中島京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ中島さんの今まで読んだ小説はどれも面白かったので期待値が高すぎた感はあります。
主人公は東京の大学に通うため、祖母の親友の家に下宿することになります。物語は主人公とその親友のおばあさん、付き合うことになる台湾人の青年、大学の友人の関係で進んでいきます。肝となるのは、下宿先である茗荷谷の近くの小日向台というところ。多くの小説の舞台になった場所が近在にたくさんある。登場人物も昔の小説との関係が深いし、祖母の親友が近在の坂マニア。
主人公と彼氏の恋の成り行きもありますが、祖母の親友と主人公との関係が一番のポイントとなっています。
ちょっと残念だったのが、最初の方の幻想小説的な部分が後半薄れてしまった -
Posted by ブクログ
大学進学と共に上京してきた坂中真智は、祖母の友人の家に下宿することになる。小日向台にあるその家に住む志桜里さんは東京の坂について詳しい人だった。
坂の中の家に住み大学生活を送る真智と友人や志桜里さんとのやや風変わりな日々を描いた作品。
最初の友人が古風な話し方をする、あだ名が「よしんば」だったり、祖母の友人と聞かされていた志桜里さんが実は本当の(生物学的)祖母だったり、知り合った男子学生が昭和の文豪が好きで、作品に出てくる場所を歩いて散策するのが好きな「オタク」だったりと登場人物が面白い。
東京の坂道や文豪達の作品について詳しく描かれていてその紹介としても読める。 -
Posted by ブクログ
読み終わったあと、深夜にも関わらず
文京区の地図を開き見入ってしまいました。
本郷〜茗荷谷辺りをお散歩していると
ひょっこりと文学碑に出くわし、
名作縁の地を歩いていることに喜びを感じたりすることが良くある。
そして、この辺りは本当に坂が多い。
うっかり転げ落ちてしまうのではないかと
躊躇してしまうような急な坂があちこちに出没するのです。
「日本文学」と「坂」この何故か切っても切れないような二つの言葉が
物語の中へ誘います。
古さと新しさが同居する文京区の街で、
過去と現在を行ったり来たりするような物語。
不思議なことが起きても、さもありなん
・・・だと思うのです。 -
Posted by ブクログ
気になっていた本、茗荷谷って丸ノ内線乗ってる時に後楽園と池袋の間にある駅でしょってぼんやりとしたイメージしかなかったけど、小日向という土地とさまざまな坂に愛があって、ついには茗荷谷駅で降りてしまいました。聖地巡礼です。といっても、茗荷谷駅から坂を歩いていたら江戸川橋駅に辿り着いてしまったんですが……(小日向台を突っ切りました)。実際に歩いてみると、いかに坂が急で台地であるかを身をもって知るだけでなく「ああそういうことか」とさらにイメージがわいて良かったです(ただ、だいぶ疲れました)。
D坂は再読して「いやそんな」思ったし、最後の方の夏目漱石の「こころ」とリンクには、個人的には感じ入るものが