の世界へと移る。 -
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結婚、終活、離婚、妊娠などのライフイベントをテーマに描かれる6編。
ユーモアを交えて軽妙に書かれているのに、現実的でチクリと胸に突き刺さる言葉に出会ったり、その掛け合わせがとても上手くて、物語にどんどん引き込まれてしまいます。
第一話「家猫」から、第四話「ガリップ」まで、他人がひとつ屋根の下で暮らすことは本当に難しい問題なのだなと思いながら、時には吹き出しそうになりながら読んでいました。
第五話、表題作の「オリーブの実るころ」と、最終話の「春成と冴子とファンさん」は、心に幸せを運んでくれるようなとてもいい話。
家族のかたちがそれぞれでも、幸せな生き方をしている人たちに出会える、とても好感の持てる短編集でした。 -
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名古屋のオーバーステイで収容されて亡くなった女性の話が全てだと思うホント人間じゃない腐った生き物達だから亡くなった。クマさん何度も倒れたのに無難な放置するのも同じ 上原の前に対応した審理官も裁判の名前を言わせた検事も あーいうのが出世するから組織は変わらないし、本気で外国人を統制してるならクルド人が問題になっている筈がない、と前置き長いけど中島京子さんよくぞよくぞ描いてくれたって、現実の体験があるからここまで真実を伝えられる。ほぼ裁判についてだけど、こんなんナンボあってもいい、カナダと比べる場面あったけど日本って遅れてるのが治らない、なんで?失われた30年 嫌な世の中を仕方ない当たり前の世の中と思う、高い税金払ってもキックバックする国会議員ってなんなんだ。
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最近よく手にするようになった中島京子さん。この短編集は旅先に持っていくのもちょうど良い薄さです。
でも中身は人生のアレやこれやがありえない角度で詰まっていて読後感が爽やかにやるせなくゾワっとして心地よいのです。
1話の家猫から無茶良くって、それぞれの視点で見るといろんな事象が同時多発的に進行している平行宇宙にいるんだなあって事を感じることができるし、不一致の中で暮らしている不思議感覚が見事でした。
2話の老人の終活の話も印象的だし、茨木をドイツ語で直訳するとローゼンブルクって無駄にかっこよくなっちゃう。3話の兄妹は昭和50年代位の日常風景が浮かんできて楽しかったし、4話の白鳥の話は最高に面白かったです。5話の大恋愛の話も、6話の結婚報告に行く話も斬新で素敵でした。
すごいと思えるところは新しい言葉や親子関係や勤務形態にも敏感で作品に取り入れているところ。結婚に対する価値観もいろいろ変化してるし目から鱗って感じでした。
この作品は絶賛推しの1冊になりました。 -
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中学校で外国籍の生徒に日本語指導をしています。日本語が専門ではないので、なかなか大変です。子ども達は自分の意思とは関係なく親の都合で連れてこられた子、学校では日本語を使いますが、家では日本語以外の母語を使っています。
夏の研修で、日本の入国管理について学びました。その話を学校司書さんにしたら、この本を貸してくれました。
以前名古屋の収容施設で亡くなられたウィシュマさんが牛久観音の前で撮った写真を見たことがあります。なぜ牛久?と思いましたが、入管と関連性があったのかもしれないですね。研修では、入管審査は審査する人で変わると言われ、いい人に会うかどうかは運ともいわれ?が飛びましたが、この小説の中にも裁量という言葉が使われ納得しましたが、それでいいのかなぁと疑問も。
これが、技能実習生や日系外国人を受け入れる日本の実態。
労働人口が減るという数値的なものばかり主張していて、来る外国人には冷たい、こんなのが日本だと思うと、そのうち誰も日本に来なくなるんではと思ってしまいます。
日本ってそんなにいい国なのかなと。いい国だと思って来た人の期待を裏切ってるかもしれないなどと考えてしまいます。
課題が大きいし、多すぎる。
日本語を話す外国人、それもアカデミックレベルが理解できる外国籍の人って尊敬しかありません。 -
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久しぶりにアンソロジーを読んだかも。中島さん、大島さんが初めて…かな?どれも日常な感じでスッと馴染んで読みやすくて、その中に何か引っ掛かるものがあって良かった。
隣に座るという運命について/中島京子
読み始めからスッと読めて、この本読みきれそうだなと思った。なんか途中ふわふわしてて迷子になりそうになったけど、サッと読み終えて面白かったな、と思えた。
月下老人/桜庭一樹
どこかにありそうなハチャメチャストーリー始まって面白かった。
停止する春/島本理生
途中までごちゃごちゃしててわけわからんくなりかけてたけど、後半でスッと収束して心に残った。
P95「生きたいと思うことと、死にたいと思うことに、じつははっきりとした線引きなんてないのかもしれない、と思った」という一文が刺さった。
あと大根餅食べたくなった。
チャーチャンテン/大島真寿美
知らない人だな…と思って読み始めて、めっちゃ好きでどんどん読んでしまった。仰け反っていたシーンがとても好き。にしてもぐえはあかんでしょ。笑
こちらまで読後感が爽快になってよかった。
石を拾う/宮下奈都
この話もスッと読めるけどちょっとだけ本質というか何かに触れてる感じがあって好き。思ったのと違う反応してくれると嬉しいよね。
猫はじっとしていない/角田光代
突然泣くのは忌避されがちだよなぁとしみじみした。話が自分の中にスッと入ってさも前からいましたみたいな気分になる。この人の書く話は好きなのかもしれない。前にいくつか読んだけどもう全然覚えてないからわからんけど。 -
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アメリカ人の夫の浮気をきっかけに八年半の結婚生活を終えて日本に帰ってきたサキは、認知症で施設にいる伯父の家に一人で住み始める。土地の呼び名「うらはぐさ」は、イネ科の植物の名前で花言葉は「未来」だそうだ。小さな庭の実りに喜び、伯父が置いていったお酒を楽しむ姿は幸せそう。母校である女子大の先生として働き、時々生徒たちが遊びに来る。伯父の囲碁仲間で、今でも庭の手入れに来てくれる老人は三年前に超高齢結婚をしていて、小学校の「野菜の先生」をしてくれるよう校長先生に声をかけられたと嬉しそうに報告する。商店街には再開発などの問題もあるが、若い人々も混ざり合い、あちこちで人と人の繋がりができて、変化しながら柔軟に進んでいく明るい「未来」が見える良い物語だった。
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初読みの作者さんでしたが、この人のゆったり流れる文章が心地よくって、感性がキラキラしてて、知的好奇心もくすぐるし良質のギャグにも癒さるしエピソードがてんこ盛りで久しぶりに充実した読後感を味わえました。
8歳年下のアメリカ人と離婚して30年ぶりに帰国した日本。今もなお当時の面影が残る商店街を歩きながら2年前まで叔父が暮らしていた一軒家に引越して出身大学の非常勤講師としての生活が始まる。「うらはぐさ」とうイネ科の固有種が生息した台地に人々の歴史を追う物語、トリビアも秀逸です。
主人公、紗季52歳の周りの人々も個性的。庭木の手入れをしてくれる秋葉原の爺さんは植物や鳥の生態に詳しく野菜作りなど教えてくれる高等ユーミン。大学生のマーシーは敬語のお使い方が駄目駄目の不思議っ娘。弁論大会でうらはぐさシティの歴史を熱く語りだす。
土地に根付いた話は結構好きなんです。食卓には自家製野菜が彩を添え、語られる会話もワクワクします。
寝る前にスティルトンチーズを食べると明晰夢を見るとか、復員兵のPTSDの話で戦後は狼男が結構いたとかも興味深くて、そういった小ネタを投入されるとメラメラきます。
馴染みの居酒屋も代が替わってたり、少しづつ新陳代謝をくり返し未来へとつながっていく「うらはぐさシティ」。パーツを全とっかえしたテセウスの船は、はたしてテセウスの船と呼べるのかとかゆう哲学まで出てきちゃって好奇心ギラギラで、まったり沁みるコミュニケーションに憧れてしまいます。
すごく好感度上がってしまいましたので、中島京子さんの過去の作品も追っかけてみたくなりました。 -
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お父さんが亡くなってから、母のミユキさんと2人で暮らしてきたマヤ。
保育士として働いていたミユキさんは、東北の被災地で炊き出しを手伝うことになり、そこでスリランカ人のクマさん(クマラさん)と出会います。
娘思いのシングルマザーミユキさんと、真面目で真っ直ぐな青年クマさんは、ミユキさんの母にもようやく許しをもらい、やっとの思いで結婚するのですが、婚姻届を出したあと、在留資格の手続きに東京入国管理局に行ったクマさんは、警察に捕まって収容されてしまいます。
私たちの住む日本という国が、外国人にこんなにも厳しいなんて知らなかった。
日本人同士なら法に触れないのに、外国籍の人と日本人との結婚は何かと問題にされるとか、外国人が日本語を読めないのをいいことに、無理やりサインさせて不当に解雇したりとか、理不尽な現状を知って驚きます。
ミユキさん、クマさん、マヤちゃんの三人は、優秀な弁護士の先生と出会って裁判することを決意します。
三人で幸せに暮らすための、長い長い戦いが始まるのです。
この小さな家族の物語は、”きみ"に向けて、娘のマヤの目線でやさしく語られていきます。
国籍なんて関係なく、この世に生まれてきた一人一人の命がとても尊いものだということを忘れないでいたい。
少しでも多くの人にこの本を読んでもらえたらよいなと思います。