中島京子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ以前夏の文庫フェアに入っていて、表紙がかわいくて気になっていたが、レビューを読むとちょっと私の想像(ほっこり喫茶店もの)とは違う感じなので、読まずに数年経ってしまった。読んでみたら、実際、想像とは違う感じで、現実に不可解なファンタジーが入り交じる感じだったのだが、意外に好きな不可思議さだった。
大人になった主人公の目線から語られる子供時代の、記憶が曖昧な感じや、今思うと…という視点の語りは、このちょっと不思議な世界に妙なリアリティと疑惑を感じさせる。
著者の中島京子に「これは本当にあったことですか?」と聞いてみたくなる。
自意識過剰な「学生」の描写が面白くて、そのこじらせた自意識と、草野球チ -
Posted by ブクログ
とある気難しいマスターがやっている喫茶店に置かれた、側面に穴を開けられた赤い樽。そこに入り浸るようになった少女の視点で、常連や現れた客との交流から世界を見ていく物語。
ジャケ買い。中島京子や川上弘美は好きなんだけど、だめな人はダメだし、自分でもはまらないときはいつまでも入り込めなくて困るのだが、本作は1本目でつまずいた以外は問題なく楽しめた。
常連の老作家に、樽に入った少女という意味で「タタン」と命名され、人と交流は避けているが、他人の言い間違いなどは直さなければ気がすまない少女。非常にアクの強い常連客に、さらに輪をかけてアクの強い客という、短編もで十分楽しめる内容だろう。
基本的には「 -
Posted by ブクログ
大人の夢物語のような日々と徐々にあらわになってゆくそれぞれの現実。
都心から少し離れたある所に暖炉のある元ペンション〝ムーンライト・イン〟がありました。
そこで暮らすのは車椅子のかおるさん、介護士の塔子さん、看護士のマリー・ジョイとペンションオーナーの虹さん。
彼らは自分の役割をこなしながら、互いを気遣いながらも必要以上に干渉することなく、細々と日々を過ごしている。
「ああ、なんかいいなぁ…。」
と人生も半世紀過ぎて終末へと近づいている私としては素直にそう思う笑
そんな平和な日々を脅かすかもしれない青年(拓海としてはとばっちり)が加わった頃にムーンライト・インに転機が訪れる。
お気楽そうに見 -
Posted by ブクログ
2024年の最初に手にした一冊は、中島京子さんの「樽とタタン」でした。中島さんの作品は初めて読みました。偶然にも私と同い歳で、2010年には「小さいおうち」で第143回の直木賞を受賞しています。
「樽とタタン」は本屋さんに置いてある小冊子「新潮文庫の100冊」で紹介されていたのがきっかけで読んでみようと思いました。
小さい頃の想い出はなぜかたくさんありますよね?初めて見たり聞いたり、体験したりで、出来事のインパクトが大きいから記憶に残っているのかな?
私には3歳上の姉と、6歳下の弟がいて、今でもたまにグループLINEで小さかった頃の思い出に花が咲くことがありますが、考えてみたら弟が物心 -
Posted by ブクログ
本屋で表紙を見てからずっと気になっていた作品です。タイトルからは話の内容が想像できなくていつか読んでみたいなと思っていました。
構成は短編集でそれぞれの話につながりはありません。タイトルにもなっている「妻が椎茸だったころ」というのは、そのうちの一つのお話です。
内容は細かいところはネタバレになるので、詳細は書きません。全話を通してどことなく掴みどころのない、不思議な空気感が漂っています。読み終わってもスッキリするというわけではありません。あの場面はこういうことだったのかと想像を膨らまるのが楽しみ方なのかと思います。
ホラーチックであり、ファンタジーっぽさもあり、はたまた過激なシ