中島京子のレビュー一覧

  • 冠・婚・葬・祭

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    冠婚葬祭といった伝統が形を変えていく、批判するわけではなくごく自然なリアルな描かれ方だった。劇的な何かがあるわけでない、穏やかだけど少し奇妙な面もあった。
    一番好きなのは「この方と、この方」。津村真知から送られてきた言葉がとても気に入った。年を取ったときに自分の支えとなるのはそれまでどう生きてきたか。何事も義務や圧に追われて行うのではなく自らたくさんの冒険をしたいと思った。

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    2024年10月02日
  • 小さいおうち

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    先日、ようやく映画を見たので、原作も読んでみる。細かな違いはあるものの、概ね山田洋二監督が原作をそのまま映画に仕上げてるのに驚いた。甥の健史は小説の方がもっとポンコツだったけどね。まあ、最後にいい仕事するんでいいかな

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    2024年09月30日
  • いつか、アジアの街角で

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    表紙のイメージからてっきり「食べ物」「旅」のアンソロジーかと勘違い。実際は台湾や香港を感じられるアンソロジーでした。

    特に好きだったのは、
    「隣に座るという運命について」 
    幽霊疑惑のエイフクさんとのクスリとなるエピソードが好きでした。大学生が描かれており、懐かしい気持ちにもなりました。

    「チャーチャンテン」 
    初読みの作家さん。何だか“縁”を思わせるストーリーも、作品に漂うごちゃごちゃしてるけど安心感のある雰囲気も、とても心地よくて好みでした。

    「停止する春」 
    「あぁ、これは…」。心が痛むのに読まずにいられない。言葉が自分のなかに爪痕を残していくような妙にあとを引く感じ。島本さ

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    2024年09月26日
  • いつか、アジアの街角で

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    星3.5
    有名女性作家たちが書いたアジアを舞台にしたアンソロジー、と思ったら実際アジアに行った話は角田光代さんのだけだった。アンソロジーのいいところは、普段手に取ることのないようなジャンルの物語を読めること。この中にも、私がいつもは読まないような不思議な話がいくつかあった。
    角田さんの話に出てくる迪化街は去年ぶらぶらして歩いたので、不思議な話でもどこか納得してしまった。また、私は猫にあまり興味がないのだが、角田さんの猫の描写はくすっと笑ってしまった。
    表紙のマンゴーかき氷の絵が好き。

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    2024年09月18日
  • うらはぐさ風土記

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    大きな出来事は起こりません。
    ゆったりとした時間と、くすくすと笑える小さなユーモアでじんわりあたたかな気持ちになるお話しでした。

    直前に読んでいた本が、どんどん読み進めたくて止まらなくなるようなタイプの本でした。だから最初はこのゆっくりと流れる時間にチューニングが合わなくて、少々退屈だと感じてしまいました。

    でも、読んでいるうちにこのリズムが心地よくなって、読み終わる頃には、個性あふれる登場人物とうらはぐさという土地が好きなっていました。

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    2024年09月08日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    懐かしくほのぼのとした短編集。昭和の味を出していて、人情物と言えるかも。シリーズ化しているようなので、続きも読んでみたい。それぞれの作家さんの雰囲気と特徴があって楽しめた。微かなリンクもニヤリとする。

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    2024年08月31日
  • 花桃実桃

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    会社を辞めた43歳シングル女性が、父の遺産で相続した古いアパートの大家になり、そこに住んで住人と交流するハートフルな物語。
    クスッと笑える文章が面白いし、散りばめられた百人一首などの和歌もいい雰囲気。

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    2024年08月30日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    やはり作家ごとの色があって、合うものもあれば合わないものもあり。
    ただ、全体的にそう転がってくれてよかったー、という気持ちになる終わり方ですっきりはする。

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    2024年08月18日
  • 小さいおうち

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    ネタバレ

    戦争に向かっていく日本と、当時生きていた人たちの生活・認識がタキさんの手記という形で細かく描かれていて、とても面白かった。

    最終的には現代に戻ってきて健史視点で描かれるように視点が切り替わった瞬間は驚きがあったものの、全体的にはそこまで複雑な物語ではなく、どちらかというと戦争当時の様子を感じられる読み物という面白さが強かったように感じる。
    また、私がこれまで読んできた戦争ものとは違い、たとえば戦争に対してどこか他人事と思っている人たち、そんななかでもジワジワと戦争が生活に染み出してくる様子が描かれていて、なんだかとてもリアルに感じられた。


    タキさんが女中として働いていた一家の奥様・時子さ

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    2024年08月17日
  • いつか、アジアの街角で

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    暑い夏の小旅行のお供にと手にした文庫。
    台湾多めのアンソロジーで、待ち時間にちょこちょこと読むのに丁度よかった。

    台湾には若い頃訪れたことがあるけれど
    桜庭一樹さんも角田光代さんも描いていた「月下老人」は聞いたことがなかった。
    角田光代さんの猫をモチーフにした輪廻にまつわる短編が、ぼんやりとした結末にも関わらずグッときた。(やっぱり角田さんといえば猫ですね…)
    私自身に前世の記憶はないけれど、私の姉もひょんなことから前世の記憶が蘇ったという。
    角田光代さんの前世の記憶が気になる…

    前世の記憶はないけれど、私も生まれ変わったら出逢うべき人に出逢えるようにいつか月下老人にお参りに行きたい。

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    2024年08月11日
  • いつか、アジアの街角で

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    台湾多めのアジアの話、6篇。

    ズバリその国に出かけて行ったり、その国の人との交流だったり、ただ出てくる食べ物がアジアのものなだけだったり、と、アジア度はそれぞれなれど、どれも体温の通ったあったかいお話でした。

    「停止する春」「チャーチャンテン」の2篇がおすすめ。

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    2024年08月03日
  • いつか、アジアの街角で

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    旅にでたーい!アジアー!
    この暑い夏、暑い国に旅行したい!旅気分を味わいたくて手に取った。6人の作家の短編集なのでお得♪

    ○印象的だったもの
    「隣に座るという運命について」中島京子
    日本で感じる台湾。ちょうど電車の中で読んでいたので、隣に座っている人を意識してしまった。

    「チャーチャンテン」大島真寿美
    香港迷の奈美子と香港からやってきたケリーのやりとりに、あるあるとニヤニヤしてしまった。
    ケリーが香港で活動していたこと、そのことをきっかけに家族と距離ができてしまったこと、香港をでて日本で暮らしていること、こんなふうな気持ちで暮らしている若者が今どこかにいるかとおもうと悲しくなってしまう。彼

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    2024年08月02日
  • いつか、アジアの街角で

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    特に好きな作品の感想を。

    ・桜庭一樹「月下老人」
    大好きなバディもの。
    状況も空気も雑多でごっちゃ混ぜな感じが楽しい。

    ・島本理生「停止する春」
    ぐったり元気が出ないとき、自分で自分を励ます方法を知っているだろうかと考えた。
    それでも何ともならないときは思い切って人に寄っかかる思い切りの良さも必要なのだと知れた。

    ・大島真寿美「チャーチャンテン」
    年の離れた友達、文化の違う友達、距離が縮まるには時間がかかりそうだけれどだからこそ深く分かち合えるものがあるのかもしれない。
    ふたりの空気感がとても尊いもので壊れないよう遠くでそっと見ていたいと思った。

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    2024年07月30日
  • やさしい猫

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    スリランカの子どもの本が題名のヒント
    入管法、外国人という言い方、偏見を考えさせられた。子どもの立場からかいてある

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    2024年07月28日
  • 長いお別れ

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    同じような年代の両親を抱える身としてはホラー。この本のケースは暴力とかがないからまだマシで、それでも各家庭で納められる問題か、これからに向けていつまでも目を背けられる訳じゃないことを認識させられる。
    女性らしい文章でした。

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    2024年07月21日
  • 妻が椎茸だったころ

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    気になるタイトルに思わず手に取ってしまう。

    5つの短編集になっているが、どれもちょっと謎っぽくて、理解できないわけではないけどあえて理解したくない…不思議なままでそっとしておきたいと思うようなものばかり。
    どれもぎゅっと「偏愛」が色濃く詰まっていて楽しめた。

    「妻が椎茸だったころ」は、亡き妻のレシピ帖に書いてあった、どこかの時代にいけるなら、私は私が椎茸だったころに戻りたいと思う。という記載に想像力がついていかないという夫が、あたりまえに面白く思った。


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    2024年07月15日
  • 長いお別れ

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    音楽が鳴り、舞台が回り出し、木馬が上がったり下りたりしはじめた。昇平はおお、と息を漏らし、脚の間にいる小さな女の子を片手でしっかり押さえた。回転木馬が光を撒き散らしながら夜の後楽園を回る。隣の女の子はときどき馬から片手を離して昇平に手を振って笑う。なんだかとてもよく知っているように感じられる温もり、熱といっしょに伝わってくる重みが昇平の腿と腹のあたりにあった。昇平の腹に体をあずけた小さな娘がとてもかわいらしい高い声で笑い、首をねじって見上げてくる。
    ともかくこの娘をしっかりしっかりつかまえていよう。それはとてもだいじなことなんだー。
    題名は忘れてしまったが馴染みのあるメロディが流れ、木馬が回る

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    2024年07月21日
  • いつか、アジアの街角で

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    装丁に惹かれて気になって読んだ、
    アジアにまつわるアンソロジー作品。

    ─ 隣に座るって、運命よ。

    わたしも香港に行ったとき入ったお店で、たまたま隣に座っていたお姉さんに声をかけられたなぁ、なんて思い出してみたり。

    香港で食べたあのココナッツアイスの味が今でも忘れられなかったり。

    旅先でも、本でも、出会いは大事。

    各作家さんの個性もみられる、繊細でどこか懐かしく感じる素敵な作品だった。

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    2024年07月10日
  • いつか、アジアの街角で

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    いろいろなタイプのお話があって面白かった。島本理生さんのお話は、そうそう、これ、と味を知っている好物を食べるような気持ちで読んだ。大島さんのお話は登場人物の関係性が絶妙で、現代で、また違う方向性に良かった。

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    2024年06月30日
  • いつか、アジアの街角で

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    ネタバレ

    チャーチャーテンは星4

    猥雑で、活発で、独特のセンスが炸裂していて、西洋と東洋が混じり合った空気が満ち満ちていて、自己主張が強くて、でもフレンドリーで、そのくせ、つっけんどんで、わあわあわあわあうるさくて。至る所においしいものがあって、がつがつ食べて、映画を見て、コンサートに行って、買い物をして、観光地をめぐって、太極拳をして、私が心から楽しんだ街がこんなふうになっているなんて思いたくない。

    3/4くらい同意。

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    2024年06月30日