あらすじ
「図書館を愛した」喜和子さんと、「図書館が愛した」人々の物語
上野公園のベンチで偶然、出会った喜和子さんは、
作家のわたしに「図書館が主人公の小説」を書いてほしいと持ち掛けてきた。
ふたりの穏やかな交流が始まり、
やがて喜和子さんは
終戦直後の幼かった日々を上野で過ごした記憶が語るのだが……。
日本で初めての国立図書館の物語と、戦後を生きた女性の物語が
共鳴しながら紡がれる、紫式部文学賞受賞作。
解説・京極夏彦
個性的でキュートな喜和子さんの物語と、
波乱万丈な国立図書館の物語が共鳴しながら紡がれる、
唯一無二の小説です。
軽妙洒脱に語られる図書館の物語パートと、
戦後を生きた喜和子さんの切なくも愛おしい記憶。
そのなんともいえないハーモニー……。
京極夏彦さんが解説で「小説でしか為しえない技法で、
小説という装置を用いる以外に行きつけない場所に連れて行ってくれる、
そうした小説なのである」とお書きになったのを読んで、
「まさに!」と膝を打ちました。
読書の喜びを存分に味わっていただける作品です!
※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今まで読んだことがない小説と思った。
もっと文豪達の小説のオリジナルを知っていたら愉しさがもっと大きかったかも
最後まで色んな思いが交錯したまま読みました。
面白かった。
Posted by ブクログ
喜和子さんの魅力に夢中になるうちに、「わたし」と、これまた魅力的な人々と、一緒に時間を遡る旅に。
2025年1冊目、よい読書ができました。
中島京子さんの作品を読むのは初めてで、これから読み進めようと思います。
Posted by ブクログ
とっつきにくい題材なのかな、、
現代と過去を行ったり来たりで読みにくいかな、、と思いながら読み始めたが、戦前戦後の様子をリアルに感じられて、興味深かった。
戦争そのものの悲惨な描写は少なく、コミカルでくすっと笑ってしまう文章も垣間見られてホッとした。
最後の最後、散骨のシーンは非常に美しく、亡くなった自分の母を思い出し、完全に手が止まってしまった。。。他の方のレビューにもありましたが、読み応えのあるお話でした。
Posted by ブクログ
心温まる、やさしいお話。
ところどころ、劇中劇ならぬ、小説中小説が入る形式で物語が進んでいく。
自由に生きているように見えた喜和子さんには、実は不自由に縛られた過去があった、とか。まぁ時代的にあの時代の女性は多かれ少なかれそうだった、とは思うけど。そう思うと私は随分自由で恵まれた時代に生きているんだなぁ、と。
そういえば、私は樋口一葉とか吉屋信子とかあんまり読んでこなかったのよね。。。このあたりの読書経験がもっとあれば、また読後感も違ったかも?