中島京子のレビュー一覧
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久しぶりに読む中島さんの作品。
やはりテンポや感覚が面白くて心地よい。
ただ楽しいだけではなく苦いことも厳しいことも織り交ぜてあるのが更にいい。
離婚を機に30年振りに帰国した沙希は、施設に入居している伯父の家を借り、近くにある母校でもある女子大で教えることになる。
『武蔵野の一角だった』『うらはぐさ』地区で暮らすことになった沙希がちょっと風変わりな人々と交わりながら暮らす日々。
今まで一度も定職に就いたことがなく、三年前に結婚した伯父の友人・秋葉原氏とその妻・刺し子姫(沙希が心の中で名付けた)。
沙希が働く大学の学生でおかしな敬語を使うマーシ―とその友人パティ、同じく大学で働く講師・くるりんとその彼氏さるちゃん。
彼らがどこか浮世離れした存在なのに対して、伯父の家を貸してくれた従兄の博満は現実的。
そして忘れてはいけない、沙希が何かと思い出す友人マロイ。消息不明となったマロイは生きているのかそれとも…。
伯父の庭に生えてきた不思議な植物があったり、伯父の部屋(密かに酒蔵と呼ぶ)で見つけた酒を美味しく飲むために料理を作ったり美味しいものを見つけたり、大学の学祭でマーシ―が発表するのを見守ったり、秋葉原さんが伯父との約束で勝手に庭の手入れをしてくれたり、ゆるくて楽しくて、でもきちんと暮らしている感じがある。
一方で沙希にも秋葉原さんにも刺し子姫にも事情があり、近所の〈あけびの商店街〉の再開発話が再浮上したり。
そして元夫・バートが突然日本へやって来たり。
出来すぎな感じもあるが、多分これからも色んなことがありつつも皆でわちゃわちゃしながら一緒に生きていくのだろうなというのが想像出来て良かった。
そして気になっていたマロイ。読まれてのお楽しみに。 -
Posted by ブクログ
ネタバレインスタで知って、表紙の美味しそうなマンゴーかき氷のイラストに惹かれて購入。(マンゴーは長男の好物)
いままで読んだことのない作家さんが多かったのだけれど、どれも面白かった!
私は韓国と台湾には旅行で行ったことがあるのだけど、またアジア旅行に行きたいな。ぶらっと、ゆっくり。
そういう気持ちにさせる作品ばかりでした。
私は特に「隣に座るという運命について」「猫はじっとしていない」が好きでした。
「隣に-」はこの本の1作品目で、舞台の街が私の通った大学のあたりだったので驚きました。(もしかしたら主人公の通う大学のモデルかも?)
初読の作家さんの他の作品も読んでみたいなぁ!
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Posted by ブクログ
ネタバレ離婚を機に30年ぶりにアメリカから帰国して、武蔵野、うらはぐさ地区の叔父の家に住むことになった大学教員の沙希。
叔父の友人の秋葉原さん、大学の教え子、一風変わった人達に囲まれて、おひとり様生活を満喫している様は率直に羨ましいの一言。何か大きな事が起きるわけではないけど、日常を彩ってくれる様々な、ちょっとした出来事が、ユーモア溢れる筆致で書かれている。
まずは「しのびよるきゅうり」に心を持っていかれ、教え子の1人、通称マーシーの奇天烈な敬語は最初は腹立たしかったのに、そのうちクセになる。認知症の叔父との、微妙に噛み合わないけど、微妙に噛み合っている会話も面白い。
終盤で叔父は亡くなり、別れた元夫が会いにきたり、秋葉原さん夫妻は高齢者施設に入居、商店街がなくなるかも、という日常の延長ではあるけど、心騒ぐ出来事は起きる。
沙希は将来の事を考えつつ、商店街存続のために周りの人達と一歩踏み出すーというところで、物語は幕を閉じる。沙希の、うらはぐさの住人たちの話をもっと読みたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに「アジアの街角」とあったので、てっきりアジアのどこかの国が舞台になっているお話なんだと思い込んでいた。でも、実際に海外を舞台に展開する話は1つだけ。ほかは日本が舞台。そして日本でアジアの料理を食べる、もしくはアジアのどこかの国から来た人が登場する短編小説集。
でも、なんか意外と好きだなと思う話があって、ハッピーな結末ではないのに、「あ、私この話すきだ。もしかしたら、この作家さん(島本理生さん)、私好きかもしれない」と思った。
それと、初読み作家さんだった大島真寿美さんの小説。私ら日本人って香港が中国に返還されて、そのあと若者たちが抵抗して、自由が奪われていく様子をニュースで見てるけど、どこまで分かってるんやろうと思う。
あとは、角田光代×猫とくると、もう最強。角田さんといえば、タイを始とするアジア好き×飼い猫トトちゃん・猫好き。今回の小説はちょっとファンタジーというか、スビリチュアルというか。でも、台湾って、なんかどことなく、異空間と繋がってそうな場所があるイメージ。行ったことがないので、飽くまで勝手なイメージ。
私も台湾の猫村に行ってみたいなぁ。
ということで、★4つにした。
中島京子「隣に座るという運命について」 台湾
桜庭一樹「月下老人」 韓国
島本理生「停止する春」大根餅
大島真寿美「チャーチャンテン」香港
宮下奈都「石を拾う」台湾 SF
角田光代「猫はじっとしていない」台湾 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・トロッポ・タルディ
・酢こんぶプラン
・公立中サバイバル
・アンファン・テリブル
・時をかける老婆
・ネガティブ・インディケータ
・冬眠明け
・葡萄を狩りに
・カラスとサギ
・不存在の証明
・吾輩は猫ではない
昨日読んでいた本とは全く違って、世俗の垢やら浮世の義理やらで雁字搦めの家族の話。
語り手が話ごとに代わっていくけれども、どのエピソード、事件も深刻というには規模が小さく、だからこそ誰に訴えるというわけにもいかずにずっともやもやしているような話ばかり。
特に世代の近い、主人公の妻・春子の屈託は、膝を打って「わかる!」と言いたくなるほど。
「いつも大変なんだから、今日くらいはゆっくり休みなよ」と言ってくれるのはありがたいとしても、なんで上から言うの?って思っちゃうよね。
私のペースで私が休んではいけないのですか?と。
久しぶりに会う友達に愚痴ってみようと思っても「あなたは幸せよ」と断じられ、あとは友達の愚痴を聞きながら、吐き出せない思いがずっと消化できずに残っていく。
私の場合は、それは職場の先輩や同期たちだったので、「あー、はいはい」とマウント取らせ放題で聞き流すことも上手くなりましたが。
昭和の大家族は家族全員で食事して、みんなで同じテレビを見るのが当たり前だったのかもしれないけれど、平成の大家族はそれぞれがそれぞれのペースで家族とかかわり、つかず離れずなのがいいのかもしれない。
昭和生まれのわたしですら、常に家族が同じ歩調で生活していくというのはちょっと息苦しい。
主人公の龍太郎は、家族の大事を相談されないきらいはあるけれど、決してないがしろにされているわけではない。
言いたいことを言い合って、けれど決して傷つけあわない。
いい家族だなあと思います。
子どもたちの配偶者も皆いい人。
読んで心がほぐれていくような気がしました。 -
Posted by ブクログ
中島京子さんの「小さいおうち」を読んで気になっていた作家さん。
登場人物は、車椅子のかおるさん、介護士の塔子さん、看護師のマリー・ジョイ、オーナーの虹さん、そして拓海くん。
この4人の事情だったり関係だったりが、まさに『大人』という言葉がぴったりの複雑なごちゃっとしたような感情が生まれる。
踏み込みたい気持ちもあるのか(いや、ないのかもしれない、そこがまた面白いなあ)お互いが深く関わるわけではない。拓海は違ったかもしれないけど。
きっといい方向に 、ハッピーエンドが待っていると思って読んでいるとうまい具合に期待を裏切られた。
いつもハッピーエンド、明るい終わり方が好きな私も、こういうテイストの小説はとても刺激的だった。