中島京子のレビュー一覧
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たとえば本を読むとき、
ストーリー至上主義の私は、はじめて読む設定や展開ならば、
気にならないことがたくさんある。
よくある設定の場合、その本を楽しむために
登場人物のキャラクターや、文章のよしあしにこだわっていくようになる。
些細なことに、文句をつけたくなっちゃったり、がっかりしたり、
なかなか先に読み進められなかったり。
そこでこの作品。
読後感がすごく良い。
あまり自分の喜怒哀楽の感情を呼び覚まさない、
リラックス効果があるように思う。
言葉の選び方のおかげなんじゃないかな、と思う。
ほかの作品とかでもそれを感じるけど、これはとくにそう思った。 -
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とても綺麗な小説でした。物語も、そして文章も。横浜付近にある男子校の中等部に郷土部というクラブがある。部員は4人(内3人は幽霊部員)、その顧問をしている久保耕平の実家の屋根裏から明治初期の通辞“伊藤亀吉”の手記が発見される。彼の曾祖父が明治時代にわりと有名な建築家であり、伊藤亀吉と何らかの繋がりがあったためらしい。その手記には亀吉がI.Bという英国人女性探険家の通辞として、共に東北から北海道に向けて旅をしたことが綴られていた。しかし一つ問題があった。それは、その手記が途中までであり、失われている最後の部分には亀吉とI.Bとの恋の結末が書かれているらしいことである。耕平は亀吉の曾孫を捜し出すが、
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3つの物語が平行して進みます。
一つは米国の田山花袋研究家のデイブの物語。離婚した中年講師のデイブは日系学生のエミと恋人関係になるが、エミに裏切られ。
もう一つはエミの曽祖父で東京に住む95歳のウメキチをめぐる物語。
そして最後はデイブが書いている田山花袋の「布団」を主人公の妻の視点から描く「布団の打ち直し」という物語。
三つの物語を見事に絡ませながら、話は進みます。
中島京子さんはこれがデビュー作との事。それにしては見事な構成です。おそらくかなりの実力を持った作家さんなのでしょう。「布団」を題材にして「布団の打ち直し」を書き、さらに米人を絡めることでタイトルが「FUTON」なんてのもシャレ -
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日本現代史でタイトルとか名前は誰でも聞いたことあり、と思われる田山花袋の『蒲団』を研究するアメリカ人文学者デイブ・マッコーリー(息子ありのバツいちのアメリカ人)、デイブの教え子で愛人の日系アメリカ人エミ・クラカワ、エミの母親の親族で東京鶉町で戦後から蕎麦屋をやっていた明治生まれの老人ウメキチ、ウメキチの息子で蕎麦屋を外資系サンドイッチチェーン店に商売換えした二代目タツゾウ、画家を目指しつつ絵では喰えないので介護ヘルパーとしてウメキチのところに通ってくるイズミ、イズミが一緒に暮らしているケンちゃんことハナエ、などなどの人物が、アメリカと日本、花袋やウメキチの時代と現代を行きつ戻りつしながら、とて
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キャリア20年の女性作家が、唐津の陶芸作家夫婦から聞いた「河童たちの間で言い伝えられてきた秀吉の朝鮮出兵の顛末」を記すという形式の作品です。さらに、正体不明の芹農家の老人が、時折ちらりと顔を見せたりします。
中島さんの作品でいえば、南部の女性大名・祢々の物語を一本角のカモシカの霊が語る『かたづの!』とほぼ同様の形式で、ファンタジーと歴史を融合させた作風です。
読後の感想も似たものでした。なぜ河童という伝奇的な要素を取り入れる必要があったのか。しかも、河童の中の伝承を陶芸作家が語り、それを聞いた女性作家が記すという「又聞きの又聞き」のような構造で、まどろっこしい。いっそ、登場人物の一人である日本 -
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「家」にまつわる短編集。
以前読んだ同じ著者の本がおもしろくて、その本の登場人物がこの本にも登場するということで、以前から読みたくてようやく読んだ。
私の良くないところなんだが、記憶力が弱体化しているので、この本のどの話のどの人物が前回読んだ本の人達なのかがわからず・・・。
表題作「さようなら、コタツ」に出てくる姉妹のような気もするし、
最後の話「私は彼らの優しい声を聞く」に出てくる姉妹のような気もする。
姉妹の話だったことは、覚えているのだけれど。
特に事件は起こらない、たんたんとした話が多い。
いや、事件を事件としない。何事も自然と受け入れているというのだろうか。
そんな、中島京子節を -
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豪華作家たちのアジアにまつわるアンソロジー
『アジア』とタイトルにある割には台湾と香港しか出てこないけど 笑
人は香りや味や音や言葉や、そして一瞬の風景でふっと過去の記憶の中に連れていかれることがある
どのストーリーもそんな郷愁に誘われる
若い頃、香港にハマっていた奈美子
当時のパーティで妊婦さんのお腹を生まれて初めて撫でた
その時のお腹の中の子、ケリーが日本で勤め始めたと聞く
『友達になってあげて』と古い友人に頼まれたけれど…
奈美子が知っている香港の熱い情熱と勢いと自由
それは25歳も年の離れたケリーが育ってきた香港の環境とはかけ離れていた
ぎこちない2人
でも2人の中にはそれぞれ、愛