中島京子のレビュー一覧

  • FUTON

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    ネタバレ

    自然主義文学の「布団」を本歌として、その妻の心情を描いている。それを布団の打ち直しと言っている。洒落ている。

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    2015年12月15日
  • 東京観光

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    個人的には鼻の話が一番残っていて好きです。お互いに気になっていて心の中ではばれているんじゃないか、と考える妻と、自分のせいなんじゃないかと疑う夫。やさしすぎて羨ましい限りです。天井の刺青は最後のまさかの展開に人生ってわからないと思えるお話で、これはこれでよかったです。あとはゴセイトに会ってみたい。でもこれは自分の中のひとり感もあるような気もしました。

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    2015年11月07日
  • ココ・マッカリーナの机

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    長年勤めた雑誌編集を辞め、日本文化を紹介する教師交換プログラムの教育実習生としてアメリカに赴いた作者の体験記。
    3歳から14歳までのコドモたちを相手に奮闘する姿が描かれています。
    アメリカだからなのか、この土地この学校だからなのか、異なるものを受け容れる力の強さを感じます。日本なまりの英語のことをぼやくと「でも私たちはあなたの英語が好きよ」と、さらりと答えてくれる。自分たちの場所に来た異物ではなく、私もあなたも彼も彼女もみんながいる場所として受け容れてくれる。そんな経験の素敵さが書かれ、この本を読むことでそれを疑似体験できることが嬉しいです。

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    2015年09月02日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    千早茜さんのチンドン屋が一番好きでした。下町のベランメイ調は素敵と思いながら、現実に聞いたことはありません。(聞いたら、なんと返したらよいかわからなくてモジモジしそう…。)

    偏屈で頑固者だけど、情にあつい親方の独り語りのテンポの良さや相手の若くて真面目な泥棒さん?もじんわり心あたためてくれました。

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    2015年06月06日
  • 東京観光

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    何が突出して良かったとかではないんだけど、全編非常に面白いというか面白みがある。かすかに外連味も感じる。「植物園の鰐」のぶっとび加減と、「コワリョーフの鼻」の鼻行類にはぶったまげました。こんな場所で出会うとは。

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    2015年06月02日
  • 冠・婚・葬・祭

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    成人式、結婚、葬式、お盆。
    それを題材に描かれる四編。
    それぞれに味がある話で、心もほっこりする。
    私は『祭』のお盆の話が一番好きだった。
    田舎とか、若い頃にはわからなかった暖かさとか人間関係とか、今はなんとなくその良さがわかる気がする。

    2015.5.20

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    2015年05月20日
  • イトウの恋

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    明治時代の通訳家の青年が年上の西洋人に惹かれていく手記を発見したことから始まるお話。
    手記をきっかけに色んな物語が広がっていくのが面白かった。最近現代の軽い内容の小説ばかり読んでたから、明治時代の移り変わりの激しい時代のはざまで生きた人々の生活や思想も垣間見れて新鮮だった!中島さんの作品はしっかり作り込まれていてすごいなー!マッサンのエリーがIBとかでドラマか映画化してくれたら面白そう☆

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    2015年04月07日
  • 冠・婚・葬・祭

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    ネタバレ

    婚のお見合いについての話が印象に残った。恋愛結婚できない人はお見合いでと安易に考えてる若い人もいるけど、見合いは短期決戦。即断しないと話が流れるし、歳を重ねるほど、恋愛とは違い条件が悪くなるという現実をお見合いおばさんの目線から見せてもらい、面白かった。

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    2015年03月14日
  • 冠・婚・葬・祭

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    なぜか、懐かしい昭和の香りがする。
    4編は、登場人物が少しづつ被る。
    他人から見た目と、本人が視点の中心に据えられる印象が違うのが面白い。
    解説が全てを物語っている。
    上手く書けなかった自分の感想とまとめがそこにある気がする。

    良くも悪くも変わって行く、他人同士のコミュニケーションの形を描いている。
    コミュニケーションの形が変わって行く事は、良くも悪くもない。
    そういう、ある意味前向きなお話し。

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    2024年10月27日
  • 桐畑家の縁談

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    『東京観光』を読んで、久々にもっと中島さんの作品を読むかと思い読んだ。最近台湾に行ったりしたこともあり。
    たぶん、今の自分の、いい加減にたゆたう状況に合っているのだろう。一気に読み切れた。
    露子の、日常に退屈してしまっている感じと、佳子の、コミュニケーションの不器用さ。ちょこちょこと共感できるところがあり、考えさせられた。学生の頃、ひたすら日本は生きにくいと思っていた。そうしているのは自分自身に他ならないと思いながらも。それを思い出した。

    終わり方のほっこりした感じと、露子も佳子も、自分の人生をつかんでいくんだろうな、と明るく感じられるところが良かった。

    2014/10/29

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    2014年10月29日
  • 東京観光

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    久しぶりに中島さんの本を読んだ。やっぱり好きだなと思った。ありえない日常だけれど、少し視座を変えるとこんな日常もあるのではないかと。人間のやりとりが生々しいし、生々しいけれどユーモラスで、こんなやりとりができるユニークな人になりたいと思う。
    お気に入りは、『コワリョーフの鼻』と『シンガポールでタクシーを拾うのは難しい』だ。どちらも夫婦が題材だが、やりとりがそれこそ、生々しいのだ。何を相手に求めているのか。それが違和感なく全て入ってくる。『コワリョーフの鼻』はそこに、さらにユーモラスも加わり、ほっこりする内容だった。
    他の中島さんの作品も久々に読んでみようと思った。
    2014/09/27

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    2014年09月28日
  • 東京観光

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    同じ言語を使っていても認識相違があるように、不慣れな言葉同士でわからないところを勝手に補完したらそりゃあ幸せな解釈になるだろうなぁ。
    でもどうせ、完全に相手を理解できないなら可能な限り、勝手な幸せ解釈を身近でしていきたいなと思う次第。

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    2014年09月06日
  • 冠・婚・葬・祭

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    調度お盆時期から読み始めました。タイムリーだったかな。自分の身の回りにあって蓋をしてしまいがちなリアルな現実に目を向けようと思えました。世にも奇妙な~的なもわんとした不思議さが残る短編集です。

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    2014年08月30日
  • さようなら、コタツ

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    ほとほと、と沁みてくる。
    既知が多少増えて、鈍感になった感情をまさぐられるような。なんで理由付けが必要なんだろう。意味を探しちゃうんだろう。

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    2014年07月02日
  • エルニーニョ

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    森のくまさんの歌が聞こえたら、逃げなければならないのよ。
    そんな言葉をきっかけに始まる逃避行の物語。
    中島京子の作品は、どちらかというと昔の物語に今の物語をシンクロさせて話を進めていくイメージが強いのですが、今回の作品は、今の物語に昔の物語を取り込んでいきます。それも、バラバラな話をたくさん、自由自在に。今ここでその話はちょっと無理があるかなと思う話もありますが、その話がこの物語の核になるので、そこは力技で。「イソポ」って。「イソポ」すごい語感ですよね。「イソポ」「イソポ」って言っていると、「イソポ」は絶対にいなくちゃいけなくなってくる。「イソポ」の勝利。そんなところも含めて自由自在です。

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    2014年06月13日
  • ココ・マッカリーナの机

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    数年ぶりに再読。職を変えること、海外へ飛び出すこと。ある程度の年齢になって敢えてそれらをすることで、そしてもちろん本人の人としてのあり方により、考えうる中で最高の経験と結果が得られたのではないか、と感じさせる。

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    2014年05月17日
  • エルニーニョ

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    出て来る男はアホばっかりだしそんなヤツらにコロッと騙される瑛ってどうなのよ?と訝るところも無きにしも非ずなのだが…中島京子ファン限定で話をさせてもらえば今回はクリーンヒットなのだろう。「FUTON」「イトウの恋」でお馴染みの劇中劇も綺麗に纏まっているし逃げ出したニノを盗んだ自転車で捜し求める疾走感は「ハブテトル〜」の大輔を彷彿とさせる。言わば本作は彼女のエッセンスがギュっと濃縮されたような物語なのである。舞台は鹿児島か?生きるべき場所を見つけた砂糖屋の看板娘は純真な黒砂糖のようなニノと三温糖の如く優しいおばあちゃんとともに桜島の噴煙の下で生きていくんだろうね…いいお話でした

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    2014年04月03日
  • エルニーニョ

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    初中島京子作品。とても読みなじみがいい。
    わたしも今の状況から逃げたい。
    逃げてもいいんだよと言われたのかな。

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    2014年03月07日
  • エルニーニョ

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    大学生の瑛は、DVの彼から逃げ回ります。
    行った先で見つけた、子守商店街の昔ながらのお砂糖屋さん。
    そこで、ニノという、7歳の少年と出会います。
    ニノも、ある人物から逃げていて…。
    二人の逃亡劇が始まります。

    この、お砂糖屋さんがなんともレトロでそそられます。
    お砂糖だけのお店って、覗いてみたくなりました。
    ここのおばあちゃんも素敵です。

    ストーリーの中に、変わった挿話が入ってきて、困惑しますが、
    ラストではしっくりします。

    暑い夏を吹き抜ける風を感じる一冊でした。

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    2014年02月09日
  • イトウの恋

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    いつしか加速度的に、早く続きが読みたい、続きが読みたいと思って、駅で電車を乗り換えるときも、改札へ向かうエスカレーターに乗るときも、ずっと手放せずに読んでしまった。
    食べるときは、食べることに集中しようという私の信条(最近はじめた)も破ってしまうほど(簡単だった)ずっと手放せなくて、続きがものすごく気になった。
    すごい推進力のある小説…!

    気になるのは、もちろんIBと、イトウの恋の行方である。
    イトウの想いは、どこへどういくのか、
    彼はどこへ向かうのか。

    ひっぱるのが、「恋の行方」というところがいい。
    サスペンスは数あれど、恋の行方を謎にしたものはそんなにないような気がする。
    「恋の行方、

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    2014年01月18日