中島京子のレビュー一覧
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文章が嫌味がなくて読みやすくてユーモアもちょうどよくていい感じ。あっさり淡々としすぎているのかなあーと思うところもあったけれども。温水ゆかりさんの解説がよかった。解説読んで、ぼんやりと妹の家に居候してた姉の輪郭がくっきりしたというか。自分のなかの大事なものに気づいてなかったね、というところなど、けっこう感動したりして。この話の主役は妹じゃなくて姉なんだな、と。そう、ふたり姉妹の姉っていうのは、一見しっかりしているようで、実はけっこうぼんやりしていてはっきりしなくて決断できなくて気がつくととり残されてたり。比べて妹は、マイペースでわりにちゃっかり決断して着実になにかを手に入れていくような。かくいうわたしは姉……。
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情熱は人を動かす。
そして歴史は、語られるべき「時」が訪れる日をじっと声を潜めて待っている。
作者の人物チョイスが絶妙で、うんうん唸ってしまった。
からりと乾いた爽快感。
そしてしっとりを潤された満足感。
どちらも味わえて良かったです。
数十年前の青年が胸に宿した思いが、現代の主人公たちにじわじわと変化を齎す。
それもまた、彼らのために用意された「時」。
「真実は時の娘」という言葉が思い浮かぶ作品でした。
歴史とは個人の私生活を覗き見することであり、
時間が経過したからといって軽はずみに公開していいものでもない。
だが場合によってはその決断によってこれまでの世界観が一変することだってある。
だから目が離せない。 -
Posted by ブクログ
たとえば本を読むとき、
ストーリー至上主義の私は、はじめて読む設定や展開ならば、
気にならないことがたくさんある。
よくある設定の場合、その本を楽しむために
登場人物のキャラクターや、文章のよしあしにこだわっていくようになる。
些細なことに、文句をつけたくなっちゃったり、がっかりしたり、
なかなか先に読み進められなかったり。
そこでこの作品。
読後感がすごく良い。
あまり自分の喜怒哀楽の感情を呼び覚まさない、
リラックス効果があるように思う。
言葉の選び方のおかげなんじゃないかな、と思う。
ほかの作品とかでもそれを感じるけど、これはとくにそう思った。 -
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とても綺麗な小説でした。物語も、そして文章も。横浜付近にある男子校の中等部に郷土部というクラブがある。部員は4人(内3人は幽霊部員)、その顧問をしている久保耕平の実家の屋根裏から明治初期の通辞“伊藤亀吉”の手記が発見される。彼の曾祖父が明治時代にわりと有名な建築家であり、伊藤亀吉と何らかの繋がりがあったためらしい。その手記には亀吉がI.Bという英国人女性探険家の通辞として、共に東北から北海道に向けて旅をしたことが綴られていた。しかし一つ問題があった。それは、その手記が途中までであり、失われている最後の部分には亀吉とI.Bとの恋の結末が書かれているらしいことである。耕平は亀吉の曾孫を捜し出すが、その人物は田中シゲルという劇画原作者の女性であった。耕平とシゲルが手記の後半を探す話と、亀吉が綴るI.Bとの日々が交錯して描かれるが、その中で、シゲルが母の母の父である亀吉の、若く純粋で一途な恋心を知ることにより自分の中の女や母親に折り合いをつけてゆく。シゲルの「イトウの娘。イトウの娘の娘の娘。」という呟きがとても印象的だこの小説に出てくるイトウ(亀吉)の手記の文章がとても綺麗だ。文語体で書かれた会話がとても上品だ。なんだか漱石の小説を読んでいるような感じだった。「おまえは誰のようにもなる必要はない。おまえ自身の不可思議な人生を生きるのだ」こんなことを娘に言えるオヤジって素晴らしいな。そしてそれを覚えていて自分の娘にそれを話せる娘って幸せだな。イトウの娘。イトウの娘の娘。そして何時かそれを知ることになるイトウの娘の娘の娘。登場するI.Bは、英国の女流探険家イザベラ・バード。(日本や朝鮮への旅行を探検とは…極東の未開の地という認識はやむを得ないでしょうけど)伊藤亀吉は、伊藤鶴吉。(実在の人物でバードの巡行に通訳として同行したようです。ただし手記が残されていたという話は聞きません)
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3つの物語が平行して進みます。
一つは米国の田山花袋研究家のデイブの物語。離婚した中年講師のデイブは日系学生のエミと恋人関係になるが、エミに裏切られ。
もう一つはエミの曽祖父で東京に住む95歳のウメキチをめぐる物語。
そして最後はデイブが書いている田山花袋の「布団」を主人公の妻の視点から描く「布団の打ち直し」という物語。
三つの物語を見事に絡ませながら、話は進みます。
中島京子さんはこれがデビュー作との事。それにしては見事な構成です。おそらくかなりの実力を持った作家さんなのでしょう。「布団」を題材にして「布団の打ち直し」を書き、さらに米人を絡めることでタイトルが「FUTON」なんてのもシャレてます。
しかし、どうも私には十分に楽しむことが出来ませんでした。それはひょっとしたら女性作家という事に起因するのかもしれません。もしこれが男性作家なら、デイブにしろ「布団」の主人公の時雄にしろ、もう少し可愛げがあるようにに描かれたように思います。どうも女性の目から見ると評価がきつ過ぎるように思えて。。。 -
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日本現代史でタイトルとか名前は誰でも聞いたことあり、と思われる田山花袋の『蒲団』を研究するアメリカ人文学者デイブ・マッコーリー(息子ありのバツいちのアメリカ人)、デイブの教え子で愛人の日系アメリカ人エミ・クラカワ、エミの母親の親族で東京鶉町で戦後から蕎麦屋をやっていた明治生まれの老人ウメキチ、ウメキチの息子で蕎麦屋を外資系サンドイッチチェーン店に商売換えした二代目タツゾウ、画家を目指しつつ絵では喰えないので介護ヘルパーとしてウメキチのところに通ってくるイズミ、イズミが一緒に暮らしているケンちゃんことハナエ、などなどの人物が、アメリカと日本、花袋やウメキチの時代と現代を行きつ戻りつしながら、とても簡単には説明できないのですが、なんとなく遠巻きに絡まりあってつながって円を描いているような、そんな独特なお話でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ診断から10年の長い間認知症の父と、老老介護をする母と離れて住む3人の娘。これだけ家族がいても介護は本当に大変そうだった。自分で看取ると決めた母の強い愛。元校長の父は病前家族に尊敬され慕われていたのだろう(その時の描写があってもいいと読んでから思った)と思われせる姉妹の思い。最初の章や入れ歯など構成が上手い!
最初に帰り方がわからなくなるのは合ってる。排泄できなくなるのは「うつぶせ」の時で、やはり時間がかかるらしい。変な単語を喋り出すのはショッキング。
全地球測位システム
メリーゴーランドに乗れない姉妹。
認知症の父の元に集められた三姉妹。GPS携帯をプレゼント
父が迷子。三姉妹とメリーゴーランドに乗っていた
私の心はサンフランシスコに
家族でサンフランシスコにいる長女夫婦の家へ。
長女の夫の元カノがパーティーに来たのに母が気づく。父は元生徒と思って会話。
おうちへ帰ろう
長女の息子潤の童貞喪失
夏休みに日本へ。父はデイサービスから帰り、潤が彼女に電話する間に父がいなくなる
父の地元静岡へ。そこでも帰りたいという父と、恋人に男が寄ってきてロスに帰りたい潤
フレンズ
友人の葬式。弔辞を頼まれるが死んだことすら理解できない
彼氏と別れ見合いを紹介されそうになる三女が仲人に徳利投げる
父のデイサービス
迷ってる父を同級生男が案内、三女と久しぶりの再会
つながらないものたち
東日本大震災。国際電話だけ繋がりやすく長女が電話
反対されても病院に行ったのに製薬会社が被災し新たな認知症の薬受け取れず
三女と付き合いだした磐田が娘と再会しなびく。
三女が帰ると父は意味不明な単語を羅列。振られそうで電話。
アメリカで入手した薬が効かない。もう呼ぼうか?
入れ歯をめぐる冒険
晴夫が認知症の母と再会。何か渡される。
父の入れ歯がかけ、隠す。孫将太が来て発見
訪問ヘルパー笑子が来る。入れ歯また壊れる
父の入浴介助、歯医者と訪問診療で抵抗
また新しい入れ歯なくす、晴夫は母から受け取ったものを開く。
うつぶせ
父が救急車で運ばれる。
母が網膜剥離で入院。頼られた次女は妊娠中。
ケアマネに頼んでショートステイ。
母の退院後は施設も視野に。うつぶせで治療中の母は嫉妬。
次女の破血で帰る、ショートステイ先で発熱、搬送
母の入院する病院に父が入院。
QOL
長女の次男崇が不登校で帰国延期。
父は骨折のまま退院。母が次女の妊娠知る
三件施設見学。入居金。父が求めるQOLとは?
母と父同時退院。父は忘れても父だ!
父の病状悪化。山場で母と姉妹揃う
崇と校長の面談「長いお別れだったね」