中島京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東京・小日向を舞台に、女子大生の真智が祖母の友人・志桜里さん宅にいそう東京・小日向を舞台に、女子大生の真智が祖母の友人・志桜里さん宅に居候することから始まった日々を緩やかにユーモラスに、時に不可思議に描く。
志桜里さんの、真智に対して付かず離れずといったスタンスが心地良い。一方で小日向愛は激しい。
江戸川乱歩「D坂の殺人事件」
遠藤周作「沈黙」
安部公房「鞄」
夏目漱石「こころ」
他にもいくつもの文学作品が登場する。
東京は都会だけに舞台にした作品も多い。
そして意外と坂の町でもあるのだなと思う。
真智が出会った人々は幻なのが現実なのか、夢なのか幽霊なのか。
振り回されている人が現実と -
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Posted by ブクログ
記憶と自分の繋がりを意識させる豊かな表現と心踊る暖かな出来事の連続。大人になって思い出して、はじめてわかった思い出、記憶の断片から想像力の世界を旅する物語。
喫茶店を舞台に、死生観やアイデンティティ、恋、人との出会い、家族の話が織りなされる。それぞれのお話しにコーヒーのような甘酸っぱさやほろ苦さが漂う。
ファンタジー世界と現実世界の境界を崩して夢のごとく人生の記憶を辿る中で、少しずつ「自分」が見えてくるというカラクリが自然な形でじんわり心に入ってきた。
他者と出会い、言葉を交わし合う中であるいは離れる中で紡がれた途切れ途切れの記憶を、想像や妄想で繋ぎ留めて、今の自分があると思えた。
読み -
Posted by ブクログ
大学入学を機に上京し、文京区に住む祖母の親友宅に下宿することになった坂中真智。文京区は坂が多く文豪が多く住んでいた街でそこで不思議な体験をしながら、大学生活を送る物語。
読み終わってから、タイトルが主人公の名を捩っていることに気がついた。
中島京子さんはとても読みやすくて好きなんだけど、これは淡々とした感じで全然好きになれなかった。祖母の澄江さんとその親友、志桜里さんの話はもっと読みたかったなぁ。
ただ、『D坂〜』とか『こころ』とか『鞄』とか出てきて、学生時代読んだぞ懐かしいとなった。
最後のエピローグも「えっ、これだけ?」ってなる。きっと私だけでなく、読んだ人みなそう思うと思う。