あらすじ
昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない、上質の恋愛小説。第143回直木賞受賞作。山田洋次監督で映画化。
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女中の話。昔の裕福な人とそのお仕えの人の話、最近好き。裕福な人はとことん裕福に煌びやかに、その世界観が好き。最後までしっかり読み応えのある1冊。ラストもいい感じでした。
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おもしろい。昔の日本語の美しいこと。品があふれてる。言葉尻から人となりまで垣間見れ情景が目に浮かぶ。
コロナや戦争、現代と近しい部分も多く、なんだか似たような状況だと時代は繰り返し、もしやまたここに書かれてるような世界になるのでは!そうなったときのヒントなんかないだろうか。等
現代と照らし合わせながら楽しめたのも良かった。
戦争の描写がなんとも現実的というか、フィクションかもしれないけれど、わたしたちが歴史の教科書を見て知るのは極々一部分で、地震も一緒で同じ日本にいながら全く昨日と同じ生活が続く地域にいる人と被災地の方との認識の違いのように、感じ方や体験が天と地ほど違うということがよくわかった。
そういう当たり前だけど、目の前のことしか見えないという意識思い出させてもらえ、忘れないでいたいなぁと思わせてもらえた。
最後になるにつれ、様々な事柄、人物が複雑に繋がっている発見もよくこんな設定思いつけるな!と感心する。よくできた設定に、これは実在する人物なのでは?!と思わず調べたりしてなかなか前に読み進めれない程読み応えあった。
映画化もされたようで、キャストが抜群にぴったり合ってて是非一度観たいです。
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昭和の市井のある女中と家族のひとつの物語。歴史の流れの中でもあったはずの素朴な日常と、それでも大きな流れに争い、それでも理不尽な選択を迫られる時代。タキや健史の[頭の良い振る舞い]の結果がどうだったのか、様々な解釈ができるが、それがよかったかどうかはわかりようがなく、その問いの答えを探し続けるしかない、というのも、また個人の人生そのものと、それが時代の流れに委ねられていることのように思えた。
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昭和の市井のある女中と家族のひとつの物語。歴史の流れの中でもあったはずの素朴な日常と、それでも大きな流れに争い、それでも理不尽な選択を迫られる時代。タキや健史の[頭の良い振る舞い]の結果がどうだったのか、様々な解釈ができるが、それがよかったかどうかはわかりようがなく、その問いの答えを探し続けるしかない、というのも、また個人の人生そのものと、それが時代の流れに委ねられていることのように思えた
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なんの前知識もなく
ノンフィクションだと思って読み進めてしまった!
自分でも言ってるけどタキさんって本当に賢い女中さんなんだなって感動しながら。。。
戦前〜戦後の時代の空気、
東京と田舎の景色が手に取るように伝わってきて、
タキさんと奥様の絆や
甘やかされ放題のおぼっちゃまの姿からも
あたたかみが感じられて
ほんわりした気分に。
でもやっぱり戦前〜戦後という時代
このようなあたたかいものが犠牲になったんだ
と思うと辛い。
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第二世界大戦。歴史書には書いていない、戦争へと突入していく生活感が、彩鮮やかに描かれている。
なんといっても、ラストの章がこの作品の深みを増させている。ぜひ、読んで感じていただきたい。
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青春としての若い時代を
女中として捧げたタキが
年老いて日記を残す。
その日記を甥が見つけ、
読み進めていくという視点で始まる。
穏やかに、贅沢に始まっていく生活。
すべての出来事が幸せへの積み重ねで、
何か特別なことがあるわけでもないのに、
それらは記憶に残っている。
でもそれは、戦争がはじまるまでのこと。
タキさんはたしかに素敵な日々を送っていたけれど、
戦争でそれらが奪われてしまったのは胸が苦しくなった。
お金持ちの奥様とほぼいたからか、
女中として家の中にいたからか、
社会の情勢についての描写がほとんどなかった。
外のことは旦那様からちらりと聞くくらい。
奥様が世間知らずというか、
そんな印象を受けたので、一緒にいるタキとは、
社会情勢についての話題のもなるはずがないよなあ
と思った。その描写もよくできていた。
映画化もされている作品なので
時間があれば見てみようと思いました。
とても良い本に出会いました。
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可愛い装幀の表紙に、
可愛いタイトル。
さえりさんの本棚にあった本が気になって、読んでみました♡ありがとうございます。
昭和初期が舞台。
女性目線で進むこの物語は、
ハイカラで色彩あふれる当時の日本の姿が目に浮かぶよう。
女性は家を守る風潮が強かった時代。
男性の難しい世界のことはわからないけど、
家のことならなーんでも知ってたし、なーんでも手作り。
女性が創り出す、丁寧な暮らしに心奪われちゃう···
布地から仕立て上げる着物や洋服。
掃除はすべて手作業で家中ピカピカ。
なんといっても食事のメニュー。
質素ながらに手がこんでいる料理たち。
当時はものすごく時間をかけてたんだろうなあ。
レンチンないし。
その手間を惜しまず、重ねる工夫が素晴らしい。
それらが、戦争の気配が近づくにつれて、
大切にしていたものが少しずつ奪われていく。
切ないなあ···
と思いきや、
物語は意外な結末で、最後まで楽しめました。
いい本を読んだなあ···
(ノ◕ヮ◕)ノ*.✧
母の日のプレゼントで、母親にお花と一緒にこの本もあげることにしました♡
母親は、自分の家が大好きな人なので、
共感できるかもです♪
Posted by ブクログ
何度目かな、再読
ほんと好きな本。文体もすき。
時子の危うさとエロスと、板倉のフニャフニャしつつ意外とやるとこ(これはどっちかというと映画の感想かな)、タキちゃんの強さと哀しみ。
時局に流される時子の夫や会社の社長。
そういうみんなのそれぞれを、根こそぎ奪う戦争への怒り
Posted by ブクログ
中盤からラストにかけて本当に良かった…
初めのうちは、昔の話で想像がつかず読むのが難しかったけど、途中から面白くて一気読みした!!
途中で読むの諦めてしまった人勿体ない!!
文庫本284ページが特に泣けた…
やっと言えたんだね…
真実が語られあかされないところがなみなみならぬ小説なのです。
Posted by ブクログ
女中さんと奥様の、忠義より優しく友情より固い愛の話
睦子さんがしていた三つの道の話、タキさんの道は三つ目の道じゃなくて二つ目だったのかな
でも私は個人的には2人の愛は恋愛のそれじゃないと思いたいけど、どうなんだろう
これもまた、この世界の片隅に、な話だったな
タキさんのメモから甥っ子の息子視点に切り替わるのもとても面白かった
ストーリーも面白いし、その描き方も好き
Posted by ブクログ
女中として働いていたタキおばあちゃんの現在から話は始まります。
過去の出来事を手記として残すタキ。
昭和の初め、まだ少女の女中がどのような人生を歩むのか…。
タキと時子の関係が一言で言い表せないですね。
使用人と主人ではありつつも、家族でもあり友人でもある。
なかなか親密な関係。
このまま時代は流れるのかと思いきや、後半の展開に驚かされます。
どこまでが真実で、どこからが現実なのか。
分かるのはタキの時子への愛情と、とてつもない後悔。
Posted by ブクログ
子どもに読み聞かせた絵本とおなじタイトルだなと思ったのを思い出した。女中にあがったサキさんの生活が見えるようで昭和を懐かしんだ。
いえは成城あたりと見当つけて読んでた。
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<再登録>昭和初期に「小さいおうち」に奉公していた少女の回顧録。
戦争の気配が色濃くなっていく時代を描いているのに、あくまで平井家周辺は昭和モダンの華やかさを保っています。それだけに美しい光景が失われていく過程は読んでいて悲しくなりました。
途中で挿入される現代パートでは孫の健史の現代っ子視点にイラっとしましたが、その健史が最終章ではまさかの大活躍。残された人達のすべてを明らかにはしない優しさがよかった。過去は美しいままにしておくのがいいこともあるのでしょう。
Posted by ブクログ
高校生の時、映画館で山田洋次監督の作品を観た思い出。松たか子はもちろん、黒木華が特にハマり役だった。割烹着がこんなに似合う女優さんはいないと思う。
久しぶりに作品に触れたら、上品さの中に大人の色気があって、頭が火照ってしまった…
余韻のある最終章も素敵。
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引き込まれた!
昭和10年〜戦後が舞台。
戦争小説では決してなく、東京郊外に建った赤い屋根に白いポーチの洋館での物語。
山形から女中奉公のために上京してきたタキ。
美しい時子奥様へお仕えするタキの目線で起きた出来事を、回顧録として晩年綴る。
ノートを読むのは甥の次男:健史。「頭の良い女中」と評されたタキ。その評価に値する仕事ぶりを、十二分に発揮した、と言うことか⁈
物資が乏しくなるにつれ、創意工夫で乗り切る力、出会いと別れ。晩年の振り返った思い…。
誰しも1つくらい、人生の終盤で省みる事があるのだろうか。
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少し前に、映画を見て、本も読んでみた。
時代を経て、戦時中、女中時代と現代の振り返っている時代が行き来する。
こんな女中さんがいたら素敵だなと思う。
戦時中、慎ましくなり、生活が変わっていく中で、こういう日常が実際にもあったんだろうなと思う描写だった。
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戦前って、こんなわくわくしていたんだ。
戦争と聞くと 暗い 寒々しい 白黒 怖い 可哀想 というイメージ。
でも、実際は人なわけで。私たち現代を生きる人と同じなわけで。
それぞれの、一日一日には嬉しいこと辛いことがあるんだ、と知った。
それなりに辛いことがあれど、その場所で味わえる幸せを感じる。見つける。
きっと昔も今も変わらない。
それを教えてくれた、一冊。
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戦争前後に生きた女中の生涯
戦争前後に生きた女中タキの哀しみは80を過ぎ亡くなるまで続いた、と言う。それは長く暮らしを共にした家、東京の街が戦争で期待を絶するほど酷く、一つの屋根の下で家族の様に暮らしていた世界から戦争で人も家も全てを断ち切られるという哀しみは想像を絶する。だが、昔を語る絵本が「イタクラ・ジョージ記念館」で現存していることで救われたのではないかと、想像したい。
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終盤までは、よくある物語かなと思いましたが、最終章でまさかの展開が…。個人的には、タキは時子が好きだったのだと思います。(今でいうLGBT)そう考えると、いろいろ辻褄の合う場面がありました。ただ、タキの後悔の理由は複雑そうですね。様々な解釈ができる面白い作品でした!
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先日、ようやく映画を見たので、原作も読んでみる。細かな違いはあるものの、概ね山田洋二監督が原作をそのまま映画に仕上げてるのに驚いた。甥の健史は小説の方がもっとポンコツだったけどね。まあ、最後にいい仕事するんでいいかな
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戦争に向かっていく日本と、当時生きていた人たちの生活・認識がタキさんの手記という形で細かく描かれていて、とても面白かった。
最終的には現代に戻ってきて健史視点で描かれるように視点が切り替わった瞬間は驚きがあったものの、全体的にはそこまで複雑な物語ではなく、どちらかというと戦争当時の様子を感じられる読み物という面白さが強かったように感じる。
また、私がこれまで読んできた戦争ものとは違い、たとえば戦争に対してどこか他人事と思っている人たち、そんななかでもジワジワと戦争が生活に染み出してくる様子が描かれていて、なんだかとてもリアルに感じられた。
Posted by ブクログ
戦前戦中の日常を描いたような作品で時代や表現方法は違えどノスタルジーを描くという点でなんとなく三丁目の夕日をイメージした。
女中とか奉公とか馴染みがないけれど殆ど違和感無く読めた
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小さく厚みのない本だったので旅のお供に連れていった。
読んでから日にちが経ってしまったのであまり記憶にないのだけど、戦前の日本の暮らしに触れられた。
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大好きな絵本、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』。本屋さんでこの本を見た時、同じ題名で絵本みたいな表紙に惹かれ即購入。昭和初期に女中奉公にでた少女タキが晩年に残した、その当時を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれていくという内容(最後に『ちいさいおうち』の絵本も絡んできます)。戦時中の話だけど、モノクロではなく、色彩豊かなイメージで、東京で暮らしながらも、空襲時には田舎へ戻っていたタキのような人達は、恐ろしく切羽詰まった生活を送っていたわけではないんだろうかと…東日本大震災で被災した方々と、同じ日本でもテレビなどでしか知ることのない人達との関係性に似ているような気がした。
Posted by ブクログ
タキちゃんの手記がメインで進んでいくけれど、時折健史との対話もあって、時代のコントラストが心地よかった。
ほのぼの系かと思いきや、そっちに進んでいくのねー!と。
最終章ですっきり答え合わせがありました。
そして、読み終わってから装丁を見ると、、、!
Posted by ブクログ
山形の少女・タキは、昭和の戦前から戦争初期、東京で、女中として働いていた。それは、大好きで美しい奥様と、可愛い小さなおうちで、家事の腕前をふるう楽しい日常だった。
そんな彼女が、女中を引退後、回想しながらノートに書き留めた物として描かれている。それを、時折、学生の甥が読むといった趣向。
最近も、敗戦前後の小説を何冊か読みましたが、それらのような、抑圧的な生活を書くのではなく、女中として、知恵と工夫で奥様を支え切るということを、楽しんでいるかのように思う。
この小説は、最終章で趣を変えます。
奥様が、戦時でありながら、夫がありながら、恋をしてしまう。その、想い人へ宛てた手紙が、開封されないままタキの遺品から見つかります。
タキが最初にお勤めした、小説家に教えられていた“かしこい女中”としての行動だったのか。また、タキは、奥様の友人にこの恋愛について相談したことがあります。その時の、“きれいな女は罪ね”と小説の抜粋から、意味慎重な会話がされます。タキさん同様、何を意味しているかわからず、数度読み返しました。ここに、タキさんが手紙を隠した本当の理由があるのか。正解は、作者のみ知るとのこと。