中島京子のレビュー一覧

  • エルニーニョ

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    同棲相手のDVから逃げ出した小森瑛(コモリテル)は、たどり着いた南国の寂れた商店街で、何者かに追われる少年ニノと出会う...
    章ごとにテルが出会った人や土地まつわる回想や昔話が挟み込まれる形式の小説。
    童謡森のくまさんで、お嬢さんは何から逃げるのか?って考えたこと無かったなぁ。

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    2013年12月30日
  • エルニーニョ

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    帯を見ると逃避の物語のようですが、21歳の娘・瑛(テル)と7歳の少年・ニノの出会いの物語です。テルとニノでテルニノ??エルニーニョはちょっと強引すぎますが。
    物語の途中に強引に持ち込まれる、本筋とは無関係な挿話には驚かされますが、全体の雰囲気を醸し出すには良いアクセントになっているようです。
    久しぶりの中島さんでしたが、楽しめました。

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    2016年06月19日
  • 冠・婚・葬・祭

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    再読
    新人記者が成人式の取材に…「冠」、引退したお見合いおばさんの縁結びの顛末「婚」、社命でおばあちゃんの参列のお供をする「葬」、三姉妹が両親を失った田舎の家に集まる「祭」。連作小説

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    2013年10月05日
  • 均ちゃんの失踪

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    「今ここ」にいない人物である、情報で形作られていく「均ちゃん」。均ちゃんが縁で集められた「今ここ」から「その先」を見つめる三人の女性たち。
    もどかしさやままならないところから、ちょっとばかし抜ける三者のエピソードが気持ちいい。
    岡目八目、自分も端から見たら滑稽なんだろうと思うと、ちょっと楽になる。

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    2013年07月27日
  • FUTON

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    ネタバレ

    友人に勧められて。ゼミで『蒲団』を扱ったのでパロディを十分味わえた。

    「蒲団の打ち直し」というタイトル付けが見事。ストーリーの改変、時雄が焦がれた蒲団の再利用、二つを掛け合わせるプロット構成に思わずニヤリ。ウメキチの若い頃のエピソードでは『白痴』も意識してると思えてさらにニヤリ。主人公の戸惑いぶりも読んでいて微笑ましい。

    原作の『蒲団』では妻目線での語りがない。だから、妻からの視点で『蒲団』というテクストを読めるのは新鮮。さらに『蒲団』のあらすじも分かってしまう。なので、一粒で二度美味しい作品になってる。

    『蒲団』と現代とのリンクが感じられて、「文学史が今に続いてる!」と謎の感動。作品は

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    2013年03月20日
  • FUTON

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    時代、性別、師弟関係が、3セット。少しずつ3セットが重なりあって、なんとも不思議な情報量に膨れていく。それをみる、妻たちのシビアさ!小説「蒲団」の打ち直し(パロディ?リメイク?)と、小説内の布団の打ち直し(リユース)の言葉遊びにシビレる。

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    2012年08月19日
  • 均ちゃんの失踪

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    失踪した均(きん)ちゃんの家に泥棒が入る。
    本人不在のため、
    関係者が集められるがそこに居合わせたのは。

    元妻と彼女を含めた3人の女たち。

    均ちゃんという共通点を持った3人が
    箱根に不思議な旅行に出かける。


    3人それぞれ、
    そして均ちゃんからの視点から物語が出発する短編集。

    放浪癖があって、
    だらしがなくて、
    お金もなくて、
    自由奔放で、
    でも憎めなくて、
    妙な才能を持ってて、
    タイミングが抜群なのに、
    かわいそうな均ちゃん。

    こーゆー人にきっと女性は弱いはず。苦笑

    ってか、私が弱い!笑


    本当に勝手な男なのにね、均ちゃん。苦笑



    本当

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    2012年08月17日
  • さようなら、コタツ

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    さすが中島京子さん。登場人物がぐっとリアルに迫ってくる。こたつを捨てた主人公の心の動きには、とても共感できた。

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    2012年07月10日
  • イトウの恋

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    大学生の時に、作者である中島さんとのうれしいつながりを発見し、手にした本が、文庫化されているのを知って再び手に取る。

    実在の人物をモチーフにした物語。イザベラ・バードことI・Bとその通訳をしていたイトウの恋の物語。ありえないとは思っても、つい想像してしまう。そんなお話を見事に実現したのがこの本だと思う。

    イトウの手記をとおして、「日本人」の視点で、東北への旅を追体験したような感覚。だから、フィクションとはいえ、イザベラ・バードは、当時の日本を、日本人を、東北という地をどう見ていたのだろうか。そんなことが気になり、『日本奥地紀行』も読んだのだけれど、面白かったという記憶しか残っていないという

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    2012年06月02日
  • 冠・婚・葬・祭

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    私の好きな「FUTON」や「イトウの恋」は、何でもないところで、クスッと笑える表現があって大好きなのだが、残念ながらそういうのはなし。でも、読み進めるうち、主人公たちのどこか諦めつつ、それでも丁寧に生活している様が、心地良くなってきた。
    「この方と、この方」の“お見合いとはこういうもの”という説明に、目からウロコ。

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    2012年04月09日
  • 冠・婚・葬・祭

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    職場の上司からお借りした本。

    中島京子さんの本は初めて読むけども、
    筆致が優しくて読みやすかったです。

    冠婚葬祭は人生の節目に重要な儀式ですが、
    昨今そういったものが軽視される風潮であることも事実です。

    お盆に親戚一同で集まるなんて、
    あと20年後にはなくなっているかもしれません。
    でも、本当はそういう血の繋がりを意識するっていうのは、
    長い歴史の中の自分の座標を見つめなおすと言う意味で、
    重要なものなんじゃないかと思ったりします。

    そんなことに気づかされた作品でした。

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    2011年12月04日
  • 冠・婚・葬・祭

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    4編がそれぞれ冠婚葬祭、成人式、結婚、葬式、お盆にまつわる物語です。
    中島さんは日常に存在する物を描きます。でも、そこに有る物をそのまま描いてもつまらない。正面から描くのなら、多少はレントゲン的視点で、あるいは正面から視点をズラすことで、普通の人である読者が面白く感じる物語になります。
    中島さんの面白さは、その視点のズレ方のようです。普通なら少し上から鳥瞰的にとか、斜め横から斜に構えてとか、いっそ裏面から・・なんて予想します。でも中島さんのズレ方は、角度は大きくは無いのだけ、どこか予期せぬ方向にズレていて、それが何とも言えないユーモアに繋がっているようです。
    面白いですね。

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    2016年07月30日
  • 均ちゃんの失踪

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    年齢も境遇も違う女子3人それぞれの視点から語られる「均ちゃん」。均ちゃんよりも女たちの生々しい気持ちにウンウンうなずいて、何か泣けてくる。それぞれの結末、それぞれにちゃんと前向き。元気をもらえました!

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    2011年08月17日
  • FUTON

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    何とはなくの、不思議な世界を感じながら、面白く読みました。
    イズミさん と ウメキチさん がいい。

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    2011年08月05日
  • 冠・婚・葬・祭

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    4つの作品の連作。他の作品の端役が他で主役になる、という構成と、作中でかつてのある時代をかなり精緻に思い起こさせるという得意な手腕を発揮して、さりげないのに、凝ったつくりだなあ、と感じさせる。

    この人は、物語内に、別の時代を流すのがうまい。今やそれが特徴と言えるかもしれない。

    「この方と、この方」には、かつていい若いモンがプラプラしていると世話焼きおばさんや世話焼き親戚が現れて見合いを設定し、結婚へと片付けていくことが有効だった時代、「どこかできちんとなにかをあきらめて、おさまるべきところへおさま」っていた時代を流し込む。

    「最後のお盆」では、近所の人が大した用もなくフラリとやってきて縁

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    2011年06月25日
  • 桐畑家の縁談

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    姉の矜持。とでもいうのだろうか。姉とはこうあるべき。という頭でっかちな露子。ちょっと夢見る夢子ちゃんぽい所もあったり。大概、はたから見ると痛い。バブルの名残。のような露子だけど、なんか、それほどヤな感じがしない。ほんわか。としてるとでもいうのか。なにかにつけテーゲーな露子にくすりと笑わせられる。

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    2011年06月21日
  • さようなら、コタツ

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    最初の短編「ハッピー・アニバーサリー」。いきなりレスビアンの話で、この先どうなることかと思ったのですが。。。
    どの作品も、ちょっと変わったシチュエーションですが、かといって特に奇をてらうことなく、小さな日常を見事に描き出します。登場人物の心の動きが心地よく沁みて来ます。
    今まで読んだ中島京子さんの作品で一番好み。
    中島さんの力量を感じさせます。

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    2016年07月30日
  • 均ちゃんの失踪

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    ネタバレ

    均ちゃんの家に泥棒が入った。
    ところが当の住人の均ちゃんが行方知れず。
    そこで、均ちゃんの家に出入りしていた3人の女性が事情を聞かれるため警察に呼ばれ、顔を合わせる。
    世代も職業も違う3人の女性の均ちゃんとの係わりと、彼女たちのそれぞれの事情や想いが描かれたお話。

    面白いのは、中心人物の均ちゃんがなかなか登場しないこと。
    女性たちのストーリーがどんどん進んで行く中で「それで、均ちゃんは?」と思いながら読み進め、やっとこさ均ちゃん登場!
    3人(いや、実は4人?5人?)の心を揺さぶる均ちゃんのキャラクターも、なぜか憎めない。
    偶然出会ってしまった3人の女性の係わり方も面白かったです。

    さあ、均

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    2011年04月15日
  • イトウの恋

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    郷土部顧問が見つけた古い手記に書かれた恋の話。

    手記はイトウという男性のもので、相手の女性はひとまわりも年上の異国女性I.B。

    現代と過去をいったりきたりする不思議な恋愛小説だが、独特の酔いのようなものがなく、歴史小説のようにさらりと読んだ。

    I.Bの言葉遣いの悪さやハンモックで寝るところが魅力的で、年を感じさせない。

    だいぶ、せつない話。
    でも悲観的ではなく、読後感が爽やかでした◎

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    2011年03月05日
  • 均ちゃんの失踪

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    ネタバレ

    さらさらさーと書いてるけどリアルだぞ。

    留守中の均ちゃんの家に泥棒が入った。
    事情聴取をしたい警察は、均ちゃんと関係のある3人の女にたどりつく。
    ・女子高の美術教師をする女(均ちゃん家の大家であり元妻/50前後)
    ・重役秘書の女(不倫相手が本命で均ちゃんは2番目/30代後半)
    ・ティーン向け雑誌編集者の女(均ちゃんの年下の彼女/20代)

    女3人初顔合わせの第一話から、均ちゃんが帰ってくるところまで
    ざっと4ヵ月間の物語。
    4ヵ月の間に動く女たちの、そして均ちゃんのお話。

    均ちゃんのようにだらしのない男が世界で一番嫌いな私に、
    嫌悪感を抱かせなかったのは作者の才の極みで

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    2011年03月09日