中島京子のレビュー一覧
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タイトルからもおわかりのように、田山花袋の〝蒲団〟を本歌取りした長編小説です。
感想を簡潔に述べるとすれば〝おもしろかったぁぁぁ〟のひと言に尽きます。
主人公はアメリカの大学で教鞭をふるう日本文学研究者。女性を巡る彼の私生活と、彼が〝蒲団の打ち直し〟と題して、女性視点で焼き直して書き上げた小説。そして、東京の下町に暮す百歳になろうとする老人とその周辺の人々・・・これら3つの物語が交錯しながら、ストーリーは展開していきます。
ただ面白いというのではなく、人が生きていく上で背負わなければならない重荷、その過程で深く刻み込まれる心の傷痕などもしっかり描かれていて、断片的に語られる老人の過去などは、胸 -
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文章が嫌味がなくて読みやすくてユーモアもちょうどよくていい感じ。あっさり淡々としすぎているのかなあーと思うところもあったけれども。温水ゆかりさんの解説がよかった。解説読んで、ぼんやりと妹の家に居候してた姉の輪郭がくっきりしたというか。自分のなかの大事なものに気づいてなかったね、というところなど、けっこう感動したりして。この話の主役は妹じゃなくて姉なんだな、と。そう、ふたり姉妹の姉っていうのは、一見しっかりしているようで、実はけっこうぼんやりしていてはっきりしなくて決断できなくて気がつくととり残されてたり。比べて妹は、マイペースでわりにちゃっかり決断して着実になにかを手に入れていくような。かくい
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情熱は人を動かす。
そして歴史は、語られるべき「時」が訪れる日をじっと声を潜めて待っている。
作者の人物チョイスが絶妙で、うんうん唸ってしまった。
からりと乾いた爽快感。
そしてしっとりを潤された満足感。
どちらも味わえて良かったです。
数十年前の青年が胸に宿した思いが、現代の主人公たちにじわじわと変化を齎す。
それもまた、彼らのために用意された「時」。
「真実は時の娘」という言葉が思い浮かぶ作品でした。
歴史とは個人の私生活を覗き見することであり、
時間が経過したからといって軽はずみに公開していいものでもない。
だが場合によってはその決断によってこれまでの世界観が -
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たとえば本を読むとき、
ストーリー至上主義の私は、はじめて読む設定や展開ならば、
気にならないことがたくさんある。
よくある設定の場合、その本を楽しむために
登場人物のキャラクターや、文章のよしあしにこだわっていくようになる。
些細なことに、文句をつけたくなっちゃったり、がっかりしたり、
なかなか先に読み進められなかったり。
そこでこの作品。
読後感がすごく良い。
あまり自分の喜怒哀楽の感情を呼び覚まさない、
リラックス効果があるように思う。
言葉の選び方のおかげなんじゃないかな、と思う。
ほかの作品とかでもそれを感じるけど、これはとくにそう思った。 -
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とても綺麗な小説でした。物語も、そして文章も。横浜付近にある男子校の中等部に郷土部というクラブがある。部員は4人(内3人は幽霊部員)、その顧問をしている久保耕平の実家の屋根裏から明治初期の通辞“伊藤亀吉”の手記が発見される。彼の曾祖父が明治時代にわりと有名な建築家であり、伊藤亀吉と何らかの繋がりがあったためらしい。その手記には亀吉がI.Bという英国人女性探険家の通辞として、共に東北から北海道に向けて旅をしたことが綴られていた。しかし一つ問題があった。それは、その手記が途中までであり、失われている最後の部分には亀吉とI.Bとの恋の結末が書かれているらしいことである。耕平は亀吉の曾孫を捜し出すが、
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3つの物語が平行して進みます。
一つは米国の田山花袋研究家のデイブの物語。離婚した中年講師のデイブは日系学生のエミと恋人関係になるが、エミに裏切られ。
もう一つはエミの曽祖父で東京に住む95歳のウメキチをめぐる物語。
そして最後はデイブが書いている田山花袋の「布団」を主人公の妻の視点から描く「布団の打ち直し」という物語。
三つの物語を見事に絡ませながら、話は進みます。
中島京子さんはこれがデビュー作との事。それにしては見事な構成です。おそらくかなりの実力を持った作家さんなのでしょう。「布団」を題材にして「布団の打ち直し」を書き、さらに米人を絡めることでタイトルが「FUTON」なんてのもシャレ -
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日本現代史でタイトルとか名前は誰でも聞いたことあり、と思われる田山花袋の『蒲団』を研究するアメリカ人文学者デイブ・マッコーリー(息子ありのバツいちのアメリカ人)、デイブの教え子で愛人の日系アメリカ人エミ・クラカワ、エミの母親の親族で東京鶉町で戦後から蕎麦屋をやっていた明治生まれの老人ウメキチ、ウメキチの息子で蕎麦屋を外資系サンドイッチチェーン店に商売換えした二代目タツゾウ、画家を目指しつつ絵では喰えないので介護ヘルパーとしてウメキチのところに通ってくるイズミ、イズミが一緒に暮らしているケンちゃんことハナエ、などなどの人物が、アメリカと日本、花袋やウメキチの時代と現代を行きつ戻りつしながら、とて
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ちょっと不思議な歴史小説。
作家のわたしが焼き物体験をしようと訪れた唐津の窯で、陶芸家のサワタローさんとその妻のナミエさんから『水神夜話』という水神の伝承を聞くという話です。
『水神夜話』は、河童(物語の中では水神)の目線で、豊臣秀吉の朝鮮出兵である文禄・慶長の役が語られます。
装丁が美しくて手に取りましたが、この表紙で歴史物とはなかなか想像できないかと。
朝鮮出兵は本当に酷い戦争というかただの虐殺であり、教科書だと1行2行でまとめられていますが、豊臣軍のやったことを詳細に描写されると改めてあんまりの酷さに絶句します。河童たちは必死に戦争を止めようとするのですが、読者はこの戦争が止まらないこと -
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ネタバレ中島京子さんの作品なら、間違いはなさそうと思って手に取った本。開いてみてビックリ。この作品は婦人公論に連載された作品だった。しかも元ネタ(?)は、やはり婦人公論で昭和28年に連載された伊藤整「女性に関する十二章」。
私が婦人公論を定期的に購読し始めたのは2016年ごろなんで、この作品のことは知らなかった。伊藤整は名前は知ってても、読んだことあったっけ⁇ 国語便覧で見たかもしれない。
主人公聖子はほぼ著者を思わせる。ま、単純に同じ年ってだけなんだけど。私自身も同世代。ただ、今となっては、ずっと年下だ。
伊藤整の本に倣った章立て。困った連載を頼まれた夫、守。女っ気のない息子、勉。が、連れてきた愛想