中島京子のレビュー一覧

  • 樽とタタン(新潮文庫)

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    著者が幼少期(3歳から12歳)の記憶を手繰りながらとある喫茶店での物語を紡ぎ出した思い出実話風小説。主人公タタンとマスター、そしてクセのある常連たちによる全9話の連作短編。

    記憶を辿っている風なせいかはっきりした物言いをしない書き方と幼少期のやりとりというのが合わさって妙なゆるさを醸し出している。 
    読み進めるうちにちょっとずつ創作感が濃くなるのもきっぱりと小説だと認識するのにちょうどよい流れだった。

    初読み作家さんでしたがけっこう好みの一冊になりました。頁数が少なく文庫、感情の起伏が大きくなりすぎない本は好きなんですよね。

    いい一冊に出会えました。

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    2025年05月20日
  • 小さいおうち

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    教科書で習った戦争の時代、その時代を生きている人の言葉で日々を綴られた文章を読む機会はなかったのですごく新鮮だった(フィクションだが)
    戦争中の辛い場面の映画は多いが、タキさんの一生なので小さな幸せやありふれた日常の方が多く書いてあったのがすごくリアルですごく怖くなった。
    時子さんの戦争中だとしても心の豊かさはなくしたくない思いはとても大事だと思った。

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    2025年05月16日
  • うらはぐさ風土記

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    ネタバレ

    ずっと読みたかった本。

    といっても、読むまで内容とかも知らず、表紙とタイトルがとにかくかわいくて。

    なんだか体験記のような、

    よ見始めてからもこれが小説なのかノンフィクションなのか、

    なんだろう、

    時に詳しすぎてなんの話、みたいな、

    とにかく語り手に生活にとても密着していくような、

    とても具体的で現実的で、親しみ深い、

    これからも追い続けたくなるような、

    生活のストーリーでした。

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    2025年05月08日
  • イトウの恋

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    イトウの手記による明治時代と謎解きをする現代が行ったり来たりする。ストーリーだけを追えば真面目な話で、登場人物は皆それぞれに真剣なのだが、なぜかどこかユーモラスで、これこそ中島京子さんの巧みな筆致かと思う。

    日本人と西洋人、若者と親子ほどの年上、雇われ人と雇人といったハードルがあってなお、I.Bに惹かれた明治時代の一青年、イトウの姿が切なく胸に迫るとともに、現代のパートでの3人のやりとりもおもしろく、いつのまにか引き込まれ一気読み。

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    2025年05月04日
  • 小日向でお茶を

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     人間は人から世話をされるより、人の世話を焼くのが好きな生き物であること、地球温暖化で桜の開花が早まっていたり、火事などで生態が変わっていく事への想い、新型コロナウィルスですっかりそれまでと変わってしまった生活の日々 の事などが綴られていました。

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    2025年04月22日
  • うらはぐさ風土記

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    家族にも勧めたい。

    心温まる物語なんだけど、自分が今、荒んでいるせいか、とんとん拍子にうまくいく様子が、なんとも羨ましくて、星四つ。
    半年でそんなにたくさん知り合いができるなんていいなあ。
    戦争はよくないということを再度再度思った。

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    2025年04月19日
  • やさしい猫

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    あっという間の一気読み

    マヤという女性が
    自分の昔話を誰かに語って聞かせる

    帯書きなどを読んで
    外国人との結婚における
    差別にフォーカスするのかなと思っていたら

    言葉では聞いたことがあったけど
    全くの知識不足な世界を垣間見る

    そして自分の中の暗い気持ちにも
    目を向ける機会になった

    家族が揃って生活できること
    結婚の理由
    日本という国が抱える問題

    いろんなことが
    ぐあーって頭に襲いかかってきました
    考えさせる部分と
    胸に襲いかかる熱い気持ちに
    忙しい読書時間でした

    とりあえず
    自分の国の社会保障のこと
    学んでみたいなと思って
    そのための本も購入してみました

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    2025年04月15日
  • 坂の中のまち

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    たくさんの坂のある町、小日向が舞台のお話。 実際の文学作品とともに流れるお話にワクワク。エイフクさんの気遣えない感じには不思議と腹は立たなくて可愛らしさを感じましたw 今度のお休みに実際にお散歩してみようかな

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    2025年04月11日
  • ゴースト

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    電車のりっぱなしの日、車中で1日かけて読んだ
    戦時下での一人一人の過酷な人生がゴーストとなってあらわれ語られる
    温かい語り口で悲しい

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    2025年04月05日
  • 長いお別れ

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    元中学の校長だった東昇平が認知症になり、かれこれ10年に渡り、家族で支えていく話。
    読んでいて自分の父親の介護を思い出した。時にはワガママを言う父に腹を立て、弱っていく父を見て何とも言えない気持ちになった。そしてこの話は私が経験したことであった。いつまで続くのかと思っていた介護もある日、突然父が旅立ってしまうと今度はもっとやってあげられたんじゃないかという罪悪感に苛まれた。
    人生100年時代。子供に迷惑をかけたくないと思いつつ、私の老後はどうなっていくのかと不安になってしまったな。

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    2025年04月04日
  • 長いお別れ

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    妻である曜子さんが明るく強いので、そこまで深刻な雰囲気でなくたまにクスッとしながら読めましたが、、、実際の介護はもっと大変なんだろうなと思いつつ。
    記憶がどんどんなくなって、体力も知力も衰えていく。
    親が、または自分がそうなるかもしれないと思うとなんだかとても重く考え始めてしまう。
    曜子さんの飄々とした感じ、見習ったら少しは乗り越えやすいかもな。

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    2025年04月03日
  • 平成大家族

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    「うらはぐさ風土記」、「小さいおうち」を読んですっかり中島京子さんのファンになってしまった。本作品も良い意味で期待を裏切られた。
    問題を抱えた家族の詳細を知れば知るほどに荒んだ気持ちになって、どよーんとした空気に耐えられないなぁと思っていたら、あれよあれよという間に、あっけらかんとビックリするような展開に
    とっても面白かった。登場人物それぞれの視点の描き方が秀逸❗️

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    2025年04月02日
  • オリーブの実るころ

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    朝日新聞土曜日別刷りbeにエッセーを連載されている、この作家さん。つい先日の「いまなら納得できる」という眼鏡店でのにらみ合いの話も面白かったな。
    月に一度くらいしか載らないのだが、『日々の暮らしのなかで感じるさまざまなことをつづる』というコンセプトで語られる話は、土曜の朝の楽しみのひとつ。
    この本、そんな作者さんが“身に起こりうるライフイベントを、不思議な軽妙さで描く6つの短編集”。それぞれに、ちょっと不思議な味わいの、この作者さんらしさが溢れるお話。

    ■家猫(結婚)
    40歳を超えたバツイチの男の結婚を巡る本人&周囲の思惑。
    家猫だけでなく化け猫もいたみたい。女の人から見れば男って可愛いとい

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    2025年04月02日
  • 坂の中のまち

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    土地勘がないので、暖かい日にちょっと行って、その辺りを散歩してみたい。
    少し不思議で微笑ましく心地よい小説、コーヒーよりミルクティーが合うような。

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    2025年03月25日
  • 坂の中のまち

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    ネタバレ

    富山から東京の女子大へ進学した真智は、祖母の親友・志桜里さんの家に下宿することになる。
    ちょっと風変わりでマイペースな志桜里さんとの生活は、大人になる前の真智にとってとても刺激的で、影響力は絶大だろう。読んでいてとても心地よい。
    私もこの年頃にこんな大人と出逢っていたら良かった、と思わずにいられない。

    志桜里さん家にある本棚の「小日向」コーナーがとても面白そう。元々、木内昇さんの『茗荷谷の猫』が好きだったので、この界隈の話が出てきてとても嬉しい。
    "文学地図"は私もほしい。"文学地図"片手に東京巡りするの面白そう。普段坂道は苦手だけれど、こんなに古のエ

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    2025年03月22日
  • やさしい猫

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    マヤのまわりのミユキさん、クマさん、そばにいるてくれるとスパイス効いてるナオキくん、そして頼りになるハムスター先生などなど。ほんとに心に残る話でした。

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    2025年03月20日
  • 花桃実桃

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    다양한 사람을 보고 나를 돌아본다.

    귀여운 일본 생활
    아담한 생활이 너무 좋았다.
    여러 사람을 만나보고 싶다는 생각.

    조금씩 주민들에게 정을 가지게 되는 주인공.

    귀여운 작품을 보고 싶을 때.

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    2025年03月10日
  • うらはぐさ風土記

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    ネタバレ

    さりげなく社外問題が取り上げられているね、嫌味なく、でもちゃんとリアルに。
    それにしても沙希さん、次々と人脈ができていくけどそこはちょっと出来過ぎな感じがした。
    もっと孤独を感じるんじゃないかなぁ普通は。

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    2025年03月01日
  • 坂の中のまち

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    2章目の「隣に座るという運命について」が以前読んだアンソロジーの「いつか、アジアの街角で」という本にも収録されていた。
    そうとは知らず思いがけない再会を果たせてなんだか嬉しかった。
    他の章も名作たちの世界を感じられてわくわくしながら読んだ。

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    2025年02月26日
  • 彼女に関する十二章

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    伊藤整『女に関する十二章』を元にエッセイを書くという夫・守の話を聞いて、妻・聖子がその本を読みながら自分の身の回りの出来事を考えて見ます。NPO法人の経理を手伝いに行って出会った人たち、特に調整さんとのやり取りに興味を引かれます。初恋の人が亡くなったと息子さんから連絡が来て出会います。実の息子が彼女を連れてきて、その後彼女の妊娠がわかり、産むかどうかの相談に乗ります。夫の弟・保が台湾で彼氏と結婚します。保とのやり取りも興味深いです。
    ジェンダーについて、戦争と日本情緒について、考えさせられました。

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    2025年02月25日