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Posted by ブクログ
初めて読んだ中島京子さんの小説。
読んでいておかしいんだけど、滑稽なんだけど、そこに人間の真理がある…と気づけばとても深い。
ふらりと家を出たまま失踪した内田均(通称均ちゃん)。
彼が不在の間に家に泥棒が入り、この家に出入りしていた元妻(50代高校美術教師)と現恋人の2人(30代重役秘書と20代雑誌編集者)が警察署で鉢合わせ。
均ちゃんへのそれぞれの思いを胸に、ひょんなことから3人揃って箱根の高級温泉旅館に行くことになり…。
殊に恋愛で人が一生懸命になっているときって、どうして他人のことはよく見えるのに自分のことは見えなくなってしまうんだろう。
他人のことなら冷静に観察して馬鹿だなぁと思ったりするのに、自分も似たような馬鹿なことをしてしまっていることに全然気づかなかったりする。
そういうおかしみとか滑稽さを表現するのが本当に巧いなぁと思いながら読んだ。
均ちゃんはちっとも格好良くないし、お金持ちでもないけれど、なぜか女からモテる。それというのもおそらく、人の懐にすいっと入っていくのが上手いからだ。
何となく気づいたら隣にいる、みたいな。淋しいときなぜか連絡してしまう相手、みたいな。
そんなわけで女たちはそれぞれの立場で均ちゃんとの関係を築いているわけだけど、均ちゃんがいない間に女たちがちょっと仲良くなったりわちゃわちゃして、結果的に均ちゃんがいない状況で新たな恋を掴んだり新たな道に踏み出すあたり、女の強かさを感じずにはいられなかった。
女たちはちゃんと人を愛して向き合って苦しんで泣いて、そして吹っ切って新たな切符を手に進んでいく。
でも均ちゃんは誰のことも愛していないのかもしれないから(誰にでも優しい男って結果的に誰にも優しくないのよね)そういう人って何も手に残らなかったりして…ということを思ったりした。
面白いのにちゃんと残る作風。押しつけがましくなく、ふっと気づかされるような。
設定として均ちゃんは津軽地方出身なので、弟と津軽弁で罵り合うシーンなんか、私は分かったけど津軽以外の人は分からなそうだな、と思った。
唐突なそういうシーンもまた滑稽さがあって良かったのであった。
Posted by ブクログ
失踪した均(きん)ちゃんの家に泥棒が入る。
本人不在のため、
関係者が集められるがそこに居合わせたのは。
元妻と彼女を含めた3人の女たち。
均ちゃんという共通点を持った3人が
箱根に不思議な旅行に出かける。
3人それぞれ、
そして均ちゃんからの視点から物語が出発する短編集。
放浪癖があって、
だらしがなくて、
お金もなくて、
自由奔放で、
でも憎めなくて、
妙な才能を持ってて、
タイミングが抜群なのに、
かわいそうな均ちゃん。
こーゆー人にきっと女性は弱いはず。苦笑
ってか、私が弱い!笑
本当に勝手な男なのにね、均ちゃん。苦笑
本当はもっと深くキャラクターを掘り下げてほしかったけど、
さっぱり読むにはこのくらいが丁度良いかも。
「信じられないわけでも、信じたくないわけでもないが、
信じて待つのはエネルギーがいる。
信じさせるにもエネルギーがいるだろう。」
きっと私は、薫に近いけど空穂が好きだし憧れる。
女は強い、と信じたくなる本!
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