中島京子のレビュー一覧

  • のろのろ歩け

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    台湾に、北京に、上海に
    行きたくなった。
    アジアの都会の、雑多な、少し臭くて汚くて
    エネルギッシュで不安でワクワクする
    あの感じ

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    2017年10月28日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    この路地を曲がれば、そこはもう、すこし不思議な世界の入口―。ひとつの架空の商店街を舞台に、七人の人気作家がお店を開店し、短編を紡ぐほっこりおいしいアンソロジー。商店街のマスコット「招きうさぎ」がなつかしくあたたかな物語へと誘います。

    【感想】

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    2017年08月07日
  • エルニーニョ

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    こんなにも魂の呼応を感じ取れる小説、今までにあったろうか。7歳のニノと21歳のテル。全然関係ない二人だが不思議と惹かれ合う。ニノが陰でテルが陽。それはニノはテルを見つけられるが、テルはニノを見つけられないことで示されている気がする。二人は世間の常識をはねのけ自分たちで人生の決断をする。小さいからとか若いからとか、そんなことは意味をなさない。彼らには信念がある。間違った道を歩む時もあった。離れてしまう時もあった。でも絆は消えなかった。ラスト、二人の凱旋。抱きしめてずっと寄り添っていたくなるそんな優しい小説。

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    2017年07月24日
  • かたづの!

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    祢々と羚羊の出会いから始まる。祢々は不思議な魅力に溢れる女性で羚羊はじめ、河童、猿など生きとし生けるものから愛され、加護を受ける。祢々は何事にも冷静で、ずっと先を見て判断を下す。(時々、毒も吐くが)そして人間だから動物だからなど差別せず、心と眼差しを傾ける。夫、息子、娘、最後には故郷を捨てざるを得ず、幸福とは言い難い人生だったかもしれないが祢々は知っていた。味方がたくさんいることを。だからこそ波乱に満ちた人生を生き抜くことができた。羚羊、河童の祢々への敬愛が微笑ましく、そして素晴らしいのが本書の魅力。

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    2017年07月12日
  • 桐畑家の縁談

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    正反対の性格、性質の姉妹。地味な妹が先に結婚。お相手は台湾人。この縁談に右往左往する桐畑氏と夫人(つまり両親)が面白い。父がとか母がじゃなくて、氏と夫人って。この当事者のようなそうでないような表現が、物語の面白さを際立たせている。こっそりと。露子さんが過去の失恋で大泣きした時、ウーミンゾン以下外国人大勢がいろいろ慰めるシーンは良かったな。そういう温かさってすてき。佳子さんはいい人と巡り会えたと思う。露ちゃんはあまり考えすぎないでどーんと行けばいいよ。十条の叔父さんの健在ぷりもなかなか。桐畑家は不滅だ。

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    2017年06月01日
  • 東京観光

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    『シンガポールでタクシーを拾うのは難しい』、『東京観光』が面白かった。前者、倦怠期の夫婦の様子が生々しくて、そうなんだよね、相手をちょっと気遣えば問題にすらならないことが、気遣えないばっかりに大問題になるんだよね、あるある。と思いながら読んだ。夫婦間だけでなく、恋人同士でも家族でもあること。おもいやりは大切。お互いに。で、結局くだらないことで笑い合ってなんとなく仲直りして、というのも気の置けない同士ではあること。上手だなあ。後者はちょっと不思議な話。一度は遭遇してみたいな私も。夢か現実か分からない体験に。

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    2017年05月28日
  • のろのろ歩け

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    初中島さん。文体がドライでとても読みやすかった。舞台は台湾、北京、上海。北京編での一文。「さよならの代わりに「慢慢走」って言うんだよ、まあ、ゆっくり行けよって感じかな」とてもいい言葉だなあと心底思った。お別れの時、「ゆっくり行ってね」ってとても優しくてなんとも温かい。よし早速使ってみようと中国人男子に得意げに「慢慢走」と言ったら、まずきょとん、とされ、続いて「慢走」か、と言われ、「それとても古い言葉。もう使わない」と一蹴。儚く終了。現代語じゃないかもしれないけどさ、わたしは使おう。だって美しいんだもん!

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    2017年05月24日
  • 眺望絶佳

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    ゴミ屋敷に住まう高齢姉妹の話に魅かれて。『金粉』なぜこのタイトルなのか。もちろんすぐには分からない。姉妹はふたり仲良く暮らしている。気心分かり合えるのはこの二人だけだから。家を出れば敵ばかり。元は薔薇屋敷、今はごみ屋敷。嫌われる理由は正当にある。でも姉妹にも理由はある。誰も分かってくれないけれど。生活を守るため他者は寄せ付けない。それでも来訪者あればおもてなしの心は忘れない。それが「金粉」。余韻がたまらない一編。東京タワーとスカイツリーの往復書簡、東京タワーが感じる哀愁。これはまさに残された昭和の悲哀。

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    2017年05月24日
  • FUTON

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    電子書籍、巻末特典本家花袋の『蒲団』付。なんとお得な。とりあえず中島さんの方から読む。ウメキチはじめ個性的な男性盛りだくさん。どれも妻の他に恋心を抱く女性を持つ。ウメキチの場合は遥か昔の記憶のため、それが現なのか夢なのか誰も判断ができないのが一興。デイヴ教授の蒲団アレンジ、妻視点からの夫の酔狂。子を三人もなしている故、どっしりしていて極めて正論で清々しい。中年夫がプラトニックラブで終った女弟子の蒲団で見悶えた後に妻がとった行動。これぞ本妻というものか。天晴。男は新しい玩具を求めるばかりで。しょーもな。笑

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    2017年05月24日
  • 均ちゃんの失踪

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    均ちゃんはやっぱ「平均」の「均」なのかな。このふわふわした「均」ちゃんに振り回されているんだか、振り回しているんだか、4人の女性の物語。みんな似ているようで似ていない。一番一般的な感じは片桐さんかな。恋したらそういう感情に悩まされるのはごくごく普通だ。突然消えたと思ったら、実は他にも女がいることが分かってとかさ。混乱するわ。ただ他の女性が一風変わっているのでどろ沼にならず、逆に親睦を深めていくのがいい。こんな出会いは面白い。空穂さんがキャラとしては好み。最後、均ちゃん一人になっちゃった。味わい深い、実に。

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    2017年05月24日
  • イトウの恋

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    イザベラ・バードの紀行文はまだ読んだことがない。少し読んでみたくなった。伊藤はどのように描かれているのだろう。確かにかの時代、通訳は必要だ。イザベラの通訳として淡い恋心、慕情を抱く伊藤鶴吉視線の話。手記、日記、書いている当時はなんてことないただの雑文でも50年、100年経つと価値が出てくる。その重要性がよく分かる。記録というのは面白いものだ。歴史の隙間に埋もれている事柄を掘り起こし、未来の直接関わりのない人間に感動やら勇気を与える。言葉、文字がある限り続く現象であり時間が持つ雄大なロマンでもある。

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    2017年05月24日
  • 冠・婚・葬・祭

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    どのお話しもよかったけれど、心に残ったのは「婚」かなあ。いまはあまり出会えなくなったお見合い斡旋おばさん。ちょっと前までは確かにあった。適齢期の男女は必ず1回は「お見合いしてみない」って聞かれたと思う。それが少なくなったってことはやっぱり人間関係が希薄にはなっているんだろうな。都会は特に。このマサ枝のようにしっかりしなさい!と叱ってくれる人もなかなかいないし。恋愛結婚と違って、お見合い結婚は短期決戦!というのがなるほどと思った。グズグズしてる暇はないんだな。決定力に欠ける現代若者には難しいのかもな。

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    2017年05月24日
  • さようなら、コタツ

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    部屋とそこの住人にまつわる短編集。短編集は読みやすいからやっぱり好き。表題『さようなら、コタツ』の主人公女性の心の動き。自分を励ましてみたりつっこんでみたり。よく表現できている。恋をしてるとさ、どんなに強い人間でもフラフラ動いてしまうんだよね。周りの意見も妙に耳に入ってくるし。でも結局は自分で決めて、自分で行動していかないと変わらないしさ。この女性、ほんとよくがんばった。そして温かみのある結末でほっとした。よかった。ハッピーエンドは嬉しい。たとえ虚構の世界でも。絵に描いたような幸福、味わってみたい!

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    2017年05月24日
  • ツアー1989

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    なかなかミステリアスで面白かった。「迷子ツアー」を巡る人間関係とその背後。だんだん真相が明らかになっていく過程、充分に楽しめた。バブル全盛期、たしかに何が合ってもおかしくなかったんだろうなあ。あの時代を生きた人たちの話を聞くとほんと面白いし。これが日本なの?って思う。そんな時代に一風変わった旅行をとのことで企画された「迷子ツアー」、最終日一緒にいた参加者が消える。他のツアー客の心には不思議な思い出が残る。それが売り。舞台は香港、文字を追ってるだけでも雑多。パワフル。魑魅魍魎。迷子になったら最後、消される。

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    2017年05月24日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    竹取物語(森見登美彦)
    伊勢物語(川上弘美)
    堤中納言物語(中島京子)
    土左日記(堀江敏幸)
    更級日記(江國香織)
    月報:小川洋子・津島祐子

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    2017年04月05日
  • FUTON

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    p116
    いろんな人に声をかけてる。その声を聞きとるかどうかが、まず最初の関門になる。同じ声を聞いても、それを形にする人間によって、どんな形になるのかはまったく違う。

    別のテクストを暗示しながら進む文章に私はひかれてしまうらしい。タイトルでもしかしてとは思ったけど、田山花袋『布団』のスピンオフみたいな作中作。あと布団のストーリーをなぞるような恋愛をしているアメリカ人教授と、花袋の時代を生きていた老人。この微妙な接点を作り込まれた設定が良い。
    小説として面白いかはオススメできる自信がないけど、技巧的だと思う。

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    2017年02月14日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    好きな作家さん目白押しで、これは読むしかないなと。

    伊勢物語おもしれえええってなっている。
    川上弘美の作品かと思うくらいどんぴしゃの訳にうっとり。余韻。
    竹取物語はポエム調の和歌がたまらん。これも森見作品かのよう。すばらしいテンポ感。
    堤中納言物語はおもわずニヤリ。
    土左日記は前段と括弧書きの注釈に痺れるし、更級日記は瑞々しくて女の日記感がさすが江國。

    この全集、ほんとぴったりな人に訳を頼みますよね。さいこう。

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    2017年01月04日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    自分がいかに古典にいい加減に接してきたかを思い知らされることになった。
    かぐや姫の話は誤解が多かった。もっとも、絵本の印象が強くて、かなり違訳を信じていたのかもしれないけれど、それも原典をきちんと読んでいない証拠。
    伊勢物語では、こんな太古から微妙な男女の機微があったのだと感銘を受けた。

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    2016年12月14日
  • 眺望絶佳

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    東京の片隅でおきたエピソード8編をあつめたもの。冒頭スカイツリーの【往信】、巻末に東京タワーの【復信】が入っているけれど、スカイツリーは書き下ろし。
    東京タワーは東京に建ち、東京を眺めているけれど、「私」にできるのは「立つ」ことだけ。でも、それがなにより大事だと「彼女」は言う。この擬人化されたツリーたちのそれぞれの感覚が面白い。やはりスカイツリーはまだ若いから、なんて思ってしまう。
    物語は東京に起きた現実や、ファンタジー、ありそうなこと、なさそうなこと、ハッピーエンドもあるし、不安も。どれかひとつは、心に触れる話が見つかると思います。
    どの話も短いのに、描写の巧みさに感心しながら、物語の世界がどんどん広がっていく気持ちがしました。
    どの話もよかったけど、私は「よろず化けます」や、「亀のギデアと土偶のふとっちょくん」「おさななじみ」好きでした。

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    2016年12月08日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    「こんな、おちゃらけの文学なんてあり得ない!」とも思うけど、50年後でも意味が通じる本として残せたので、これぞ文学なのかも知れない。
    全30巻の中で、この3巻だけを選んで読んでみたけど、結構当たりだったかも・・・!

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    2016年02月24日