中島京子のレビュー一覧
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森のくまさんの歌が聞こえたら、逃げなければならないのよ。
そんな言葉をきっかけに始まる逃避行の物語。
中島京子の作品は、どちらかというと昔の物語に今の物語をシンクロさせて話を進めていくイメージが強いのですが、今回の作品は、今の物語に昔の物語を取り込んでいきます。それも、バラバラな話をたくさん、自由自在に。今ここでその話はちょっと無理があるかなと思う話もありますが、その話がこの物語の核になるので、そこは力技で。「イソポ」って。「イソポ」すごい語感ですよね。「イソポ」「イソポ」って言っていると、「イソポ」は絶対にいなくちゃいけなくなってくる。「イソポ」の勝利。そんなところも含めて自由自在です。
こ -
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出て来る男はアホばっかりだしそんなヤツらにコロッと騙される瑛ってどうなのよ?と訝るところも無きにしも非ずなのだが…中島京子ファン限定で話をさせてもらえば今回はクリーンヒットなのだろう。「FUTON」「イトウの恋」でお馴染みの劇中劇も綺麗に纏まっているし逃げ出したニノを盗んだ自転車で捜し求める疾走感は「ハブテトル〜」の大輔を彷彿とさせる。言わば本作は彼女のエッセンスがギュっと濃縮されたような物語なのである。舞台は鹿児島か?生きるべき場所を見つけた砂糖屋の看板娘は純真な黒砂糖のようなニノと三温糖の如く優しいおばあちゃんとともに桜島の噴煙の下で生きていくんだろうね…いいお話でした
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いつしか加速度的に、早く続きが読みたい、続きが読みたいと思って、駅で電車を乗り換えるときも、改札へ向かうエスカレーターに乗るときも、ずっと手放せずに読んでしまった。
食べるときは、食べることに集中しようという私の信条(最近はじめた)も破ってしまうほど(簡単だった)ずっと手放せなくて、続きがものすごく気になった。
すごい推進力のある小説…!
気になるのは、もちろんIBと、イトウの恋の行方である。
イトウの想いは、どこへどういくのか、
彼はどこへ向かうのか。
ひっぱるのが、「恋の行方」というところがいい。
サスペンスは数あれど、恋の行方を謎にしたものはそんなにないような気がする。
「恋の行方、 -
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ネタバレ友人に勧められて。ゼミで『蒲団』を扱ったのでパロディを十分味わえた。
「蒲団の打ち直し」というタイトル付けが見事。ストーリーの改変、時雄が焦がれた蒲団の再利用、二つを掛け合わせるプロット構成に思わずニヤリ。ウメキチの若い頃のエピソードでは『白痴』も意識してると思えてさらにニヤリ。主人公の戸惑いぶりも読んでいて微笑ましい。
原作の『蒲団』では妻目線での語りがない。だから、妻からの視点で『蒲団』というテクストを読めるのは新鮮。さらに『蒲団』のあらすじも分かってしまう。なので、一粒で二度美味しい作品になってる。
『蒲団』と現代とのリンクが感じられて、「文学史が今に続いてる!」と謎の感動。作品は -
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大学生の時に、作者である中島さんとのうれしいつながりを発見し、手にした本が、文庫化されているのを知って再び手に取る。
実在の人物をモチーフにした物語。イザベラ・バードことI・Bとその通訳をしていたイトウの恋の物語。ありえないとは思っても、つい想像してしまう。そんなお話を見事に実現したのがこの本だと思う。
イトウの手記をとおして、「日本人」の視点で、東北への旅を追体験したような感覚。だから、フィクションとはいえ、イザベラ・バードは、当時の日本を、日本人を、東北という地をどう見ていたのだろうか。そんなことが気になり、『日本奥地紀行』も読んだのだけれど、面白かったという記憶しか残っていないという -
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4編がそれぞれ冠婚葬祭、成人式、結婚、葬式、お盆にまつわる物語です。
中島さんは日常に存在する物を描きます。でも、そこに有る物をそのまま描いてもつまらない。正面から描くのなら、多少はレントゲン的視点で、あるいは正面から視点をズラすことで、普通の人である読者が面白く感じる物語になります。
中島さんの面白さは、その視点のズレ方のようです。普通なら少し上から鳥瞰的にとか、斜め横から斜に構えてとか、いっそ裏面から・・なんて予想します。でも中島さんのズレ方は、角度は大きくは無いのだけ、どこか予期せぬ方向にズレていて、それが何とも言えないユーモアに繋がっているようです。
面白いですね。