【感想・ネタバレ】FUTONのレビュー

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Posted by ブクログ

中島京子さんの書く人や東京が魅力的なのは、デビュー作からなんだなあ。
田山花袋の蒲団からの発想で、ここまで想像するとは凄すぎる。

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2021年05月08日

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電子書籍、巻末特典本家花袋の『蒲団』付。なんとお得な。とりあえず中島さんの方から読む。ウメキチはじめ個性的な男性盛りだくさん。どれも妻の他に恋心を抱く女性を持つ。ウメキチの場合は遥か昔の記憶のため、それが現なのか夢なのか誰も判断ができないのが一興。デイヴ教授の蒲団アレンジ、妻視点からの夫の酔狂。子を三人もなしている故、どっしりしていて極めて正論で清々しい。中年夫がプラトニックラブで終った女弟子の蒲団で見悶えた後に妻がとった行動。これぞ本妻というものか。天晴。男は新しい玩具を求めるばかりで。しょーもな。笑

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2017年05月24日

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p116
いろんな人に声をかけてる。その声を聞きとるかどうかが、まず最初の関門になる。同じ声を聞いても、それを形にする人間によって、どんな形になるのかはまったく違う。

別のテクストを暗示しながら進む文章に私はひかれてしまうらしい。タイトルでもしかしてとは思ったけど、田山花袋『布団』のスピンオフみたいな作中作。あと布団のストーリーをなぞるような恋愛をしているアメリカ人教授と、花袋の時代を生きていた老人。この微妙な接点を作り込まれた設定が良い。
小説として面白いかはオススメできる自信がないけど、技巧的だと思う。

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2017年02月14日

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ネタバレ

これがデビュー作だとは!中島京子恐るべし。
花袋の「蒲団」と対をなす「蒲団の打ち直し」(デイブ・マッコーリー)が実に秀逸である。作中作と主人公をめぐるよしなしごとをラップさせての進行が良い。何より,複層構造とした本作の中で核となる東京大空襲や第二次世界大戦にまつわるウメキチの話が何ともせつなくって,良いね。文句なし!

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2011年12月07日

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花袋の『蒲団』では脇役として影を潜めていた主人公の妻視点で『蒲団』の打ち直しを行うアメリカ人日本文学研究者とその周辺の人々の物語。
誰が語るかによって世界がこんなにも変わってしまうというのがすごくおもしろい。

主人公のひとり語りで進む『蒲団』で存在していたたくさんの壁、例えば年齢、性別、価値観など、そういう隔たりに橋がかけられたような印象を受けた。

『蒲団』で主人公が抱いていた人生に対する圧倒的なさみしさを思い出す。

そのさみしさは『蒲団』を打ち直す研究者にもおじいさんにも絵描きにも共通していて、誰か何かがその空白を埋めてくれるんじゃないか、自分が誰かのさみしさに寄り添えるんじゃないか、どこかにきっとそれはあるはずなのにいるはずなのにと探し回るけれどそれはなかなか見つからず、見つかったと喜んだ途端それは幻に変わり、皆、途方にくれているようだった。

物語のそのあとに『蒲団』の夫婦が思いっきりぶつかりあえてたらいいなー。

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2011年04月24日

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日系の女学生エミに翻弄される中年のアメリカ人教授デイブの葛藤を軸に、挿入される作中作『蒲団の打ち直し』、そこにエミの曾祖父ウメキチの回想も入り、どのひとつをとってもひとつの小説でいけそうな物語。
『蒲団の打ち直し』は田山花袋の『蒲団』のremixで、細君の視点から描かれている。デイブとエミの話はデイブ側からの視点なので、この異なった視点の当て方が物語に深みを与えている。
すごい面白い。

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2010年12月20日

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田山花袋の「蒲団」を読んで準備万端です。

アメリカ人の日本文学者デイブを主人公に
「蒲団」の物語を妻の立場からリライト。「蒲団の打ち直し」
さらにデイブとその教え子の日系人エミを主人公に現代版「蒲団」、
エミのおじいちゃんの記憶(ボケ?)の話の3本柱に描かれてます。
3つも絡まってるのに、ごちゃごちゃになることもなかった。
おもしろかったです。
それにしても「蒲団」の主人公は好かん。

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2010年11月14日

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おもしろかった!田山花袋の『蒲団』の打ち直し、ってだけで、もうおもしろい。花袋の時代と今の時代では恋愛における価値観はずいぶん違うけれど、恋に振り回される男の狼狽ぶりは同じ。そして、女はさっさと違うステージへ行ってしまう。中島京子の文章は軽妙で、ぐいぐい読ませる。

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2010年10月26日

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何気なくタイトルに惹かれて手にした本だったのだけれど、予想以上に深く面白い小説だった。
中島京子という人も初めて知ったのだけれど他にも幾つか書いているようなので是非読んでみたい。

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2009年10月04日

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ネタバレ

自然主義文学の「布団」を本歌として、その妻の心情を描いている。それを布団の打ち直しと言っている。洒落ている。

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2015年12月15日

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ネタバレ

友人に勧められて。ゼミで『蒲団』を扱ったのでパロディを十分味わえた。

「蒲団の打ち直し」というタイトル付けが見事。ストーリーの改変、時雄が焦がれた蒲団の再利用、二つを掛け合わせるプロット構成に思わずニヤリ。ウメキチの若い頃のエピソードでは『白痴』も意識してると思えてさらにニヤリ。主人公の戸惑いぶりも読んでいて微笑ましい。

原作の『蒲団』では妻目線での語りがない。だから、妻からの視点で『蒲団』というテクストを読めるのは新鮮。さらに『蒲団』のあらすじも分かってしまう。なので、一粒で二度美味しい作品になってる。

『蒲団』と現代とのリンクが感じられて、「文学史が今に続いてる!」と謎の感動。作品はそれ一つで閉じたものなのではなく、他の作品にも関わると歴史の中で活き活きしたものになるんだなー、と同時代間を感じられる。
最後の911テロの報道場面はやや唐突で、何だか浮いてる印象。けれど、全体的に『蒲団』への愛情がにじみ出ている傑作。自然主義文学を読んだら是非これも。

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2013年03月20日

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時代、性別、師弟関係が、3セット。少しずつ3セットが重なりあって、なんとも不思議な情報量に膨れていく。それをみる、妻たちのシビアさ!小説「蒲団」の打ち直し(パロディ?リメイク?)と、小説内の布団の打ち直し(リユース)の言葉遊びにシビレる。

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2012年08月19日

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何とはなくの、不思議な世界を感じながら、面白く読みました。
イズミさん と ウメキチさん がいい。

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2011年08月05日

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これがデビュー作ってすご過ぎます。パラレルで進行する二つの話も面白いし、絶妙に対比しているし、素晴らしい出来栄えだと思います。

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2010年10月27日

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田山花袋って名前は知っていたけど、「何者?」と思っていました。
この本には田山花袋の「蒲団」を研究しているデーブのレジュメが各所に登場し、それが物語りの下地でもあります。
田山花袋の「蒲団」はこの本に出会わなくては一生読まなかったと思うし、いいきっかけになったと思う。

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2010年09月20日

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”中年の小説家が女弟子の蒲団に顔をうずめて泣く”田山花袋の
「蒲団」を奥さん目線で打ち直しつつ、現代版の「FUTON」を描いたところが、ナイスアイディア。

全く、男ってのは若い女のカラダに弱い。
特に中年男が若い女に翻弄されてオロオロするのは、
全時代、全世界共通らしい。
若い女はソコに付けこみ、世渡りしていく。
結局、人生は”若気の至り”の延長線にあり、
大人や他人がどうこう言うだけ、ヤボなんだな。

登場人物の中では画家志望のイズミが好き。

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2010年08月13日

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タイトルからもおわかりのように、田山花袋の〝蒲団〟を本歌取りした長編小説です。
感想を簡潔に述べるとすれば〝おもしろかったぁぁぁ〟のひと言に尽きます。
主人公はアメリカの大学で教鞭をふるう日本文学研究者。女性を巡る彼の私生活と、彼が〝蒲団の打ち直し〟と題して、女性視点で焼き直して書き上げた小説。そして、東京の下町に暮す百歳になろうとする老人とその周辺の人々・・・これら3つの物語が交錯しながら、ストーリーは展開していきます。
ただ面白いというのではなく、人が生きていく上で背負わなければならない重荷、その過程で深く刻み込まれる心の傷痕などもしっかり描かれていて、断片的に語られる老人の過去などは、胸に突き刺さるものがありますよ。
日本文学史に残る花袋の〝蒲団〟ですが、そのタイトルだけ知っていて読んだことないという人でも、中島京子さんの〝FUTON〟には、すんなり入り込めると思います。また、花袋の〝蒲団〟を理解する上でも、〝蒲団の打ち直し〟は、良いサブテキストになるのではないでしょうか?
デビュー作とは思えぬほどの面白さでしたぁ。

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2010年06月14日

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田山花袋の「蒲団」を、現代版にした話。

デイブがキュートな女性たちに翻弄されますw

女性に苛まれる男性って、可愛いですね♪

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2009年11月22日

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3つの物語が平行して進みます。
一つは米国の田山花袋研究家のデイブの物語。離婚した中年講師のデイブは日系学生のエミと恋人関係になるが、エミに裏切られ。
もう一つはエミの曽祖父で東京に住む95歳のウメキチをめぐる物語。
そして最後はデイブが書いている田山花袋の「布団」を主人公の妻の視点から描く「布団の打ち直し」という物語。
三つの物語を見事に絡ませながら、話は進みます。

中島京子さんはこれがデビュー作との事。それにしては見事な構成です。おそらくかなりの実力を持った作家さんなのでしょう。「布団」を題材にして「布団の打ち直し」を書き、さらに米人を絡めることでタイトルが「FUTON」なんてのもシャレてます。
しかし、どうも私には十分に楽しむことが出来ませんでした。それはひょっとしたら女性作家という事に起因するのかもしれません。もしこれが男性作家なら、デイブにしろ「布団」の主人公の時雄にしろ、もう少し可愛げがあるようにに描かれたように思います。どうも女性の目から見ると評価がきつ過ぎるように思えて。。。

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2016年08月07日

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日本現代史でタイトルとか名前は誰でも聞いたことあり、と思われる田山花袋の『蒲団』を研究するアメリカ人文学者デイブ・マッコーリー(息子ありのバツいちのアメリカ人)、デイブの教え子で愛人の日系アメリカ人エミ・クラカワ、エミの母親の親族で東京鶉町で戦後から蕎麦屋をやっていた明治生まれの老人ウメキチ、ウメキチの息子で蕎麦屋を外資系サンドイッチチェーン店に商売換えした二代目タツゾウ、画家を目指しつつ絵では喰えないので介護ヘルパーとしてウメキチのところに通ってくるイズミ、イズミが一緒に暮らしているケンちゃんことハナエ、などなどの人物が、アメリカと日本、花袋やウメキチの時代と現代を行きつ戻りつしながら、とても簡単には説明できないのですが、なんとなく遠巻きに絡まりあってつながって円を描いているような、そんな独特なお話でした。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

直木賞作家のデビュー作って事で、前知識まったくナシで読んでみた。

FUTONってのは、田山花袋の「蒲団」に由来する。
内容も、田山花袋の「蒲団」とかなり関連するので、そちらを知らないと根回しが効かない。
私は田山花袋を読んだという記憶がない。
だからかどうか解らないが、ちっとも面白くなかった。

まあ、私は女流作家の書く女性ってのは、あまり好きじゃないからなぁ。

私のレビューなんて、なんの役にも立たないので、ネットで書き込まれたレビューの方が良いでしょ。

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2023年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

田山花袋の「布団」いつだったか、もう40年くらい前に読んでると思うのだが、ほとんど記憶なし。本作はその「布団」をリスペクトして書かれた長編小説。

現代を生きるアメリカ人日本文学研究者、寿命尽きんとしている90代老人の戦中時代、新解釈「布団のうちなおし」に出てくる本家「布団」の主人公でもある幸雄。この3人の中年男が実に情けない。その情けなさが腹立たしい。

腹立たしい思いは、おそらく今その歳になっている俺だからこそ。自分の中に彼ら的な情けなさを飼っているのが分かるからなんやけど…。

なんぼ自分が若いつもりでも、最近の若モンより立派な男やと勘違いしてても、実は全然大したことないって客観的に認めないと…。

若い女性、いやどの世代の異性でも、いやいやどこのだれであっても、勘違い甚だしいおっさんの姿は、見苦しくて滑稽で哀れみを感じるもんなんだということ。

俺も哀れな中年じじい。せめて勘違いだけは少なめにしときたいもんである。

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2021年05月04日

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直木賞受賞の文字につられて買ってみた。着眼点がオモシロイ。
田山花袋の『蒲団』とあわせて読むとちょっとにやりとする。
でも、読まなくても、そして知らなくても意外とイケそう。
たとえば、田山花袋の『蒲団』は日本文学史の上では、いわゆる私小説の走りとされていて、あまり評価は高くないようなのです(よく知らないケド)。それがあまりに作家本人の境遇に似たことが書かれているので、本当に私小説なのか、それともあくまでフィクションとして書いたのか、前者だとしたらちょっとはしたないし、後者だとしたらちょっと盛り上がりに欠ける、みたいな。
で、家庭を持つ男の視線で書かれた『蒲団』という作品に対し、『FUTON』は、アメリカ人の日本文学(田山花袋専門)研究者による『蒲団の打ち直し』という作中小説を合間にはさみながら、その研究者、教え子の日系女子学生、その女子学生の曾祖父、曾祖父のもとにくるヘルパー等々の、過去と現在の恋愛模様が描かれてます。
『FUTON』は『蒲団』のパロディではないけれど、『蒲団』がなければ『FUTON』はなかった。そう考えると形としては新しいのではないかと。

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2012年02月19日

Posted by ブクログ

田山花袋を研究しているデイブは
学会を理由に年下の恋人エミを追って日本まで来てしまった。
しかしエミにはユウキという同年代の恋人もいた。
一方エミの曽祖父であるウメキチはヘルパーのイズミに助けてもらいつつ
戦時中一緒に逃げたツタ子を思い出してやまない。
「布団の打ち直し」に沿って描かれた三角関係たち
カバー装画:武藤良子 カバーデザイン:藤田知子

恋愛矢印がいろいろな方向を向いていて結構複雑な関係なのに
すんなりと人物図が掴めます。
キャラとしてはイズミが一番好きかなぁ。
ざっくりしているようでちゃんと考えているところとか。
解説にもあったけれど本当に女が強い物語です。

『布団』を読んだらもっと楽しめるのかも。

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2010年10月24日

Posted by ブクログ

田山花袋の『蒲団』を下敷きにした小説。元の話が情けない男の話だっただけに、女性が咀嚼してくれると面白いだろうなと思って読んで、やっぱり面白かった。
ただ、デイブはあんまり情けなくないし、女性の成長とかにもスポットが当たってるから味付けはかなり違う。露悪的な要素はあまりないし。

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2010年07月07日

Posted by ブクログ

なんとも近代的な名前をつけてもらったものだ。
美穂。
美しい、実り。

原作では名前さえ与えられなかった女性が本作では主人公の座を射止め、物語を語りはじめた。
田山花袋の『蒲団』を題材にとって瑞々しい女たちの姿が動き始める。

自分の夫が奔放な女弟子に翻弄される姿を悔しい思いで見つめつつ
生活が荒れないようにあたりに目を配る主婦の目。
華やかな女弟子の姿に母としての日常に追われ「女」を捨てている、と目が覚める瞬間。
その気づきが豊かな実りをもたらすのだろう。
「女」なだけでは身につけられない母の豊かさ。
永遠の男の子である夫の目には気づかれないかもしれないが、女は何食わぬ顔でと変化を遂げるのだ。
女弟子には到達できない豊かさであるかもしれない。
ふてぶてしさと豊穣。
明治の女の強さと平成の女の肝の太さ。
男は幻惑させられる。
なぜなら彼は女の一面しか見ないから。
一面にしか執着できないから。

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2010年05月02日

Posted by ブクログ

面白かったです。
自分の中で、こういう小説をどう分類すればいいのかはわかりませんが。分類する必要もないけどね。

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2009年10月04日

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