中島京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝日新聞土曜日別刷りbeにエッセーを連載されている、この作家さん。つい先日の「いまなら納得できる」という眼鏡店でのにらみ合いの話も面白かったな。
月に一度くらいしか載らないのだが、『日々の暮らしのなかで感じるさまざまなことをつづる』というコンセプトで語られる話は、土曜の朝の楽しみのひとつ。
この本、そんな作者さんが“身に起こりうるライフイベントを、不思議な軽妙さで描く6つの短編集”。それぞれに、ちょっと不思議な味わいの、この作者さんらしさが溢れるお話。
■家猫(結婚)
40歳を超えたバツイチの男の結婚を巡る本人&周囲の思惑。
家猫だけでなく化け猫もいたみたい。女の人から見れば男って可愛いというかちょろいもんね。
■ローゼンブルクで恋をして(終活)
終活をすると言って行方不明になったお父さんの意外な行先。
コルクボードの写真とローゼンブルク時代の恋と男やもめの終活が結びつく、このお話が一番好き。
『全国の都道府県名をドイツ語にすると無駄にかっこいい』 私の生まれはランゲンカップで育ちはグリュックスヒューゲル、今住んでいるのはグローセンハングとエーデルハウプトシュタットの間あたり。
■川端康成が死んだ日(離婚)
川端康成が一瞬、強烈に出てくるお話。この話だけ、あまりよく分からなかった。
モハメド・アリやジャネット・リン、遊星仮面やマッハGoGoGoなんて懐かしかったが、ドボチョン一家だけ覚えがなかった。
■ガリップ(妊娠)
妻と夫とメス白鳥の30年に亘る三角関係の顛末。
嫉妬した白鳥が想像妊娠をするって、ちょっと怖かった。
■オリーブの実るころ(駆け落ち)
斜向かいに越してきた品のいい老人の、愛した人を巡る壮絶な過去。
庭に植えられた2本のオリーブの木の秘密が素敵。
■春成と冴子とファンさん(結婚報告)
彼の両親へのデキ婚の報告。
離婚してそれぞれ思い思いに暮らす両親の生き方が羨ましい。
最後の5行が良い。赤ちゃんって、その存在だけで全てを溶かすよね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ富山から東京の女子大へ進学した真智は、祖母の親友・志桜里さんの家に下宿することになる。
ちょっと風変わりでマイペースな志桜里さんとの生活は、大人になる前の真智にとってとても刺激的で、影響力は絶大だろう。読んでいてとても心地よい。
私もこの年頃にこんな大人と出逢っていたら良かった、と思わずにいられない。
志桜里さん家にある本棚の「小日向」コーナーがとても面白そう。元々、木内昇さんの『茗荷谷の猫』が好きだったので、この界隈の話が出てきてとても嬉しい。
"文学地図"は私もほしい。"文学地図"片手に東京巡りするの面白そう。普段坂道は苦手だけれど、こんなに古のエピソード満載の坂道なら楽しめそう。近所にこんな文学名所があるなんてほんと羨ましい。
江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』が読みたくなった。すごく気になる。
真智の不思議体験は、本好きにはたまらない。幽霊は苦手だけれど、こんな体験ならしてみたい。
ただラストが唐突に終了した感じでちょっと物足りなかった。せっかくの心地よい時間が急に終わってしまって寂しい。もうちょっと読んでいたかった。 -
Posted by ブクログ
「ゆうゆう」という雑誌に掲載されていたエッセイを一冊に。連載は本書発行の時点でまだ続いているということ。
2018年10月から2022年9月までの期間で、著者の年齢は50代半ばから還暦前までと、「ゆうゆう」の読者層にだんだん近づく。
この期間には、100年に一度のパンデミックという大きな事件があった。
『第1章 世界中、どこへ行ってもおなかはすくのだ』には、まだコロナの影は見えず、著者は元気に海外出張に飛び回り、美味しいものの描写が続く
『第2章 人は老い、地球は温暖化する』では、ちょっと健康に不安も出てきた体のメンテナンスのこと。そして美味しいもの。
『第3章 奈良公園の鹿、タイのジュゴン』になると、コロナ禍真っただ中でそれ以外の話題を探すのは難しい。しかし、インターネットが普及していたことは大きな救い、とあった。
『第4章 孫娘、ばーさんから「刑務所脱出カード」を買う』ステイホームは確実に人を太らせるという実感。ワクチン狂騒曲もあった!やっと外出ができるようになり、久々に大阪に行った場面では、美味しいもの描写が爆発しているように溢れ出ていた
『第5章 ごはんさえあれば、人生は最高!』やっとコロナ禍を振り返る余裕が出て来た時期。気がつけば、著者も還暦が目の前である。
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自分でもこの5年くらいを振り返ってみると、あんなに大騒ぎしたコロナ禍も、もう遠いことのように感じていることに驚く。本当に大変だったし、コロナ前と後でガラッと変わったものもあれば、何だかダラダラと元の木阿弥と化しているものもあるように思う。
あまり著者の年齢のことに触れるのは失礼とは思ったけれど、このエッセイに関しては重要な要素だと思ったので書かせてもらいました。
ーーいつまでもきれいでいるのはいい。だけど、いつまでも「若く」いるのは無理がある。いかに上手に老境に入るかーー
そうそう、努力の方向を間違えてもいけないし、頑張りすぎても楽しく生きられないですね。 -
Posted by ブクログ
学校が苦手だった少女が、放課後を過ごした喫茶店の常連客たちとのあれこれ。それは30年前の話。
ノスタルジックで、ある時はSFチック。そして、子どもの頃の回想というフィルターもかかって、ちょっと不思議な雰囲気を醸している世界。
小説家には一つだけ、聞かれても答えなくていい質問がある。
「それは本当?それとも嘘?」
『「はくい・なを」さんの一日』(「タタン」と名付けてくれたのは白いひげの老小説家)
『ずっと前からここにいる』(百年先からやってきた女)
『もう一度、愛してくれませんか』(吸血鬼の夫婦現る)
『ぱっと消えてぴっと入る』(おばあちゃん子)
『町内会の草野球チーム』(学生さんと喫茶店)
『バヤイの孤独』(学者は、自分の研究対象に恋をしているものだ・・・と私は思う)
『サンタ・クロースとしもやけ』(サンタ・クロースはたくさんいる。だって世界中の子どもたちにプレゼントを届けるのだもの)
『カニと怪獣と青い目のボール』(嵐のように現れて、すぐに去っていった「トックン」のこと)
『さもなきゃ死ぬかどっちか』(トモコが突然、タタンの前に現れた。タタンの名前も「トモコ」だった) -
Posted by ブクログ
「うらはぐさ風土記」で中島京子さんのファンになり2作目。昭和の女中さんのお話が面々と綴られて最初はうんざりしていて、挫折しかかった。
レビューを読んでいると評価も高く、後半からは物語が加速するらしいと知ると、勝手なものでどんどんと興味が湧いてくる。タキさんや時子さんの物言いに慣れてくると時代背景や生活そのものも面白く、何となく予測できたストーリーもラストでびっくりの結末。また違った解釈になりとても深かったし、映画化もされているとかで、さすが直木賞受賞作品は違うなぁと。もう少し中島京子さんの作品を極めてみようと思う。どんな世界が待ち受けているのか楽しみ。