中島京子のレビュー一覧
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東京の片隅でおきたエピソード8編をあつめたもの。冒頭スカイツリーの【往信】、巻末に東京タワーの【復信】が入っているけれど、スカイツリーは書き下ろし。
東京タワーは東京に建ち、東京を眺めているけれど、「私」にできるのは「立つ」ことだけ。でも、それがなにより大事だと「彼女」は言う。この擬人化されたツリーたちのそれぞれの感覚が面白い。やはりスカイツリーはまだ若いから、なんて思ってしまう。
物語は東京に起きた現実や、ファンタジー、ありそうなこと、なさそうなこと、ハッピーエンドもあるし、不安も。どれかひとつは、心に触れる話が見つかると思います。
どの話も短いのに、描写の巧みさに感心しながら、物語の世界が -
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森見登美彦訳『竹取物語』
川上弘美訳『伊勢物語』
中島京子訳『堤中納言物語』
堀江敏幸訳『土左日記』
江國香織訳『更級日記』
こんな、宝石の詰め合わせがあって良いのか⁈
発刊を待ちわびていたし、読むのもドキドキ。
それぞれに訳者の持ち味があって、とにかくすごい。
きちんと全文収録されているのも、嬉しい。
中でも、川上弘美の『伊勢物語』は鳥肌モノ。
歌物語の真骨頂というか、とにかく、和歌の訳し方が素敵すぎる。
言葉の数を少なくしながらも、今の感覚を添えてくれて、色っぽいし切なくなりました。
お気に入りは二段。
起きもせず寝もせで夜を明かしては春のものとてながめ暮らしつ
起きるでも -
Posted by ブクログ
ネタバレ1989年の香港への「迷子ツアー」
旅客の中の目立たない誰かがひっそりと「迷子」になるという奇妙なツアー。他の客は、ぼんやりとした喪失感を覚えながら帰途につく。
何かを置いてきたような気がする…。だけど、それが何か分からない…。
時間が流れ、さらにその記憶は失われていく。
すっかり忘れていた香港での時間を、日記を通して思い出す男女。かつて迷子ツアーがあったことを、思いがけず知り、そのなぞを解き明かそうとする一人の少年。3人のそれぞれの、1989年のあの日に向けられた物語。
他の人の記憶と経験と、自分のそれの区別がつかない。
自分の輪郭になるはずの記憶と経験が、多くの人に共有されるものであった