中島京子のレビュー一覧

  • 均ちゃんの失踪

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    たとえば本を読むとき、
    ストーリー至上主義の私は、はじめて読む設定や展開ならば、
    気にならないことがたくさんある。

    よくある設定の場合、その本を楽しむために
    登場人物のキャラクターや、文章のよしあしにこだわっていくようになる。
    些細なことに、文句をつけたくなっちゃったり、がっかりしたり、
    なかなか先に読み進められなかったり。

    そこでこの作品。
    読後感がすごく良い。
    あまり自分の喜怒哀楽の感情を呼び覚まさない、
    リラックス効果があるように思う。

    言葉の選び方のおかげなんじゃないかな、と思う。
    ほかの作品とかでもそれを感じるけど、これはとくにそう思った。

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    2010年03月12日
  • 均ちゃんの失踪

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    とんでもない男だけど、なんとなく憎めない均ちゃんと、彼を取り巻く女性たちのお話。
    元妻である40代の美術教師、30代の重役秘書、20代の編集者を、同時にこよなく愛する均ちゃんですが、根が優柔不断でいくつになっても放浪癖が抜けきりません。
    それぞれに事情を抱える3人の女性たちが、均ちゃんのある日突然の失踪を機に、自らを見つめ直し、新たな一歩を踏み出します。
    男も女も誰だって、ほんとはみんな寂しいのです。愛とは、優しさとは、いったいなんなのでしょうネ。面白くて、ちょっぴり切ない恋愛ドラマです。

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    2010年02月26日
  • イトウの恋

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    とても綺麗な小説でした。物語も、そして文章も。横浜付近にある男子校の中等部に郷土部というクラブがある。部員は4人(内3人は幽霊部員)、その顧問をしている久保耕平の実家の屋根裏から明治初期の通辞“伊藤亀吉”の手記が発見される。彼の曾祖父が明治時代にわりと有名な建築家であり、伊藤亀吉と何らかの繋がりがあったためらしい。その手記には亀吉がI.Bという英国人女性探険家の通辞として、共に東北から北海道に向けて旅をしたことが綴られていた。しかし一つ問題があった。それは、その手記が途中までであり、失われている最後の部分には亀吉とI.Bとの恋の結末が書かれているらしいことである。耕平は亀吉の曾孫を捜し出すが、

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    2011年07月21日
  • FUTON

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    田山花袋の「蒲団」を、現代版にした話。

    デイブがキュートな女性たちに翻弄されますw

    女性に苛まれる男性って、可愛いですね♪

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    2009年11月22日
  • FUTON

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    3つの物語が平行して進みます。
    一つは米国の田山花袋研究家のデイブの物語。離婚した中年講師のデイブは日系学生のエミと恋人関係になるが、エミに裏切られ。
    もう一つはエミの曽祖父で東京に住む95歳のウメキチをめぐる物語。
    そして最後はデイブが書いている田山花袋の「布団」を主人公の妻の視点から描く「布団の打ち直し」という物語。
    三つの物語を見事に絡ませながら、話は進みます。

    中島京子さんはこれがデビュー作との事。それにしては見事な構成です。おそらくかなりの実力を持った作家さんなのでしょう。「布団」を題材にして「布団の打ち直し」を書き、さらに米人を絡めることでタイトルが「FUTON」なんてのもシャレ

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    2016年08月07日
  • FUTON

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    日本現代史でタイトルとか名前は誰でも聞いたことあり、と思われる田山花袋の『蒲団』を研究するアメリカ人文学者デイブ・マッコーリー(息子ありのバツいちのアメリカ人)、デイブの教え子で愛人の日系アメリカ人エミ・クラカワ、エミの母親の親族で東京鶉町で戦後から蕎麦屋をやっていた明治生まれの老人ウメキチ、ウメキチの息子で蕎麦屋を外資系サンドイッチチェーン店に商売換えした二代目タツゾウ、画家を目指しつつ絵では喰えないので介護ヘルパーとしてウメキチのところに通ってくるイズミ、イズミが一緒に暮らしているケンちゃんことハナエ、などなどの人物が、アメリカと日本、花袋やウメキチの時代と現代を行きつ戻りつしながら、とて

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    2009年10月07日
  • かたづの!

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    歴史というのは実に面白いというか、こんな風に突然に女城主の話が描かれて、しかも史実ではないか。今や話題の初の女性総理大臣も、なってしまえば既成事実というか、普通に受け入れられて、このあたりの日本人の感覚?は面白いのう。
    でもって主人公は女性らしさの細やかさとかではなく、女性であること以外は至って普通というか、なんだか現代のドラマを見てるような。いや、要はすぐに戦争やら切腹やら言い出す男どもを説得する主人公が、なんかオカンみたいな感じで不思議な雰囲気なんよなぁ。
    その分ドカンてな盛り上がりはないけども、淡々と進むのですよ。

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    2025年11月22日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    現在と過去、歴史にファンタジー
    水神&歴史パートは史実&カッパ要素で面白いが、現代パートは現実なのかファンタジーなのか、謎が謎のまま
    あっちいってこっちいって、ケムに巻かれてさようならはチトつらい

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    2025年11月19日
  • 水は動かず芹の中

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    キャリア20年の女性作家が、唐津の陶芸作家夫婦から聞いた「河童たちの間で言い伝えられてきた秀吉の朝鮮出兵の顛末」を記すという形式の作品です。さらに、正体不明の芹農家の老人が、時折ちらりと顔を見せたりします。
    中島さんの作品でいえば、南部の女性大名・祢々の物語を一本角のカモシカの霊が語る『かたづの!』とほぼ同様の形式で、ファンタジーと歴史を融合させた作風です。
    読後の感想も似たものでした。なぜ河童という伝奇的な要素を取り入れる必要があったのか。しかも、河童の中の伝承を陶芸作家が語り、それを聞いた女性作家が記すという「又聞きの又聞き」のような構造で、まどろっこしい。いっそ、登場人物の一人である日本

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    2025年11月02日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    『なんどでも生まれる』彩瀬まるさんの作品がきっかけで読み始めた。商店街の短編アンソロジー。色々な作家を読みたい時には良いとは思う。おはなしの傾向は商店街ならではの人情味だろう。さらっと読んでしまうのにはちょうどよかった。

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    2025年11月01日
  • 妻が椎茸だったころ

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    タイトルに惹かれて手に取ったんだけど、夢なのか現実なのかよくわからない不思議な少し不気味な短編集だった。個人的にはリズ・イェセンスカが好き。

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    2025年10月26日
  • 小さいおうち

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    映画化された方を先に見ましたが、個人的にはそちらの方が内容が入ってきやすいと感じました。原作で読むと回想の物語の終わりが尻切れトンボになってしまったように感じ、終わりの流れに浸れなかったような後味でした。

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    2025年10月21日
  • 彼女に関する十二章

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    普通の主婦の普通の日常なんだけど、ちょっとだけ変わった出来事があったり、個性的な人がいたり、ちょっと哲学的だったり、考えさせられたり共感したり… 聖子さんの心の声が面白い。

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    2025年10月16日
  • さようなら、コタツ

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    「家」にまつわる短編集。
    以前読んだ同じ著者の本がおもしろくて、その本の登場人物がこの本にも登場するということで、以前から読みたくてようやく読んだ。
    私の良くないところなんだが、記憶力が弱体化しているので、この本のどの話のどの人物が前回読んだ本の人達なのかがわからず・・・。

    表題作「さようなら、コタツ」に出てくる姉妹のような気もするし、
    最後の話「私は彼らの優しい声を聞く」に出てくる姉妹のような気もする。
    姉妹の話だったことは、覚えているのだけれど。

    特に事件は起こらない、たんたんとした話が多い。
    いや、事件を事件としない。何事も自然と受け入れているというのだろうか。
    そんな、中島京子節を

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    2025年09月29日
  • 樽とタタン(新潮文庫)

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    幼い頃に預けられていた喫茶店での出来事を回想するような連作短編集
    小学生で世界の中、嘘や冗談、本音もごちゃ混ぜになった大人の会話を聞いて、不思議に思う子どもの視点と大人になって振り返る視点
    現実かどうかもわからないような浮遊感の漂う感じが良かった。

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    2025年08月16日
  • いつか、アジアの街角で

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    豪華作家たちのアジアにまつわるアンソロジー
    『アジア』とタイトルにある割には台湾と香港しか出てこないけど 笑

    人は香りや味や音や言葉や、そして一瞬の風景でふっと過去の記憶の中に連れていかれることがある
    どのストーリーもそんな郷愁に誘われる

    若い頃、香港にハマっていた奈美子
    当時のパーティで妊婦さんのお腹を生まれて初めて撫でた
    その時のお腹の中の子、ケリーが日本で勤め始めたと聞く
    『友達になってあげて』と古い友人に頼まれたけれど…
    奈美子が知っている香港の熱い情熱と勢いと自由
    それは25歳も年の離れたケリーが育ってきた香港の環境とはかけ離れていた
    ぎこちない2人
    でも2人の中にはそれぞれ、愛

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    2025年08月11日
  • 長いお別れ

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    認知症の話だったが、なんとなく温かい気持ちになった。
    特に人生がうまくいかないときに認知症患者の父親と関わる娘の関係が印象的であった。意味の無さない言葉を発する父親に対して受け止める、言葉をそのまま受け止めるだけで、動揺している父親が落ち着く。
    関わり方が大事だとわかった。

    また、認知症は長いお別れとアメリカでは言われている。ずっとずっと時間をかけて忘れていくから。

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    2025年08月10日
  • 花桃実桃

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    ファンタジー要素もあるけど、40代独身女のリアルな姿が描かれているのではないかと思う。
    まぁ父の遺産があるだけ幸せだな。

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    2025年08月05日
  • 小さいおうち

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    これまで読んだ小説とは少しちがう感じ。

    戦時中の東京でのとある家族についての物語が、女中(お手伝いさん)の目線で語られていく。

    自分のイメージの戦時中とは異なる風景が思い描かれていて新鮮に感じたのと、女中がとても賢くそこもまた面白かったなと。

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    2025年08月05日
  • 樽とタタン(新潮文庫)

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    町の小さな喫茶店を居場所にしていた女の子(タタン)が、個性的なお客さんたちとたくさん出会っていくお話。
    特にミステリーのような伏線回収があるわけではなく、不思議なことが起きてもそのまま不思議なままで終わる。でもそれが、幼い頃の記憶のあいまいさみたいで好きでした。
    わたしも行きつけの喫茶店が欲しいなー

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    2025年07月26日