あらすじ
恋のライバルは、白鳥だった!?結婚、終活、離婚、妊娠……。
身に起こりうるライフイベントを、不思議な軽妙さで描く6つの短編集。
「家猫」
ハイスぺ彼氏には化け猫みたいな母がいる。もしほんとうに結婚するなら、あの化け猫を少しずつ弱らせる方法を本気で考えなくちゃならない。
「ローゼンブルクで恋をして」
突然行方をくらませた父。終活のために向かった先は、瀬戸内の選挙事務所。そこには小柄で逞しい女性候補者の姿があった。
「川端康成が死んだ日」
母は、あの日を限りに帰ってこなかった。当時の母の年齢を超えてしまった私に、母から最後の願いが届く。
「ガリップ」
ガリップが想像妊娠したのは、わたしたちが結婚した翌年の夏だった。妻と夫とメス白鳥の三角関係の顛末。
「オリーブの実るころ」
斜向かいに越してきたのは、前科者の老紳士。品のいい佇まいからは想像もつかない大恋愛の行末は?
「春成と冴子とファンさん」
彼の両親のもとへ、なぜか一人で結婚報告に行くことに。離婚した二人は、思い思いの生活をしていて……。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最初の小説は、本当にむかつく嫌な男とその両親だったけど、彼女と元嫁のターンで少しスッキリ‼️
他の小説は、みんな好きだった。
特に本のタイトルの、
『オリーブの実るころ』
うーむ、いいお話だった❤️
Posted by ブクログ
結婚、終活、離婚、妊娠などのライフイベントをテーマに描かれる6編。
ユーモアを交えて軽妙に書かれているのに、現実的でチクリと胸に突き刺さる言葉に出会ったり、その掛け合わせがとても上手くて、物語にどんどん引き込まれてしまいます。
第一話「家猫」から、第四話「ガリップ」まで、他人がひとつ屋根の下で暮らすことは本当に難しい問題なのだなと思いながら、時には吹き出しそうになりながら読んでいました。
第五話、表題作の「オリーブの実るころ」と、最終話の「春成と冴子とファンさん」は、心に幸せを運んでくれるようなとてもいい話。
家族のかたちがそれぞれでも、幸せな生き方をしている人たちに出会える、とても好感の持てる短編集でした。
Posted by ブクログ
最近よく手にするようになった中島京子さん。この短編集は旅先に持っていくのもちょうど良い薄さです。
でも中身は人生のアレやこれやがありえない角度で詰まっていて読後感が爽やかにやるせなくゾワっとして心地よいのです。
1話の家猫から無茶良くって、それぞれの視点で見るといろんな事象が同時多発的に進行している平行宇宙にいるんだなあって事を感じることができるし、不一致の中で暮らしている不思議感覚が見事でした。
2話の老人の終活の話も印象的だし、茨木をドイツ語で直訳するとローゼンブルクって無駄にかっこよくなっちゃう。3話の兄妹は昭和50年代位の日常風景が浮かんできて楽しかったし、4話の白鳥の話は最高に面白かったです。5話の大恋愛の話も、6話の結婚報告に行く話も斬新で素敵でした。
すごいと思えるところは新しい言葉や親子関係や勤務形態にも敏感で作品に取り入れているところ。結婚に対する価値観もいろいろ変化してるし目から鱗って感じでした。
この作品は絶賛推しの1冊になりました。
Posted by ブクログ
『家猫』人間は自分が都合の良いように解釈しているだけでお互いの気持ちが一緒とは限らないんだという事をみせつけられる 表題の『オリーブの実るころ』今はおじいさんだけれど 若い頃があった 当たり前の事なのに 驚き想像する
Posted by ブクログ
朝日新聞土曜日別刷りbeにエッセーを連載されている、この作家さん。つい先日の「いまなら納得できる」という眼鏡店でのにらみ合いの話も面白かったな。
月に一度くらいしか載らないのだが、『日々の暮らしのなかで感じるさまざまなことをつづる』というコンセプトで語られる話は、土曜の朝の楽しみのひとつ。
この本、そんな作者さんが“身に起こりうるライフイベントを、不思議な軽妙さで描く6つの短編集”。それぞれに、ちょっと不思議な味わいの、この作者さんらしさが溢れるお話。
■家猫(結婚)
40歳を超えたバツイチの男の結婚を巡る本人&周囲の思惑。
家猫だけでなく化け猫もいたみたい。女の人から見れば男って可愛いというかちょろいもんね。
■ローゼンブルクで恋をして(終活)
終活をすると言って行方不明になったお父さんの意外な行先。
コルクボードの写真とローゼンブルク時代の恋と男やもめの終活が結びつく、このお話が一番好き。
『全国の都道府県名をドイツ語にすると無駄にかっこいい』 私の生まれはランゲンカップで育ちはグリュックスヒューゲル、今住んでいるのはグローセンハングとエーデルハウプトシュタットの間あたり。
■川端康成が死んだ日(離婚)
川端康成が一瞬、強烈に出てくるお話。この話だけ、あまりよく分からなかった。
モハメド・アリやジャネット・リン、遊星仮面やマッハGoGoGoなんて懐かしかったが、ドボチョン一家だけ覚えがなかった。
■ガリップ(妊娠)
妻と夫とメス白鳥の30年に亘る三角関係の顛末。
嫉妬した白鳥が想像妊娠をするって、ちょっと怖かった。
■オリーブの実るころ(駆け落ち)
斜向かいに越してきた品のいい老人の、愛した人を巡る壮絶な過去。
庭に植えられた2本のオリーブの木の秘密が素敵。
■春成と冴子とファンさん(結婚報告)
彼の両親へのデキ婚の報告。
離婚してそれぞれ思い思いに暮らす両親の生き方が羨ましい。
最後の5行が良い。赤ちゃんって、その存在だけで全てを溶かすよね。
Posted by ブクログ
テンポ良く、ファンタジーでありながら妙なリアルさもあって面白かったです。
各お話の主人公が、ユーモアのある、少し変わった考えや視点を持っていて素敵でした。
一番最初のお話だけ少し毛色が違って、そういう本だっけ!?とドキッとした笑
Posted by ブクログ
前半は人間の愚かなところ嫌なところを突いてくる少し重いテーマだったけど、中島さんの柔らかい文章とか雰囲気でどこかふんわりとした不思議な感じで面白かった〜
春成とファンさんみたいな変わってるけど、自分の念があって無意識に関わる相手を安心させて楽しませる人って素敵。