中島京子のレビュー一覧
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ネタバレたとえ、自分にも恋人がいるとしても、妹が先に結婚すると知ったときの姉の複雑な気持ちはわかる気がします。
小説のなかに、「あのおどおどした気弱な妹はそれでも、露子が落ち込むような迷宮にはけっして迷い込んだりしないのだ。」という箇所があります。仕事もしっかりとやっていて、結婚も自分で決めた妹。それに対して、無職で、恋人との関係も何だかはっきりしない姉。露子でなくとも焦るのに、条件が整い過ぎてると思います。
しかし、小説の最後の方で、妹の佳子は、意外なことで、露子に頼ってきます。きょうだいは、頼り頼られ。そんな関係が自ななんだと思いました。 -
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直木賞受賞の文字につられて買ってみた。着眼点がオモシロイ。
田山花袋の『蒲団』とあわせて読むとちょっとにやりとする。
でも、読まなくても、そして知らなくても意外とイケそう。
たとえば、田山花袋の『蒲団』は日本文学史の上では、いわゆる私小説の走りとされていて、あまり評価は高くないようなのです(よく知らないケド)。それがあまりに作家本人の境遇に似たことが書かれているので、本当に私小説なのか、それともあくまでフィクションとして書いたのか、前者だとしたらちょっとはしたないし、後者だとしたらちょっと盛り上がりに欠ける、みたいな。
で、家庭を持つ男の視線で書かれた『蒲団』という作品に対し、『FUTON』は -
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二つのストーリーを交互に綴る形で物語が進みます。一つは明治初期。日本を探検するI・Bという英国女性との交流を描く通訳のイトウの手記。もう一つは偶然その手記を発見した郷土史部の中学教師・久保と唯一の部員・赤堀、そしてイトウのひ孫の劇画原作者の田中シゲル(女性)による調査活動です。
現代の冴えない久保、利発な赤堀、美人だけど変わっている田中の組合せは楽しい。この3人のが活躍する現代部分は所々に中島さんらしいどこかズレたような視点があり、そこが何とはなしに可笑しいのです。
一方で話の半ばを占めるI・Bとイトウの物語はどこか哀しく。全体としてはトーンが暗い感じです。
しっかりとした作品ですが、(私の考 -
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タイトルどおり、冠婚葬祭にまつわる四つの物語です。良い意味で裏切られましたぁ。この本が、冠婚葬祭という言葉から思い描く一般的なイメージとは、ちょっと違った視点で書かれているからです。
冠婚葬祭とは、人が生まれてから亡くなるまで、そうして亡くなった後に、家族や親族によって執り行われる、行事全般を指す言葉だそうです。そもそも儒教思想の影響があるらしく、この四文字が示す人生の節目の催しを、いずれも滞りなく行うことで一人前とみなす考え方もあるようですね。
けれど、この本は家族や親族などの、内輪のお話ばかりではありません。ふとしたきっかけで知り合った、赤の他人同士の関わりがしみじみと、またユーモラスに描 -
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子供のころはいじめられっ子で、ジミで奥手な妹が、突然日本語もままならない台湾人の青年と結婚すると言い出しました。いつも「アイシテイル」と言ってくれるからという理由で、日常会話もろくに成立していないのにです。妹はちょっと世間の常識からズレているところがあって、初めて家に連れてきた恋人が、バードウォッチング好きの大柄な黒人青年という変わり者。主人公である姉はといえば、大学を卒業して有名商社に勤たものの、その後何社か勤め先を変えた後、いまは働きもせず、妹の住まいに居候。人あたりが良く、それなりに恋愛経験もしてきましたが、27歳の現在も踏ん切りがつかず独身です。新たに住む場所と収入源を考えなければなり
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お正月休みを挟んで1週間以上かけて読み終えたのですが、一気に読んでしまうべき本だったように思います。
不思議な話です。
背景になる「迷子ツアー」は、ツアー中に行方不明になった一人を異国に取り残すことで、同行したメンバーに不思議な、何かを置き忘れたような感覚を残させるための企画です。中島さんは同じような仕掛けを物語の中に取り入れているようです。登場人物の記憶がすれ違い、何が真実か判らない。ミステリーっぽくもあるのですが、謎解きが主題ではなく、むしろその事によってどこか不思議な感覚を残すことを目的にしているようです。
返還前の胡散臭さのある香港を舞台にした答えの無い物語です。