中島京子のレビュー一覧
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実際にいた人物をモデルにして書かれた本ですな。
伊藤が「イトウ」となっているので、この本を読む前、「どうぶつの森」をやっている私としては「イトウかぁ…。あれを釣ったときの喜びはでかかったなぁ」なんて思ってしまってました。
この本には、高野秀行さんの「辺境の旅はゾウにかぎる」の書評からたどりつきました。
明治初期の横浜……。
きっとものすごい趣があって、素敵な街並みだったんだろうな。
横浜の近くに住んでいるくせに、まったくそういうことには関心がなかった。
今度「昔の横浜が残る場所ツアー」でも企画しようかしら。ひとりで。
しかしこの時代に、日本の北の方へ旅をした外国人女性がいたとは。
この -
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タイトルからもおわかりのように、田山花袋の〝蒲団〟を本歌取りした長編小説です。
感想を簡潔に述べるとすれば〝おもしろかったぁぁぁ〟のひと言に尽きます。
主人公はアメリカの大学で教鞭をふるう日本文学研究者。女性を巡る彼の私生活と、彼が〝蒲団の打ち直し〟と題して、女性視点で焼き直して書き上げた小説。そして、東京の下町に暮す百歳になろうとする老人とその周辺の人々・・・これら3つの物語が交錯しながら、ストーリーは展開していきます。
ただ面白いというのではなく、人が生きていく上で背負わなければならない重荷、その過程で深く刻み込まれる心の傷痕などもしっかり描かれていて、断片的に語られる老人の過去などは、胸 -
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文章が嫌味がなくて読みやすくてユーモアもちょうどよくていい感じ。あっさり淡々としすぎているのかなあーと思うところもあったけれども。温水ゆかりさんの解説がよかった。解説読んで、ぼんやりと妹の家に居候してた姉の輪郭がくっきりしたというか。自分のなかの大事なものに気づいてなかったね、というところなど、けっこう感動したりして。この話の主役は妹じゃなくて姉なんだな、と。そう、ふたり姉妹の姉っていうのは、一見しっかりしているようで、実はけっこうぼんやりしていてはっきりしなくて決断できなくて気がつくととり残されてたり。比べて妹は、マイペースでわりにちゃっかり決断して着実になにかを手に入れていくような。かくい
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情熱は人を動かす。
そして歴史は、語られるべき「時」が訪れる日をじっと声を潜めて待っている。
作者の人物チョイスが絶妙で、うんうん唸ってしまった。
からりと乾いた爽快感。
そしてしっとりを潤された満足感。
どちらも味わえて良かったです。
数十年前の青年が胸に宿した思いが、現代の主人公たちにじわじわと変化を齎す。
それもまた、彼らのために用意された「時」。
「真実は時の娘」という言葉が思い浮かぶ作品でした。
歴史とは個人の私生活を覗き見することであり、
時間が経過したからといって軽はずみに公開していいものでもない。
だが場合によってはその決断によってこれまでの世界観が