中島京子のレビュー一覧
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ちょっと不思議な歴史小説。
作家のわたしが焼き物体験をしようと訪れた唐津の窯で、陶芸家のサワタローさんとその妻のナミエさんから『水神夜話』という水神の伝承を聞くという話です。
『水神夜話』は、河童(物語の中では水神)の目線で、豊臣秀吉の朝鮮出兵である文禄・慶長の役が語られます。
装丁が美しくて手に取りましたが、この表紙で歴史物とはなかなか想像できないかと。
朝鮮出兵は本当に酷い戦争というかただの虐殺であり、教科書だと1行2行でまとめられていますが、豊臣軍のやったことを詳細に描写されると改めてあんまりの酷さに絶句します。河童たちは必死に戦争を止めようとするのですが、読者はこの戦争が止まらないことを歴史として知っているので、余計に辛い…。
河童たちの語り口はユーモラスでクスッと笑えるところもありますし、河童独自の戦国武将たちの呼び名なども面白く、辛い話ですが引き込まれました。
タイトルの元になっている芥川龍之介の「薄雲る水動かずよ芹の中」がとても素敵な俳句で印象に残りました。 -
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ネタバレ中島京子さんの作品なら、間違いはなさそうと思って手に取った本。開いてみてビックリ。この作品は婦人公論に連載された作品だった。しかも元ネタ(?)は、やはり婦人公論で昭和28年に連載された伊藤整「女性に関する十二章」。
私が婦人公論を定期的に購読し始めたのは2016年ごろなんで、この作品のことは知らなかった。伊藤整は名前は知ってても、読んだことあったっけ⁇ 国語便覧で見たかもしれない。
主人公聖子はほぼ著者を思わせる。ま、単純に同じ年ってだけなんだけど。私自身も同世代。ただ、今となっては、ずっと年下だ。
伊藤整の本に倣った章立て。困った連載を頼まれた夫、守。女っ気のない息子、勉。が、連れてきた愛想のない彼女。淡い初恋の男性が亡くなり、目の前に現れたその息子のハーフの青年、とその弟たち。元ホームレスの「調整さん」こと片瀬。守の弟でゲイの小次郎(保)。特に大きな事件が起こるわけではないが、いそうでなかなかいない(?)ユニークな登場人物が穏やかに現れる。
最近見た、緩いけどなんだか見続けていたいドラマに共通する感じもあったかも⁇ 12回ワンクールのドラマを見終えた感じがした。これも雑誌の読者を意識した連載小説ならでは⁈
中島京子さんの作品は4.5冊目くらいかな。更年期真っ只中からくる(?)独白が小気味良くて、面白かった。
「日本的情緒」に関する考察は、発刊された当時より今の方がタイムリーなことかもしれない。 -
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キャリア20年の女性作家が、唐津の陶芸作家夫婦から聞いた「河童たちの間で言い伝えられてきた秀吉の朝鮮出兵の顛末」を記すという形式の作品です。さらに、正体不明の芹農家の老人が、時折ちらりと顔を見せたりします。
中島さんの作品でいえば、南部の女性大名・祢々の物語を一本角のカモシカの霊が語る『かたづの!』とほぼ同様の形式で、ファンタジーと歴史を融合させた作風です。
読後の感想も似たものでした。なぜ河童という伝奇的な要素を取り入れる必要があったのか。しかも、河童の中の伝承を陶芸作家が語り、それを聞いた女性作家が記すという「又聞きの又聞き」のような構造で、まどろっこしい。いっそ、登場人物の一人である日本に流れ着いた朝鮮の名陶工の娘・銀非あたりを語り部にした方が、物語としてすっきりしたのではないかと思います。
ちなみに、語り部である「キャリア20年の女性作家」は中島さん本人かとも思いましたが、本文ではここ2年ライターズブロックに陥っていたと書かれていますし、昨年も『うらはぐさ風土記』『坂の中のまち』を出版されているので、どうやら違うようです。 -
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「家」にまつわる短編集。
以前読んだ同じ著者の本がおもしろくて、その本の登場人物がこの本にも登場するということで、以前から読みたくてようやく読んだ。
私の良くないところなんだが、記憶力が弱体化しているので、この本のどの話のどの人物が前回読んだ本の人達なのかがわからず・・・。
表題作「さようなら、コタツ」に出てくる姉妹のような気もするし、
最後の話「私は彼らの優しい声を聞く」に出てくる姉妹のような気もする。
姉妹の話だったことは、覚えているのだけれど。
特に事件は起こらない、たんたんとした話が多い。
いや、事件を事件としない。何事も自然と受け入れているというのだろうか。
そんな、中島京子節を感じた。 -
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豪華作家たちのアジアにまつわるアンソロジー
『アジア』とタイトルにある割には台湾と香港しか出てこないけど 笑
人は香りや味や音や言葉や、そして一瞬の風景でふっと過去の記憶の中に連れていかれることがある
どのストーリーもそんな郷愁に誘われる
若い頃、香港にハマっていた奈美子
当時のパーティで妊婦さんのお腹を生まれて初めて撫でた
その時のお腹の中の子、ケリーが日本で勤め始めたと聞く
『友達になってあげて』と古い友人に頼まれたけれど…
奈美子が知っている香港の熱い情熱と勢いと自由
それは25歳も年の離れたケリーが育ってきた香港の環境とはかけ離れていた
ぎこちない2人
でも2人の中にはそれぞれ、愛する香港を想う揺るぎのない気持ちがあって…
読んだことのなかった大島真寿美さんの『チャーチャンテン』が1番刺さりました
私は台湾に行ったことがなく、表紙のマンゴーかき氷のイラストにとりあえずそそられる~
台湾のかき氷にはこんなに角切りマンゴーがてんこ盛りなのかな??